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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W33 |
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管理番号 | 1415503 |
総通号数 | 34 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-02-01 |
確定日 | 2024-09-18 |
事件の表示 | 商願2023− 46237拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年4月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 8月22日付け:拒絶理由通知書 令和5年 9月25日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年12月26日付け:拒絶査定 令和6年 2月 1日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、指定商品は、原審における上記1の手続補正書により、第33類「モルトウィスキー」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第1492691号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和53年3月13日登録出願、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同56年12月25日に設定登録され、その後、平成14年2月13日に指定商品を第32類及び第33類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に書換登録され、同24年2月28日に指定商品を第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、左右に市松模様を配した薄灰色の四角形に、若緑色の葉様の図形を配し、該葉様の図形を背景に「わかば」の平仮名を縦書きに顕著に表し(「わかば」の文字は、黒色の筆文字風の書体で表されており、薄く金色の影が付されている)、その右横に黒色で「わかば」の平仮名より小さく「WAKABA」の欧文字を横書きに表し、その下に該「WAKABA」の欧文字の幅に合わせるように、やや小さく金色で「BLENDED MALT WHISKY」の欧文字を横書きに表し、構成中の上部中央に「KOMADA」の欧文字を横書きし、その下にやや丸みを帯びた曲線を挟み、その両脇に小さな6つの円形図形を配した、複数の文字と図形を組み合わせた構成からなるものである。 そして、本願商標の構成は、複数の文字や図形からなるものの、その構成中の「わかば」の文字部分が、他の文字や図形と比べて大きく顕著に表されているところ、当該文字は「生え出てまだ間のない葉。」(出典:株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)等の意味を有する語として我が国において一般に親しまれている「若葉」の文字を平仮名で表したものと容易に認識でき、また当該「わかば」の文字の右側に横書きされた「WAKABA」の文字部分は、「わかば」の平仮名を欧文字で表したものと容易に看取されるものである。 また、「WAKABA」の文字の下に表された「BLENDED MALT WHISKY」の文字部分は、別掲3のとおり、本願商標の指定商品との関係においては、異なる複数の蒸溜所のウイスキー原酒をブレンドしたウイスキーのことを表す語として一般に使用されており、商品の品質を表すものであるから、当該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであって、商品の出所識別標識としての称呼及び観念を生じないものと認められる。 さらに、本願商標の構成中の「KOMADA」の文字は、「わかば」及び「WAKABA」に比べて、小さく書されている上、他の文字部分と間隔を空けて配置されており、該「KOMADA」の文字が辞書等に載録された既成語ではなく、特定の観念を生じないものであるから、「KOMADA」と「わかば」(WAKABA)が結合して特定の意味合いを想起させる等の観念上の一体性も見いだし難いものである。 加えて、本願商標の構成中の図形部分は、本願商標の構成態様を踏まえると、「わかば」、「WAKABA」及び「KOMADA」の文字部分をそれぞれ、装飾するもの又は背景図形として看取されるものというのが相当である。 そうすると、本願商標は、その構成中の「わかば」及び「WAKABA」の文字部分が、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であり、該「わかば」及び「WAKABA」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。 したがって、本願商標は、その要部である「わかば」及び「WAKABA」の文字部分(以下「本願商標の要部」という。)から「ワカバ」の称呼を生じ、「生え出てまだ間のない葉。」程の観念を生じるものである。 イ 引用商標について 引用商標は、別掲2のとおり、枝とそれについた葉と思しき図形(以下「引用図形部分」という。)を背景に「若葉」の漢字を右上から斜めに書し、その下に「若葉」の文字に比べ小さく「ワカバ」の片仮名を横書きに表してなるものである。 そして、引用図形部分は、特定の植物を表したものと認識することができないものであるから、特定の称呼及び観念は生じない。 また、引用商標の構成中の「ワカバ」の文字部分は、その配置や文字の大きさからみて、「若葉」の漢字の読み仮名と認識されるものである。 そうすると、引用商標においては、その構成中の「若葉」の文字部分が、取引者、需要者に対し、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものとみるのが相当であり、「若葉」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきである。 したがって、引用商標は、その要部である「若葉」の文字部分(以下「引用商標の要部」という。)から「ワカバ」の称呼を生じ、上記アと同様に、「生え出てまだ間のない葉。」程の観念を生じるものである。 ウ 本願商標の要部と引用商標の要部との類否について 本願商標の要部と引用商標の要部を比較するに、外観において、「わかば」及び「WAKABA」と「若葉」とで、文字種が相違するものの、商標の使用において、その構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることに鑑みれば、本願商標の要部と引用商標の要部は、それぞれの文字を置き換えたものとして、取引者、需要者に認識される場合も少なくないものであるから、両者における文字種の相違が出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。 また、称呼において、本願商標の要部と引用商標の要部は、「ワカバ」の称呼を共通にするものである。 