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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1415577 |
総通号数 | 34 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-05-12 |
確定日 | 2024-09-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6679629号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6679629号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6679629号商標(以下「本件商標」という。)は、「DM鬼push out号」の文字を標準文字により表してなり、令和4年9月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を含む、第14類、第16類、第20類、第26類、第28類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、令和5年3月3日に登録査定され、同月10日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、以下の2件の商標であり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第4353556号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:DM’s(標準文字) 指定商品:第3類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 優先権主張:1998年(平成10年)2月20日(ドイツ連邦共和国) 登録出願日:平成10年7月31日 設定登録日:平成12年1月21日 2 国際登録第697326号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:「DM’s」の文字を別掲に示したとおりの態様で表してなるもの 指定商品:第9類、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品 国際商標登録日(事後指定):2010年(平成22年)1月5日 設定登録日:平成23年8月12日 上記の引用商標1及び2をまとめていうときには、以下「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標はその指定商品中、第25類の全指定商品(以下「本件申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。なお、証拠の記載に当たっては、以下、「甲第○号証」を「甲○」のように記載し、枝番号を全て記載する場合は、枝番号を省略する。 1 申立人と申立人ブランドの周知著名性について 申立人は、ドイツ国の法人であり、世界中で周知著名な靴・ブーツのブランド「ドクターマーチン(Dr.Martens)」(以下、「申立人ブランド」という。)に関連する商標を、我が国を含む世界中で保有している。 申立人ブランドは、1945年に、ドイツ人医師によって開発された、エアークッションの効いた靴底(通弥バウンシングソール)や、靴底を一周する黄色の縫い目(イエローステッチ)を特徴とした靴・ブーツのブランドであり(甲3)、英国を拠点としつつ、イタリア、ドイツ、米国など製品を販売する国際的なブランドであって、我が国においても、51の直営店及びオンラインにて全国規模で販売されている(甲4)。 申立人ブランドの製品は、上述のデザインに加え、耐久性が強く、耐熱・耐寒・耐摩耗性に優れていることから、世界中で人気を集め、我が国においても、おしゃれなファッションアイテムの一つとして、若者を中心に人気を得ている。 申立人ブランドは、1960年に一番最初のモデル「1460」が誕生し、2020年に60周年を迎え、我が国を含め世界中で人気のあるシューズブランドであり、「2022年3月期のグローバル売上高は前期比18%増の9億830万ポンド(約1507億円)、コロナ前の2020年3月期と比べても35.1%増と大きく伸ばしている」と報道されている(甲5)。 また、申立人ブランドのシューズとして特徴的な黄色い縫い目(イエローステッチ)部分は、周知な商品等表示に当たると裁判例で判断されている(令和2年(ワ)第31524号)。 このような事実から、申立人ブランドは、我が国の需要者に広く知られたブランドであるといえる。 2 申立人による引用商標又は「DM」の使用について 申立人は、「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の略称として、「DM’S」又は「DM」の文字を使用している(甲6)。 また、「DM」の文字は、「ドクターマーチン(Dr.Martens)」ブランドを表すものとして、当社以外の第三者にも使用されている(甲7)。 このように、「DM’S」又は「DM」の文字は、当社及び当社ブランドを表すものとして、当社及び第三者によって、長期にわたり使用されているものであって、当該文字が、履物について使用された場合、需要者等は、当社及び当社ブランドを連想すると考えられる。 3 本件商標が無効とされるべき理由 本件商標は、引用商標の構成文字と共通する「DM」の欧文字を含むもので、「DM」の文字は、需要者の最も注意をひく語頭に位置しており、また、その後に続く漢字「鬼」とは文字種も異なるため、当該「DM」の文字部分は、独立して需要者の目を引くものと考えられる。 上述の当社ブランドを表す文字として引用商標及び「DM」の文字が広く知られている事実を考慮すると、本件商標が、その指定商品中「履物,運動用特殊靴」に使用された場合、需要者は、申立人及び申立人ブランドを想起すると考えられる。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 引用商標の周知著名性について (1)申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。 ア 申立人は、ドイツ国の法人であり、靴・ブーツに係る「ドクターマーチン(Dr.Martens)」に関連する商標を、我が国及び外国で保有している(申立人の主張)。 イ 申立人の商品(靴・ブーツ)は、英国を拠点としつつ、イタリア、ドイツ、米国などで販売され、我が国においても、オンライン等にて販売されている(甲4、申立人の主張)。 ウ 申立人ブランドに係る商品は、「2022年3月期のグローバル売上高は前期比18%増の9億830万ポンド(約1507億円)、コロナ前の2020年3月期と比べても35.1%増と大きく伸ばしている」と報道されている(甲5)。 エ 申立人は、「DM」及び「DM’S」の文字を「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の略称として、商品「靴・ブーツ」の名称の一部に使用していることがうかがえる(甲6、甲7)。 (2)上記(1)によれば、以下のことが認められる。 ア 申立人は、ドイツ国の法人であり、靴・ブーツに係る「ドクターマーチン(Dr.Martens)」に関連する商標を保有している。 