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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W1620
管理番号 1419403 
総通号数 38 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2025-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-31 
確定日 2025-01-06 
事件の表示 商願2021−124755拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年10月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月 8日付け:刊行物等提出書
令和4年 4月21日付け:刊行物等提出書
令和4年 4月28日付け:刊行物等提出書
令和4年 6月 6日付け:拒絶理由通知書
令和4年 7月20日 :意見書の提出
令和4年 7月28日付け:拒絶査定
令和4年10月31日 :審判請求書の提出
令和6年 6月25日付け:審尋
令和6年 8月 6日 :回答書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第16類「ラミネート加工した包装用のプラスチック製フィルム及びプラスチック製袋,金属はくを蒸着した包装用のプラスチックフィルム及びプラスチック製袋,プラスチックと紙とを組み合わせてなる包装用フィルム及び包装用袋,開封用テープを装着させたチャックテープ付きプラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,家庭用食品包装フィルム袋,包装用プラスチックフィルム,プラスチックフィルム製の包装用袋,プラスチック製包装用袋,紙製包装用袋,包装紙,プラスチック製気泡状包装材料,包装材料(文房具),プラスチック材料で被覆された紙製包装容器,食品包装に用いられる業務用プラスチック製フィルム,薬剤包装に用いられる業務用プラスチック製フィルム,業務用食品包装用プラスチックフィルム,業務用薬剤包装用プラスチックフィルム,業務用プラスチック製食品包装用袋,業務用プラスチック製薬剤包装用袋,紙製またはプラスチック製の食品用包装袋,紙製またはプラスチック製の薬剤用包装袋,紙製又はプラスチック製の包装袋,紙製又はプラスチック製の吸収機能を有する食品包装用シート,紙製又はプラスチック製の食品包装用調湿シート,食品用包装紙,薬剤用包装紙,薬剤用の板紙製包装用容器,薬剤分包機用分包紙,紙袋,紙箱,段ボール箱,紙製又は厚紙製の詰物用材料,紙製包装用容器,段ボール,段ボール原紙,セロハン類,紙類,文房具用又は家庭用の粘着テープ,文房具類」及び第20類「食品包装用プラスチック製包装用容器,薬剤包装用プラスチック製包装用容器,プラスチックフィルム製包装用容器,プラスチック製包装葉,食品包装用プラスチック製トレイ,トレー状のプラスチック製包装用容器,プラスチック製包装用容器,プラスチック製包装用容器のキャップ,密封キャップ(金属製のものを除く。),プラスチック製包装用容器の栓,全面開口を可能にした固形物や粘稠物の包装に適したプラスチック製の袋,コルク製・プラスチック製及び木製の栓,木製・竹製・プラスチック製包装用容器,プラスチック製及び木製のふた,袋を密封するためのプラスチック製包装用クリップ」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、別掲1のとおり、黒地縦四角形内に「MASS」「BALANCE」及び「FILM」の欧文字を3段に白抜きで表示し、その下部に天秤の図形を白抜きで表示してなるところ、プラスチック製品製造業界等においてマスバランス方式を用いたプラスチック製品を「マスバランス方式」又は「マスバランス」と称して多数取り扱われている事実からすると、「マスバランスフィルム」の文字(語)は、全体として「原料段階での生物由来成分を完成した化学品に割り当てはめる手法によるフィルム」、すなわち、「マスバランス方式によるフィルム」と認識するものと認められる。
そうすると、「マスバランスフィルム」を欧文字で表示したものと認められる部分を有する本願商標を、その指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、当該商品を「マスバランス方式により生産されたフィルム、マスバランス方式により生産されたフィルムを使用した袋・包装用袋・包装用容器」であると容易に認識するものである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品中、「マスバランス方式により生産されたフィルム、マスバランス方式により生産されたフィルムを使用した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審における審尋
