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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 取り消して登録 W3541 |
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管理番号 | 1417810 |
総通号数 | 36 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-06-04 |
確定日 | 2024-12-02 |
事件の表示 | 商願2023− 13653拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年2月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 9月29日付け:拒絶理由通知書 令和5年11月11日 :意見書の提出 令和6年 2月27日付け:拒絶査定 令和6年 6月 4日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「SDGs」の文字は、2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい成果を目指す国際的な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称である(以下、「SDGs」の文字からなる標章を「引用標章」という。)。 そして、引用標章は、我が国においても、上記開発目標の実現のための施策の名称の一部として、広く使用され、上記開発目標及びこれに関する施策や事業を表す標章として広く知られているものであり、ひいては、国連加盟各国が執り行う公共的な施策や事業の名称においても広く使用されていることが容易に推察される文字である。 以上を踏まえれば、引用標章をその構成中に有してなる本願商標は、これに接する需要者に、上記開発目標の実現のための各種施策や取組みを想起させるものであり、これを一私人に独占利用させることは、公益に関する施策を進める我が国政府や、外国政府の信用や権威を損なうおそれがあり、国際信義に反するおそれもあるというべきである。 加えて、上記のとおり、引用標章は、国連で採択された国際的な開発目標の略称として広く知られているものであるから、その文字を構成中に有する本願商標は、公益に関する施策であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と同一又は類似のものというべきである。 したがって、本願商標は、公益に関する施策であって営利を目的としないものを表示する著名な標章と同一又は類似のものというべきであるから、商標法第4条第1項第6号に該当する。 4 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、これは、「農業」の文字、「地球温暖化の原因となる二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量をゼロにする取り組み」(「GX DiG」ウェブサイト https://green-transformation.jp/media/decarbonization/002/)を意味する「脱炭素」の文字、原審提示の情報にあるように2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発目標」を表す語である「SGDs」の文字、及び、「博覧会」(出典:「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)を意味する「EXPO」の文字を、空白(スペース)や「・」を介しつつ、横一列に表したといえるものであって、その構成文字はすべて同書、同大、同色で表されているものであるから、外観上、一体的に表されているといえるものである。 また、本願の指定役務を含む、博覧会等のイベントの企画・運営などに係る分野においては、上述の「SDGs」をテーマとするイベントが広く一般的に行われている上、別掲の情報にあるように、そのようなイベントの名称において、「SDGs EXPO」の文字が使用されている事例も少なからず見受けられることからすると、本願商標の構成中、「SDGs EXPO」の文字は、「持続可能な開発目標をテーマとする博覧会」ほどの意味合いを容易に認識させ得るものといえ、また、本願商標全体としても「農業に関する、脱炭素及び持続可能な開発目標をテーマとする博覧会」ほどの一連の意味合いが認識し得るものといえる。 そうすると、かかる構成においては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「SDGs」の文字部分のみに着目し、これを独立した識別標識として認識するとはいえず、むしろ、本願商標の構成文字全体をもって、上述の意味合いを認識し、把握するというべきである。 したがって、本願商標よりは、その構成文字全体に相応した「ノウギョウダツタンソエスディージーズエキスポ」の称呼のみが生じ、また、「農業に関する、脱炭素及び持続可能な開発目標をテーマとする博覧会」ほどの観念が生じるものといえる。 (2)引用標章について 引用標章は、「SGDs」の文字からなるものであって、これよりは「エスディージーズ」の称呼が自然に生じ、また、「持続可能な開発目標」ほどの観念が生じるものといえる。 (3)本願商標と引用標章の類否について 本願商標と引用標章を比較するに、外観においては、文字数等が大きく異なり、別異の語を表していると容易に理解できるものであるから、明確に区別できるものである。 そして、称呼においては、本願商標より生じる「ノウギョウダツタンソエスディージーズエキスポ」の称呼と、引用標章より生じる「エスディージーズ」の称呼とでは、音数等が明らかに異なり、明瞭に聴別できるものである。 また、観念においては、本願商標より「農業に関する、脱炭素及び持続可能な開発目標をテーマとする博覧会」ほどの観念が生じるのに対し、引用標章よりは「持続可能な開発目標」ほどの観念が生じるため、明確に区別できるものである。 してみれば、本願商標と引用標章とは、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであって、観念においても明確に区別できるものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、役務の出所について誤認混同を生じるおそれや、国等の信用や権威を損なうおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に規定する「公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」とはいえない。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 「「SDGs」をテーマとする博覧会」等のイベントの名称に「SDGs EXPO」の文字が使用されている事例(下線は当審が付した。) (1)2024年2月9日の日刊工業新聞5ページにおいて、「相模原市、SDGs達成へイベント開催」の見出しの下、「相模原市は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた機運を醸成し、企業や団体、市民に行動を呼びかけるイベント「相模原SDGs EXPO」を杜のホールはしもと(相模原市緑区)で開催した。2023年に続き2回目。」の記載がある。 (2)2022年8月17日の日本経済新聞地方経済面関西経済10ページにおいて、「姫路商議所、SDGsイベント」の見出しの下、「姫路商工会議所(兵庫県姫路市)は19〜20日、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマとしたイベント「Himeji SDGs EXPO」をアクリエひめじ(姫路市)で開く。約100社が出展し、SDGsにつながる技術や活動を紹介する。」の記載がある。 (3)「SENDAI SDGs Expo 2023」のウェブサイトにおいて、「SDGs経営で選ばれる企業へ」の見出しの下、「事業拡大を目指し活動している企業のSDGs推進の取り組み事例の紹介を通して、ビジネス視点でのSDGsをご紹介します。」の記載があるほか、「PROGRAM」として「SENDAI SDGsセミナー」「食のみやぎ応援団SDGs新商品発表会 in SENDAI SDGs Expo」の記載がある。 https://sendai-sdgs-expo.com/ (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審決日 | 2024-11-20 |
出願番号 | 2023013653 |
審決分類 |
T
1
8・
21-
WY
(W3541)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
白鳥 幹周 清川 恵子 |
商標の称呼 | ノーギョーダツタンソエスデイジイエスエキスポ、ノーギョーダツタンソエスデイジイエスエクスポ、ノーギョーダツタンソエスデイジイズエキスポ、ノーギョーダツタンソエスデイジイズエクスポ、ノーギョーダツタンソ、ノーギョー、ダツタンソ、エスデイジイエスエキスポ、エスデイジイエスエクスポ、エスデイジイズエキスポ、エスデイジイズエクスポ、エスデイジイエス、エスデイジイズ、エキスポ、エクスポ |
代理人 | 高橋 孝仁 |