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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W3643
管理番号 1413443 
総通号数 32 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-03-03 
確定日 2024-08-06 
事件の表示 商願2022− 1353拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年1月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年6月8日付け :拒絶理由通知書
令和4年7月13日 :意見書の提出
令和4年12月1日付け:拒絶査定
令和5年3月3日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「ペニンシュラヒルズ」の文字を標準文字で表してなり、第36類「建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,建物又は土地の情報の提供,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介」及び第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,まくらの貸与,毛布の貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,おしぼりの貸与,タオルの貸与」を指定役務として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、「ペニンシュラヒルズ」の文字を標準文字で表してなるところ、この商標登録出願前から、香港上海ホテルズ社が「ザ・ペニンシュラ」「THE PENINSULA」の文字を「宿泊施設の提供」(高級ホテル)等に使用し、その略称「ペニンシュラ」(以下「引用商標」という。)の語も同者の業務に係る役務を表すものとして需要者の間において広く知られている。そうすると、本願商標は、その構成中の「ペニンシュラ」の文字部分が看者の注意を強く引くものといえ、これをその指定役務に使用するときは、本願商標に接する需要者は、これがあたかも香港上海ホテルズ社又は同者と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
「ザ・ペニンシュラ」「THE PENINSULA」の文字は、上記3のとおり、香港上海ホテルズ社(The Hongkong and Shanghai Hotels,Limited)の運営するホテルの名称といえるとしても、同社が我が国において運営するホテルは東京都千代田区所在の「ザ・ペニンシュラ東京」のみであってその利用者数は限定的なものといわざるを得ず、また、同社が運営する「THE PENINSULA」なる名称の外国のホテルが存在し、我が国の旅行者等が利用する可能性があるとしても、当該ホテルの利用者数やその売上高、当該利用者,売上高に占める我が国の利用者の割合等も不明であることから、我が国における「ペニンシュラ」の文字に係る需要者の認識を客観的に推し量ることはできない。
してみれば、香港上海ホテルズ社が「ザ・ペニンシュラ」「THE PENINSULA」の文字を「宿泊施設の提供」等に使用しているとしても、「ペニンシュラ」の文字からなる引用商標が、同社の業務に係るホテルの略称として、我が国の需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、上記2のとおり、「ペニンシュラヒルズ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体に表されているものであるから、いずれかの文字部分が、殊更、取引者、需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものである。
また、構成文字全体から生じる「ペニンシュラヒルズ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、本願商標の構成中「ペニンシュラ」の文字は、「半島」の意味を有する英語「peninsula」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の表音を片仮名で表したものであり、「ヒルズ」の文字は、「丘」等の意味を有する英語「hill」(前掲書)の複数形「hills」の表音を片仮名で表したものであるから、両語を結合した本願商標全体として「半島の丘」ほどの意味合いを認識させるものである。
加えて、上記(1)のとおり、「ペニンシュラ」の文字からなる引用商標が、特定の者の業務に係る役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものということはできない。
そうすると、本願商標は、構成文字全体が軽重の差がなくまとまりよく結合しているものであって、その構成全体をもって一体不可分のものと認識し把握されるとみるのが相当である。
(3)引用商標の構成について
引用商標は、「ペニンシュラ」の文字からなるところ、当該文字は、「半島」の意味を有する英語「peninsula」(前掲書)の表音を片仮名で表したものであって、「半島」の意味を認識させるものである。そうすると、引用商標はその構成文字に相応して「ペニンシュラ」の称呼を生じ、また、「半島」の観念を生じるものである。
(4)混同のおそれについて
「ペニンシュラ」の文字からなる引用商標は、上記(1)のとおり、香港上海ホテルズ社の業務に係るホテルを表示する略称として、我が国の需要者の間に広く認識されているものということはできない。
また、本願商標及び引用商標は、上記(2)及び(3)のとおりの構成からなるところ、両商標は、構成文字数の相違や「ヒルズ」の文字の有無により外観が大きく異なり、また、構成音数の相違や「ヒルズ」の音の有無により称呼も容易に聴別でき、さらに、「丘」の意味合いの有無により観念も相紛れるおそれはないから、これらに接する取引者、需要者に与える記憶、印象が著しく相違し、非類似の商標であって、判然と区別される別異の商標というのが相当である。
そうすると、本願商標の指定役務と香港上海ホテルズ社の業務に係る役務との関連性等を考慮したとしても、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、その役務が、香港上海ホテルズ社又は同社と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本願商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
(5)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審決日 2024-07-24 
出願番号 2022001353 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (W3643)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 鈴木 雅也
特許庁審判官 小田 昌子
滝口 裕子
商標の称呼 ペニンシュラヒルズ、ペニンシュラ 
代理人 林 栄二 
代理人 鈴木 昇 

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