当審において、令和6年6月25日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第4条第1項第16号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年8月6日に回答書を提出し、要旨以下(1)ないし(4)のとおりの意見を述べた。
(1)合議体は、「マスバランス(物質収支)」について、バイオマス由来原料を活用するための特定の手法(以下、「本件手法」という。)を表す語として認定しているが、「マスバランス」及び「物質収支」の文字自体が有する意味合いとしては、「ある化学反応の系において、その系に投入した物質の量と系から得られた物質の量との収支」であって、あくまで物質量の収支を表す語であることから、本件手法のような何らかのやり方や方法を表す語とは異なるものであり、何らかの手法を表す語として使用されているものは、「マスバランス方式」若しくは「マスバランスアプローチ」の文字であることから、「マスバランス」の文字単独で本件手法を示す語として一般的に使用されているとはいうべきではなく、「マスバランス」の文字は、構成文字の意味合い及び使用状況のいずれをみても、本件手法の意味合いを表す語とは直ちに認識できない。
(2)本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字からは、「物質収支のフィルム」程の抽象的で漠然とした意味合いは理解できるとしても、「マスバランス」と「マスバランス方式」の文字の意味が異なる以上、「マスバランス方式により生産されたフィルム」の意味合いは生じ得ない。
(3)「マスバランス方式」の文字が、再生可能資源をより積極的に活用するための認証制度における手法の一つを表す語であって、決して製造方法を表すものではないことからすれば、仮に本願商標から「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」程の意味合いが認識され得る場面があったとしても、該意味合いの表現自体が、製品がどのような品質、生産方法で製造されたものかということを直ちに理解できないような抽象的なものでしかない。
(4)本願の指定商品の分野において、「MASS BALANCE FILM」の欧文字及びその片仮名表記である「マスバランスフィルム」の文字自体が、その他商品の品質等を直接的かつ具体的に表すものとして一般的に使用されている事実も見当たらないことからすれば、本願商標は本願の指定商品との関係で直ちに商品の製造方法や品質を表示しているものとして認められるべきものでなく、むしろ特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されると考えるのが相当である。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、黒地の角が丸い長方形の内側に「MASS」、「BALANCE」及び「FILM」の白抜きの文字を3段に表し(以下「本願の文字部分」という。)、その下に天秤を表したと思しき白抜きの図形を配してなるところ、本願の文字部分のうち、「MASS」の文字は、「大きさ、量、かさ、質量」の意味を、「BALANCE」の文字は、「釣り合い、平均、均衡、調和」の意味をそれぞれ有する英単語(すべて出典は、株式会社研究社「新英和中辞典第7版」)であるところ、上段の「MASS」と中段の「BALANCE」の文字を「MASS BALANCE」と一連に表した場合は、「物質収支」、つまり、「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法のこと」を意味するものとして、後掲2のとおり、広く使用されている「マスバランス(物質収支)」の欧文字表記と理解されるものである。
また、原審提示の情報に加え、別掲2の参考情報にもあるとおり、「マスバランス(物質収支)」は、従来の化石資源を一気にバイオマス由来原料に置き換えることが技術的に困難とされる中、生産者に再生可能原料の使用を促し、再生可能な資源を普及させる重要な手法として注目されており、既に紙製品やパーム油、電力業界で一般に採用されてきたところ、近年は特に、化学業界において、循環型経済への移行を図る有効な手だてとして採用する企業が増加していることが確認できる。
