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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1414418 
総通号数 33 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2024-02-21 
確定日 2024-08-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第6762042号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6762042号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6762042号商標(以下「本件商標」という。)は、「PROCHE」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年5月31日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年11月15日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第4953828号商標(以下「引用商標」という。)は、「プロッシュ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成17年10月11日に登録出願、第5類「薬剤」及び第20類「プラスチック製包装用容器,プラスチック製薬剤容器」を指定商品として、同18年5月19日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである旨申し立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。
(1)引用商標が本件商標よりも先願に係る登録商標であること、及び両商標の指定商品(第5類「薬剤」)が相互に抵触することは明らかである。
(2)本件商標と引用商標との類似性を検討するに、両商標は、称呼において類似する。
本件商標は、造語ではなく、我が国で外国語の中でも親しまれた(世界で英語についで2番目に広範囲で使用されて強い影響力、我が国でのフランス国(仏国)その他の欧州への海外旅行者の増加、我が国でフランス語(仏語)を習得・学習する者の増加、我が国での仏語教育/学習機関[ネット・放送番組を含む。]の増加)のある仏語の、しかも、その仏語の中でも基本単語(甲3)である「PROCHE」からなるものであるから、その仏語の発音に従って、「プロシュ」(甲3〜甲6)の称呼をも生じるものである。
また、上記「プロシュ」の発音は、「シュ」の音が摩擦音であるから、「ロ」の音が促音(ッ)を伴って、「プロッシュ」とも発音・称呼され易いものであり、実際に「プロッシュ」が「PROCHE」の音読・片仮名表示としても我が国で使用されている事実が見られるし(甲7〜甲10)、フランス会話の教授サイトの中で、「PROCHE」の音読を「プロッシュ」と記載しているものも見うけられる(甲11〜甲14)。
なお、本件商標の「PROCHE」が、仮に造語であると認識された場合でも、語尾が「CHE」の英語で、「CHE」が摩擦音で発音される場合は、例えば、mustache,barouche,cache,cloche,fiche,gauche,・・・のように、その「CHE」は通常「シュ」と発音されており、その語尾の「CHE」が英語風又はローマ字読みで「チェ」と発音・称呼される可能性はそう高くはないと考えられるから、当該「PROCHE」は、英語読みでも、「プロシュ」と称呼されるといえるものである。
また、同造語であると認識された場合でも、「PROCHE」は、少なくとも欧米の語と認識されるから、語尾の「CHE」のみをローマ字読み「チェ」と発音するのは不自然である。
したがって、本件商標の「PROCHE」が、仮に造語であると認識された場合でも、cache,gache,tache,hache,vache,gauche,meche,brioche,pelucheのように、語尾が「che」のフランス語は、「シュ」と発音される(甲13、甲14)ことから、語尾の「CHE」を仏語風に「プロシェ」と称呼されるのが、より自然であると考えられ、また、上述したように、英語読みでも「プロシュ」と称呼されるものである。
「PROCHE」が「プロシュ」とも称呼されることは、他の登録第5501707号「PROCHE/プロシュ」において「PROCHE」の語に表音片仮名の「プロシュ」と併記されていること(甲15)、及び、登録第5501706号及び同第568400号で「AMPHI PROCHE/アンフィプロシュ」において、「PROCHE」を含む商標に表音片仮名の「プロシュ」と併記されていること(甲16、甲17)からも裏付けられる。また、他の登録商標の語末が「CHE」のもので「シュ」の表音片仮名が併記されているものが多く存在すること、さらに、他の登録商標の語末が「CHE」であるものであって、欧文字だけで構成されるものであっても、その参考情報(特許情報プラットフォームJ−PlatPat(以下「JPP」という。)の称呼に、「○○シュ」と表示されているものが多数存在することは容易に推測できるところである。
したがって、本件商標の「PROCHE」も「プロシュ」とも称呼されると判断されるのが妥当である。
すなわち、本件商標の「PROCHE」から生じ得る称呼「プロシュ」は、「プロチェ」、「プロシェ」の称呼と同等、又はそれ以上に生じ得る称呼といえるものである。
