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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09 |
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管理番号 | 1419452 |
総通号数 | 38 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2025-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-01-15 |
確定日 | 2025-01-06 |
事件の表示 | 商願2023− 9605拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年2月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 6月14日付け:拒絶理由通知書 令和5年 9月11日 :意見書の提出 令和5年11月10日付け:拒絶査定 令和6年 1月15日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「TrueLink」の文字を標準文字で表してなり、第9類「マイクロホン,携帯電話機用ハンズフリーマイクロホン,通信装置用のマイクロホン,マイクロホンケーブル,マイクロホン並びにその部品及び附属品,マイクロホン用アーム,マイクロホン用スタンド,ヘッドセット,携帯電話機用ハンズフリーヘッドセット,テレビ会議のための遠隔通信用電気通信機械器具,テレビ会議システムのための遠隔通信用機械器具,会議用電話機,スピーカー,無線スピーカー,無線式オーディオスピーカー,壁掛け式の無線スピーカー,持ち運び可能なスピーカー,自動車用オーディオスピーカー,音響又は映像の記録用機器,音響又は映像の送信用機器,音響又は映像の再生用機器,スマートフォン用の無線ヘッドセット,インイヤーヘッドホーン,ヘッドホン,無線送受信機,無線ネットワーク接続用のコンピュータネットワークアダプター,音響情報の無線送信用装置,音響増幅器,音声増幅器」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第924633号商標(以下「引用商標」という。)は、「TRULINK」の欧文字を横書きしてなり、2006年8月29日にSingaporeにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)2月2日国際商標登録出願、第9類、第10類及び第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年(2010年)年8月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は、「TrueLink」の文字を標準文字で表してなるところ、「TrueLink」の欧文字は、一般的な辞書類に載録のないものであり、特定の意味合いを想起させるというべき事情も見当たらないものであるから、特定の観念を生じないものである。 そして、既成の語ではない欧文字にあっては、わが国において親しまれている英語又はローマ字の発音に倣って称呼するのが自然であることから、本願商標は、その構成文字に相応して、「トゥルーリンク」の称呼を生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、「TRULINK」の欧文字を横書きしてなるところ、「TRULINK」の欧文字は、一般的な辞書類に載録のないものであり、特定の意味合いを想起させるというべき事情も見当たらないものであるから、特定の観念を生じないものである。 そして、既成の語ではない欧文字にあっては、わが国において親しまれている英語又はローマ字の発音に倣って称呼するのが自然であることから、引用商標は、その構成文字に相応して、「トゥルリンク」又は「トルリンク」の称呼を生じるものである。 ウ 本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標を比較するに、本願商標は上記アのとおり、引用商標は上記イのとおりの構成からなるところ、両商標は、「T」と「L」の文字以外において、小文字と大文字の差異があり、また、本願商標の4文字目における「e」の有無において相違するとしても、最も看者の目に留まりやすい第1文字目から第3文字目の「Tru」と「TRU」と、後半の4文字の「Link」と「LINK」の文字のつづりを共通にするものであって、その文字のつづりの差異は、比較的看者の目に留まりにくい中間部分の「e」の文字の有無にすぎないものであるから、両商標を時と所を異にして観察する離隔的観察の方法により考察した場合、直ちにその差異を認識できるともいえず、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものというべきであるから、両商標は、外観上、近似した印象を与えるものである。 また、本願商標からは、「トゥルーリンク」の称呼が生じ、引用商標からは、「トゥルリンク」又は「トルリンク」の称呼を生じるところ、本願商標の「トゥルーリンク」の称呼と引用商標の「トゥルリンク」の称呼とは、「トゥ」、「ル」、「リ」、「ン」、「ク」の各音が共通するものであり、本願商標の2音目と3音目における「ルー」と引用商標の2音目の「ル」において、「ー」(長音)の有無という差異を有する。そして、該差異音である「ー」(長音)は、明瞭に聴取されにくい中間に位置し、前音の「ル」の母音「ウ」の発音を継続させることから、「ル」の音に吸収されて一音のように発音される場合が少なくなく、それぞれを一連に称呼するときは、その語調、語感が近似したものとなり、称呼上、互いに聞き誤るおそれがある類似のものといえる。 そして、観念においては、本願商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。 以上によれば、本願商標と引用商標は、観念において比較できないにしても、外観において類似し、称呼において類似する場合があるものであり、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、時と所を異にして観察する離隔的観察の方法により考察すると、両商標は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標というのが相当である。 エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について (ア)指定商品の類否判断について 指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一の営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁判所昭和33年(オ)第1104号同36年6月27日判決)。 そして、商品の類否判断は、取引の実情、すなわち、商品の生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲が一致するかどうか、完成品と部品との関係にあるかどうか等を総合的に考慮して判断すべきである(東京高等裁判所平成7年(行ケ)第161号同8年3月21日判決)。 (イ)本願の指定商品中、第9類「ヘッドセット,スマートフォン用の無線ヘッドセット,無線ネットワーク接続用のコンピュータネットワークアダプター」(以下、まとめて「本願指定商品」という場合がある。)と引用商標の指定商品及び指定役務中、第9類「data processing equipment and computers for use in the field of eye care, health of the eye, vision and ophthalmics(参考訳:目の手入れ・目の健康・視力及び眼科の分野において使用するデータ処理装置及びコンピュータ); computer software for use in the field of eye care, health of eye, vision and ophthalmics(参考訳:眼の手入れ・目の健康・視力及び眼科の分野において使用するコンピュータソフトウエア)」との類否について 本願の指定商品中、第9類「ヘッドセット,スマートフォン用の無線ヘッドセット」は、請求人主張のとおり、「イヤホンまたはヘッドホンとマイクが一体となった装置。」(請求書に添付の甲第1号証、以下「甲1」という、以下同じ。)と解され、スマートフォン、コンピュータ等を使用したオンラインでの通信時に用いられるものであり(甲2)、主にコンピュータ周辺機器を取り扱う事業者により製造、販売される商品である。 また、同じく第9類「無線ネットワーク接続用のコンピュータネットワークアダプター」は、請求人主張のとおり、無線通信を介してコンピュータをネットワークに接続するための器具であり(甲4)、汎用性のあるコンピュータの付属品として、主にコンピュータ周辺機器を取り扱う事業者により製造、販売される商品である。 他方、引用商標の指定商品及び指定役務中、第9類「data processing equipment and computers for use in the field of eye care, health of the eye, vision and ophthalmics; computer software for use in the field of eye care, health of eye, vision and ophthalmics」(以下「引用指定商品」という。)は、使用分野を限定した上で「コンピュータ」、「データ処理装置」及び「コンピュータソフトウェア」を指定しているものと解されるところ、まず、「コンピュータ」については、コンピュータ本体を商品とするものであり、また、「データ処理装置」及び「コンピュータソフトウェア」については、必要な情報を得るためにデータに対して行う一連の作業や、コンピュータの運用に関する手順や基本的な処理、特定の作業をコンピュータに行わせるために用いる商品であって、いずれもコンピュータハードウェアやコンピュータソフトウェアをはじめとするコンピュータ周辺機器を取り扱う事業者によって製造、販売されるものである。 そして、引用指定商品が、目の手入れ・目の健康・視力及び眼科の分野において使用されるものであっても、その生産部門、販売部門及び用途についてみれば、コンピュータハードウェアやコンピュータソフトウェアをはじめとするコンピュータ周辺機器を取り扱う事業者によって製造、販売されるものであって、特定の作業をコンピュータに行わせるために用いる商品又はコンピュータ本体である点において、通常の「コンピュータ」、「データ処理装置」及び「コンピュータソフトウェア」と何ら相違しないものである。 そうすると、本願指定商品と引用指定商品の一般的、恒常的な取引の実情において、一部需要者の範囲を異にする場合があるとしても、本願指定商品と引用指定商品は、その生産部門、販売部門及び用途を共通にするものであるから、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品というべきである。 オ 小括 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、引用指定商品中の「目の手入れ・目の健康・視力及び眼科の分野(in the field of eye care, health of eye, vision and ophthalmics)」は、主に目の治療の分野を指すものであるから、引用指定商品は目の治療の際に用いられる商品であって、眼科医療機器の製造業者によって製造・販売され、眼科医療機器を専門に取り扱う事業者を介して、眼科医療に従事する医療機関や医療従事者に販売されるものであると述べ、これらは一般に高価な商品と考えられ、また高度な知識に基づいて性能や特徴を吟味して購入するのが常であり、高度な注意力を以て販売・購入されるものであるから、本願指定商品と引用指定商品とは、同一又は類似の商標を付して使用したとしても誤認混同のおそれのない非類似の商品である旨主張する。 しかしながら、上記(1)エで述べたとおり、引用指定商品が、目の手入れ・目の健康・視力及び眼科の分野において使用されるものであっても、その生産部門、販売部門及び用途についてみれば、コンピュータハードウェアやコンピュータソフトウェアをはじめとするコンピュータ周辺機器を取り扱う事業者によって製造、販売されるものであって、特定の作業をコンピュータに行わせるために用いる商品又はコンピュータ本体である点において、通常の商品と何ら相違しないものであるから、本願指定商品と引用指定商品の一般的、恒常的な取引の実情において、一部需要者の範囲を異にする場合があるとしても、本願指定商品と引用指定商品は、その生産部門、販売部門及び用途を共通にするものであり、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一営業主の製造・販売に係る商品と誤認されるおそれのある、互いに類似する商品というのが相当である。 イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、これらの登録が併存していることからしても、本願商標は登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については上記(1)ウのとおりであるから、これらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。 ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 審判長 大森 友子 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2024-07-26 |
結審通知日 | 2024-07-30 |
審決日 | 2024-08-22 |
出願番号 | 2023009605 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W09)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 田中 瑠美 |
商標の称呼 | トゥルーリンク |
代理人 | 恩田 俊郎 |
代理人 | TRY国際弁理士法人 |