そして、実際に、本願の指定商品に関連する分野においては、原料段階での生物由来成分を完成した化学品に当てはめる手法のことを「マスバランス(物質収支)」と称している実情が認められ、そのうえ、構成中の「FILM」の文字は、「(表面にできる)薄皮、薄膜、皮膜」等の意味を有する英単語(前掲書)であって、本願の指定商品との関係では、商品の品質、形状を表示する文字と認められるところ、「マスバランス(物質収支)」方式によるフィルムが生産されている事実も確認できることから、本願の文字部分は、全体として、「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」程の意味合いを認識させるものといえる。
そうすると、「マスバランスフィルム」の欧文字表記と理解される「MASS BALANCE FILM」の文字を有する本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「マスバランス方式により生産されたフィルム、マスバランス方式により生産されたフィルムを使用した商品」であることを認識するものというべきである。
したがって、本願商標は、これをその指定商品中の「マスバランス方式により生産されたフィルム、マスバランス方式により生産されたフィルムを使用した商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、合議体は、「マスバランス(物質収支)」について、バイオマス由来原料を活用するための特定の手法(本件手法)を表す語として認定していると述べ、「マスバランス」及び「物質収支」の文字自体が有する意味合いとしては、「ある化学反応の系において、その系に投入した物質の量と系から得られた物質の量との収支」であって、あくまで物質量の収支を表す語であることから、本件手法のような何らかのやり方や方法を表す語とは異なるものであり、何らかの手法を表す語として使用されているものは、「マスバランス方式」若しくは「マスバランスアプローチ」の文字であることから、「マスバランス」の文字単独で本件手法を示す語として一般的に使用されているとはいうべきではなく、「マスバランス」の文字は、構成文字の意味合い及び使用状況のいずれをみても、本件手法の意味合いを表す語とは直ちに認識できない旨主張する。
しかしながら、「マスバランス(物質収支)」の語が、「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法のこと」を意味するものとして広く使用されていることは、別掲の参考情報に提示したとおりであり、実際に、本願の指定商品に関連する分野においても、原料段階での生物由来成分を完成した化学品に当てはめる手法のことを「マスバランス(物質収支)」と称している実情が認められることよりすれば、当該「マスバランス(物質収支)」の語は、本願商標の取引者、需要者をして、上記の手法を表すものと理解、認識させるものであるといわざるを得ない。
そして、「マスバランス(物質収支)」の使用実情を示す事例に「方式」や「アプローチ」の文字が含まれているとしても、「マスバランス(物質収支)」の語が、上記手法を表すものとして使用されている事実には相違なく、近年は特に、化学業界において、循環型経済への移行を図る有効な手だてとして上記手法が採用され、社会一般に浸透しつつある状況下では、「マスバランス(物質収支)」の語のみでも上記手法を認識させるというのが相当であり、上記認定、判断は妥当なものというべきである。
イ 請求人は、本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字からは、「物質収支のフィルム」程の抽象的で漠然とした意味合いは理解できるとしても、「マスバランス」と「マスバランス方式」の文字の意味が異なる以上、「マスバランス方式により生産されたフィルム」の意味合いは生じ得ない旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願の指定商品に関連する分野においては、原料段階での生物由来成分を完成した化学品に当てはめる手法のことを「マスバランス(物質収支)」と称している実情が認められ、また、「マスバランス(物質収支)」の語のみでも上記手法を認識させるというのが相当であることに加え、本願商標の構成中の「FILM」の文字は、本願の指定商品との関係では、商品の品質、形状を表示する文字と認められるところ、「マスバランス(物質収支)」方式によるフィルムが生産されている事実も確認できることから、本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字からは、全体として、「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」程の意味合いを認識させるものというべきである。
