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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W35 |
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管理番号 | 1412493 |
総通号数 | 31 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2024-07-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-10-27 |
確定日 | 2024-06-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6728513号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6728513号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6728513号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年3月8日に登録出願、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電球類及び照明用器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,屋内用ブラインドの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,すだれの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,装飾用ビーズカーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,日よけの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製いすカバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物製壁掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,テーブル掛けの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,敷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,壁掛け(織物製のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務を指定役務として、同5年8月9日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、別掲2のとおりの構成からなる、デンマークにおいて需要者の間に広く認識されていると主張されている、申立人の「PH Snowball」と称されるランプシェード(以下「申立人商品」という場合がある。)の立体的形状からなる商標(以下「引用商標」という。)である。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第39号証(枝番号を含む。以下「甲○」と表記する。)を提出した。 (1)デンマーク国における申立人商品の周知性について ア 申立人 申立人は、1874年に設立された、デンマーク・デザインにおいて長年の伝統を持つ世界的な高級照明ブランドで、照明器具の製造販売等を業とするデンマーク国法人である(甲3〜甲5)。 ドイツ(1962年)、フランス(1964年)、スウェーデン(1975年)、アメリカ(1985年)、ノルウェー(1987年)、オランダ(1988年)、オーストラリア(1988年)、フィンランド(1989年)、スイス(1990年)、日本(1990年)、イギリス(1997年)の各国に現地法人を設立し、世界各地に子会社、販売代理店を有している(甲4、甲5)。現在、世界の販売代理店数は1,379店にのぼる(甲11)。 申立人は1874年にワイン直輸入会社として創業したが、1892年にデンマークで2番目の発電所がコペンハーゲンに開設されたことから、照明と電気用品を販売する事業を開始した(甲4、甲5)。そして、1917年、当時の社長がPoul Henningsen(ポール・ヘニングセン)と出会い意気投合し、1924年にパリで開催された現代産業装飾芸術国際博覧会の照明のコンペティションに応募したことから、申立人とポール・ヘニングセンとのコラボレーションが始まった(甲4〜甲6、甲22)。1925年、この展覧会のためにデザインしたパリ・ランプで金賞を受賞し、1926年には申立人とポール・ヘニングセンは、コペンハーゲンに新しく建設されたフォーラムビルの照明を手掛け、3シェードランプシステム(3枚シェードシステム)の基礎となる照明を作成した(甲4〜甲6)。申立人とポール・ヘニングセンとのコラボレーションはヘニングセンが1967年に没するまで生涯にわたって続き、現在もヘニングセンがデザインした照明器具は申立人が製造販売し続けている(甲4〜甲6)。 