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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1415387 
総通号数 34 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-02 
確定日 2024-08-26 
事件の表示 商願2021−133687拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続経緯
本願は、令和3年10月27日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 4月11日付け:拒絶理由通知書
令和4年 5月16日 :意見書の提出
令和5年 1月18日付け:拒絶査定
令和5年 2月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類に属する願書記載の商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、別掲2のとおり、補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定は、本願商標が、登録第2585387号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第2630623号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第4309853号商標(以下「引用商標3」という。)、商願2021−67385号商標及びほか1件の商標と類似の商標であって、これらの商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する(商標登録出願中のものについては、これが登録されたときに同号に該当する。)旨の拒絶の理由を通知した上で、引用商標1ないし3により、本願を拒絶したものである。
そして、商願2021−67384号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、令和3年6月1日に登録出願、第35類「時計及び腕時計型携帯情報端末の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「時計及び腕時計型携帯情報端末の修理又は保守」を指定役務として、同5年7月13日に登録第6717074号商標(以下「引用商標4」という。)として設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第4 当審における審尋
当審において、請求人に対し、令和6年2月13日付けで通知した審尋により、本願商標は、引用商標4と類似する商標であり、かつ、本願の指定商品と引用商標4に係る指定役務は、類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、上記第4の審尋に対し、令和6年3月25日付け回答書並びに同年5月8日及び同月30日付け上申書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
1 本願商標の右側の部分は、請求人の株式会社ムーブの「ムーブ」を「MOVE」と英文字表記したもので、左側の図形部分は、「MOVE」の頭文字Mを想起するもので「エム」と自然に称呼でき、本願商標の左側の図形部分と右側の文字部分「MOVE」は、請求人の商号を表した観念的なつながりをも有する。
2 本願商標の構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して観察する手法は全く妥当でない。
3 本願商標と引用商標4とは、外観において明らかに相違し,この外観上の差異は「称呼」「観念」上の類似性を凌駕するといえる。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標と引用商標1ないし3について
本願の指定商品は、別掲2のとおり補正された結果、引用商標1ないし3に係る指定商品と同一又は類似の商品は全て削除されたものである。
その結果、本願の指定商品は、引用商標1ないし3に係る指定商品とは、類似しない商品となった。
したがって、引用商標1ないし3との関係において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶理由は解消した。
(2)本願商標と引用商標4について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、青色と紺色で着色された図形(以下「図形部分」という。)と、その右側に、横書きした文字同士を横線で繋げるデザインが施された「MOVE」の欧文字(以下「文字部分」という。)を書した構成からなるところ、図形部分と文字部分とは、横一連に表されているものの、それぞれ重なり合うことなく、色彩を異にし、独立して表されているものであることから、視覚上、明確に分離して看取し得るものである。
そして、本願商標の構成中の図形部分は、その構成態様からして、特定の事物を表したものとは認められず、特定の意味合いを想起させるものとも認められない。また、その構成中の文字部分は、「動く」の意味を表す英語である「MOVE」の語を表したものと認識される。
そうすると、本願商標の構成中の図形部分と文字部分との間には、観念上のつながりはなく、また、両者を常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情も見いだせないことから、両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえない。
以上のことからすれば、本願商標は、その構成中の図形部分と文字部分が、それぞれ独立して自他商品の出所識別標識の機能を有しているといえ、その構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるものである。
したがって、本願商標は、その構成中の「MOVE」の文字部分に相応して、「ムーブ」の称呼を生じ、「動く」の観念を生じるものといえる。
イ 引用商標4について
引用商標4は、別掲3のとおり、丸みを帯びた書体で「move」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に照応して「ムーブ」の称呼を生じ、また、「動く」の観念を生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標4の類否について
本願商標の構成中「MOVE」の文字部分と引用商標4とを比較すると、外観においては、大文字か小文字かの違いやデザイン化及び書体の違いがあるものの、「MOVE(move)」のつづりを同じくするものであるから、外観上近似した印象を与えるものといえる。