ウ 請求人は、「マスバランス方式」の文字が、再生可能資源をより積極的に活用するための認証制度における手法の一つを表す語であって、決して製造方法を表すものではないことからすれば、仮に本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字から「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」程の意味合いが認識され得る場面があったとしても、該意味合いの表現自体が、製品がどのような品質、生産方法で製造されたものかということを直ちに理解できないような抽象的なものでしかない旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第16号該当性の判断において、「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」に該当するというためには、その商標によってあらわされるような品質の商品が現実に製造、販売されていることを必要とするものではなく、一般需要者が、その商標を付した商品に接したとするならば、その商品の品質効能等の特性を誤認するおそれがあれば足るものというのが相当である(平成元年4月20日東京高裁昭和63年(行ケ)113号)。
そして、「マスバランス方式」の文字が、再生可能資源をより積極的に活用するための認証制度における手法の一つを表す語であるとしても、上記(1)で述べたとおり、本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字部分は、本願の指定商品に関連する分野における実情に照らせば、これに接する取引者、需要者をして、当該認証方式により生産されたフィルム、すなわち「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」であること、という商品の品質、生産方法を表示するものと理解、認識させるものであるといわざるを得ない。
エ 請求人は、本願の指定商品の分野において、「MASS BALANCE FILM」の欧文字及びその片仮名表記である「マスバランスフィルム」の文字自体が、その他商品の品質等を直接的かつ具体的に表すものとして一般的に使用されている事実も見当たらないことからすれば、本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字は、本願の指定商品との関係で直ちに商品の製造方法や品質を表示しているものとして認められるべきものでなく、むしろ特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されると考えるのが相当である旨主張する。
しかしながら、本願の指定商品に関連する分野における「MASS BALANCE」、つまり、「マスバランス(物質収支)」の語に関する取引の実情については、別掲2の参考情報で提示したとおりであり、「FILM」(フィルム)の文字は、本願の指定商品との関係では、商品の品質、形状を表示する文字と認められるところ、実際に、「マスバランス(物質収支)」方式によるフィルムが生産されている事実も確認できることよりすれば、本願商標中の「MASS BALANCE FILM」の文字は、「マスバランス(物質収支)方式により生産されたフィルム」を表すものとして一般に認識されるものといわざるを得ず、商品の品質を表すものというべきである。
オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標

別掲2 「マスバランス(物質収支)」が、再生可能な資源を普及させる重要な手法として注目されており、既に当該手法が一般に採用されてきた業界に加え、本願の指定商品に関連する分野である化学業界において、原料段階での生物由来成分を完成した化学品に当てはめる手法のことを「マスバランス(物質収支)」と称している実情及び「マスバランス(物質収支)」方式によるフィルムが生産されている事実が確認できる参考情報(下線は当審が付した。)
(1)「IDEAS FOR GOOD 社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン」のウェブサイト
「マスバランス方式とは・意味」の見出しの下、「マスバランス方式とは、製品を原料から加工し流通させるプロセスにおいて、ある特性を持った原料とそうでない原料が混合される場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法のことである。「マスバランスアプローチ」「物質収支方式」とも呼ばれる。わかりやすく例を用いて説明すると、以下のとおりだ。再生可能な植物由来の「バイオマス原料A」を10トン、石油などの「化石原料B」を90トン混合した原料を作る。すると、バイオマス原料Aを10%含む商品が100トン分出来上がる。ここでマスバランス方式を用いる。すると、出来上がった商品100トンのうち、10トン分(=10%)の商品を「バイオマス原料A100%の商品」とみなせるのだ。