イ Poul Henningsen(ポール・ヘニングセン:1894−1967年) ポール・ヘニングセンはデンマークの作家、評論家、建築家、デザイナーであり、世界中でよく知られているデンマークのデザイナーの一人である。デンマークの思想とデザインに多大な影響を与えたヘニングセンは、デンマークではしばしば単にPHと呼ばれ、世界大戦間のデンマークの文化的生活を代表する人物の一人とされている(甲6、甲12)。 デンマーク外務省の公式ウェブサイトでは、「World−famous Danish design(世界的に有名なデンマーク・デザイン)」の頁に「最も有名なデンマーク製ランプのスタイルであるPHランプは、ポール・ヘニングセン(1894−1967)がデザインしたものだ」と紹介されている(甲7)。 さらに、Wikipediaの「Denmark(デンマーク)」の頁には、「Architecture and design(建築とデザイン)」の項目に「世界的に有名な20世紀のデザイナー」として紹介され、Wikipediaの「Danish Design(デンマーク・デザイン)」の頁では、デンマーク・デザイン界で成功したデザイナーとして名前があげられている(甲8、甲9)。 ポール・ヘニングセンはデザイナーとしてだけでなく、上述のようにデンマークの思想にも影響を与えた文化的生活の主要な人物として非常に著名である(甲6、甲12)。ヘニングセンが活躍した時代は第一次及び第二次世界大戦、それらを経た戦後の時代である。ヘニングセンは大学では建築について学び社会に出た後は、建築や照明、グランドピアノや家具等のデザインをする一方で、雑誌に批評や評論を執筆したり詩歌や映画の原稿等も作成する文化評論家でもあり、大手日刊紙ではジャーナリストとして社会問題と建築の関係等について記事を書くなど、常に文化と政治を結び付けようと活動した(甲6)。ヘニングセンは、建築と都市計画を重要な政治的ツールとみなしていた。労働者は、光と空気のある良好な住居を持つべきとし、住宅(建築)と都市計画の両方で機能主義的なスタイルを提唱した。機能主義は、余分なものをすべて取り除いたシンプルなスタイルで、物や住居は実用的であることが重要だと考えていた(甲6)。ヘニングセンのこの思想やデザインスタイルは、「デンマーク・デザイン」と言われるシンプルさと機能主義とを組み合わせたデンマークを象徴するデザインスタイルの基礎となった(甲9)。他方、ヘニングセンはナチズムを鋭く批判したため、ナチス指導者から狙われ、ユダヤ系デンマーク人とともに中立国スウェーデンに逃れたこともあった(甲5、甲12)。さらに、学校用に配布された小さな小冊子「芸術と社会」(1964年)の中で、民主的な文化観を文化史的にまとめ、文化教育学的活動も行っていた(甲13)。このように、ヘニングセンは文化的急進主義者として社会評論、文化、政治、芸術、教育等のデンマークのほぼすべての社会活動にかかわった人物といえる(甲5、甲6、甲12)。 「Lex.dk」というデンマークの百科事典サイトがある。このサイトは誰でも自由にアクセスでき、多くの専門文献及び23万以上の記事を掲載した、月間約150万人がアクセスするデンマーク最大の研究情報サイトである(甲13)。ここでは「Poul Henningsen」の説明の中に「PHはデンマークの文化的急進主義、当時の言葉でいえばリベラリズムの最も重要な代表者となり、デンマークの意識の近代化と民主化にとって重要な存在となった。」「ポール・ヘニングセンほど文化形態の民主化に大きく貢献した人物を挙げるのは難しい。」と評されている(甲13)。 ヘニングセンの死後、急進的だったヘニングセンの文化批評は画期的なものとされ始め、彼の見解は人気を博し、より大きな世界で受け入れられ、認知されるようになった(甲6)。没年1967年にはポール・ヘニングセンを記念してPH賞が創設され、ヘニングセンの精神を受け継いだ人物や団体に毎年授与されている(甲6、甲13)。また、死後も作品は多くの美術館・博物館に展示され(甲6)、ヘニングセンがデザインした照明器具(PHランプ)は申立人を通じてデンマークを中心に世界中に販売され続けられている(甲4〜甲6、甲12)。2004年にはデンマークのヒップホップ・グループが、ヘニングセンが書いた曲をカバーしたり、2019年にはヘニングセン生誕125周年を記念して「ポール・ヘニングセン・イン・チボリ」展としてヘニングセンのランプや作品をチボリに展示したり、2019年に開業したコペンハーゲン地下鉄の駅「Poul Henningsens Plads(ポール・ヘニングセンス・プラッズ)」駅はヘニングセンに敬意を表して名付けられている(甲6)。 ウ Denmark(デンマーク国) デンマーク国は、北ヨーロッパの中央部にある北欧の国で、スカンジナビアの近隣諸国と政治的、文化的、言語的に緊密な関係がある国である。国土は約43,000km2、人口は約590万人と小さい国だが、生活水準の高い先進国である(甲8)。一人当たりの国民総所得が世界第16位(2017年)、高等教育の学位取得者の比率が世界で4番目に高く、OECD加盟国の中でも雇用率は9番目に高く、広範な福祉政策を採用しており、最低賃金が世界で最も高い(甲8)。