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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1412482 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-08-15 
確定日 2024-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6706891号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6706891号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6706891号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和4年5月31日に登録出願、第18類「かばん類,抱っこ紐,袋型乳幼児用スリング,乳幼児用スリング」を指定商品として、令和5年4月25日に登録査定され、同年6月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、これらの商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2301695号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品 第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 昭和63年11月7日
設定登録日 平成3年2月27日
書換登録日 平成14年4月24日
2 登録第3265268号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
指定商品 第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成5年11月19日
設定登録日 平成9年2月24日
3 国際登録第776148号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲4のとおり
指定商品 第24類及び第26類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
国際商標登録出願日 2002年(平成14年)2月7日
優先権主張日 2001年(平成13年)8月16日(Germany)
設定登録日 平成15年6月27日
4 国際登録第1657111号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 別掲5のとおり
指定商品・役務 第9類、第14類、第16類、第18類、第24類、第25類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日 2021年(令和3年)12月8日
優先権主張日 2021年(令和3年)11月5日(Germany)
設定登録日 令和6年3月22日
5 国際登録第1676995号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 別掲6のとおり
指定商品 第9類、第14類及び第16類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
国際商標登録出願日 2021年(令和3年)12月8日
優先権主張日 2021年(令和3年)11月9日(Germany)
設定登録日 令和5年11月10日
なお、上記引用商標1ないし引用商標5をまとめていうときは、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 申立人及びその業務に係る商標「HUGO」について
申立人は、ドイツ・メッツィンゲンに本社を置く、1924年設立の世界的に有名な服飾品ブランドであり、戦後、紳士用スーツのブランドとして人気が定着した後、1980年代に、フレグランスや靴、アイウェアを扱い始め、1998年には婦人服、2009年には子供服も扱うなど取扱商品の範囲を広げている。
また、1982年から2017年までの間、F1のチームのスポンサーとしてドライバーやスタッフ用のスーツやユニフォームを供給したほか、2013年からはドイツのサッカー代表に公式スーツを提供している。
高級感を前面に押し出したブランド「BOSS」と、若年層に向けたカジュアルなブランド「HUGO」を二本柱とし、近年ではメジャーリーグで活躍する選手を起用した宣伝広告が話題となっている。
2 本件商標と引用商標の構成
(1)本件商標の構成
本件商標は「Hugoo」の英文字をやや丸みを帯びた書体で横書きに書してなり、「フゴー」「ヒュゴー」の称呼を生じる。
(2)引用商標の構成
引用商標1は「hugo」の英文字を横書きに書してなり、引用商標2は「HUGO」の文字を上段に大きく表してなり、下段に「HUGO BOSS」の文字を小さく表してなる。引用商標3は、「HUGO」の英文字を横書きに書してなり、引用商標4は「HU」と「GO」の文字を同じ大きさで2段に表してなり、引用商標5は「HUGO」の文字を横書きに表してなる。
引用商標は、その構成において若干の相違はあるものの、いずれも「HUGO(hugo)」の文字からなり、その構成に呼応して「フゴ」「フーゴ」「ヒューゴ」の称呼が生じる。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)本件商標と引用商標の外観
本件商標は「Hugoo」の英文字を横書きに書してなり、引用商標は、構成に若干の相違はあるものの、いずれも「HUGO(hugo)」の文字からなる。
本件商標と引用商標の外観を対比すると、「HUGO(hugo)」の4文字を共通にしている。