また、申立人の商品(靴・ブーツ)は、我が国においても、販売されていることはうかがえる。 さらに、申立人ブランドに係る商品について、「2022年3月期のグローバル売上高が、9億830万ポンド(約1507億円)」との報道があったことは認められる。 しかしながら、申立人の取り扱う商品の全てについて引用商標が用いられているとする証拠提出はないことから、証拠によって主張されているグローバル売上高について、かかる売上商品の全てについて、引用商標が使用されている客観的な証拠の提出はないから、主張及び提出された証拠をもって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 イ 申立人は、申立人の業務に係る商品(靴・ブーツ)の名称の一部等に「ドクターマーチン(Dr.Martens)」の略称として、「DM」又は「DM’S」の各文字を使用していることがうかがえる。 しかしながら、申立人提出の証拠からは、引用商標の周知性を判断するための、引用商標を使用した申立人の業務に係る商品の販売数、売上高、市場シェア等の販売実績並びに宣伝広告の期間、地域及び規模等の広告実績を確認できる客観的な証拠は見いだせない。 その他、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、広く認識されていたと認めるに足りる事実も見いだせない。 そうすると、引用商標の周知性の程度を客観的に推し量ることができないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表すものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。 2 本件商標と引用商標の類否について (1)本件商標について 本件商標は、「DM鬼push out号」の文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する各文字は、大文字、小文字、漢字といった違いはあるものの、同一書体でスペースを1つ含むものの、横一連に表されており、視覚上、全体としてまとまりよく一体的に看取されるものである。 また、その構成文字全体から生じる「ディーエムオニプッシュアウトゴウ」の称呼は、やや冗長ではあるものの無理なく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標全体としては、具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと認識し、把握するとみるのが自然であり、特に「DM」の文字部分のみが分離・抽出され、取引に供されるとみるべき格別の理由は見いだせない。 したがって、本件商標は、「ディーエムオニプッシュアウトゴウ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標は、いずれも「DM’s」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「ディーエムズ」の称呼を生じ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、また、特定の意味合いを有するものとして需要者の間で認識されているというような事情も見いだせないものであるから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語を表したものと認識し、把握するとみるのが自然である。 そうすると、引用商標は、「ディーエムズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者の構成はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりであるから、構成文字の相違により、判然と区別し得るものである。 イ 称呼について 本件商標から生じる「ディーエムオニプッシュアウトゴウ」の称呼と引用商標から生じる「ディーエムズ」の称呼を比較すると、構成音数、構成音の相違等から、両者は明瞭に聴別し得るものである。 ウ 観念について 本件商標及び引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。 エ そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というのが相当である。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の周知性について 上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く知られていたと認めることはできないものである。 (2)本件商標と引用商標の類似性の程度について 本件商標と引用商標は、上記2(3)のとおり、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は高いとはいえないものである。 (3)商品の関連性及び需要者の共通性について 申立人の業務に係る商品(靴・ブーツ)は、本件商標の指定商品と同一又は類似するものといえるから、商品の関連性を有し、需要者を共通にするものである。 (4)小括 上記(1)ないし(3)を総合的に判断すれば、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が関連性を有し、需要者を共通にするものであるとしても、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されているとは認められないものであり、本件商標と引用商標の類似性の程度も高いとはいえないものである。 そうすると、本件商標の商標権者が、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者・需要者が、申立人若しくは引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の本件申立てに係る商品についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2(国際登録第697326号商標) (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-09-12 |
出願番号 | 2022111307 |
審決分類 |
T
1
652・
271-
Y
(W25)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
鈴木 雅也 |
特許庁審判官 |
馬場 秀敏 小田 昌子 |
登録日 | 2023-03-10 |
登録番号 | 6679629 |
権利者 | 有限会社芳美商事 |
商標の称呼 | デイエムオニプッシュアウトゴー、デイエムキプッシュアウトゴー、デイエムオニプッシュ、デイエムキプッシュ、オニプッシュ、キプッシュ、オニ、キ、プッシュ、アウトゴー |
代理人 | 太田 洋子 |
代理人 | 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |
代理人 | 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |