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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
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管理番号 | 1415591 |
総通号数 | 34 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2024-03-01 |
確定日 | 2024-09-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6765075号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6765075号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6765075号商標(以下「本件商標」という。)は、「APPS2Car」の文字を標準文字で表してなり、令和5年6月6日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月8日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する商標(以下「申立人商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、本件商標の登録出願前から、申立人がスマートフォン用スタンド等について使用し、取引者、需要者の間に広く認識されていると主張するものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第19号証を提出した。 (1)申立人商標について ア 申立人商標 申立人は「APPS2Car」の文字のうち、「C」の中に「2」を配置した構成の商標を、スマートフォン用スタンド等を含む第9類に属する商品について、本件商標の登録出願前から、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)と申立人の所在地である中国を始め、カナダ、米国において登録済みであり、また、欧州連合(保護域にイギリスが含まれる。)、オーストラリアにおいても申立人の法人代表者が代表を務める別法人で商標登録済みである(甲2〜甲6)。 イ 申立人商標の著名性について 申立人は、中国に自己の会社を有するとともに、米国にもその支社を置く企業であって、2010年からスマートフォン用スタンド等を含む製品(甲8)の製造に携わり、2021年までに、世界中で4,000万人以上の顧客を獲得した(甲9)。 申立人は、中国でショッピングモール「天猫(Tmall)」において申立人商標を付した商品の販売を広く行っており、また、イタリア・イギリス・スペイン・フランス・ドイツ・カナダ・米国・オーストラリア・日本の各国において、ショッピングサイト「Amazon」でも、申立人商標を付した商品の販売を広く行っている(甲10〜甲18)。さらに、申立人自身のホームページにおいても多くの顧客によって、申立人商標が付された商品が購入されている(甲19)。 このように、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、申立人の商品は多くの顧客の支持を受けているとともに、顧客数は伸び続けている。 また、申立人は商品の広告、宣伝及び販売するに際して、商品に申立人商標を付するほか、当該商標を示すテキスト文字として「APPS2Car」の文字列を使用している。 したがって、需要者・消費者は、「APPS2Car」の文字列が、申立人商標を示すものと認識しているといえる。 このように、申立人は申立人商標を付したスマートフォン用スタンド等を含む第9類に属する商品を世界に広く販売し、多くの顧客を抱える企業であり、本件商標の登録出願前から当該商品が属する業界において、世界レベルで取引者及び需要者の間に広く認識されている商品であるといえる。 (2)本件商標と申立人商標の同一性及び類似性について 本件商標は、「APPS2Car」の標準文字からなり、申立人商標は、「APPS2Car」の文字のうち、「C」の中に「2」を配置した構成である。 そうすると、両商標の文字列の配置が近似するため、外観上類似する。 また、両商標から「アップスツーカー」の称呼が生じ得ることから、称呼上類似する。 なお、両商標から特段の観念は生じないので、比較することができない。 したがって、外観・称呼・観念を総合的に判断した場合、本件商標と申立人商標は類似する。 また、申立人が申立人商標を示すテキスト文字として使用している「APPS2Car」の文字列と本件商標は、同一である。 (3)本件商標と申立人商標の指定商品の類似性について 本件商標は、携帯電話機及びスマートフォン用ホルダーなどを指定するものである。 他方、申立人商標はスマートフォン用ホルダー等の名称として世界で広く商標登録され、また、使用されているものであるから、本件商標と申立人商標の指定商品は同一又は類似関係にある。 (4)商標法第4条第1項第10号の該当性 ア 申立人商標が広く認識されていること 上記(1)のとおり、申立人商標は、申立人が販売等するスマートフォン用ホルダー等を示す商標であることは日本を含む世界中において広く知られているから、申立人商標は我が国で広く認識されているといえる。 イ 本件商標と申立人商標の類似性 上記(2)のとおり、本件商標と申立人商標が同一又は類似であることは明らかであり、また、上記(3)のとおり、本件商標と申立人商標の指定商品は、同一又は類似関係にある。 ウ 小括 以上より、本件商標は、本件商標の登録出願前から、取引者及び需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一又は類似であり、かつ、指定商品と同一又は類似の商品に使用するものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号の該当性 ア 「混同を生ずるおそれ」について 商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決のとおり、総合的に判断されるべきものである。 イ 本件商標と申立人商標の類似性の程度 上記(2)のとおり、本件商標と申立人商標が同一又は類似であることは明らかである。 