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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1416182535
管理番号 1413633 
総通号数 32 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-12-04 
確定日 2024-08-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6747047号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6747047号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6747047号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和5年4月3日に登録出願、第14類、第16類、第18類、第25類及び第35類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月11日に登録査定され、同月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する商標(本件商標の登録査定時において現に有効に存続しているものに限る。)は、別掲3のとおりの商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、異議申立理由の全趣旨(登録商標を引用して本件商標との類似を主張している。)によれば、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、第14類「全指定商品」(申立番号01)、第16類「全指定商品」(申立番号02)、第18類「全指定商品」(申立番号03)、第25類「全指定商品」(申立番号04)及び第35類「全指定役務」(申立番号05)の登録は取り消されるべきであると申立てをしていると理解できるところ、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第19号証(申立番号01の甲号証は、「甲01−○」と表記する。)を提出した。
1 申立番号01
(1)申立人の活動の「正当性」
「スマイリー・フェイス」(略称「スマイル」)は1963年に米国マサチューセッツ州ウスター市で「故ハーベイ・ボール」(以下「ハーベイ」という。)によって創作・著作された。
この「財団」の活動目的は「世界平和」を求めるために「スマイル」をそのシンボルとして活用する「社会貢献事業」を行うものであり、現在、1999年から開始された「ワールド・スマイル・デイ」(毎年10月第一金曜日に開催)が25年(25回)継続されている(甲01−3)。
申立人は25年前の1999年頃から「財団」の商業活動を委託された「代理人」である。
そのため「財団」関係の「スマイル」の「登録商標」等は申立人の「有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッド」で所有し、管理されている。
2001年4月12日以降、全米の各新聞社1,172紙が「スマイルの生みの親はハーベイ・ボール」と報道している(甲01−4の1、2)。
最近話題の「生成AI」の先発企業では「スマイルはハーベイ・ボールによって創作・著作された」との回答を全世界120カ国75億人が確認出来るようになっている(甲01−5の1、2)。
「財団」は海外と国内(日本)で「社会貢献事業」の活動を支援してくれる「名誉スマイル大使」制度を設け、多くの「著名人」の参加を要請し、賛同を得ている(甲01−8〜10)。
米国内の「財団」の「社会貢献事業」を日本国内から支援するために、申立人は「正規スマイル商品」の製造・販売を日本のファッション・メーカーの協力を得て行っており、その売上の「ライセンス料」を米国上記「財団」の運営費用(イベント費用含む)や国内の「東日本大震災」や「熊本大震災」の支援活動資金に提供している(甲01−11の1、2)。
(2)被申立人の「行為」の「悪質性」
ア 被申立人が「ハーベイ」の世界的に有名な「スマイル・マーク」をパロディ化し、イメージを壊し、アメリカ国民から大反発を招いている出願商標は別掲1などである。
イ 被申立人は上記で説明した「申立人」関係(「財団」含む)の25年前から開始された米国内、ウスター市、マサチューセッツ州、アメリカ連邦政府の参加と指導の下行われている「社会貢献事業」(ワールド・スマイル・デイ)等のイメージ「スマイル・マーク」を悪用・利用して非行少年、少女が好みそうなデザイン、そして「財団」関係者を侮辱するように「スマイル・マーク」の目、口、顔の輪郭をちゃかし、目を4つ目にした自己のデザインの奇抜さで自己商品を販売しようとしたものであり、その考えと計画性は「反社会的」なものといわざるを得ない。
ウ 申立人が調査したところによると被申立人は令和3年当時、都内に7つの直営店を運営していた。
被申立人はそれぞれの店舗で申立人の「登録商標」(財団のシンボルマーク)を商品に使い、大量に不正商品(商標権侵害)を販売していた(甲01−12)。
またそのブティックの玄関前では自転車の車輪を加工して「財団」の「登録商標」(シンボルマーク)を宣伝に利用・悪用もしていた(甲01−13)。
被申立人の行いは、現在全世界の人々から「黄色い顔に小さい目」の「モナリザ以来の笑顔」として知られ「平和のシンボル」とされ、全世界で知らない人は居ない程有名な「スマイル」を勝手に変形し、侮辱するようなマークを「商標登録」しようとするもので、それを日本の特許庁が容認すれば、現在日本で最も重要な「日米関係」をも傷付けかねないもので、その損失は大きなものとなるであろう。
「スマイル」は現在アメリカの「文化」であり、アメリカ人の「誇り」である。単なる「図形」や「笑顔の面白さ」ではない。
この「スマイル」は1963年に誕生し、1996年7月10日に「ウスター市」で「スマイルはハーベイ・ボールのもの」と「公認」「認定」されており、また市の「誇り」として毎年市を挙げての「ワールド・スマイル・デイ」を25年間実施している(甲01−3)。
ウスター市が所属する「マサチューセッツ州」では1999年9月27日に「スマイルはハーベイ・ボールが創作・著作した」と上・下院議員総会で「宣言」され、その「宣言書」が交付されている。
さらに1999年10月1日にはアメリカ郵政公社より、アメリカの「1970年代を代表するイメージ」として記念切手に採用されている(甲01−16)。
以上を考えると、日本にとって最も重要な日米関係を傷付け、アメリカ人の「誇り」である「スマイル」を面白半分に商業活動に取り入れる事は到底容認出来ない。
(3)被申立人の出願書類について
ア 本件商標の商標出願の目的を考察
(ア)本件商標は別掲1のとおりである。それは申立人関連の「スマイル・マーク」を故意に変更させ「ハーベイ」の偉業を宣伝に使い、自己の商売の利益のために商標図形を製作したもので、その目的が不純である。
具体的に指摘すると、被申立人は、本件商標の左側の図形を使用して「ハーベイ」の偉業を利用・悪用する目的で同右側の図形を下に組合せてごまかし、商標登録を得ようとたくらんだものである。
(イ)申立人の登録商標が本件商標に類似している(別掲3)。よって商標登録するべきではない。
イ 被申立人の不法行為
(ア)被申立人は、自社直営ブティックで申立人関係の「財団」の「スマイル・シンボルマーク」を、無断で使用した商品を発売、同シンボルマークと4つ目の「奇怪なマーク」を組み合わせ、同「財団」の「権威」と「信用」を著しく傷付けた(甲01−12)。
また、ブティック玄関には「自転車の車輪」を模して「財団」の「スマイル・シンボルマーク」を自社ブティックの宣伝に使用する等の不法行為を行っていた(甲01−13)。
(イ)被申立人は2021年9月に「スマイル・シンボルマーク」のイメージを落とすべく「4つ目のマーク」で出願したが、2023年5月に拒絶査定となっている。
(ウ)被申立人はそれにもめげずに、その奇怪さで「財団」のイメージを落としうる商標出願をしている。
これらの行為は米国で有名な「財団」の信用を失墜させるものである。
2 申立番号02から05
申立番号02から05の申立ての理由は、上記申立番号01の申立ての理由と同旨である。

