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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない W2930
管理番号 1415438 
総通号数 34 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-11-29 
確定日 2024-08-29 
事件の表示 商願2023− 1850拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和5年1月11日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 5月29日付け:拒絶理由通知書
令和5年 7月10日 :意見書の提出
令和5年 8月25日付け:拒絶査定
令和5年11月29日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるものであり、第29類「唐辛子を含む肉製品,唐辛子を含む加工水産物,唐辛子を加味した肉製品,唐辛子を加味した加工水産物」及び第30類「チリソース,唐辛子を加味したパスタソース,唐辛子を加味したケチャップソース,唐辛子を加味した調味料,唐辛子を使用してなる穀物の加工品,唐辛子を使用してなる菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),唐辛子を使用してなるみそ,唐辛子を加味したマヨネーズ,唐辛子を使用してなるアイスクリーム用凝固剤,唐辛子を使用してなるパン,唐辛子を使用してなるサンドイッチ,唐辛子を使用してなる中華まんじゅう,唐辛子を使用してなるハンバーガー,唐辛子を使用してなるピザ,唐辛子を使用してなるホットドッグ,唐辛子を使用してなるミートパイ,香辛料,唐辛子を使用してなるアイスクリームのもと,唐辛子を使用してなるシャーベットのもと,唐辛子を使用してなるぎょうざ,唐辛子を使用してなるしゅうまい,唐辛子を使用してなるすし,唐辛子を使用してなるたこ焼き,唐辛子を使用してなる弁当,唐辛子を使用してなるラビオリ,唐辛子を使用してなる食用グルテン,唐辛子を使用してなる食用粉類,唐辛子を加味したスパゲッティソース,唐辛子を加味したドレッシング,唐辛子を加味した焼肉のたれ,唐辛子を加味した食酢,唐辛子を加味したしょうゆ,唐辛子を加味した酢,唐辛子を酢に漬けた唐辛子のエキス」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなるものであって、その構成中に、ブラジル連邦共和国の「コルコバードの丘」の頂上にあり、2012年に「リオデジャネイロ:山と海の間のカリオカの景観」の名称で世界文化遺産に登録された、「コルコバードのキリスト像」を表したと考えられる図形を顕著に有するものである。
そして、「コルコバードのキリスト像」については、世界遺産であって、ブラジル連邦共和国の国民の信仰の象徴であり、また、我が国においても広く知られていることなどからすれば、本願商標を、関係のない一私人である出願人が自己の商標として出願し、登録を受けることは、ブラジル連邦共和国の権威と尊厳を損ねるおそれがあり、ひいては、国際信義に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審における審尋
当審において、令和6年4月11日付け審尋により、別掲2に掲げる事実を提示した上で、本願商標が、商標法第4条第1項第7号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、意見を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年5月27日に回答書を提出し、要旨以下(1)及び(2)のとおりの意見を述べた。
(1)本願商標は、その構成各要素が有機的に結合しているものであるから、全体として観察されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第7号の判断にあたっては、「むやみに解釈の幅を広げるべきではなく、同第1号から同第6号までを考慮して行うべきである」との特許庁の見解に従って考察されるべきであり、また、商標法第4条第1項第9号においてのみ「有する」という文言があり、それ以外においては「有する」という文言がない(つまり、商標の一部に不登録事由標章を有するものであっても全体として非類似であれば不登録事由とならない)という事実を十分に考慮して、判断されるべきである。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、縦長四角形の中央に、両手を脇に伸ばした黄色の人型の図形(以下「人型図形」という。)を配し、その縦長四角形は人型図形の腕に沿って左上が緑色、右下が赤色に彩色されているものであって、また、人型図形の足下には3つの赤唐辛子と考えられる図形(以下「唐辛子図形」という。)が表されているものである。そして、縦長四角形の上方において、「ジャポネーザ マラゲータ」の文字を白抜きで、その下に「JAPONESA」の文字を黄色で、更にその下に「MALAGUETA」の文字を白抜きで、それぞれ表してなるものである。
ここで、本願商標構成中の人型図形については、原審説示のとおり、ブラジル連邦共和国(以下「ブラジル」という。)所在の「コルコバードのキリスト像」を表したと考えられるものであって、また、この図形が本願の指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しないとか、又は、その機能が弱いというべき事情は見当たらないものである。
他方、同構成中の他の要素についてみるに、唐辛子図形については、上記2のとおり、本願の指定商品がいずれも「唐辛子」を原材料に使用するものであることからすると、商品の品質又は原材料を表したものといえ、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものといえる。
また、同構成中の「ジャポネーザ マラゲータ」の文字は、その下の「JAPONESA」及び「MALAGUETA」の文字の読みを片仮名で表したといえるものであるところ、そのうち「JAPONESA」の文字は、別掲2(1)のとおり、スペイン語やポルトガル語で「日本〔人・語〕の」「日本的な」などを意味する語であり、商品が日本に関連するものであること(日本製の商品であること、など)の表示として理解、認識され得るものであって、また、「MALAGUETA」の文字は、別掲2(2)のとおり、「唐辛子(の一種)」を指称する語であって、我が国においても同文字が付された商品が流通している実情が認められるから、上述の唐辛子図形と同様に、本願の指定商品との関係において、商品の品質又は原材料を表したといい得るものである。