2023年の国連の世界幸福度ランキングでは直近数年不動の2位である。 デンマーク国は、日本でも「デザイン大国」として知られているが、国を挙げてデザインに注力する政策をとっている。デンマーク外務省公式ウェブサイトは4つのカテゴリーに分かれており、その一つが「Innovation and Design」となっている。ここには、デザインに対するアプローチとして、「この小さな国は、デザイン、環境科学、製薬、生物医学、食品、農業、そしてさまざまな種類のテクノロジーに対して、常に革命的なアプローチを打ち出している」として、一番最初に「デザイン」をあげ、「デンマーク人のDNA」として、「Danish design(デンマーク・デザイン)」は1950年代から国際的な旗手(先頭に立つ者)である」とし、「国際問題をデザインで解決する」と掲げている(甲10)。このデザイン政策をどのように国外に発信しているかの例として、デンマーク外務省の駐日デンマーク大使館公式ウェブサイトでは「トップページ」に「デンマークデザイン」のカテゴリをあげ(甲14)、駐日デンマーク大使館は「DENMARK DESIGN/デンマーク デザイン」というウェブサイト(https://denmarkdesign.jp/)を運営し、デンマークのデザイン、ライフスタイルや建築、街、アート等に関する情報を掲載したデンマークデザインニュースレターも配信している。当該ウェブサイトでは申立人もデンマーク企業の一つとしてトップページに「世界の照明のトップブランド」と紹介されている(甲15)。 エ Danish design(デンマーク・デザイン) デンマークについて説明する際によく登場する「Danish design」という語は単に「デンマークのデザイン」という漠然としたものを指すのではない。「Danish design(デンマーク・デザイン)」とは、20世紀半ばにデンマークで生まれた機能主義的なデザインと建築のスタイルを指す言葉である(甲8、甲9)。デンマーク・デザインは一般的に工業デザイン、家具、家庭用品に適用され、多くの国際的な賞を受賞している(甲8)。「Danish design(デンマーク・デザイン)」は良く知られたブランドとなっており、世界的に有名な20世紀のデザイナーや建築家であるボルゲ・モーエンセン、フィン・ユール、ハンス・ヴェグナー、アルネ・ヤコブセン、ポール・ヘニングセン、ヴァーナー・パントン等が連想される(甲8)。彼らが、デンマーク・デザインに関連する最も成功したデザイナーである(甲9)。 上述のLex.dkサイトでは、「デンマーク」の「工芸品とデザイン」の説明の中に「デンマーク・デザインは、機能主義の硬質な幾何学的フォルムから脱却した有機的な機能主義を強調したが、同時に新しく、より要求の厳しいシンプルさと、ユーザー、道具、周囲の環境との相互作用に対する真の関心に基づいたデザインコンセプトを表現した。この発展にはいくつかの要因が絡み合っている。(中略)戦前、ポール・ヘニングセン(PHランプの原理、1926年)やクヌード・V・エンゲルハルト(公共デザイン)といった先駆者たちの作品によって、発展の基礎が築かれた。」とあり、「機能主義」の項目では「1920年代後半、PHランプの生みの親であるポール・ヘニングセンを中心とする建築家グループは、実用的な機能を持たないものに対する聖戦を開始した。」など、デンマーク・デザイン(Dansk design)の説明にポール・ヘニングセンやPHランプが、その基礎となったと紹介されている(甲16)。 なお、Danish design(デンマーク・デザイン)の代表的な例として挙げられるのは、エッグチェア、PHランプ、シドニーオペラハウス(オーストラリア)である(甲9)。 このように、デザイン政策を打ち出し、デンマーク・デザインが世界的に知られているデンマークには、国立機関として「Danish Design Center(デンマーク・デザイン・センター、DDC)」という機関がある(甲17、甲18)。1978年に設立された、デンマーク商工省傘下の非営利財団である。DDCの役割は、ビジネスや産業におけるデザインの使用を促進し、デザイン業界の専門化を支援し、デンマーク・デザインを文書化し、促進し、デンマーク内外でブランド化することである(甲17)。DDCと関連の強い国の機関として、同様に「Danish Design Council」と「DesignDenmark」がある。前者はデンマーク・デザイン界のシンクタンクである。DDCと協力して、デザイン政策を促進しデザインと社会の間を結び付けることを目的に活動する独立組織である(甲19)。後者は、デンマークのデザイナー、建築家、その他デザイン業界で働く人々のための独立組織で、1946年設立の非営利のデザイン専門家協会である(甲20)。Design Denmarkの現会長は、Design DenmarkによってDanish Design Center(DDC)の理事に任命されている。 オ PH lamp(PHランプ) デンマーク・デザインの代表例とされる「PHランプ」とは、ポール・ヘニングセンがデザインした照明器具を指す言葉である(甲21、甲22)。多くのランプに共通するのは、多くのシェード(通常3〜8枚)を持つことであり、シェードのシステムは光がどのように反射するかという数学的計算に基づいている(甲21)。