第4 当審の判断
1 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、外縁が波線よりなる正方形状の枠線内に、黄色を背景色として2個ずつ並べた4個の点と、その下に両端を上方へ向けたくの字の線を配した図形と、外縁が波状の二重線よりなる正方形状の枠内に、花柄とおぼしき図柄を配してなる図形を、ずらした状態で一部重ねて配置してなるものである。
そして、本件商標は、具体的に何を描いてなるのか明らかではなく、何らかの具体的なキャラクターを想起させるものでもない。
そうすると、本件商標は、特定の称呼及び観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲3のとおり、2個の点と、その下の両端を上方へ向けた弧を描く線(両端には短い線があるものがある。)を構成要素とする図形、それら図形を円の枠線で囲んだ図形(内側が黄色のものがある。)、及びそれら構成要素の一部を変更又は追加(「SMILEY」、「HARVEY BALL」の文字の追記など。)したものであるところ、いずれも顔を簡略化したような態様で表してなるが、いずれも何らかの具体的なキャラクターを表してなるものとは直ちに認識、理解できない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「スマイリー」又は「ハーベイボール」などの称呼を生じる場合があるが、特定の観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標の比較
本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、いずれも外縁の形状や構成要素が明らかに異なる別異の図形よりなり、また、花柄の図柄の有無などもあるから、判然と区別できる。さらに、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないから、引用商標とこれらを比較できず、共通する要素がない。
そうすると、本件商標と引用商標は、称呼及び観念において比較できないとしても、外観において判然と区別できるから、それらを総合して考察しても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
2 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1 本件商標(色彩は原本を参照)


別掲2 本件商標の指定商品及び指定役務
第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,貴金属製記念カップ,貴金属製記念たて,身飾品,貴金属製靴飾り,時計」
第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙貼り付け機,事務用電動式ステープラ,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(「おもちゃ」を除く。),紙類,雑誌,書籍,カタログ,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て,いろがみ,しきし」
第18類「蹄鉄,レザークロス,皮革,皮革製包装用容器,ペット用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具」
第25類「被服,ガーター,靴下留め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴保護具,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。)」
第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」

別掲3 引用商標(色彩は原本参照)
申立番号01

申立番号02

申立番号03

申立番号04

申立番号05



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異議決定日 2024-07-26 
出願番号 2023035873 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W1416182535)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大島 康浩
特許庁審判官 阿曾 裕樹
大島 勉
登録日 2023-10-20 
登録番号 6747047 
権利者 有限会社キャピタル
代理人 弁理士法人白浜国際特許商標事務所 

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