• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1412490 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-10-19 
確定日 2024-06-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6726028号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6726028号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6726028号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2022年3月15日にブラジル連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、令和4年8月31日に登録出願、第9類、第11類、第12類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同5年8月3日に登録査定、同月14日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第5518707号商標(以下「引用商標」という。)は、「MAXEON」の文字を標準文字で表してなり、平成24年3月27日登録出願、第9類「光電池,太陽熱モジュール及び太陽電池モジュール,太陽熱パネル及び太陽電池パネル,太陽電池,太陽熱ハイブリッドモジュール,太陽熱屋根材及び太陽熱クラッドパネル,太陽電池による発電装置,電池,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,日射量測定センサー,測定機械器具」を指定商品として、同年8月31日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第9類「熱制御装置(サーモスタット),静電接地用制御装置及び制御機器,アキュムレータボックス(バッテリー),パワーパック(バッテリー),温度調整装置,バッテリーチャージャー,バッテリーパック,電気コネクター,電力変換器取り付け用ブラケット,インバーター(電気式のもの)取り付け用ブラケット,バッテリー並びにその部品及び附属品,バッテリー専用ラック,乗物用バッテリー用の固定金具」(以下「申立対象商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載し、枝番号の全てを引用する場合は、枝番号の記載を省略して記載する。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、青色の長方形を配しその中に無限大記号のような図形を配し、その下に「MAXION」の欧文字を黒い太字で横書きにし、さらにその下に電源コードを模したとおぼしき図形が表されその先は欧文字の「E」が形成されるようデザインされ、これにハイフンをデザイン化したような図形が続き、さらに黄緑色で表された「mobility」の欧文字が斜体で小さく横書きにしてなるものである。
イ 本件商標の要部について
複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、「商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは、原則として許されないが、その場合であっても、商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じない場合などには、商標の構成部分の一部だけを取り出して、他人の商標と比較し、その類否を判断することが許されるものと解される」とされる(最高裁昭和37年(オ)第953号判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号判決、平成20年(行ケ)第10295号判決、令和元年(行ケ)第10171号判決参照)。
例えば、本件と同様に複数の文字部分と図形からなる結合商標に関し、知財高判令和元年12月26日、令和元年(行ケ)10104号(EMPIRE事件)は、「上段に,左向きの金色の牛の全身を表した図形を配し,当該図形部分の下方に,「EMPIRE」の黒色の欧文字と「STEAK HOUSE」の黒色の欧文字を上下2段に横書きに書してなり,上下2段の文字部分の間に文字部分と幅を揃えた赤色の二重線を配してなる結合商標」について、各構成部分はそれぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上分離して認識されるものであり、また、「STEAK HOUSE」の文字部分は自他役務を識別する標識としての機能が微弱であることなどから、「「EMPIRE」の文字部分を要部として抽出し,これと引用商標とを比較して商標そのものの類否を判断することは許されるというべきである。」と判断している(甲3)。