「PHランプ」の語は、ヘニングセンがデザインしたランプ全般を指す言葉として使われることもあり、特にヘニングセンの3シェードランプシリーズを指す言葉として使われることもある(甲21、甲6)。 提出資料でもこの言葉はよく使われているが、Wikipedia「Poul Henningsen」では「PHランプは、特にデンマークで人気を保ち続けている。PHランプのシェードシステムはデンマーク・カルチャー・カノン(デンマーク文化規範)に選ばれ、審査委員会は「デンマークらしさと趣味の良さの象徴」であり、デンマークが「長年にわたり照明の最前線にいる」ことに貢献していると評価した。」と紹介している(甲6)。また、上述のLex.dkには、「このランプのデザインは、機能性と美学を融合させたもので、デンマークの照明デザインとデンマーク・デザイン全般に大きな影響を与えた」としている(甲22)。 カ Danish Culture Canon(デンマーク文化規範:デンマーク語Kulturkanonen) 上述のデンマーク・カルチャー・カノン(以下「文化カノン」という)とは、デンマークの文化遺産に不可欠なもの、最も偉大で重要な作品を集め紹介する、芸術作品の規範である(デンマーク文化省カノン委員会:甲23、甲24)。建築、ビジュアル・アート、デザイン・工芸、映画、文学、音楽、舞台芸術、児童文化の8つのカテゴリーにおける108のデンマークの文化遺産における重要作品で構成されている。2004年に当時の文化大臣が提唱し、文化カノン作成のためのプロジェクトを発表し、翌年、文化省は7つの委員会を設置し、委員の意見として、今ここで特に強い芸術的体験を提供するだけでなく、前の世代にもそうであったし、末来の世代にもそうであろうと思われる作品を選定した(甲23)。2006年、各委員会は作品リストを発表し、書籍「Kulturkanon」を発行した。「Kulturkanon」では委員会の選考理由を含め、全作品を分析している。2021年4月8日付でデンマーク文化省公式ウェブサイトに当時の文化大臣の下に公開されている。 8つのカテゴリーのうち「デザイン・工芸」部門では、デザイン・工芸部門委員会が、選考基準として、有用な機能を持ち、制作された当時にふさわしく、今日でも認識できる作品を選考対象とすることを決定した。また、国際的な視野に立ったものでなければならないとしている(甲24)。 「デザイン・工芸」部門に、作品「PHのシェードシステム」が、デザイナー「ポール・ヘニングセン」、年代「1925年−現在も開発中」として、あげられている(甲22、甲24、甲25)。文化カノンに選ばれた「PHのシェードシステム」は、その説明文に「PHは、1925年にパリで開催された万国博覧会のデンマーク館に自費で出展し、そこで国際的に「発見」され、多くの人にとってモダンデザインの典型となった。シェードはニーズに応じて様々な組み合わせが可能で、現在でもこのランプを製造しているルイスポールセンに特別なリクエストを持ちかけることができる。奇妙なことに、このランプはデンマークらしさと趣味の良さの象徴にもなっている。」と記載があり、「1925年−現在も開発中」とあるように(甲24、甲25)、特定のランプのデザインではなく、ヘニングセンがデザインしたPHランプのシェードシステム全体が対象になっている。シェードシステムとは、上述のとおり「シェードが3枚から8枚と多いことが特徴であるPHランプにおいて、光がどのように反射するかを数学的に計算してデザインされたシェードのデザインのこと」である(甲21)。 よって、後述のとおり、申立人商品「PH Snowball」もこれに含まれる。また、デンマークにおいては「PHランプ」といえばルイスポールセン(申立人)が製造販売していると認識されていることが明示されている(甲25)。 なお、文化カノンの冒頭では、提唱者の当時の文化大臣が、「この文化カノンには、美しさと機能性が完璧に一体化したPHランプから、人間の不完全さへの怒りまで、洞察力、ビジョン、そして素晴らしい体験を百通りの方法で楽しむための100の提案が含まれている。」と表現している(甲25)。PHランプが、108のデンマークの文化規範の中でも、デンマークの文化を評価する上で最も基礎・基準になる作品、すなわちデンマークの文化を最も象徴する作品として表現されているといえる。 キ 申立人商品 申立人商品は、ポール・ヘニングセンが1958年(昭和33年)にデザインし、コペンハーゲンのデンマーク工芸博物館で開かれたガラス・照明・色彩展覧会で展示され(甲30の1)、1983年(昭和58年)に申立人が製造販売を開始した「PH Snowball」と称されるランプシェードである(甲2)。申立人商品は「PHランプ」の一つであり、デンマーク文化カノンの対象となっているといえる。8枚のシェードの位置とカーブした形状によって、PHランプの特徴であるシェードシステムが生み出され、まぶしい光が見えないデザインとなっている。同じく1958年にデザインされた「PH5」及び「PH Artichorke」とともに三部作と言われることがある。 ク 申立人商品の販売状況 申立人は、「PH Snowball」(申立人商品)を含むPHランプの販売を長年にわたって、デンマークを中心に世界的に展開している(甲4〜甲6)。 