ウ 申立人商標の周知性の程度 上記(1)のとおり、申立人商標が、申立人が販売等するスマートフォン用ホルダー等を識別する標章として日本を含む世界中において著名性を獲得している事実は明らかである。 エ 商品の関連性の程度 上記(3)のとおり、本件商標の指定商品と申立人商標の指定商品は同一又は類似の関係にあり、高い関連性を有している。 オ 申立人の著名性について 上記(1)のとおり、申立人がスマートフォン用スタンド等の分野において、世界レベルで広く知られていることに疑いはない。 カ 小括 以上より、本件商標は、申立人が販売等するスマートフォン用スタンド等を示す商標として広く認識されている申立人商標と同一又は類似であり、本件商標と申立人商標の指定商品は同一又は類似の関係にあり、かつ、申立人はスマートフォン用スタンド等の分野において世界的に知られた企業であることも明らかである。 そうすると、本件商標を指定商品に使用した場合、取引者及び需要者が、申立人の販売する商品と出所の混同を引き起こす可能性が極めて高いといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号の該当性 本件商標は、申立人が、「スマートフォン用スタンド」等について使用し、本件商標の登録出願前より、中国を始め世界で需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似のものであり、本件商標に係る指定商品を取り扱う者であれば、申立人商標の存在を当然に知っていたものと推認するのが相当である。 さらに、本権商標権者の住所と申立人の住所が共に中国であることは、申立人商標の存在を当然に知っていたことの補強となる。 また、本件商標が、申立人商標と偶然に類似したとは考え難いものであるから、本件商標を、出願人が自己の商標として出願、登録及び使用をすることは、申立人商標の名声や顧客吸引力に便乗して不正の利益を得る等の目的をもって使用をするものと考えられる。 そうすると、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている申立人商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものと考えることが相当である。 また、申立人が本権商標権者に申立人商標の使用を許諾したという事実もない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人商標の周知性について 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、申立人は、申立人商標を中国、欧州連合、カナダ、米国、オーストラリアにおいて商標登録しており(甲2〜甲6)、申立人は、「スマートフォン用スタンド」に申立人商標を使用していること(甲8等)、申立人のウェブサイトには、2021年までに申立人商標に係る商品のユーザーが世界中で4千万人を超えている旨が記載されていること(甲9)、イタリア、イギリス、スペイン、フランス、ドイツ、カナダ、米国、オーストラリア及び日本におけるショッピングサイトにおいて、申立人商標が使用された「スマートフォン用スタンド」が販売されていること(甲10〜甲18)、また、申立人のウェブサイトにおいて、当該商品が購入されていること(甲19)がそれぞれ認められる。 しかしながら、当該商品に関する我が国及び外国における販売期間及び販売実績並びに上記ウェブサイト以外の広告宣伝の方法、期間及び規模等が不明である。 そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、「APPS2Car」の文字からなる商標についても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、上記1のとおり、「APPS2Car」の欧文字からなり、他方、申立人商標は、別掲のとおり、「APPS2Car」の文字のうち、「C」の中に「2」の文字を配した構成からなるものであるから、両商標はその構成文字を同じくする類似の商標と判断するのが相当である。 しかしながら、上記(1)のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。 したがって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(2)のとおり、本件商標は申立人商標と類似するものであるが、上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、申立人商標の独創性の程度、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、申立人商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号について 上記(2)のとおり、本件商標と申立人商標は類似するものであるが、上記(1)のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていると認められないものである。 そうすると、本件商標が不正の目的をもって使用をするものであるか否かについて判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものではなく、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 申立人商標 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-09-11 |
出願番号 | 2023062261 |
審決分類 |
T
1
651・
255-
Y
(W09)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大橋 良成 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 山田 啓之 |
登録日 | 2023-12-22 |
登録番号 | 6765075 |
権利者 | 陳 依▲しょう▼ |
商標の称呼 | アップスツーカー、アップスニカー、エイピイピイエスツーカー、エイピイピイエスニカー、アップスツー、アップスニ、エイピイピイエスツー、エイピイピイエスニ、アップス、エイピイピイエス、ツーカー、ニカー、カー、シイエイアアル |
代理人 | Authense弁理士法人 |