また、知財高判令和3年2月22日、令和2年(行ケ)第10088号(ホームズくん事件)は、「ホームズ君」の文字部分、「耐震フォーラム」の文字部分及び探偵風の装束をした人物が家を観察している場面を描いた図形部分からなる商標について、「耐震フォーラム」部分は出所識別標識としての称呼・観念を生じさせるとはいえないと認定し、「「ホームズ君」部分を要部として抽出し得る」としている(甲4)。
これを本件についてみると、本件商標は、別掲のとおりの構成からなり、その構成要素である「青色の長方形図形」、「MAXION」の文字部分、及び「電源コードとおぼしき線状の図形に続くE−Mobility」部分は、それぞれ視覚的に分離して把握され、観念上の一体性も見いだせず、各構成要素がそれぞれ独立したものであるとの印象を与えるものであるから、各部分を分離して観察することも許されるというべきである。
本件商標の文字部分は、「MAXION」と電源コードを模したとおぼしき図形につなげて表した「E−Mobi1ity」の文字からなるところ、上段の大文字の「MAXION」の文字は太字で黒く大きく表され、他方、下段に大文字と小文字とで表された「E−Mobi1ity」の文字は「MAXION」の文字より細く小さく表され、かつ、「mobility」の文字は薄い黄緑色の斜体で表されており、上段の文字部分と下段の文字部分とは大文字と小文字の違いや、色味の違い、傾斜の有無といった違いがある。
さらに、上段部分と下段部分との間には、電源コードとおぼしき線状の図形により介され、区切り線のような印象を与え、一体性がなく、また、上段部分と下段部分とは一連の観念を生ずるものでもない。
そして、「MAXION」の語は、辞書などに載録のない造語であり強い識別力を発揮するものであるのに対し、「E−Mobi1ity」の語は、「エレクトロモビリティ」とも表記される、「完全に又は部分的に電気を動力とした移動手段を利用すること」や、その移動手段である車両ほどの意味合いを有する用語であり(甲5〜甲7)、エネルギーを蓄積するバッテリーに関する商品を主とする本件の指定商品との関係においては、商品の用途を表示するものであり識別力がないか、極めて弱い語であるといえる。
さらに、本件商標の構成における、青色の長方形図形及び無限大記号のような図形については、一般的な図形であり、独立して出所識別機能を果たすとはいえない。
以上を勘案すれば、本件商標の構成中、造語であり強い識別力を有し、かつ、他の文字部分に比して太く大きく表され明瞭に視認される「MAXION」の文字部分が強く支配的な印象を与え、要部として独立して認識される。
よって、本件においては、本件商標から抽出した要部である「MAXION」部分と引用商標との比較によって、類否を判断することも許されるというべきである。
ウ 称呼について
本件商標の称呼について、造語である「MAXION」の文字部分は、「maXi」(マキシ。意味:くるぶしが隠れるくらいの長さのスカート丈)、「maximum」(マキシマム。意味:最大量、最大限、最高)、「maxim」(マキシム。意味:格言、金言)、「maximize」(マキシマイズ。意味:最大化する)等の発音に倣い、「MAXION」の構成文字に相応する「マキシオン」の称呼が生じ、「E−Mobility」の文字部分からは「イイモビリティ」の称呼が生ずるから、欧文字部分の構成全体からは「マキシオンイイモビリティ」の称呼が生じる(甲8、甲9)。
また、上記イのとおり、本件商標は「MAXION」の文字部分が看者に強く支配的な印象を与え、要部として独立して認識されるのであるから、かかる文字部分より「マキシオン」の称呼が生ずる。
本件商標権者の表記は、「イオシペーマキシオンエス/エー」であり、本件商標権者に関するプレスリリースにおいても、「MAXION」の読みは「マキシオン」と表示されているのであるから、かかる実際の取引実情に鑑みても、本件商標中「MAXION」の文字部分から通常生ずる称呼は「マキシオン」である。
また、「MAX」の語が「マックス」と発音されることからすれば、「マクシオンイイモビリティ」や「マクシオン」の称呼が生ずる場合もあるともいえる。
エ 観念について
本件商標の観念については、その文字部分「MAXION E−Mobi1ity」及び本件商標の要部「MAXION」は、いずれも辞書などに載録されていない造語であり、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標は、上記第2のとおり、「MAXEON」の文字を横書きにしてなるものであり、「MAXEON」の文字は、「MAX」と「EON」を結合した申立人による造語であり、特定の観念が生ずるものではない(甲11)。
引用商標の称呼については、その構成中、後半部分の「EON」は「イオン」や「イーオン」と発音され、「非常に長い期間、永劫」ほどの意味合いを有する英単語である(甲12、甲13)。