「PH Snowball」(申立人商品)のデンマークでの販売状況については、1983年以来現在まで40年間継続して販売している。 申立人は申立人住所にあるショールームに加えて、デンマークに89店舗の販売店舗(ディーラー)を有しており、全店舗で申立人商品を販売している。デンマークの店舗一覧を提出する(甲26)。一覧の「City」(店舗が在住する市)及び申立人ウェブサイト「Findretailer(販売店を探す)」頁のマップに記載のとおり、89店舗はデンマークの全体に広がっている(甲11、甲26)。上述のとおり、デンマークは国土が約43,000km2の小さな国であり、日本でいえば九州とおよそ同じ面積になる。デンマークの人口は約590万人なのに対して九州は約1,300万人なので人口密度でいうと、デンマークは半分以下となる。そのような小さな国で、国全体に存在する約90店舗において申立人商品は販売されている。また、申立人や販売店舗の一部は申立人商品をオンラインショップでも販売している。 ケ 申立人商品の販売数量 デンマークでの販売数量は、データのある2011年以降は、432台(2011年)、365台(2012年)、493台(2013年)、558台(2014年)、587台(2015年)、732台(2016年)、836台(2017年)、842台(2018年)、651台(2019年)、938台(2020年)、1,474台(2021年)、647台(2022年)となっている(甲27)。 上述のとおり、40年前(1983年)に販売が開始されているにもかかわらず、多少の波があるとはいえ、10年前よりも販売数量は増加している。また、デンマークの人口は約590万人であることを考えると、人口(あるいは家庭数)に対する販売数量の割合はかなり高いといえる。さらには、照明器具は頻繁に買い替えるものではないこと、申立人商品は高価な(約43〜45万円)照明器具であることもあわせて考えると、この販売数量は非常によく売れている商品であると評価できる。 コ 申立人商品の広告 申立人商品は上述のとおり、デンマークでは非常に著名なポール・ヘニングセンがデザインしたPHランプの一つである。販売当初はメディアに多数露出していたが、長年多くの店舗で販売し続けてきた結果デンマークの需要者の間に浸透している商品になっているため、現在デンマークにおいて広告費を使った広告はほとんど行っていない。にもかかわらず、上述のとおり長年にわたって販売数量を維持、増加させていることから、デンマークにおける申立人商品の周知度・人気度の高さがうかがえる。 申立人が行っている広告としては、デンマークにおける上述の販売店舗に配布しているカタログ、申立人の広報誌である「NYT」、書籍、申立人のウェブサイト(オンラインショップサイト)、販売店舗のウェブサイト(オンラインショップサイト)、デンマークで発行された雑誌への紹介記事があげられる。 カタログとして、1984年以降デンマークの販売店舗へ配布された、申立人商品が掲載されたカタログ及びプライスリストの一部、加えて、2017年以降発行されているカタログ雑誌「Reflections」の一部について、関連頁を提出する(甲28)。カタログや「Reflections」は申立人ウェブサイトでも公開されている。なお、申立人商品「PH Snowball」は2010年頃までデンマーク語「PHKuglelamel」と表記されていたが、それ以降は「PH Snowball」で統一されている。 広報誌「NYT」は、「PH Snowball」がデザインされた1958年、販売を開始した1983年以降のもので申立商品が掲載されているものの一部について、関連頁を提出する(甲29)。なお、広報誌「NYT」は、ポール・ヘニングセンが初代編集長であり、当時のCEOが、過激な主張のために大手日刊紙社を解雇されたヘニングセンにプレゼントとした雑誌と言われている(甲12)。 ポール・ヘニングセンの生誕100年である1994年に申立人がPHランプのストーリーを紹介する書籍「Light Years Ahead The Story of the PH lamp」、他社の書籍「LIGHTING」では「ミッド・センチュリーの名作たち」として、他社の書籍「1000LIGHTS1879to1959」でも申立人商品が紹介されているので、申立人商品の頁を提出する(甲30)。 申立人のウェブサイト(甲31)及び販売店舗(ディーラー)等のオンラインショップサイトの一部(甲32)を提出する。なお、販売店舗一覧にある「omnichannel」とは、実店舗や通販サイトなど、あらゆる流通ルートを連携させて顧客が最適な方法で商品を購入できるようにする販売方法をいう。 申立人商品が掲載されたデンマークで発行された雑誌の一部を提出する(甲33)。主な雑誌の発行部数等の説明をあわせて提出する(甲33の26)。 また、広報誌「NYT」等にも設置例の写真は多数掲載されているが(FDEトレーニング・会議センター:甲29の14、サンタモニカ公立大図書館:甲29の15)、参考に、申立人商品が採用されているデンマーク国内の設置例の画像を提出する(甲34)。 