そうすると、本願商標の構成中、「ジャポネーザ マラゲータ」、「JAPONESA」及び「MALAGUETA」文字部分についても、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものといえる。
そのほか、縦長四角形やその色彩などについては、商標の装飾的な要素に過ぎず、自他商品の識別標識としての称呼や観念を生じさせるものとはいえない。
以上のことからすれば、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を明確に有するのは、人型図形部分のみであるというのが相当であって、同図形が本願商標の中央に大きく表されていることも併せて考えれば、同図形部分は、本願商標の構成中、出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえる。
イ 本願商標の登録を認めることが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあることについて
本願商標の構成中の人型図形が「コルコバードのキリスト像」を描いたものであることについては、請求人も認めているところ(令和6年1月11日差出の手続補正書、同年5月27日差出の回答書)、原審提示の情報や、別掲2(3)の情報にあるように、「コルコバードのキリスト像」は、世界的に知られるブラジル・リオデジャネイロの観光スポットであって、また、ブラジルの独立100周年を記念して建てられたものであり、キリスト教徒の割合も多いブラジル国民に広く敬愛されているものである。
そうすると、当該「コルコバードのキリスト像」と認識される図形を、出所識別標識として強く支配的な印象を与える態様で構成中に有する本願商標について、一私人に対して登録を認め、独占的な使用を許すことは、リオデジャネイロの住民を中心とするブラジル国民の感情を害し、我が国とブラジルとの友好関係にも好ましくない影響を及ぼしかねないものであり、国際信義に反し、両国の公益を損なうおそれが高いものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というのが相当であるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、その構成各要素が有機的に結合しているものであるから、全体として観察されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標は、その各構成要素が、外観上はまとまりよく一体的に表されているものであるとしても、上記(1)アのとおり、その構成中の人型図形以外の各要素は、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものであり、自他商品の識別標識としての称呼や観念を生じさせるものとはいえないことからすれば、本願商標は、ブラジル国民に広く敬愛されている「コルコバードのキリスト像」と認識される図形を、出所識別標識として強く支配的な印象を与える態様で構成中に有するものというのが相当である。
イ 商標法第4条第1項第7号の判断に当たっては、「むやみに解釈の幅を広げるべきではなく、同第1号から同第6号までを考慮して行うべきである」との特許庁の見解に従って考察されるべきであり、同第9号においてのみ「有する」という文言があり、それ以外においては「有する」という文言がない(つまり、商標の一部に不登録事由標章を有するものであっても全体として非類似であれば不登録事由とならない)という事実を十分に考慮して、判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第7号の判断に当たってむやみに解釈の幅を広げるべきではないことはそのとおりとしても、公序良俗の維持は法の原則であり、社会秩序や道徳秩序に反する商標を登録して助長すべきではないところ、国際信義に反する商標登録出願については、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるといわざるを得ず、同第7号はこのような場合も想定しているものというべきである。
そうとすると、本願商標は、上記(1)イのとおり、ブラジル国民に広く敬愛されている「コルコバードのキリスト像」と認識される図形を、出所識別標識として強く支配的な印象を与える態様で構成中に有するものであり、そのような商標について、一私人に対して登録を認め、独占的な使用を許すことは、リオデジャネイロの住民を中心とするブラジル国民の感情を害し、我が国とブラジルとの友好関係にも好ましくない影響を及ぼしかねないものであり、国際信義に反するものといわざるを得ないことから、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というのが相当である。
ウ 請求人は、過去の裁判例(東京高裁平成15年10月29日判決、平成15年(行ケ)第249号、甲第15号証)を挙げるとともに、過去の商標登録例を挙げ、同種の商標が公序良俗に反するおそれがないとして商標登録を維持されていることからすれば、本願商標についても公序良俗に反するおそれがないと判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものである。
また、請求人の挙げる裁判例の判示部分は、「同一の商標」に係る同号該当性の判断について述べたものである上、同裁判例においては、「商標の登録に当たってより一層重要なことは、当該商標が、実際に公序良俗に反するおそれがあるか否かであり、仮に、同一の商標が他の指定商品又は指定役務において既に登録されているとしても、そのことを理由に、当該商標が有する反社会性・反公益性を無視して、公序良俗に反するおそれがないと判断することは、到底、許されることではない。」とも述べられている。
そして、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在し、その登録が維持されていることをもって、上記判断が左右されるものでもない。
エ したがって、請求人の上記アないしウの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。)