例えば、異議2002−90801においても、「EON」の文字について、「該文字に相応して「イオン」の称呼を生ずるものである。」と認定されている(甲14)。
そうとすると、引用商標は、「マックス」と「イオン」の称呼を生ずる語を結合した本件商標と同様に、「マキシオン」や「マクシオン」の称呼が生ずると考えられるが、以下に詳述するように、引用商標は、太陽電池パネル等の太陽光発電関連システムを製造・販売する申立人グループが社名商標(ハウスマーク)として使用するものであり、取引者・需要者らに「マキシオン」の称呼をもって認識されていることから、引用商標から通常生ずる称呼は「マキシオン」であるといえる。
イ 申立人は、太陽光発電関連システムを製造・販売を手掛けるシンガポール法人「マキシオン ソーラー テクノロジーズ エルティーディー」を親会社とするシンガポール法人であり、日本においては、マキシオンジャパン株式会社(以下、「申立人日本法人」といい、申立人、「マキシオン ソーラー テクノロジーズ エルティーディー」及び「マキシオンジャパン株式会社」を併せて「申立人ら」という。)が事業を展開している。申立人日本法人は、かつては「サンパワージャパン株式会社」の名称で事業を行っていたところ、法人の構成の変更に伴い2021年11月に社名を変更し、以降、「maxeon」(マキシオン)の商標をハウスマークとして使用している(甲11、甲15〜甲17)。
インターネット検索エンジンのGoogleを用いて「maxeon」の語を検索すると、少なくとも上位50件は全て申立人らによる又は申立人らに関するウェブサイトであり、検索結果の上位において「maxeon」の商標を他者が出所識別標識として使用している事実は確認できず、また、日本語のウェブサイトにおいては、「maxeon」の語の読みは、常に「マキシオン」と表示されている。
インターネット検索エンジンGoogleにより「マキシオン」の語を検索した場合においても、エネルギーやバッテリーの分野においては、上位50件には申立人らによる又は申立人らに関するウェブサイトのみが検出される(甲18、甲19)。
申立人らは、上記したとおり、太陽光発電関連システムの事業者であり、代理店等を通じて広く販売事業を展開しており(甲20)、昨今、太陽光発電は、排出ガスが発生せず環境にやさしい発電方法であることや、燃料価格の高騰などにより高い注目を集めており、申立人らの製造・販売する太陽電池パネルは、変換効率が高く、かつ、その保証サービスに顕著な特性を有することから特に注目を集め、太陽電池パネルに関するウェブサイトや動画においても、多数紹介されるに至っている(甲21〜甲31)。
また、申立人らのマキシオン太陽電池パネル及びその保証サービスは2022年のグッドデザイン賞を受賞している(甲30)。申立人の商標「MAXEON」は、取引において、常に「マキシオン」と称呼されている。
さらに、商品の取引の実情として、太陽電池パネルは、発電した電気を貯めることができる蓄電池とともに販売されており、申立人らをはじめとし、多くの太陽電池パネルのメーカーは蓄電池やこれに関連するシステムを販売している。すなわち、引用商標は、本件商標の指定商品である電池(バッテリー)に関する現実の取引においても、常に「マキシオン」と称呼されている(甲31〜甲33)。
以上のとおり、引用商標「MAXEON」は、第9類に分類される太陽電池パネルや蓄電池を含む太陽光発電関連システムの分野において、「マキシオン」の称呼をもって、取引者・需要者に認識されているものであるから、引用商標から通常生ずる称呼は「マキシオン」である。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標の要部である「MAXION」と引用商標「MAXEON」とを比較すると、両者は6文字の構成中、「M」、「A」、「X」、「O」及び「N」の5文字を共通にし、4文字目において「I」と「E」の微差があるのみである。
当該「I」と「E」の文字は、それぞれの商標における中間部分に位置し、全体の文字列中に埋没しているため、「MAXION」と「MAXEON」とはほぼ同一の文字列との印象を与え、直ちに識別することはできない。
以上からすれば、本件商標の要部である「MAXION」の文字部分と引用商標「MAXEON」は、時と場所を異にして接する時は、需要者の視覚を通じて認識する外観の印象が互いに相紛らわしく、両商標は外観において類似する。
イ 称呼について
本件商標の要部である「MAXION」の文字部分から通常生ずる称呼は、「マキシオン」であり、引用商標から通常生ずる「マキシオン」と称呼において共通する。
なお、本件商標の要部である「MAXION」と引用商標とが、それぞれ「マクシオン」と称呼される場合があるとしても、両商標は、称呼において共通する。
ウ 商標の類否について
本件商標と引用商標は、「マキシオン」の称呼が共通し、仮に、「マクシオン」の称呼が生ずることがあるとしても、やはり称呼において共通する。
