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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09182425
管理番号 1414404 
総通号数 33 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-11-29 
確定日 2024-08-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第6737922号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6737922号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6737922号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年1月31日に登録出願、第9類、第18類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年7月26日に登録査定、同年9月21日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する登録商標は、次の1ないし3のとおりであり、いずれの商標権も、現に有効に存続しているものである。
1 登録第2173459号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和60年6月6日
設定登録日:平成元年9月29日
書換登録日:平成22年3月24日
指定商品:第7類、第9類及び第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
2 登録第4762822号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成14年8月26日
優先権主張:2002年2月26日(域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠))
設定登録日:平成16年4月9日
指定商品:第14類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
3 登録第5714458号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成26年1月15日
設定登録日:平成26年10月31日
指定商品及び指定役務:第12類、第20類、第24類、第26類、第35類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
なお、引用商標1ないし引用商標3をまとめていう場合は、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。
1 申立人について
申立人は、世界的に著名なテクノロジー企業である米国法人で、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット、ウェアラブルデバイス及びそれらの部品・付属品(以下「申立人製品」という。)を設計、製造、販売しており、様々な関連サービスも提供している。
申立人は、インターブランド社による「世界の最も価値あるブランドランキング」で、2012年から11年連続で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り(甲3)、当該ランキングで、2023年のブランド価値は5,026億8,000万ドルと評価され、初めて5,000億ドルを突破したブランドとして注目を集めた(甲4)。
2 引用商標の周知著名性について
申立人は、1976年の創業から現在に至るまで、引用商標をハウスマークとして継続して使用しており、公式ウェブサイト(甲5)のほか、店舗の看板に引用商標を使用し、引用商標が付された申立人製品は全国に10店舗存する直営店以外にも、家電量販店、携帯電話販売店等、多くの他社店舗で販売されている(甲6、甲7)。
また、引用商標は、申立人製品、サービス、広告、販売促進資料等と、常に併せて使用されている。
このような、様々な製品、サービスについての長期にわたる継続的な使用により、引用商標は、申立人を象徴する重要な特徴として、我が国を含む世界中で認知されていることは顕著な事実である。
広告宣伝に関して、申立人は広告宣伝費については公表していないが、申立人製品は、テレビ及びネットのコマーシャルで頻繁に放送されていることは周知の事実であり、テレビ放送されたコマーシャルは、YouTubeでみることができ、申立人の日本法人が日本向けのYouTubeでチャンネルを開設している(甲8)が、チャンネル登録者数は60万人を超え、動画再生回数も100万回を超えるものも多数ある。
また、申立人製品は、日本国内では、KDDI、NTTdocomo等を通して販売されているところ、これらの企業によっても申立人製品の広告宣伝が行われており、それらの広告宣伝には引用商標が使用されて、視聴されている(甲9、甲10)。
これらの視聴回数からも、引用商標は、多くの需要者の目に触れられていることが分かる。
また、これらの広告は、世界中の多数の消費者に届いており、人気のある雑誌で目立つディスプレイ、主要な新聞広告、テレビ、インターネット、屋外のビルボード、ポスター、その他の看板を含んでおり、数十億の印象を生み出している。
申立人の財務報告書によると、日本での純売上げは、2023年、242億5,700万米ドル(約3兆5千万円)、2022年、259億7,700万米ドル(約3兆8千万円)、2021年、284億8,200万米ドル(約4兆2千万円)であり(甲11)、申立人製品や申立人の提供するサービスには、常に企業ロゴである引用商標が付されているため、かかる売上げは引用商標が付された商品・サービスの売上げと見ることができ、この数字をみても、申立人製品が我が国で広く取引されていることが明らかである。
