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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W30 |
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管理番号 | 1412500 |
総通号数 | 31 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-12-22 |
確定日 | 2024-06-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6744639号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6744639号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6744639号商標(以下「本件商標」という。)は、「soy venus」の欧文字を標準文字で表してなり、令和5年5月12日に登録出願、第30類「アイスクリーム,シャーベット,氷菓,菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,食用粉類」を指定商品として、同年9月14日に登録査定、同年10月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりであり(以下、まとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第6465882号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:別掲1のとおり 登録出願日:令和 2年11月25日 設定登録日:令和 3年11月 4日 指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (2)登録第6463538号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様: Beanus (標準文字) 登録出願日:令和 2年10月 2日 設定登録日:令和 3年10月29日 指定商品:第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 (3)登録第5290349号商標(以下「引用商標3」という。) 商標の態様: ビーナス (標準文字) 登録出願日:平成21年 3月19日 設定登録日:平成21年12月25日 指定商品:第30類「菓子及びパン」 (4)登録第4943166号商標(以下「引用商標4という。) 商標の態様:「VENUS」の欧文字及び「ビーナス」の片仮名を上下2段に横書きしてなるもの 登録出願日:平成17年 1月26日 設定登録日:平成18年 4月 7日 指定商品:第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類」 (5)登録第4476075号商標(以下「引用商標5」という。) 商標の態様:別掲2のとおり 登録出願日:平成12年 1月25日 設定登録日:平成13年 5月25日 指定商品:第30類「調味料,香辛料,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドック,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,酒かす、但し、ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,べんとう,ラビオリを除く」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。以下、枝番号のすべてを示すときは、枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。 (1)本件商標 本件商標は、「soy venus」の英文字を書してなるものであり、その構成中の「soy」の文字部分は、「ソイ」と発音し、大豆を意味する英単語で、「soybean」の綴りで中学校の教科書にも掲載されており(甲7)、一般的な知識を有する需要者には、容易に理解できるものである。また、ソイラテ、ソイカフェ、ソイプロテイン等のように、大豆を使用している食品の名称の語頭に「ソイ」を付することは一般に行われている。そうすると、本件商標の指定商品に本件商標を使用した場合、需要者は、「soy」を商品の原材料と認識する。 また、本件商標の指定商品に、大豆を主原料として使用している商品、例えば、麺類、グラノーラ、パン、アイスクリーム、ケーキ等が多数販売されているという事実がある(甲8の1〜7)。申立人も、大豆を主原料とする米粒状の加工食品を米飯の代替食品として販売している(甲8の8)。 以上から、本件商標の構成中「soy」の文字部分は、指定商品の原材料を意味する識別力のない普通名称であって、出所表示機能を有するのは、「venus」の部分であるから、本件商標からは、「ビーナス」の称呼が生じる。 (2)引用商標 引用商標1及び2は、「Beanus」の英文字を書してなり、引用商標5は、その構成中に「Beanus」の英文字を書してなり、いずれも「ビーナス」の称呼を生じる。 引用商標3は、「ビーナス」の片仮名を書してなり、また、引用商標4は、「VENUS」の英文字の下に「ビーナス」の片仮名を横書きしてなるから、「ビーナス」の称呼を生じる。 (3)本件商標と引用商標の対比 上記のとおり、本件商標と引用商標は、「ビーナス」の称呼を共通にする類似する商標である。 また、本件商標の指定商品中には、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品が包含されている。 (4)結語 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「soy venus」の文字を標準文字で表してなるものであり、いずれも同色、同大、同一書体で、全て小文字で表されているものであるから、その構成中「soy」の文字と「venus」の文字との間に1字分の空間(スペース)があるとしても、外観上、まとまりよく一体的に表されているものといえる。 また、本件商標の構成文字に相応して生じる称呼「ソイビーナス」も6音と冗長ではなく、よどみなく一気一連に発音し得るものである。 