残りの90トン分の商品は「化石原料B100%の商品」となる。つまり生産者は、「バイオマス原料100%」をうたう商品を作り出せるのだ。もちろん実際には、バイオマス原料は10%しか含まれていない。しかし、製品の性質は従来と同等であることから、しかるべき第三者より認証を受ければ、一部をバイオマス原料100%とみなせる制度だ。従来の化石資源を一気にバイオマス原料に置き換えることは、現状では技術的に困難とされる。そのような中で、マスバランス方式は、生産者に再生可能原料の使用を促す効果があるのだ。」の記載及び「マスバランス方式の有効性」の項目において、「マスバランス方式は、再生可能な資源を普及させる重要な手法として注目されている。すでに紙製品(FSC)やパーム油、電力業界でも採用されている。近年は特に、化学業界において、循環型経済への移行を図る有効な手だてとして採用する企業が増加している。マスバランス方式は、生産者サイドに環境に配慮した生産活動を促す。そして、消費者である私たちに、製品を買うことでサステナブルな活動をする企業を応援できる、という選択肢を与えてくれる。・・・マスバランス方式のメリットは、大きく分けると以下の4つである。●再生可能原料の使用を促進し、CO2の削減に貢献する●既存の設備をそのまま利用できるため、大規模な設備投資が不要●製品の基本的な性能は従来と変わらない●第三者認証を受けることによりサプライチェーンの強化につながる」の記載がある。
https://ideasforgood.jp/glossary/mass-balance-approach/
(2)2024/03/29 日経産業新聞 12ページ
「三井化学とマスバランス包装材 生協、7次調達先も連携」の見出しの下、「日本生活協同組合連合会(日本生協連)が食品包装で低炭素素材の導入を増やす。総生産量の一部に環境価値を集約する「マスバランス方式」の素材を使うのが特徴だ。三井化学やフィンランドのネステなど7次調達先まで連携して同方式に対応できるサプライチェーンを構築した。消費財向けにマスバランス素材を活用する一つのモデルケースになりそうだ。・・・日本生協連は3月から「のりのりの玄米せんべい」「塩飴」など3品目に低炭素の包装材を使う。素材はバイオマス由来成分を使ったポリプロピレンだ。三井化学の製品で、全体の10〜12%がバイオマス由来とみなされる。・・・石油由来のポリプロピレンと比べると排出量を6〜7.2%削減できる計算だ。この素材を最初に採用したのは2023年9月に発売した「味付のり」だ。「プラスチック全体の10%以上をバイオマス由来とする」という基準をクリアし、日本環境協会からエコマークの認定を取得した。同協会がバイオマス由来成分を割り当てたプラスチックに対する認定基準をつくったのは23年2月のことだ。生協連が第1号の認定事例になった。・・・生協連はこの包装材を使う商品をドーナツやパンなどに段階的に拡大しており、3月に合計8品目、6月には13品目になる。」の記載及び「■専用ラインが不要に」の項目において、「包装材など化学品の場合、マスバランス方式を使うと素材メーカーは環境配慮型の製品をつくりやすくなる。例えば化石原料由来の原料70%とバイオマス由来など環境配慮型の原料30%を混ぜて製品をつくった場合、出荷する製品の30%はバイオマス由来成分だけで生産したことにできる。残りの70%の製品は化石原料由来という扱いになる。マスバランス方式を使わない場合は、原料ごとに専用の生産ラインを設けるなどして使い分ける必要があり、設備投資資金がかさむといった弊害がある。生協連によると、低炭素のポリプロピレンはマスバランス方式でつくったもの以外はほとんど流通していないという。マスバランス方式を適用する際は第三者機関の監査を受け、認証を得るのが一般的だ。・・・バイオマス由来のナフサは再生可能燃料の世界大手であるフィンランドのネステが生産している。プラスチックをつくる三井化学、包装材などに加工する企業などを含め、7社すべてが認証取得企業だ。・・・三井化学は2021年12月にマスバランス方式によるプラスチックの生産・販売を始めた。生協連以外にもサンプル供給などの形で引き合いは増えつつあるという。生協連がエコマークを取得した効果は大きいと三井化学はみている。知名度が高い制度の認証を受けたことで、一般には分かりにくいマスバランス方式への理解が進めばとの期待がある。」の記載がある。
(3)2023/08/10 日刊工業新聞 12ページ
「住友ベークライト、医薬品包装フィルムで持続可能性認証を取得」の見出しの下、「住友ベークライトは尼崎事業所(兵庫県尼崎市)で製造される医薬品包装用ポリプロピレン(PP)フィルムについて、持続可能な製品の国際認証制度「ISCC PLUS認証」を取得した。同社が国内拠点で同認証を取得するのは初めて。認証に基づく「マスバランス方式」により、顧客の要望に応じてバイオマスおよび再生由来原料の比率を対象製品に割り当てて販売する。ISCC PLUS認証は、マスバランス方式の管理・担保に関わる認証制度。原料ごとに規定された認証マークを付与し、サプライチェーン(供給網)の透明性を確保することで原材料が持続可能であることを証明できる。」の記載がある。