さらに、本件商標の要部と引用商標は、外観において類似するものであるから、極めて相紛らわしい類似のものである。
また、取引の実情に照らせば、引用商標は太陽電池や蓄電池の分野において常に「マキシオン」の称呼をもって取引され、これらの商品分野は専門の事業者のみならず一般家庭の消費者が需要者となり、また、製造設備や製造技術の関係上、日用品などとは異なり製造メーカーが乱立する事業分野ではないところ、その状況下で称呼が共通する本件商標と引用商標とが併存すると、両者は「マキシオン」の称呼のもとに混同が生ずることが容易に予想でき、かかる点に鑑みても、両商標は互いに類似するといえる。
商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察して行われるところ、殊に、簡易・迅速を尊ぶ実際の取引においては、最も記憶にとどまりやすい音声(称呼)が商標を識別するための最も重要な要素を占めるところ、本件のように、特定の観念を有しない造語からなる商標については、観念によって商標を記憶することができないため、称呼を記憶し、取引にあたることが少なくないといえ、称呼が共通する場合には、極めて出所混同のおそれが高くなることが明白である(不服2010−23821、不服2015−650044、不服2014−13683(甲34〜甲36))。
本件商標は、その要部の構成文字中、中間の一文字のみが相違する点、及び対比する商標が称呼において共通し、観念においては比較することができない点において、上記審決例と事案を共通にする。
してみれば、本件商標と引用商標とは「マキシオン」の称呼が共通し、また、「マクシオン」の称呼が生ずる場合があるとしてもやはり称呼において共通するのであるから、上記の事案と同様、互いに類似する商標であると考えるのが相当である。
エ なお、上述したとおり引用商標から通常生ずる称呼は「マキシオン」であるが、仮に引用商標が「EON」の文字をローマ字風に「エオン」と発音し「マキセオン」や「マクセオン」と称呼される場合があるとしても、本件商標の要部から生ずる「マキシオン」や「マクシオン」とは、称呼の識別上重要な語頭に位置する「マキ」、「マク」と語尾の「オン」を共通にし、第3音における「シ」と「セ」の差異を有するにすぎない。
そして、「シ」と「セ」の音は、50音図のサ行の同行音に属する近似音であり、また、その相違が比較的聴別し難い中間音であることからすれば、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、互いに相紛らわしいものである。
よって、仮に引用商標が「マキセオン」、「マクセオン」と称呼される場合があるとしても、両商標は称呼において類似することを、念のため主張する。
引用商標から「マキセオン」や「マクセオン」の称呼が仮に生ずるとした場合、本件商標の要部と引用商標は5音の構成よりなり、それぞれ聴取し難い中間音である第3音における「シ」と「セ」の差異を有し、これに続く音が「オン」である点において、審決例(平成元年審判第4410号(甲37))と事案を共通にする。
他にも、中間音において「セ」と「シ」の差異音を有する商標を対比し判断した結果、互いに類似するとした審決例(不服2002−24129、平成9年審判第2404号、平成3年審判第7097号(甲38〜甲40))においては、本件よりも短い4音からなる構成にもかかわらず、対比した商標は称呼が類似すると認定されている。
してみれば、仮に引用商標から「マキセオン」や「マクセオン」の称呼が生じたとしても、「セ」と「シ」の差異は聴取し難い中間音の差異にすぎないのであるから、上記審決例における判断と同様、本件商標から生ずる「マキシオン」、「マクシオン」とは相紛らわしい類似の称呼であり、両商標は類似すると考えるのが相当である。
オ 以上のとおり、本件商標の要部と引用商標は、称呼が共通し又は少なくとも近似するものであり、外観においても近似するのであるから、本件商標と引用商標は、互いに類似する商標であると考えるのが相当である。
(4)指定商品の類否について
本件商標の指定商品中、第9類「熱制御装置(サーモスタット)」は、引用商標の指定商品中、第9類「測定機械器具」と同一又は類似する。本件商標の指定商品中、第9類「静電接地用制御装置及び制御機器,温度調整装置,バッテリーチャージャー,電気コネクター,電力変換器取り付け用ブラケット,インバーター(電気式のもの)取り付け用ブラケット」は、引用商標の指定商品中、少なくとも、第9類「配電用又は制御用の機械器具」と同一又は類似する。本件商標の指定商品中、第9類「アキュムレータボックス(バッテリー),パワーパック(バッテリー),バッテリーパック,バッテリー並びにその部品及び附属品,バッテリー専用ラック,乗物用バッテリー用の固定金具」は、本件商標の指定商品中、少なくとも、第9類「光電池,太陽熱モジュール及び太陽電池モジュール,太陽熱パネル及び太陽電池パネル,太陽電池,太陽電池による発電装置,電池」と同一又は類似する。