また、両者は「ムーブ」の称呼及び「動く」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標4とは、外観において近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念を共通にするものであるから、これらを総合して考察すれば、本願商標と引用商標4とは、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願の指定商品と引用商標4の指定役務との類否について
本願の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」と、引用の指定役務中、第35類「時計及び腕時計型携帯情報端末の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、当該便益の提供とその取扱商品という関係にあるため、商品の製造・販売と役務の提供が同一の事業者によって行われるのが一般的であり、役務の提供場所と商品の販売場所が一致し、需要者の範囲を共通にするものであるから、両者は類似するものである。
(3)小括
以上により、本願商標は、引用商標4に類似する商標であって、引用商標4の指定役務と類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標の右側の部分は、請求人の株式会社ムーブの「ムーブ」を「MOVE」と英文字表記したもので、左側の図形部分は、「MOVE」の頭文字Mを想起するもので「エム」と自然に称呼でき、本願商標の左側の図形部分と右側の文字部分「MOVE」は、請求人の商号を表した観念的なつながりをも有する」旨、また、「本願商標の構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して観察する手法は全く妥当でない」旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断は、指定商品の需要者が通常有する注意力を基準として判断すべきであるところ(知的財産高等裁判所令和4年(行ケ)第10095号同5年2月22日判決)、本願商標の構成中の図形部分は、たとえ、「M」の文字を立体的にデザイン化して作成されたものであるとしても、そのデザイン化の程度からして、もはや「M」の文字それ自体を表したものと認識されるとはいえず、特定の事物を表したものとは認識されないものと判断するのが相当である。
また、本願商標が請求人の商号を表したものとして、又は本願商標の図形部分が請求人の商号の頭文字を表したものとして、需要者の間に広く認識されているというべき事情は見いだせず、他に、本願の指定商品の需要者が通常有する注意力に基づいて、本願商標の図形部分が「M」の文字それ自体を表したものと認識されるというべき事情も見いだせない。
そうすると、本願商標の図形部分は、特定の事物を表したものとは認識されないものというべきであり、上記1(2)アのとおり、本願商標は、その構成中から文字部分を要部として抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
(2)請求人は、「本願商標と引用商標4とは、外観において明らかに相違し、この外観上の差異は「称呼」「観念」上の類似性を凌駕するといえる」旨主張する。
しかしながら、本願商標の要部である「MOVE」の文字と引用商標の「move」の文字とを対比すると、外観については、両者は、大文字と小文字、書体及び文字のデザイン化の差異を有するものであるとしても、いずれも語頭から語尾までの「MOVE(move)」の全てのつづりを共通にするものであり、また、称呼及び観念については、「ムーブ」の称呼を同一にし、「動く」の観念も同一にするものである。
そして、商標の使用においては、つづりを共通にする文字について、同一の称呼及び観念を生ずる範囲で書体等を相互に変換して表示すること並びに商標を構成する文字をデザイン化して表示することが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における書体等の相違やデザイン化の有無が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとはいえない。
以上のとおり、本願商標の要部と引用商標4とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観における差異についても、出所識別標識としての顕著な差異として強い印象を与えるとはいえないことから、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に勘案すれば、請求人が挙げる過去の裁判例において示された規範を前提としても、本願商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(3)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標4との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 本願商標(色彩は原本参照。)


別掲2 本願の指定商品(補正後)
第9類「水泳用耳栓,潜水用耳栓,オゾン発生器,電解槽,検卵器,青写真複写機,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,郵便切手の貼り付けチェック装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機用プログラム,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,太陽電池,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,防災頭巾,事故防護用手袋,眼鏡,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,運動用保護ヘルメット,ホイッスル,ウエイトベルト,エアタンク,シュノーケル,レギュレーター,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント」

別掲3 引用商標4(登録第6717074号商標)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
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審理終結日 2024-06-25 
結審通知日 2024-06-28 
審決日 2024-07-11 
出願番号 2021133687 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 山田 啓之
特許庁審判官 深田 彩紀子
渡邉 あおい
商標の称呼 ムーブ、エム 
代理人 入江 一郎 

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