サ 証明書 上述のDesignDenmark(甲20)によって任命されたデザイナーのM氏による証明書(甲35)、上述のDanish Design Council(甲19)の当時の理事長による証明書(甲36)、さらに当時の駐日デンマーク大使による証明書(甲37)を提出する。M氏は、上述のインディペンデントデザインコンサルタントとして活躍しているデザイナーで、コペンハーゲンにアトリエを構え、個人・商業を問わず、さまざまなクライアントのためにオーダーメイドの照明器具をデザインしている。申立人は、DesignDenmarkに対して、申立人商品のデンマークにおける周知性を証明してもらうことを依頼したところ、DesignDenmarkが照明デザインに精通したインディペンデントデザイナーとしてM氏を任命した。 これらの証明書はすべて、申立人商品がデンマークにおいて周知著名であることを各々の言葉で述べており、デンマークの需要者が申立人商品を見ればそれがポール・ヘニングセンがデザインした「PHランプ」であること、あるいは/及び、申立人(ルイスポールセン社)が製造販売しているランプであることを認識すると証明している(甲35〜甲37)。特に、M氏の証明書では、申立人商品は「誇り高きデンマーク・デザインの伝統の一部であり、多くのデンマーク人がデンマーク・デザインに興味を持つ一因となっており、幼い頃にポール・ヘニングセンのランプを知るきっかけとなった。」「デンマークでは何十年にもわたり、このランプの販売が成功しており、デンマーク人は一般的にこのランプの外観をよく知っていると思われる。」「一般市民(少なくとも最低限のデザイン知識を持つ成人デンマーク人)にはすぐに「PHランプ」すなわち、「ファミリー」の明らかな代表作であることが一目でわかる。」「ポール・ヘニングセンによってデザインされたランプの「ファミリー」の明らかな代表作であり、デンマークの一般的な人々は慣れ親しんでいると思われる。」と証言されている(甲35)。 これら証明書の内容は、上述してきた提出証拠によって裏付けられるものである。なお、各人はそれぞれ、デザインに関する公の機関に属する、あるいは、デンマーク外務省領事の公人である。特に駐日大使は自国の全権代表を有する者である。他方、商標審査便覧には「その周知商標が使用されている国の政府等から、その商標登録出願について国際信義に反するものである旨等、何らかの関心が表明されている場合には、その内容等について十分勘案すべきものとする。」と規定されている。そうであるならば、これら公人が証明書を発行したことは「デンマークの政府等からの何らかの関心が表明されている場合」に該当するといえる。さらに、申立人商品は「デンマークの文化遺産の中で最も偉大で重要な作品」として文化省が作成した文化カノン(文化規範)に選ばれた「PHランプ」の一つである。よって、申立人商品は「デンマークにおいて最も偉大で重要な作品」であるというデンマーク政府の認識が表明され、デンマーク国の誇る重要な文化的な遺産として公的な保護を受けているといえる。これらより、当該証明書の内容は、提出証拠に基づいて、十分に勘案する必要があることを申し添える。 なお、たとえ周知である外国が一の国においてであっても本号に該当することは商標審査基準に明記されているところである。 上述してきたとおり、申立人商品「PH Snowball」はデンマークにおいて需要者の間で申立人の商品であることを広く認識されているものである。申立人商品「PH Snowball」は、その販売が開始された1983年(昭和58年)当時、その8層のシェードが組み合わさった形状において、他のランプシェード商品には見られない独自の特徴を有していた。申立人商品が上記販売開始後本件商標の登録出願日(2021年(令和3年)3月8日)まで38年間にわたりデンマークにおいて継続して販売され、小さな国に100余りの店舗やオンラインショップで長年多数の商品が販売されて沢山の施設や家庭に設置された。これにより、「文化遺産の中で最も重要な作品」として「文化カノン」にも選抜された複数のシェードを持つ特徴的なPHランプは現代のデンマークではデンマーク人が子供の頃から親しんでいるデザインであるといえる。 よって、本件商標の登録出願日までには、申立人商品がデンマーク国内の広範囲にわたる照明器具やインテリアの取引業者及び照明器具やインテリアに関心のある一般消費者の間で、申立人が製造販売するランプシェードとして広く知られるようになり、申立人商品の立体的形状(引用商標)は、周知著名となり、自他商品識別力を獲得するに至った。 これらより、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時(2023年(令和5年)8月17日)において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、デンマーク国における需要者の間に広く認識されていたものである。 (2)本件商標と引用商標の類否について 本件商標の本件図形とその他の部分とは特に結びつきがないため、これらを一体不可分にみる理由はない。そこで、本件商標の本件図形と引用商標の立体的形状とを対比すると、両者は上部の凸部の大きさ及び上から2層目と5層目の間にある2本のフレームの有無に差異はあるものの、両者とも全体の構成が左右対称の8層の形状となっており、本件図形は、申立人商品のランプシェードを真横から見たデザインに酷似している。