そして、本件商標の構成中、「soy」の文字は「大豆」を、「venus」の文字は「ビーナス、ウェヌス(愛と美の女神)」などを、それぞれ意味する語であり(出典:「ジーニアス英和辞典 第6版」株式会社大修館書店)、これらは我が国において一般に親しまれた語といえることから、本件商標全体として「大豆の女神」ほどの一連の観念が生じることを否定できないものである。 そうすれば、本件商標から「venus」の文字部分のみを要部として抽出し、それを引用商標と比較して、商標そのものの類否を判断することは許されないというべきであって、本件商標よりは、その構成文字全体に相応する「ソイビーナス」の称呼のみが生じ、また、「大豆の女神」ほどの観念が生じ得るものというのが相当である。 イ 引用商標 (ア)引用商標1は、別掲1のとおり、「Beanus」の欧文字を横書きし、そのうち「u」及び「s」の文字の上部にそれぞれ黒丸を配した構成からなるものであり、「Beanus」の文字は一般的な辞書類に掲載されている語ではないから、造語といえるものである。 そうすると、引用商標1よりは、その構成文字に相応した「ビーナス」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものである。 (イ)引用商標2は、「Beanus」の文字を標準文字で表してなるものであり、これよりは「ビーナス」の称呼が生じ、また、上記(ア)と同様に、特定の観念は生じないものである。 (ウ)引用商標3は、「ビーナス」の文字を標準文字で表してなるものであり、同文字は「美と愛の女神」などを意味する「ヴィーナス」の文字と同義に使用、理解されているものである(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)から、引用商標3よりは、その構成文字に相応した「ビーナス」の称呼が生じ、「(美と愛の)女神」ほどの観念が生じるものといえる。 (エ)引用商標4は、「VENUS」の欧文字と「ビーナス」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであり、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを表したといえるものであるから、引用商標4よりは、その構成文字に相応した「ビーナス」の称呼を生じ、上記(ウ)と同様に「(美と愛の)女神」ほどの観念が生じるものといえる。 (オ)引用商標5は、別掲2のとおり、左上から右下へ斜めに配した黒色楕円形の横に大きく「Beanus」の欧文字を横書きし、その小文字部分(「eanus」)の上部に小さく「More Beautiful & Healthy!」の文字を斜体で横書きしてなるものであって、そのうち構成文字としては「Beanus」の欧文字部分が圧倒的に顕著に表されているといえるものである。 そうすると、引用商標5よりは、その構成文字中の「Beanus」の欧文字に相応した「ビーナス」の称呼を生じるものといえ、また、上記(ア)と同様に、特定の観念は生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては、これらは文字数や綴り字などが相違し、それぞれ別異の語を表しているものと容易に理解できるものであるから、明確に区別できるものである。 また、称呼においては、本件商標より生じる「ソイビーナス」の称呼と引用商標より生じる「ビーナス」の称呼とは、語頭における「ソイ」の音の有無に差異を有し、4音又は6音という比較的短い称呼において、その差異が称呼全体に与える影響は大きく、本件商標と引用商標をそれぞれ一連に称呼しても語調、語感が異なるものであるから、明瞭に聴別できるものである。 そして、観念においては、本件商標よりは「大豆の女神」ほどの観念が生じ得るのに対し、引用商標1、引用商標2及び引用商標5よりは、特定の観念は生じず、また、引用商標3及び引用商標4よりは「(美と愛の)女神」の観念を生じることからすれば、これらは観念において相紛らわしいものとはいえないか、又は、十分に区別できるものといえる。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別でき、称呼においても明確に聴別できるものであり、観念においては相紛らわしいものとはいえないか、又は、十分に区別できるものであるから、これらを総合的に判断すれば、これらの商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 エ 小括 したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえない。 (2)申立人の主張について 申立人は、本件商標の構成中「soy」の文字は、「大豆」を意味する平易な英単語であり、本件商標の指定商品を取り扱う分野においては大豆を主原料として使用している商品が取り扱われている実情がある(甲8)ことからすると、同文字部分は商品の原材料を意味する識別力のない語であるから、本件商標の構成中、商品の出所表示機能を有するのは「venus」の文字部分であるといえ、そうすると、本件商標よりは「venus」の文字に相応した「ビーナス」の称呼も生じる旨主張する。 しかしながら、本件商標の構成中「soy」の文字部分が、その指定商品の一部との関係において、自他商品の識別標識としての機能が弱いものであるとしても、本件商標は、上記(1)アのとおり、その構成態様などからすれば、それに接する取引者、需要者において、一連一体のものとしてのみ認識、把握されるというのが相当である。 したがって、申立人の当該主張は、採用することができない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 引用商標1 別掲2 引用商標5 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-06-11 |
出願番号 | 2023051354 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W30)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
高野 和行 |
特許庁審判官 |
清川 恵子 白鳥 幹周 |
登録日 | 2023-10-13 |
登録番号 | 6744639 |
権利者 | 斎藤 俊幸 |
商標の称呼 | ソイビーナス、ビーナス |