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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない W3539 |
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管理番号 | 1413434 |
総通号数 | 32 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2024-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-01-24 |
確定日 | 2024-07-24 |
事件の表示 | 商願2020−157256拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年12月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年9月1日付け:拒絶理由通知書 令和3年11月15日:意見書、手続補正書の提出 令和4年10月18日付け:拒絶査定 令和5年1月24日:審判請求書の提出 令和6年1月30日付け:審尋 2 本願商標 本願商標は、「ニコニコレンタカーチェーン」の文字を標準文字で表してなり、第35類及び第39類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願され、その後、本願の指定役務については、前記1の手続補正書により、第35類及び第39類に属する別掲1のとおりの役務に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由 原審においては、以下の(1)及び(2)の拒絶の理由を通知し、その内の(2)の理由により本願を拒絶したものである。 (1)商標法第4条第1項第15号について 本願商標は、「ニコニコレンタカーチェーン」の文字を標準文字で表してなるところ、横浜市に所在する「レンタス」が、「格安レンタカー」等に使用した結果、本願の出願前より取引者・需要者間において広く知られている商標「ニコニコレンタカー」と類似のものであるから、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者に、該役務が「レンタス」又は当該者と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号について 本願商標は、以下の2件の登録商標と同一又は類似であって、その商標登録に係る指定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 ア 登録第5207397号商標 商標の構成:「ニコニコレンタカー」の文字を標準文字で表してなる商標 登録出願日:平成20年5月15日 設定登録日:平成21年2月20日 指定役務:第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供及び媒介又は取次ぎ,レンタカーの予約の代行」 イ 登録第6570959号商標 商標の構成:「ニコニコレンタカー」の文字を標準文字で表してなる商標 登録出願日:令和2年9月16日 設定登録日:令和4年6月14日 指定役務:第35類「トレーディングスタンプ・ポイントカードの発行及び清算,経営の診断又は経営に関するコンサルティング,レンタカーのフランチャイズ事業に関するコンサルティング及びそれに関する情報の提供,レンタカー事業の運営及び管理,自動車リース事業に関する指導及び情報の提供,自動車リース事業の運営及び管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,自動車の共同使用に関する事業の運営及び管理,自動車の共同使用に関する事業に関する指導及び情報の提供,カーシェアリング事業の運営及び管理,カーシェアリング事業に関する指導及び情報の提供,機械式駐車装置並びにその部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,コンピュータデータベースの情報編集」 4 当審における審尋 当審において、本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について、請求人に対し、審尋で以下の6(1)のとおりの事実を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。 5 審尋に対する請求人の回答 上記の審尋に対して、請求人からの回答はない。 6 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 「ニコニコレンタカー」の周知性について 原審において令和3年3月10日付け刊行物等提出書により提出された、刊行物等1から刊行物等7及び当審における職権調査(別掲2及び3)によれば、以下の事実が認められる。 (ア)2019年に創立10周年を迎えた「ニコニコレンタカー」(以下「引用使用商標」という。)の名称のレンタカーサービスは、株式会社レンタスをフランチャイズ本部として、ガソリンスタンド、車販売店、カー用品店、整備工場等による兼業ビジネスとして加盟店を増やしており、同社は当該レンタカー事業の運営や加盟店向けの事業説明、事業支援などを行っている(刊行物1)。 (イ)「ニコニコレンタカー」の店舗数は、日本全国(北海道から沖縄まで)で1,500店以上(2019年時点)、その会員数は248万人(2017年時点)にのぼり、年間総売上は、2009年から2016年にかけて年率120%ペースで増加し、2015年には80億円を超え、2016年には100億円近くまで伸びている(刊行物1)。 (ウ)引用使用商標の広告宣伝は、野球の球場での看板、駅構内における広告、店舗や建物における看板等において行われている(別掲2)。 (エ)「日経BPコンサルティング」社の発行する「ブランド・ジャパン2018 データブック」によれば、「ニコニコレンタカー」の認知率は、57.3%(2017年)、56.2%(2018年)である(別掲3)。 以上のとおり、株式会社レンタスの運営するレンタカーサービス「ニコニコレンタカー」は、本願商標の登録出願日の10年以上前から継続して事業展開しており、その会員数(約248万人)や店舗数(約1,500店)、その売上規模(2016年で約100億円)も相当程度の規模にのぼり、広告宣伝も多様な媒体(施設の看板、電車内広告、店舗看板など)でなされている。 そして、調査会社(日経BPコンサルティング)による調査でも比較的高い認知度を示している(2018年時点で56.2%)ことを踏まえると、引用使用商標(ニコニコレンタカー)は、本願商標の登録出願日時点において、我が国における需要者の間で広く認識されるに至っていたものと認められる。 イ 本願商標と引用使用商標の類似性について 本願商標は、上記1のとおり、「ニコニコレンタカーチェーン」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ニコニコレンタカー」の文字は、引用使用商標「ニコニコレンタカー」と同一の文字よりなるものである。 