よって、本件商標と引用商標は互いに類似する商標である。 (3)不正の目的 本件図形は、デンマーク国において周知な申立人商品の立体的形状(引用商標)と極めて類似するものであり、申立人商品の立体的形状は他のランプシェード商品には見られない独自なデザインであって構成上顕著な特徴を有するものであるから、本件商標は、他人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものと推認される(商標審査基準)。 本件商標の商標権者(以下、「R&M社」という)は、「R&Mインテリアストア」という、北欧照明やインテリア、デザイナーズ家具のリプロダクト製品などを販売する通販インテリアショップを運営している。 これまで、商標権者と申立人の間には、平成25年から数多くの係争があった。申立人が平成25年にR&M社がPHランプのリプロダクト品を販売することは商標権及び著作権を侵害し、不正競争を構成する旨の警告を行った後、R&M社は、PHランプの中で世界的に最も著名な照明器具の一つである「PH5」の側面形状を剽窃した商標、及び、本件商標と同一商標について、商標出願を行った(登録第5643726号、同第5685459号)。これらは後に、それぞれ無効(平30行ケ010004)、取消(平30行ケ010005、取消2020−300583)となっている。 申立人がPH5の立体形状について立体商標登録(第5825191号)を取得し、輸入差止申立を行った後、R&M社の親会社の輸入申告貨物(PH5のデッドコピー品)が疑義貨物とされ再調査請求、審査請求を行ったが当該貨物は侵害認定された(甲38)。 その後、R&M社は当時まだ有効に存続していた上記商標登録(登録第5643726号、同第5685459号)に基づいて、「予想される輸入者」を申立人として輸入差止申立を行った。これはのちに不受理となっている(甲39)。 申立人が、R&M社製品(「PH5」のデッドコピー品)に対して立体商標登録に基づく侵害訴訟を提起した(平成29年(ワ)第22543号)。これは、R&M社が製造販売する行為は、申立人の商標権を侵害する旨の判決が出ている。 R&M社は、申立人のPH5立体商標登録(第5825191号)に対して、2度の無効審判を請求している。1度目は上告棄却で確定しており「登録維持」(令1行ケ010086)、2度目は現時点ではまだ審決が出ていない。 なお、上記に関する審決・判決の提出は省略する。本件商標は、一度取り消された商標について、再度出願したものである。 当該書面の前半で述べてきたように、申立人商品「PH Snowball」は、デンマーク国の文化遺産として重要な作品の一つに認定されているPHランプの一つである。40年という長い間、申立人がPHランプの一つとしてデンマーク国において販売し続けてきた結果、その立体形状は、デンマーク国の需要者が申立人商品「PH Snowball」を見れば、申立人の製品であることを認識することができる周知なデザインとなっている。よって、申立人商品の立体形状は自他商品識別力を獲得しており、信用や名声が化体している。R&M社は、上述した申立人との係争を経て、本件商標の登録出願時にはもちろん申立人商品「PH Snowball」を知っており、一度取り消されても再度出願しているのは、申立人商品に化体した名声や信用にフリーライドし、北欧デザインとうたった照明器具や家具を販売する際に、デンマークで著名な申立人商品の図形を剽窃した商標を使用することで、申立人と関連があるような印象を需要者に与え、ひいては申立人商品の出所表示機能を希釈化させてその名声を棄損させる目的があったといえる。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性 本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとしてデンマークにおける需要者の間に広く認識されている申立人商品の立体的形状(引用商標)と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出証拠(本件商標の登録出願時以前の事情を示すと確認できるもの。)によれば、以下のとおりである。 (ア)申立人は、1874年に設立された、照明器具、電気用品の製造販売等を業とするデンマーク国法人である(甲3〜甲5)。 (イ)申立人は、ドイツ(1962年)、フランス(1964年)、スウェーデン(1975年)、アメリカ(1985年)、ノルウェー(1987年)、オランダ(1988年)、オーストラリア(1988年)の各国に現地法人を設立し、世界各地に子会社、販売代理店を有している(甲4、甲5)。現在、世界の販売代理店数は1,300店以上にのぼる(甲11)。 (ウ)申立人商品は、ポール・ヘニングセンがデザインした「PH Snowball」と称される、1958年に展覧会で展示され、1983年以来申立人が継続して販売しているランプシェードである(甲2、甲30の1、甲32の2、甲37)。 (エ)申立人は、デンマークに89店舗の販売店舗(ディーラー)を有しており、これら店舗はデンマーク全体に広がっている(甲11、甲26)。 (オ)申立人商品のデンマークでの販売数量は、432台(2011年)、365台(2012年)、493台(2013年)、558台(2014年)、587台(2015年)、732台(2016年)、836台(2017年)、842台(2018年)、651台(2019年)、938台(2020年)、1,474台(2021年)である(甲27)。 (カ)申立人商品が認識できる写真や図形が、商品のカタログ、プライスリスト及び広報誌等の書籍に、申立人商品以外の商品を表示する文字及び図形の記載とともに、1985年から2023年まで断続的に掲載、記載されている(甲28〜甲30)。 (キ)申立人は、申立人のウェブサイト及び販売店舗(ディーラー)等のオンラインショップにおいて申立人商品を掲載している(甲31、甲32)。 イ(ア)以上によれば、申立人商品は、1983年から本件商標の登録出願がされた2021年当時まで約38年以上にわたり販売されているとしても、デンマークにおける申立人商品の販売数量が11年間(2011年〜2021年)で約7千9百台(年平均で約720台)程度にすぎず、この販売数量をして販売実績が多いものとは直ちに評価できない。 (イ)また、申立人商品に通じる図形、写真及びそれを表す文字が、カタログ等に掲載されているとしても、申立人商品は、その他の商品と並んで掲載されており、申立人商品のみが顕著に記載されてはいない。さらに、デンマークにおける雑誌に申立人商品が掲載されているとしても、その掲載頻度のほか、申立人商品についての宣伝広告費や、その他の広告宣伝手法、期間、地域及び規模は明らかではなく、客観的に広告宣伝の規模を把握、評価できない。 (ウ)申立人は、デザイナーやデザイン・カウンシルの理事長及び駐日デンマーク大使ら各人の証明書(甲35〜甲37)には、申立人商品がデンマーク国内で需要者に広く知られていて、需要者は申立人の業務に係る商品と認識する旨記載されているから、申立人商品がデンマークの需要者の間で知られている旨を主張するが、その陳述内容にも、「一般市民が「スノーボール」として識別することは考えにくい。私の意見では、これには照明器具のデザインについて、一般的なデンマーク人には期待できないような、より深い関心に基づいた、あるいは専門的な知識が必要だと思われる。」(甲35)との記載もあるなど、それら陳述内容に基づいて、直ちにデンマークの一般需要者の間において申立人商品の形状について高い認知度があると推し測ることはできない。 (エ)そうすると、申立人提出の証拠によっては、申立人商品の立体的形状からなる引用商標が、申立人商品に使用された結果、本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「ランプシェード」を表示するものとして、デンマークにおける需要者の間に広く認識されている商標となったとは認められない。 (2)不正の目的について 申立人は、申立人商品の立体的形状は自他商品識別力を獲得しており、信用や名声が化体していること、本件商標権者は申立人との過去の係争を経て、申立人商品「PH Snowball」を知っており、一度取り消されても再度出願していることなどを挙げて、本件商標の登録出願に不正の目的があった旨を主張する。 しかしながら、申立人が援用する過去の係争は、必ずしも本件商標とは直接の関連性はないものであるし、仮に申立人商品の存在を知りながら本件商標を登録出願したとしても、それだけでは直ちに不正の目的があったと推し測ることはできない。 その他、申立人の事業活動が本件商標により阻害されているなど、本件商標が不正の目的をもって使用されていることを客観的に示す証拠の提出もない。 そうすると、申立人提出の証拠によっては、本件商標について、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用をするものとは認められない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 以上のとおり、引用商標は、他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、外国における需要者の間に広く認識されていた商標とはいえず、本件商標は不正の目的をもって使用するものとはいえないから、本件商標と引用商標の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 本件商標 別掲2 引用商標 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2024-06-17 |
出願番号 | 2021026745 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W35)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
大島 康浩 |
特許庁審判官 |
大島 勉 阿曾 裕樹 |
登録日 | 2023-08-22 |
登録番号 | 6728513 |
権利者 | 株式会社R&MJaPan |
商標の称呼 | アアルアンドエムインテリアストアー、アアルアンドエム、アアルエム |
代理人 | 弁理士法人MM&A |