また、取引の実際において、本件商標が使用されれば、当該語の商標の称呼は、仏語の正しい発音である「プロシュ」に定着していくのが自然であると考えられるし、商品取引の国際感覚からも好ましいといえるから、商標の類似判断の参考情報(JPP)の称呼から、「プロシュ」の称呼を外すことは適当でない。
これに対し、引用商標が、その片仮名にしたがって、「プロッシュ」と称呼されることは明らかである。
そこで、本件商標より生ずる「プロシュ」と引用商標より生ずる「プロッシュ」の各称呼を比較するに、両称呼は、各々が一連に称呼された場合、第2音の「ロ」が促音「ッ」を伴うか否かの微差にすぎないから、両称呼は、極めて紛らわしい類似の称呼といえる。
また、上述したように、本件商標の「PROCHE」が「プロッシュ」とも音読・片仮名表示として使用され称呼されている実情(甲7〜甲14)に鑑みれば、本件商標の称呼は、引用商標の称呼に一層紛らわしい類似の称呼となることが明らかである。
さらに、特記すべきは、上記登録第5501707号「PROCHE/プロシュ」(甲15)の審査の過程で、商標法第4条第1項第11号を根拠として、下記の3件の登録商標が引用された拒絶理由通知が出され(甲18)、出願人は、その出願の指定商品から、引用各商標の指定商品と抵触する商品を削除する補正書を提出して(甲19)、登録を認められるに至っている。
ア 登録第2525343号商標「プロッシュ/PROSH」(甲20)
イ 登録第4953828号商標「プロッシュ」(甲2:本件の引用商標と同じ)
ウ 登録第5399440号商標「プロッシュX」(甲21)
この事実は、上記登録商標の称呼「プロシュ」が引用各商標の称呼「プロッシュ」に類似すると判断された結果に他ならず、この称呼類似の判断及び補正対応は極めて適当なものであって、今に至っても、上記判断及び補正対応を非とする合理的な理由は見出せないから、本件商標の「プロシュ」の称呼も引用商標の「プロッシュ」の称呼に類似すると判断されるのが妥当である。
(3)小括
本件商標と引用商標は、称呼において類似する商標である。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「PROCHE」の文字からなるところ、当該文字は、フランス語で「〜に近い」の意味(甲3)を有する語であるとしても、本願の指定商品の取引者、需要者には、なじみの薄いフランス語であることから、直ちに何らかの意味合いを理解させるとはいい難いものである。
そうすると、本件商標は、特定の意味合いを想起させることのない造語として認識されるとみるのが相当であり、我が国において、一般に親しまれている英語において、「CHE」の文字を語尾とするなじみのある語は多くないことから、「CHE」の文字部分はローマ字風に「チェ」と発音されるのが自然であって、その構成文字に相応して、「プロチェ」の称呼を生じるというのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「プロチェ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「プロッシェ」の片仮名からなるところ、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しない造語であるから、その構成文字に相応して、「プロッシェ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、その構成文字における欧文字と片仮名という文字種の差異を有するから、明確に区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「プロチェ」の称呼と、引用商標から生じる「プロッシュ」の称呼とは、語頭において「プロ」の音を共通にするとしても、続く音において「チェ」と「ッシュ」の差異を有し、その差異が3音及び4音構成という短い音構成である称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものであるとしても、外観において明確に区別し得るものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
なお、申立人は、構成中に「PROCHE」の文字を含む登録例を複数挙げ、本件商標から「プロシュ」の称呼を生じる旨主張するが、上記登録例は、いずれも、欧文字と片仮名の2段書きの構成からなるものであって、構成中の「プロシュ」の片仮名が「PROCHE」の欧文字の読み(称呼)を特定したものと認識されるのに対し、本件商標は、片仮名の併記のない欧文字のみからなる構成であるから、商標の構成が異なり、事案を異にするというべきである。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

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異議決定日 2024-08-22 
出願番号 2023059766 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W05)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 飯田 亜紀
清川 恵子
登録日 2023-12-13 
登録番号 6762042 
権利者 株式会社PROUMED
商標の称呼 プロチェ、プロシェ 
代理人 高橋 洋平 

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