別掲2 令和6年4月11日付け審尋において提示した事実
(1)「JAPONESA」の意味について
ア 「現代スペイン語辞典(改訂版)」(株式会社白水社)において、「japones, sa」(eにはアクセント記号が付されている。)の見出し語について、「日本Japon〔人・語〕の;日本人」(oにはアクセント記号が付されている。)の記載がある。

イ 「WordReference.com」のウェブサイトにおいて、「japonesa」の見出しの下、「Portugues」(ポルトガル語の意。eにはアクセント記号が付されている。)の「japonesa」の意味として「日本的な、日本流の、日本風の」などが記載されている。
https://www.wordreference.com/ptja/japonesa

(2)「MALAGUETA(マラゲータ、マラゲッタ)」の文字が「唐辛子(の一種)」を指称する語として使用されている事例(下線は当審が付した。)
ア 「Amazon」のウェブサイトにおいて、商品「チリソース マラゲータ アステカ 75g」が掲載されており、商品説明として「原材料:香辛料(チリ唐辛子)、醸造酢、水、食塩」「赤唐辛子をビネガー・食塩で漬けたモノ。」の記載があるほか、商品画像において、ラベル中央に「MALAGUETA」の表示がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B009IO812S

イ 「Amazon」のウェブサイトにおいて、商品「唐辛子酢漬け マラゲータ グリーン 130g PIMENTA MALAGUETA VERDE 130G DO RANCHO」が掲載されており、商品説明として「ブラジルの緑のマラゲータを使用した、唐辛子の酢漬けです。マラゲータは、小指サイズの小さな唐辛子。辛さは比較的強めです。バイーア州で好まれており、ムケッカやアカラジェなどバイーア料理には欠かせない唐辛子です。」の記載があるほか、商品画像において、ラベル中央に「Malagueta」の表示がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0C27GZQKD

ウ 「auPAYマーケット」のウェブサイトにおいて、商品「アステカ マラゲッタ ペッパー 75g×3本セット ホットソース マラゲッタ種唐辛子の酢漬 アステカヒノモト ブラジル ASTECA」が掲載されており、商品説明として「ブラジルで親しまれているマラゲッタ種赤唐辛子の酢漬けです。」「【原材料】マラゲッタペッパー、漬け材料(醸造酢、食塩)」の記載があるほか、商品画像において、ラベル中央に「MALAGUETA」の表示がある。
https://wowma.jp/item/656214591?aff_id=PLA_m_361505

(3)「コルコバードのキリスト像」がブラジル国民に広く敬愛されていると考えられることを示す事実(下線は当審が付した。)
ア 「Travel Book」のウェブサイトにおいて、「ヒミツを徹底解剖!ブラジル・コルコバードの丘の巨大キリスト像」の見出しの下、「コルコバードの丘に、巨大なキリストの像が建てられた理由。それは、ブラジルの独立100周年を記念したものなのです。」「このようにして立てられたキリスト像は、1931年10月12日に除幕され、ブラジル人と多くの観光客に愛される像となったのです。」「またブラジルの国民の多くはキリスト教徒。リオデジャネイロを一望できる丘の上にキリストの像を設置された「コルコバードの丘のキリスト像」は、「キリストの神様が見守る街」という意味と人々の信仰の深さを象徴する像となっているのです。」「このように、テレビで見かけるブラジルの絶景にはブラジルの歴史や人々の思いが詰まっているのです。」の記載がある。
https://www.travelbook.co.jp/topic/129

イ 「Cherish」のウェブサイトにおいて、「【ブラジル】コルコバードの丘に立つキリスト像の秘密。どうやってあの場所に?」の見出しの下、「ブラジルのキリスト教人口は80%を超える。 リオデジャネイロのコルコバードの丘に建設されたキリスト像は、その街、リオデジャネイロの名前となるほどの、人々の信仰の深さを象徴する像でもある。」「10月12日に除幕され今日までブラジル国民誰もに愛され、数多くの世界の旅人たちがコルコバードにあるその姿を見にリオデジャネイロへ訪れている。」「人口の80%がキリスト教徒であるブラジルにとって、コルコバードのキリスト像はただの観光地ではなく、ブラジル国民のキリストへの信仰の現れとなっている。」の記載がある。
https://cherish-media.jp/posts/12061

ウ 2016/01/01 朝日新聞 朝刊 6ページにおいて、「ジーコさん、リオってどんな街? リオ五輪特集 新年特集第4部・スポーツ」の見出しの下、「◇コルコバードのキリスト像 「カリオカ」と呼ばれるリオっ子たちは、日ごろからこの場所を敬っている。週末は観光客でいっぱいだね」の記載がある。

エ 2011/11/22 日本経済新聞 夕刊 9ページにおいて、「ブラジル――キリスト像80年、各国でイベント(世界の話題)」の見出しの下、「リオデジャネイロ市を見渡すコルコバードの丘に台座も含め高さ38メートルのキリスト像がある。1922年のブラジル独立100周年を記念して計画され、1931年に完成し、今年は80周年にあたる。」「リオデジャネイロ以外でも国内の200カ所近くに小型のレプリカがあるといわれる。その姿が国民に敬意と親しみをもって迎えられていることがうかがえる。」の記載がある。


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-06-26 
結審通知日 2024-07-02 
審決日 2024-07-16 
出願番号 2023001850 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (W2930)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 白鳥 幹周
板谷 玲子
商標の称呼 ジャポネーザマラゲータ、ハポネサマラゲータ、マラゲータ、マラゲタ、マラゲッタ 
代理人 弁理士法人共生国際特許事務所 

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