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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W33 |
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管理番号 | 1413491 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-10-18 |
確定日 | 2024-07-25 |
事件の表示 | 商願2023− 22185拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和5年3月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 6月 8日付け:拒絶理由通知書 令和5年 7月20日 :意見書の提出 令和5年 8月24日付け:拒絶査定 令和5年10月18日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第33類「焼酎,リキュール,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(3)であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、引用商標1ないし3をまとめて「引用商標」という場合がある。)。 (1)登録第474200号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品:第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」 登録出願日:昭和29年12月27日 設定登録日:昭和30年12月13日 書換登録日:平成18年 8月30日 (2)登録第2642369号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定商品:第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒,中国酒」 登録出願日:平成 3年 8月21日 設定登録日:平成 6年 3月31日 書換登録日:平成17年 9月28日 (3)登録第4499677号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の構成:別掲4のとおり 指定商品:第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒」 登録出願日:平成12年 6月13日 設定登録日:平成13年 8月17日 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 商標の類否について 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最三小判昭和43年2月27日民集22巻2号399頁参照)。 また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合には、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されないが、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあると解される(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁参照)。 イ 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、上部に赤い四角図形(以下「背景図形」という。)に白抜きで「爽」の筆文字風の漢字と、その上に「爽」の漢字の読み仮名と認識される「さわやか」の文字を小さく横書きにし、その下に黒色の「飫肥杉」の筆文字風の漢字を縦書きに配し、その左には「飫肥杉」の漢字の読み仮名と認識される「おびすぎ」の文字が小さく縦書きに書された構成よりなるものである。 ここで、本願商標構成中の「爽(さわやか)」の文字部分と「飫肥杉(おびすぎ)」の文字部分とは、背景図形の有無、色彩や書体が異なることから、視覚上、分離して看取されるものである。 また、その構成中「爽(さわやか)」の文字は、「すがすがしく快いさま」等を意味する語であり(出典:株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)、「飫肥杉(おびすぎ)」の文字は、「日本の九州地方、宮崎県南東部の日南市付近で育成されるスギ」(出典:「Weblio辞書」)を意味する語であって、両文字部分には観念的なつながりもなく、全体として、特定の観念を生じるものでもない。 さらに、他に両文字部分を常に一体のものとしてみなければならない特段の事情も見当たらないことからすれば、本願商標は、その構成中の各文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであり、両者は、どちらもそれぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、「爽(さわやか)」の文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 そうすると、本願商標は、その構成中、「爽(さわやか)」の文字部分に相応して、「サワヤカ」の称呼をも生じ、「すがすがしく快いさま」程の観念を生じるものである。(以下「爽(さわやか)」の文字部分を「本願商標の要部」という。) ウ 引用商標について 引用商標1は、筆文字風の書体で表した「爽」の漢字、その右に「爽」の漢字の読み仮名と認識される「さわやか」の平仮名を2列に書してなり、引用商標2は、「爽」の漢字からなり、引用商標3は、「爽」の漢字、その上に「爽」の漢字の読み仮名と認識される「さわやか」の平仮名を二段書きに表してなるところ、引用商標1及び3からは、その構成文字に相応して、「サワヤカ」の称呼を生じ、引用商標2からは、その構成文字に相応して、「サワヤカ」又は「ソウ」の称呼を生じ、引用商標からは、「すがすがしく快いさま」程の観念を生じるものである。 エ 本願商標と引用商標との類否について 本願商標と引用商標は、それぞれ上記イ及びウのとおりの構成よりなり、外観において、両者は、全体構成において相違するところ、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る本願商標の要部と引用商標との比較においては、書体は異なるものの、いずれも「爽」の漢字を共通にするものであるから、外観上、近似するものといえる。 また、称呼においては、本願商標の要部と引用商標1及び3は、いずれも「サワヤカ」の共通の称呼を生じるものであり、引用商標2は「サワヤカ」の称呼を生じる場合もある。 さらに、観念においては、本願商標の要部と引用商標は、いずれも「すがすがしく快いさま」程の共通の観念を生じるものである。 そうすると、本願商標と引用商標は、全体の外観においては相違するものの、本願商標の要部と引用商標との比較において、両者は、外観が近似するものであり、また、称呼及び観念を共通にする又は共通にする場合があるから、これらの外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 オ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本願の指定商品は、引用商標1の指定商品中の第33類「日本酒,薬味酒(にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」、引用商標2の指定商品である第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒,中国酒」、引用商標3の指定商品である第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒」と同一又は類似の商品である。 カ 小括 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、本願商標は、全体として「爽飫肥杉」が外観上まとまりよく一体不可分に表現されており、その構成中の「爽」の文字部分のみを抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されない旨主張する。 しかしながら、上記(1)イで述べたとおり、本願商標は、その構成中の「爽(さわやか)」の文字部分と「飫肥杉(おびすぎ)」の文字部分とは、これらを常に一体のものとしてみなければならない特段の事情は見当たらず、本願商標は、その構成中の各文字部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであって、各文字部分は、どちらもそれぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえるから、「爽(さわやか)」の文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというのが相当である。 イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、これらの登録が併存していることからしても、本願商標は登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、商標の類否判断は、対比する商標について個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げる登録例と本願商標とは、商標の具体的構成等において本願とは事案を異にするものであり、本願商標と引用商標の類否については上記(1)エにおいてした判断のとおりであるから、これらの登録例をもって、上記判断が左右されるものではない。 ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は原本を参照。) ![]() 別掲2 引用商標1 ![]() 別掲3 引用商標2 ![]() 別掲4 引用商標3 ![]() (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-05-20 |
結審通知日 | 2024-05-28 |
審決日 | 2024-06-11 |
出願番号 | 2023022185 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W33)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大森 友子 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 田中 瑠美 |
商標の称呼 | サワヤカオビスギ、オビスギ、サワヤカ、ソー |
代理人 | 小木 智彦 |