引用商標は、審決例においても、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及びそれに関連する商品又は役務の分野において周知著名商標と認定されている(甲12)。
以上のとおり、引用商標は、申立人製品、申立人の提供するサービスの利用者であれば必ず目にすることのある商標であって、我が国においても、テクノロジー関連業界はもとより、ほとんどの一般消費者にも認識されているといっても過言ではなく、本件商標の登録出願時以前より、著名商標となっていたことは明らかである。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、リンゴ図形を表した構成からなるところ、当該リンゴ図形は、果肉の上下にくぼみを有し、かつ、1枚の葉がリンゴ図形の右側に、果肉から離れて配置されている。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は別掲1のとおりの構成からなり、引用商標は別掲2のとおりの構成からなるところ、本件商標と引用商標を比較すると、(i)1つのリンゴをモチーフにした白黒で表現されている図形である点、(ii)リンゴの果肉部分が不完全な形となっている点、(iii)果肉部分から離れた一枚の葉が図形右側部分に向かって配置されている点、(iv)果肉部分の上下に窪みを有する点、のそれぞれにおいて共通する。
本件商標の指定商品の分野、特に第9類の商品分野では、リンゴ等の果物を商標として採択する例は極めて少なく、リンゴという共通性は申立人を強く意識させ、そして、上記の共通性は、離隔観察の下では十分に外観上見誤るおそれ、あるいは、申立人と何らかの組織的関係を想起させるといえる。
東京高等裁判所判決(平成12年(行ケ)第147号)では、「取引者・需要者が、図柄によって構成される商標について、必ずしも、図柄の細部まで正確に観察し、記憶し、想起してこれによって商品の出所を識別するとは限らず、商標全体の主たる印象によって商品の出所を識別する場合が少なくない。これは、我々の日常の経験に照らしても明らかである。」と判示している。
上記2のとおり、引用商標は、申立人又は申立人製品、申立人が提供するサービスを表す商標として我が国において広く知られている実情、及び近年、申立人が医療関連の商品・役務に力を注いでいる実情を考慮すると、本件商標が指定役務又はこれに類似する役務に使用された場合、需要者は、本件商標が使用されている役務と申立人の商品・役務と誤解する可能性が高いことは明らかである。
以上より、本件商標と引用商標は、時と所を異にして離隔的に観察した場合、両者は、互いに相紛れるおそれがある類似の商標と解されるべきものである。
(3)商品の類否について
本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似であることは明白である。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
上記2のとおり、引用商標は、申立人のハウスマークとして長年にわたって使用され、申立人を表示するものとして著名な商標である。
しかして、本件商標は、引用商標と類似するものであって、万一、類似しないとしても、申立人の著名商標である引用商標の構成をモチーフとしたものと解されるものである。
したがって、本件商標が、その指定商品について使用された場合には、その商品は、申立人又は関連する企業の商品と誤認されるおそれがある。
また、上記3(2)のとおり、本件商標と引用商標の類似性は高く、上記2のとおり、引用商標が非常に高い著名性を有しており、引用商標はピクトグラムのように果物を極めて単純な図で表してなる点において特徴を有し独創的であり、引用商標は申立人のハウスマーク(会社ロゴ)であり、申立人はコンピュータ、スマートフォンの分野以外にも音楽配信サービス、映像ストリーミングサービス、申立人製品の下取りサービス等を行っており多角経営の可能性は十分に認められ、上記3(2)のとおり、本件商標と引用商標の類似性は高く、さらに、本件商標が使用されている商品(甲13)引用商標が付されて販売されている商品(甲14)が、本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品に含まれている等、商品間の関連性は高く、需要者の共通性も認められる。
そうすると、本件商標がその指定商品に使用されると、かかる指定商品分野における需要者は、それらの役務(決定注:「役務」は「商品」の誤記と認める。)が申立人の業務に係る商品ないし申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であると認識し、出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
そうすると、申立人及び引用商標の著名性並びに商品間の関連性を考慮すると、本件商標が、特に、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,携帯情報端末,スマートフォン用カバー,スマートフォン用ケース,スマートフォン用ストラップ」に使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者は、申立人を想起するだけでなく、当該商品の提供が、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある本件商標権者によって行われていると誤認し、その出所について混同を生じさせるおそれが極めて高いというべきである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性について
(1)申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
ア Interbrand(以下「インターブランド社」という。)のウェブサイト「Best Global Brands 2023」の「Top100」の1位には、「Apple」の欧文字及び引用商標が表示され(甲3の1)、インターブランド社のウェブサイトの「Apple」の頁には、黒色四角形内に引用商標とその構成を同一にする白抜き図形が表示され、また、トヨタ、マクドナルド等の他のブランドの中において、1位として引用商標が表示されている(甲4)。
