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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W2930323543 |
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管理番号 | 1417738 |
総通号数 | 36 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-08-17 |
確定日 | 2024-12-09 |
事件の表示 | 商願2022−92063拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和4年8月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年11月29日付け:拒絶理由通知書 令和5年 4月11日 :意見書の提出 令和5年 5月17日付け:拒絶査定 令和5年 8月17日 :審判請求書の提出 令和5年 8月18日 :手続補足書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類、第30類、第32類、第35類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5722993号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成26年7月7日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年12月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、構成中上部に、二重弧線の間に書した「NOUEN」の欧文字(以下「上段部分」という。)を配し、その下に小さく「2002」の数字を書し、その下には、ハートをモチーフとしたと考えられる図形(以下「ハート図形」という場合がある。)を表し、当該図形の左側に「田畑を耕して作物をつくること。また、その業に従事する人。」を意味する「農」の文字を、右側に「へり。ふち。ゆかり。」を意味する 「縁」の文字(いずれも出典は「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)をそれぞれ太字でややデザイン化された書体で顕著に表してなり、その下には、上段部分の二重弧線と相応するように二重弧線の間に書した「from Watami Farm」の欧文字(以下「下段部分」という。)を配してなるものであり、構成全体を緑色で表してなるものである。 そして、本願商標の構成は上記のとおり、複数の文字や図形からなるものの、それぞれが重なることなく配置されていることからすると、それぞれが視覚上分離して看取、把握され得るものである。 さらに、ハート図形は特定の事物又は意味合いを表すものとして認識されているというべき事情は認められず、また、上段部分と下段部分に配された二重弧線は、文字の装飾として捉えられるのが自然であることから、ハート図形及び二重弧線からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。 また、「NOUEN」の文字部分は、「農」と「縁」の文字部分のそれぞれの読みを結合して欧文字で表したものと無理なく理解されるものであるが、これらの文字部分と「from Watami Farm」の文字部分とは、観念上のつながりもなく、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものであるから、それぞれが独立して商品の識別標識として機能し得るものである。 なお、「2002」の数字は、西暦を表したものと理解されるのが自然であるから、識別標識としての機能は弱いといえる。 そうすると、本願商標は、全体として捉えられる場合のほか、その構成中、太字でややデザイン化された書体により、中央部に顕著に表された「農」と「縁」の文字部分(以下「本願商標の要部」という場合がある。)に着目し、当該部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。 以上よりすれば、本願商標からは、全体の文字部分から「ニセンニノウエンフロムワタミファーム」の称呼を生じ、また、その構成中の「農」「縁」の文字が、上記した意味から「農業を通じた縁」程の意味合いを生じることを考慮すると、「2002年、ワタミファームからの農業を通じた縁」程の観念を生じ得るとともに、本願商標の要部である「農」「縁」の文字に相応して、「ノウエン」の称呼及び「農業を通じた縁」程の観念をも生じる。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、上段に王冠と思われる図形(以下「引用図形部分」ということがある。)を配し、下段に「nouen」の欧文字(以下「引用文字部分」ということがある。)を横書きしてなるところ、その構成中、上段の図形部分と、下段の「nouen」の文字部分は、重なり合うこともなく、上下に配置されていることから、視覚上明確に分離して看取されるものである。 そして、引用図形部分は、王冠を単純化して描いた図形として看取されることから、当該図形部分からは「王冠」程の観念を生じるものである。 また、引用文字部分は、その構成文字に相応して「ノウエン」の称呼を生じ、「脳炎」、「農園」、「濃艶」等の語に通じ、それぞれ「脳の炎症性疾患の総称。」、「おもに園芸作物を栽培する農場。」、「あでやかで美しいこと。」等の複数の語義(いずれも出典は「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店。)を有する語としての掲載例があるところ、引用商標に係る指定役務「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との関係からすれば、飲食料品と関連深く、広く親しまれた「農園」の文字を想起するものといえるから、引用文字部分に相応して「おもに園芸作物を栽培する農場」の観念を生じるものといえる。 そうすると、引用図形部分と引用文字部分の間には、称呼及び観念上のつながりもなく、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、引用商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して出所識別機能を有する要部となり得るものであることから、引用文字部分を分離抽出し、これを引用商標の要部として本願商標と比較することが許されるというべきである。 したがって、引用商標は、その要部の一である引用文字部分の「nouen」の文字(以下「引用商標の要部」という場合がある。)に相応して「ノウエン」の称呼及び「おもに園芸作物を栽培する農場」の観念を生じるものである。 (3)本願商標と引用商標の比較 本願商標と引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、その全体の外観構成において相違し、本願商標の要部である「農」「縁」と、引用商標の要部である「nouen」の文字部分とを比較しても、文字種(漢字と欧文字)、文字数、文字の色彩及び書体が異なり、両者の視覚上の印象も著しく相違し、外観上判然と区別し得るものである。 次に、称呼においては、本願商標の全体から生ずる「ニセンニノウエンフロムワタミファーム」の称呼と引用商標の要部から生じる「ノウエン」の称呼とは、音数や語調語感が明らかに異なるものである。 そして、本願商標の要部である「農」「縁」の文字と引用商標の要部である「nouen」の文字部分との比較においては、ともに「ノウエン」の称呼を生じることから、両者は、「ノウエン」の称呼を共通にする場合があるものである。 さらに、本願商標の全体からは「2002年、ワタミファームからの農業を通じた縁」程の観念を生じ、本願商標の要部である「農」「縁」の文字から「農業を通じた縁」程の観念を生じるところ、引用商標の要部である「nouen」の文字から「おもに園芸作物を栽培する農場」の観念を生じることから、両者は、観念上、明らかに区別し得るものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼の一を共通する場合があるとしても、外観及び観念においては明確に区別することができるものであって、本願商標の指定商品・指定役務及び引用商標の指定役務において、取引者、需要者が、専ら商品及び役務の称呼のみによって商品及び役務を識別し、商品及び役務の出所を判別するような実情があるものとは認められず、また、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るとはいえないことから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品及び役務の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。) 別掲2 引用商標 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審決日 | 2024-11-21 |
出願番号 | 2022092063 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W2930323543)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
目黒 潤 清川 恵子 |
商標の称呼 | ノウエンフロムワタミファーム、ノーエンフロムワタミファーム、ノーエン、フロムワタミファーム、ワタミファーム、ワタミ、ファーム |
代理人 | 野本 陽一 |
代理人 | 桐山 大 |