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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W07
管理番号 1415524 
総通号数 34 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2024-06-10 
確定日 2024-10-07 
事件の表示 商願2023− 77423拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和5年7月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和6年2月14日付け:拒絶理由通知書
令和6年3月14日 :意見書の提出
令和6年4月10日付け:拒絶査定
令和6年6月10日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第7類「二輪自動車用マフラー並びにその部品及び附属品」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第3340030号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、「TSR」の文字を一列に横書きしてなり、平成6年8月25日登録出願、「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)」を含む第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年8月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、右上がりの黒色の平行四辺形の内部に、複数の線からなる図形、「TsR」の欧文字、及び「TECHNICAL SPORTS」の欧文字を白抜きで表し、そのうち一部の文字は平行四辺形から飛び出して表されており、その飛び出した部分は黒色の線で縁取られているものであって、また、これらは全体的に黒色の線で縁取られているものである。
ここでまず、本願商標の外観についてみるに、上述のとおり、本願商標は、図形及び文字の各要素が平行四辺形図形の内部にまとまりよく表されており、一部の文字は平行四辺形図形から飛び出して表されてはいるものの、それらも含めてすべてが黒色の線で縁取られているものであるから、本願商標は、視覚上、まとまりよく一体的に表されているものといえる。
次に、本願商標の称呼についてみるに、本願商標構成中の複数の線からなる図形は、これが何を表したものか判然とせず、自他商品の識別標識としての称呼、観念が生じるものとはいえないものである。他方、同構成中の文字部分よりは、全体として「ティーエスアールテクニカルスポーツ」の称呼が生じ得るほか、本願商標の中央に大きく表された「TsR」の文字部分を捉えて、「ティーエスアール」と称呼されることも否定できないものである。
そして、本願商標の観念についてみるに、本願商標構成中の複数の線からなる図形からは、上述のとおり、特段の観念が生じるものとはいえない。また、同構成中の「TsR」の文字は一般的な辞書類に掲載されている語ではなく、「TECHNICAL」の文字は「工業の、専門の」などを、「SPORTS」の文字は「スポーツの」などを、それぞれ意味する語である(「新英和中辞典 第7版」株式会社研究社)ところ、請求人の主張及び請求人が提出した資料(甲第11号証ないし甲第16号証)によれば、「TsR」及び「TSR」の文字は、請求人の業務に係るブランド「TECHNICAL SPORTS RACING」を指称するものとして、本願の指定商品を含む二輪自動車に関連する分野において長年使用されてきたものであり、本願商標が遅くとも1998年(平成10年)から同分野において継続的に使用されてきたことも踏まえて考えれば、同ブランドは、二輪自動車に関心を有する者においては、ある程度認知されているものといえる。そうとすれば、二輪自動車に関連する本願指定商品の取引者、需要者が、本願商標に接した場合には、同文字部分又は本願商標全体より「TECHNICAL SPORTS RACINGという請求人の業務に係るブランド」を想起することを否定できないものである。
以上のことからすれば、本願商標は、外観上は一体のものとして認識されるものというのが相当であり、また、これよりはその構成文字全体に相応した「ティーエスアールテクニカルスポーツ」の称呼が生じるほか、その構成中、顕著に表された「TsR」の文字に相応した「ティーエスアール」の称呼も生じ得るといえ、そして、「TECHNICAL SPORTS RACINGという請求人の業務に係るブランド」ほどの観念が生じることを否定できないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、「TSR」の欧文字を横一列に書してなるものであり、これは一般的な辞書類に掲載されていないものであるから、引用商標よりは、その構成文字に相応した「ティーエスアール」の称呼が生じるといえ、また、特段の観念は生じないものといえる。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、図形の有無や文字の色彩、書体などにおいて明らかに相違するものであり、明確に区別できるものである。
そして、称呼においては、「ティーエスアール」を共通にする可能性はあるものの、本願商標のその他の称呼「ティーエスアールテクニカルスポーツ」は、引用商標から生じる「ティーエスアール」の称呼と、音数や語調、語感が明らかに異なり、明りょうに聴別できるものである。
また、観念においては、本願商標より「TECHNICAL SPORTS RACINGという請求人の業務に係るブランド」ほどの観念が生じるのに対し、引用商標よりは特段の観念は生じないため、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、本願商標より複数生じる称呼の一において共通する場合があるとしても、その他の称呼において明瞭に聴別できるものであって、外観においては明確に区別できるものであり、観念において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標


別掲2 引用商標



(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審決日 2024-09-25 
出願番号 2023077423 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W07)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 白鳥 幹周
清川 恵子
商標の称呼 テイエスアアルテクニカルスポーツ、テイエスアアル、テクニカルスポーツ、テクニカル、スポーツ 
代理人 辻本 希世士 

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