2 まとめ
以上より、本件商標は、外観及び称呼において、引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかであり、また、本件商標は、引用商標の指定商品中の第9類の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、右端部に無限大を表す記号状の白抜き図形を配した青色塗り潰しの横長長方形(以下「上段図形」という。)を上段に、その下に「MAXION」の欧文字を太ゴシック文字で横書きし、さらにその下部に、黒の細線を横書きした左端部を下向きに曲げ、その先端部を「E」の欧文字を組み合わせてデザインされたもの(以下「E図形」という。)、そして、その右側に、やや小さい黄緑色の斜体字で「mobility」の欧文字を配した構成からなるところ、上段図形、「MAXION」の欧文字、並びにE図形及び「mobility」の文字からなる部分とは、重なることなく配置されていることからすると、それぞれが、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。
そして、本件商標は、その構成中の上段図形及びE図形が、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないものであるから、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものであり、また、上段図形、E図形、「MAXION」の欧文字及び「mobility」の欧文字とは、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているとはいえないものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能し得るものである。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、その構成中、太ゴシック調の文字で中央部に顕著に表された「MAXION」の欧文字部分に着目し、当該部分をもって取引に資する場合も決して少なくないとみるのが相当である。
さらに、当該「MAXION」の文字は、一般的な辞書等に載録されておらず、特定の意味合いをもって親しまれているような事情も見いだせない。
そして、特定の意味合いを有しない欧文字にあっては、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って発音するのが自然であるといえるところ、本件商標の構成中、「MAXION」の文字の中間に位置する「XI」の文字部分は、例えば、「洋装で、くるぶしが隠れる程度の長い丈。また、そのようなスカート。」を意味する語が「マキシ【maxi】」、「柔軟性のあるさま。融通のきくさま。」を意味するが「フレキシブル【flexible】」、「北米大陸南部の合衆国。」を意味する語が「メキシコ【Mexico】」、「複数の音声・映像を、相互にバランスをとり、また組合せを変えて一つにまとめる操作。」を意味する語が「ミキシング【mixing】」(以上、いずれも「広辞苑 第7版」株式会社岩波書店)と、いずれも「キシ」と発音される例に倣うと、本件商標の構成中「MAXION」の文字は、英語読みに倣って「マキシオン」の自然な称呼を生じるとみるのが相当である。
また、「MAXION」の文字は、一般の辞書等に載録されていない語であるから、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、上記第2のとおり、「MAXEON」の文字を標準文字で表してなり、当該文字は、一般的な辞書に載録されていない造語よりなるところ、その構成中の「XE」の文字部分は、当該文字を構成中に含む親しまれた英単語が極めて少ないものの、「X」に続く母音(e)を伴うことにより、英語の読みに倣って、「キセ」又は「クセ」と発音される(例えば、「キセノン(希ガス元素:記号Xe)」を意味する「xenon」が「キセノン」と、「画素(画像の最小構成単位)」を意味する「pixel」が「ピクセル」と発音される(以上、いずれも「ジーニアス英和辞典 第6版」株式会社大修館書店)とみるのが相当であるから、「マキセオン」又は「マクセオン」の称呼を生じるものである。
また、「XE」の文字を構成中に含む親しまれた英単語が極めて少ない事情にあって、引用商標の構成中、前半部が「最大。最大限。」を意味する平易な英語であり外来語として一般に広く使用される「MAX」の語(文字)と理解させるときには、その構成中、後半部が、「非常に長い期間」を意味する英語で「イーオン」と発音される「EON」の語(文字)であり(いずれも前掲ジーニアス英和辞典)、それぞれの語(文字)によって区切って認識される場合があるとすれば、構成全体よりは「マックスイーオン」又は「マックスイオン」の称呼も生じる余地がある。
観念については、引用商標は、一般の辞書等に載録されていない造語であるから、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標の要部である「MAXION」と引用商標「MAXEON」とは、その構成中、語頭部の「MAX」及び語尾部の「ON」の欧文字が共通にするとしても、4文字目に「I」と「E」という文字の差異を有し、この差異が共に6文字という比較的少ない文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、両者は、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
そして、本件商標の要部から生じる「マキシオン」の称呼と引用商標から生じる「マキセオン」の称呼は、語頭部の「マキ」の音及び語尾部の「オン」の音を共通とし、中間部において「シ」の音と「セ」の音の差異を有するところ、比較的短い5音の音構成にあっては、その差異音が全体の称呼に大きく影響し、両者を一連に称呼しても、語調、語感が相違し、聞き誤るおそれはないというべきであり、また、本件商標の要部から生じる「マキシオン」の称呼と引用商標から生じる「マクセオン」の称呼は、語頭部の「マ」の音及び語尾部の「オン」の音を共通とし、中間部において「キシ」の音と「クセ」の音の差異を有するところ、比較的短い5音の音構成にあっては、その差異音が全体の称呼に大きく影響し、両者を一連に称呼しても、語調、語感が相違し、聞き誤るおそれはないというべきである。
さらに、本件商標の要部から生じ得る「マキシオン」の称呼と引用商標から生じる「マックスイーオン」又は「マックスイオン」の称呼とは、その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、明瞭に聴別できるものである。
観念について、本件商標及び引用商標からは、いずれも特定の観念が生じないから、両商標は観念において比較することができない。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないから、両商標の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的して考察すれば、両商標は相紛れるおそれがない非類似の商標というのが相当である。
(4)申立人の主張について
申立人は、申立人らに関するウェブサイトにおいては、「maxeon」の語の読みは、常に「マキシオン」と表示されていることや、太陽電池パネルや蓄電池を含む太陽光発電関連システムの分野において、「マキシオン」の称呼をもって、取引者・需要者に認識されているものであるから、引用商標から通常生ずる称呼は「マキシオン」である旨を主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮すべき取引の実情は、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号、同49年4月25日第一小法廷判決参照)。
当該商標が現にその指定商品に使用されて「マキシオン」と呼称されているとの実情は、現時点において申立人が商標を実際に使用している具体的な商品についての取引の実情にすぎないから、本件商標と引用商標の類否の判断に当たり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情とはいえない。
(5)まとめ
したがって、本件商標と引用商標は、非類似の商標であるから、申立対象商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、申立対象商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(本件商標。色彩は、原本参照。)


(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意)
本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
異議決定日 2024-06-20 
出願番号 2022100422 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 渡邉 あおい
杉本 克治
登録日 2023-08-14 
登録番号 6726028 
権利者 イオシペ―マキシオン エス/エー
商標の称呼 マキシオンイイモビリティ、マクシオンイイモビリティ、マキシオン、マクシオン、マキション、マクション、イイモビリティ、モビリティ 
代理人 城山 康文 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 三好 秀和 
代理人 横川 聡子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