(4)2021/09/08 日経MJ(流通新聞) 11ページ
「伊藤忠、環境配慮プラ拡大、容器・包材、ファミマ切り替え。」の見出しの下、「伊藤忠商事が使用済みの食用油などを原料とするプラスチックを本格展開している。子会社のファミリーマートが扱う商品の一部を、植物由来の原料を配合した容器に切り替えた。伊藤忠は取引網の広さを生かし、代替原料や再利用、容器の循環システムなどプラスチックを巡るSDGs対応を広げる。ファミマが導入したのは、廃棄油など再生可能な原料を使った「バイオマスポリプロピレン」だ。・・・プラスチックの主原料のひとつであるポリプロピレン(PP)は、通常は石油から精製される。バイオPPでは、これを外食産業などから出る廃食油やパルプ生産時の副産物のトール油に置き換える。食用油の元となる植物が成長する際に二酸化炭素(CO2)を吸収するため、石油由来と比べて環境負荷が低いという。PPは国内プラスチック全体の5分の1を占め、すぐにバイオ原料に転換するには、供給網や生産コストなど課題が多い。そこでバイオPPは既存の石油化学プラントに廃食油を一部混ぜて製造する。バイオマス原料を混ぜた割合の分だけ100%生物由来とみなすことができる「マスバランス」と呼ばれる手法だ。マスバランスは紙や電力業界では一般的だ。・・・「再生原料の需要が小さいうちは専用プラントの建設が難しい。マスバランス方式を使うことで普及につなげる」と語る。」の記載がある。
(5)2016/10/11 日本経済新聞 夕刊 2ページ
「テクノロジー、アジア、スポーツ、マネー(日経電子版から)」の見出しの下、「テクノロジー 石油も原料なのに「100%生物由来」?大日本印刷は「100%生物由来の再生可能原料を使ったナイロンフィルムを開発した」と発表した。食品包装用として2017年にも発売する。だが、ナイロンの原料である化学品「カプロラクタム」は、再生可能原料から作るのは困難だという。それなのに、なぜ100%生物由来といえるのか。その秘密は、ライフサイクル全体でとらえることで、作られた製品の一部だけを生物由来とみなせる「マスバランス(物質収支)」という手法にある。(写真はマスバランスの認証を取得した独BASF本社のコンビナート)」の記載がある。
(6)2016/09/30 日経産業新聞 11ページ
「大日本印刷、認証ナイロンフィルム開発、生物由来原料で。」の見出しの下、「大日本印刷は29日、生物由来の再生可能原料を使ったとみなす認証制度を活用したナイロンフィルムを開発したと発表した。生物由来成分は製品自体には含まれていないが、原料段階で含まれており、製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減していることを訴求する。食品包装材など向けに来年にも発売する。原料段階での生物由来成分を完成した化学品に当てはめる手法は「マスバランス(物質収支)」と呼ばれ、独化学大手BASFが提唱している。新製品はナイロン樹脂のポリアミドをBASFが提供。興人フィルム&ケミカルズ(東京・港)がフィルムを作り、大日本印刷がさらに包装材に加工・販売する。ポリアミドのもととなるカプロラクタムは、生物由来成分からは作れないとされる。BASFは原料段階で混ぜたナフサなど生物由来の素材の割合を当てはめ、ドイツの認証機関である「テュフズード」から認証を得た。大日本印刷と興人フィルムも同様の認証取得の手続きを進めており、年内にも取得できる見通し。認証により「100%生物由来」とみなされる。大日本印刷はナイロンフィルムを含む生物由来の包装材の売り上げを2017年度に30億円にすることを目指している。」の記載がある。


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-10-24 
結審通知日 2024-10-25 
審決日 2024-11-07 
出願番号 2021124755 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W1620)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 小俣 克巳
田中 瑠美
商標の称呼 マスバランスフィルム、マッスバランスフィルム、マスバランス、マッスバランス、マス、マッス、バランスフィルム、バランス 
代理人 弁理士法人藤本パートナーズ 

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