そうすると、本願商標は、上記(1)のとおり、需要者の間に広く知られている引用使用商標と同一の文字を有するものであって、当該文字部分が看者の注意をひきやすい語頭に位置することも踏まえれば、本願商標においては、本願商標と引用使用商標とは、一定程度の類似性を有するものといえる。 ウ 本願商標の指定役務と引用使用商標との関連及び需要者の共通性について 本願商標の指定役務は、レンタカー事業の事業運営や事業管理、事業支援を含むものといえるところ、引用使用商標と関連して株式会社レンタスがフランチャイズ本部として行う事業内容(レンタカー事業の運営や事業支援など)とは、役務の内容や目的において共通し、極めて密接な関連性があり、レンタカー事業者(又は事業希望者)に向けた役務としては需要者層が相当程度共通するものである。 エ 出所の混同を生ずるおそれについて 以上を踏まえると、本願商標は、我が国における需要者の間に広く認識されている引用使用商標とは、一定程度の類似性を有するものであって、その指定役務も、引用使用商標に係る事業内容とは極めて密接な関連性のあるもので、需要者層も相当程度共通するから、その指定役務に係る取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断しても、その役務が他人(株式会社レンタス)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、具体的な関連性を連想、想起させるというべきで、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。 オ 小括 以上のとおり、本願商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 なお、原査定は、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶したが、原審の令和3年9月1日付け拒絶理由通知書において、本願商標は、同項第15号に該当する旨の拒絶理由が通知されている。 そして、当審は、上記のとおり、本願商標は、原審における上記拒絶理由通知書で通知した商標法第4条第1項第15号に該当すると判断する。 (2)結論 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標の指定役務 第35類「トレーディングスタンプの発行及び清算,顧客優待プログラムのためのトレーディングスタンプの管理及びこれに関する情報の提供,ポイントカード・トレーディングスタンプ・クーポン券の発行・清算又は管理,ポイントカードの発行及び管理,商品の販売促進又は役務の提供促進のためのポイントカード・クーポン券の発行及び管理並びにこれらに関する情報の提供,事業に関する指導及び助言,事業に関する情報の提供,事業の管理に関する指導及び助言,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析に関する情報の提供,商品販売に関する情報の提供,自動車の共同使用に関する事業の運営及び管理,自動車の共同使用に関する事業に関する指導及び情報の提供,駐車場提供に関する事業の管理及び運営並びにこれらに関するコンサルティング及び情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集及び情報構築,コンピュータデータベース内のデータの更新及び保守,機械式駐車装置並びにその部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,レンタカー事業の運営及び管理,レンタカー事業に関する指導及び情報の提供,レンタカーのフランチャイズ事業の運営及び管理,レンタカーのフランチャイズ事業に関するコンサルティング及びそれに関する情報の提供,カーシェアリング事業の運営及び管理,カーシェアリング事業に関する指導及び情報の提供,自動車リース事業に関する指導及び情報の提供,自動車リース事業の運営及び管理,トレーディングスタンプ・クーポン券・ポイント蓄積式カード・割引付特典カードの発行及び清算,広告,広告用具の貸与,建築物における来訪者の受付及び案内,自動販売機の貸与,求人情報の提供,カーシェアリングのフランチャイズ事業の運営及び管理,カーシェアリングのフランチャイズ事業に関するコンサルティング及びそれに関する情報の提供」 第39類「自動車の貸与,自動車の貸与に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供,駐車場の提供,駐車場の提供に関する情報の提供,駐車場の予約の代行,駐車場の予約の代行に関する情報の提供,駐車場の管理,駐車場の管理に関する情報の提供,機械式駐車装置の貸与,機械式駐車装置の貸与に関する情報の提供,道路交通情報の提供,自動車の運転の代行,自動車の運転の代行に関する情報の提供,車両による輸送,車両による輸送に関する情報の提供,ガレージの貸与,ガレージの貸与に関する情報の提供,レンタカーの予約の代行,レンタカーの予約の代行・取次ぎ,レンタカー・ハイヤーの予約の代行,レンタカー・ハイヤーの予約の代行・媒介又は取次ぎ,航空機・鉄道・船舶およびレンタカーによる旅行の予約,レンタカーの予約,カーシェアリング用自動車の貸与,車両による輸送,電気の供給,カーシェアリング用駐車場の提供,駐車場の提供,カーシェアリング用駐車場の管理,駐車場の管理,自転車の貸与,カーシェアリング用自動車の予約の代行,カーシェアリング用自動車の予約の代行・取次ぎ,カーシェアリング用自動車の予約の代行・媒介又は取次ぎ,航空機・鉄道・船舶およびカーシェアリング用自動車による旅行の予約,カーシェアリング用自動車の予約」 別掲2 株式会社レンタスのウェブサイトにおいて、「広告宣伝・プロモーション」の見出しの下、「SNS運用・キャンペーン・プレゼント企画などのWeb施策やブランド広告を、年間を通して実施しています。」の記載とともに、横浜スタジアム及び新横浜駅新幹線ホームにおける、引用使用商標を表示した看板の写真が掲載されている。 https://www.rentas.co.jp/franchise/franchise.html 別掲3 「ブランド・ジャパン2018 データブック」(日経BPコンサルティング発行)68頁「コンシューマー市場(BtoC)編 イメージ項目」を見出しとする表において、「ニコニコレンタカー」の認知率として、2017年が57.3%、2018年が56.2%である旨の記載がある。 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審理終結日 | 2024-05-23 |
結審通知日 | 2024-05-27 |
審決日 | 2024-06-11 |
出願番号 | 2020157256 |
審決分類 |
T
1
8・
271-
Z
(W3539)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
大島 康浩 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 大塚 正俊 |
商標の称呼 | ニコニコレンタカーチェーン、ニコニコレンタカー、ニコニコ |
代理人 | 友野 英三 |