さらに、観念において、本願商標の要部と引用商標の要部は、「生え出てまだ間のない葉。」程の観念を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標は、全体の外観においては相違するにせよ、本願商標の要部と引用商標の要部との比較において、外観上の差異が強い印象を与えるものとはいえず、称呼及び観念を共通にするものである。 してみれば、両商標は、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本願の指定商品と引用商標の指定商品とを比較するに、本願の補正後の指定商品である「モルトウイスキー」は、引用商標の指定商品中の「洋酒,果実酒」と同一又は類似の商品である。 オ 小括 上記アないしエによれば、本願商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標は広葉樹の緑色の葉と「わかば」が一体的に表現されているのに対して、引用商標は針葉樹の葉と「若葉」とが一体的に表現されており、外観が明らかに相違し、本願商標は「KOMADA」なる文字が表題として表現されている点で、外観及び称呼が引用商標と相違する旨主張する。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願商標においては、その構成中の「わかば」及び「WAKABA」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきであり、引用商標においては、その構成中の「若葉」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較することが許されるものというべきであって、本願商標の要部と引用商標の要部との比較において、外観上の差異が強い印象を与えるものとはいえず、称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標は、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標であるというのが相当である。 イ 請求人は、原審において審査官が認定した「生え出てまだ間のない葉」の観念は、漢字の「若葉」に対してそうであったとしても、平仮名の「わかば」は、他にも「若い人」「子ども」のたとえの意味があると辞書(精選版日本国語大辞典)に記載されているほか、「若さ」「生命力」「成長」「希望」等も表すこともあるから、「若葉」と「わかば」とでは、観念の広さに大きな相違がある旨主張する。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、我が国において、「わかば(WAKABA)」及び「若葉」は、「生え出てまだ間のない葉。」等の意味を有する語として一般に親しまれているものというのが自然であり、請求人が挙げる他の複数の意味についてみても、例えば、「若い人」「子ども」のたとえの意味ということは、「わかば(WAKABA)」及び「若葉」を比喩的に表したものであり、当該語の元々の意味である「生え出てまだ間のない葉。」から派生したものとも捉えられることから、本願商標の構成中の「わかば」及び「WAKABA」と引用商標の構成中の「若葉」の文字部分は、「生え出てまだ間のない葉。」程の観念を共通にするものといわざるを得ない。 ウ 請求人は、引用商標は、日本酒に使用されていることが取引の実情から見て明らかであるから、本願の指定商品が「ウイスキー」である点で、取引者、需要者に大きな相違がある旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)旨判示されているところ、請求人の主張に係る取引の実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものというべきであり、商標の類否判断に考慮すべき一般的、恒常的な実情ということはできないことから、これを取引の実情として、本願の指定商品と引用商標の指定商品の類否判断にあたり考慮することは適当でない。 エ 請求人は、過去の登録例を挙げ、これらの登録が併存していることからしても、本願商標は登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については上記(1)ウのとおりであるから、これらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。 オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。) ![]() 別掲2 引用商標 ![]() 別掲3 「BLENDED MALT WHISKY」(ブレンデッドモルトウイスキー)の文字が、本願商標の指定商品分野において、一般に、異なる複数の蒸溜所のウイスキー原酒をブレンドしたウイスキーのことを表す言葉として使用されていることを示す参考情報(下線は当審が付した。) (1)「おいしく食べて和歌山モール」のウェブサイト 「JAPAN MADE BLENDED MALT WHISKY 熊野」の商品説明において、「スコッチモルトウイスキーとジャパニーズモルトウイスキーをブレンドし、ミズナラの樽で追熟させたウイスキー ウイスキー本来の力強さを感じさせるモルティーな香りと、リンゴを連想させるフルーティさ、全体をミズナラ由来の甘みが包み込みます。ややスパイシーな舌触りでスッキリとした味わいをお愉しみください。」の記載がある。 https://oishii-wakayama.com/products/a_051_12/ (2)「Whisky Lab」のウェブサイト 「ブレンデッドモルトウイスキーとは」の見出しの下、「ブレンデッドモルトウイスキーとは、大麦麦芽から作られるモルトウイスキーの中でも複数の蒸溜所の原酒がブレンド(ヴァッティング)されて作られたモルトウイスキーのことを指します。複数の蒸溜所の原酒が使われることで、各蒸溜所の個性が混ざり合い、不雑かつ個性的な新たなモルトの味わいを生み出します。」の記載がある。 https://whisky-lab.com/categories/blended-malt (3)「saketry」のウェブサイト 「ウイスキー」の商品カテゴリーにおいて、「Blended Malt Whiskyブレンデッド モルト ウイスキー」の項目がある。 https://www.saketry.com/all/whisky/scotchwhisky/blendedmaltwhisky/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-07-08 |
結審通知日 | 2024-07-16 |
審決日 | 2024-07-30 |
出願番号 | 2023046237 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W33)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
田中 瑠美 小俣 克巳 |
商標の称呼 | ワカバブレンデッドモルトウイスキー、ワカバ、ブレンデッドモルトウイスキー、コマダ |
代理人 | 大谷 嘉一 |