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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W29 |
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管理番号 | 1413583 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-03-13 |
確定日 | 2024-07-22 |
事件の表示 | 商願2023− 50261拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年5月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 9月19日付け:拒絶理由通知書 令和5年 9月28日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年12月21日付け:拒絶査定 令和6年 3月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 2 本願商標 本願商標は、「ごろっとしまね 和牛カレー」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。そして、本願の指定商品は、原審及び当審における上記1の手続補正書により、最終的に第29類「レトルトパウチされた島根県産の和牛肉を使用したカレー」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 「しまね和牛」を標準文字で表してなる商標(以下「引用商標」という。)は、「島根県産の和牛肉」を指定商品とする商標法第7条の2に基づく地域団体商標として商標登録を受けているものであり(登録第6100265号商標)、島根県所在の「島根県農業協同組合」又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして、本願出願前より需要者の間に広く認識されているものである。 そうすると、「ごろっとしまね 和牛カレー」の文字を標準文字で表してなる本願商標を、その指定商品に使用するときは、その商品があたかも島根県農業協同組合の業務に係る商品であるかのように、又は島根県農業協同組合と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標といえる。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第15号について ア 本願商標と引用商標の比較 (ア)本願商標について 本願商標は「ごろっとしまね 和牛カレー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ごろっとしまね」の文字と「和牛カレー」の文字との間には1文字分の空間(スペース)があるため、その空間の前後で、外観上、分離して看取し得るものである。 そして、本願商標全体より生じる「ゴロットシマネワギューカレー」の称呼は13音とやや冗長である。 また、本願商標の構成中「和牛カレー」の文字は、本願の指定商品「レトルトパウチされた島根県産の和牛肉を使用したカレー」との関係において、その商品が「和牛肉を使用したカレー」であるという、商品の品質を表示したものといえることから、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、又は、その機能が極めて弱いものといえる。 他方、本願商標構成中の「ごろっとしまね」の文字部分は、まとまりよく一体的に表されているものであり、また、そのうち「ごろっと」の文字が「重そうなものが放り出したようにあるさま」を意味する語であり、「しまね」が「中国地方日本海側の県」である「島根」の読みを平仮名で表したといえるものであるとしても(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、「ごろっとしまね」一連で何らか特定の意味合いが理解、認識されるとはいい難いものであるから、当該部分は造語として認識されるというべきものであり、自他商品の識別標識としての機能を十分に有する部分といえる。 以上のことからすると、簡易迅速を尊ぶ取引の実情においては、本願商標に接する需要者が、自他商品の識別標識としての機能を十分に有する造語である「ごろっとしまね」の文字部分に着目し、当該部分をもって取引に当たる場合もあるというのが相当である。 一方、本願商標に接する需要者が、その構成中「しまね 和牛」の部分のみを要部として分離抽出し、その部分のみをもって取引に当たる場合があるというべき事情は見当たらない。 したがって、本願商標よりは、その構成文字全体に相応した「ゴロットシマネワギューカレー」のほか、構成中の「ごろっとしまね」の文字部分に相応した「ゴロットシマネ」の称呼も生じるといえ、また、特定の観念は生じないものである。 (イ)引用商標について 引用商標は、「しまね和牛」を標準文字で表してなるものであって、これは、島根県農業協同組合が、その構成員に使用をさせる商標であって、その商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品である第29類「島根県産の和牛肉」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを理由に、当該商品を指定商品として、平成30年11月22日に地域団体商標の商標登録(登録第6100265号商標)を受けているものである。 そうすると、引用商標よりは「シマネワギュー」の称呼が生じ、「島根県農業協同組合の事業に係る、島根県産の和牛肉」ほどの観念が生じるものといえる。 (ウ)本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標とを比較するに、まず外観においては、本願商標全体と引用商標の対比、また、本願商標の要部たる「ごろっとしまね」と引用商標の対比においても、文字数などが明らかに相違するものであり、別異の語を表しているものと容易に理解できるものであるから、明確に区別できるものといえる。 また、称呼においては、本願商標より生じる「ゴロットシマネワギューカレー」又は「ゴロットシマネ」と、引用商標より生じる「シマネワギュー」とでは、語調、語感を明らかに異にするものであるから、明瞭に聴別できるものである。 そして、観念においては、本願商標は特定の観念が生じないのに対し、引用商標よりは「島根県農業協同組合の事業に係る、島根県産の和牛肉」ほどの観念が生じるものであるから、相紛らわしいものとはいえない。 以上のことからすると、本願商標と引用商標とは、外観において明確に区別でき、称呼においても明瞭に聴別できるものであって、また、観念において相紛らわしいものとはいえないものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、記憶に残る印象において明らかに異なる、別異の商標といえる。 イ 本願の指定商品と引用商標の使用に係る商品について 本願の指定商品「レトルトパウチされた島根県産の和牛肉を使用したカレー」と、引用商標が使用されている商品「島根県産の和牛肉」は、原材料と完成品という関係性にあり、一般消費者という一部の需要者が一致するものの、その商品の用途や取引者等の需要者、流通経路などを異にするものであるから、需要者層を共通にするとはいい難いものである。 ウ 小括 以上のことからすれば、引用商標が地域団体商標として商標登録を受けているものであるとしても、前述のとおり、本願商標の構成において「しまね 和牛」の文字部分のみに着目し取引されるといった事情は見当たらないし、本願商標と引用商標は、記憶に残る印象において明らかに異なる、別異の商標であり、また、それらが使用される商品の需要者層が共通するともいえないものである。 そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときには、一般消費者を含む本願の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準としても、それに接する需要者において引用商標が容易に想起され、その商品が島根県農業協同組合又は同組合と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。 (2)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではないから、本願商標が同項同号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2024-07-09 |
出願番号 | 2023050261 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(W29)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 白鳥 幹周 |
商標の称呼 | ゴロットシマネワギューカレー、ゴロットシマネ、ゴロット、ワギューカレー、シマネワギュー、シマネギュー、シマネウシ、シマネカレー |
代理人 | 弁理士法人飯島国際商標特許事務所 |