イ HYPEBEASTのウェブサイトには、「世界最大のブランディング専門会社「Interbrand(インターブランド)」が、」2023年におけるグローバルブランドの価値評価ランキング“Best Global Brands 2023”を発表した」及び「今年のランキングでは、第1位を「Apple(アップル)」が獲得。同社は11年連続で第1位の座を維持しており、ブランド価値が5,000億ドルを突破した初めてのブランドとなった」との記載がある(甲3の2)。
ウ 申立人は、申立人の公式ウェブサイトのほか、家電量販店など他社の店舗や当外会社のウェブサイトにおいても、申立人製品等についての広告及び当該商品に商標を付す形式にて、引用商標を使用している。
そして、申立人製品は、申立人の国内直営店10店舗をはじめ、多くの家電量販店や携帯電話販売店の他社店舗及び当該販売店のウェブサイトを通じて販売されている(甲5〜甲7)。
(2)上記(1)によれば、引用商標は、申立人の業務に係るパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の商品に関する広告及び当該商品に商標を付して、それぞれ使用されており、我が国において、多くの人の目に触れられているというべきである。
そして、申立人は、世界最大のブランディング専門会社によるグローバルブランドの価値評価ランキングにおいて、11年連続で第1位を維持し、また、当該ランキングを紹介するウェブサイトにおいても引用商標が紹介されている。
さらに、引用商標は、申立人のハウスマークであって、申立人製品の取引者・需要者の間に広く認識されていたとされている。
以上のことから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人のハウスマークとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたといい得るものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、半分に切った何らかの果実(その右半分は黒塗りされ、左半分は白抜きされ、その中央付近に種様の黒色の図形が表されている。)を表した図形をやや右側に傾かせ、その中央上部に、一方をとがらせ、その反対側に細い切れ込み状の白線を有する卵形の葉様の図形を配した構成からなるものであり、その全体の構成から特定の称呼及び観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、何らかの果実を表した黒色の図形の右側の一部に、切り取ったか、かじったような切り欠きを有し、さらに、黒色図形の上部に、両先端をとがらせた長楕円形の葉様の黒色図形を配した構成からなるものであり、当該図形からは、特定の称呼を生じないものである。
そして、引用商標は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時又は登録査定時において、申立人商品を表示する申立人のハウスマークとして需要者の間に広く認識されている商標であることから、「申立人のハウスマーク」の観念を生じるものである。
してみれば、引用商標は、上記のとおり、特定の称呼を生じなく、「申立人のハウスマーク」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、いずれも何らかの果実を表し、上部に葉様の図形を配したものであるとしても、何らかの果実部分中の白抜き部分の有無、及び、果実部分中の切り取ったか、かじったような切り欠きの有無において差異を有し、それぞれの表し方、特徴が明らかに相違するものであるから、時と所を違えて離隔的に観察したとしても、両商標は、外観上、相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標からは、特定の観念を生じないのに対し、引用商標は、「申立人のハウスマーク」の観念が生じるものであるから、両者は、観念において区別できる。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、称呼において比較することができないとしても、外観及び観念のいずれの点においても、明らかに相違し相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人製品に付されるハウスマークを表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標といえる。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、類似するものとはいえない別異のものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いといえる。
(3)出所の混同のおそれについて
上記(1)及び(2)からすると、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標は、引用商標との類似性の程度が低い別異の商標である。
そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)



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異議決定日 2024-07-11 
出願番号 2023014312 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09182425)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 渡邉 あおい
杉本 克治
登録日 2023-09-21 
登録番号 6737922 
権利者 伊藤 優里
代理人 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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