本件商標の構成中、最も目立ち看者の注意をひく語頭の4文字が引用商標と一致することから、本件商標と引用商標は外観上相紛らわしい類似の商標である。
(2)本件商標と引用商標から生じる称呼
本件商標からは、その文字に呼応して「フゴー」「ヒュゴー」の称呼が生じ、引用商標からは「フゴ」「フーゴ」「ヒューゴ」の称呼が生じる。
本件商標から生じる「フゴー」の称呼と、引用商標から生じる「フゴ」「フーゴ」の称呼を対比すると、長音の有無若しくは長音の位置(語の末尾が中間か)の相違にすぎず、かかる称呼上の相違は微細なものとして看者の印象に残りにくい。
また、本件商標から生じる「ヒュゴー」と引用商標から生じる「ヒューゴ」の称呼も、長音の位置の相違のみであり、長音以外の音節である「ヒュ」と「ゴ」を共通にするものである。
そうとすると、本件商標と引用商標を場所と時を異にする離隔観察により対比した場合には、需要者はその称呼の微細な相違を明確に認識することはできないから、これらの商標は称呼上類似する商標であり、互いに相紛れるおそれのある類似する商標といわざるを得ない。
(3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品中、第18類「かばん類」は、引用商標2の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」、引用商標4と引用商標5の指定商品中、第14類「jewellery rolls(ロール式宝石入れ)」及び第16類「money clip(紙幣用クリップ)」と類似する。
本件商標の指定商品中、第18類「抱っこ紐」は、引用商標1の指定商品中、第25類「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」、引用商標2の指定商品中、第18類「かばん類,袋物」、引用商標3の指定商品中、第26類「shoulder pads(肩パッド)」、引用商標4と引用商標5の指定商品中、第14類「jewellery rolls(ロール式宝石入れ)」及び第16類「money clip(紙幣用クリップ)」と類似する。
また、本件商標の指定商品中、第18類「袋型乳幼児用スリング,乳幼児用スリング」は、引用商標1の指定商品中、第25類「エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い」、引用商標3の指定商品中、第26類「shoulder pads(肩パッド)」と類似する。
(4)上記より、本件商標と引用商標は外観及び称呼において類似する商標であり、指定商品も類似するから、本件商標は引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
申立人は、前記第2の1ないし5のとおりの引用商標1ないし引用商標5を挙げ、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが、引用商標4及び引用商標5は、本件商標の登録査定時において設定登録されていないものであるから、当審は、本件商標と引用商標4及び引用商標5との関係における申立人の主張は、同法第8条第1項の規定に違反して登録された旨の主張と判断し、以下検討する。
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、全体としてややデザイン化された態様からなるものの、その文字構成から「Hugoo」の欧文字を表したものとみてとれるものである。
そして、「Hugoo」の文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を有しない一種の造語というのが相当である。
そして、特定の意味を有しない欧文字については、一般に、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼されることから、例えば、「hug」の語が「ハグ」、「goo」の語が「グー」と発音されることに照らせば、「Hugoo」の文字からなる本件商標からは「ハグー」の称呼が生ずるとみるのが自然である。
したがって、本件商標からは、「ハグー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2ないし別掲6のとおり、「hugo」又は「HUGO」の欧文字からなるか、「HUGO」の欧文字をその構成中に顕著に表してなるところ、該文字は、「ヒトゲノム国際機構」(「Human Genome Organization」)の略語(「デジタル大辞泉、goo辞書」参照)であって、「ヒューゴ」と発音されること、また、ローマ字の読みに倣えば、「フゴ」と称呼されることからすると、引用商標からは「ヒューゴ」又は「フゴ」の称呼が生ずるとするのが自然である。
そして、「hugo」又は「HUGO」の文字は、上記の意味合いを有するとしても、我が国において一般に親しまれた語とはいい難く、その意味合いまで知られているとはいい難いものであるから、当該文字は特定の意味合いを理解させることのない一種の造語として認識されるものである。
そうすると、引用商標からは、「HUGO(hugo)」の文字に相応して「ヒューゴ」又は「フゴ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者の外観は、本件商標が全体としてややデザイン化された文字からなるのに対し、引用商標はいずれも普通の書体で表されており、引用商標の構成文字「HUGO(hugo)」との比較において末尾が「oo」か「O(o)」かの差異を有するところ、当該差異は5文字と4文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観の視覚的印象に与える影響は小さいものといえないから、外観において両者は判然と区別し得るものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「ハグー」の称呼と引用商標から生じる「ヒューゴ」又は「フゴ」の称呼を比較すると、両者は構成音が明らかに相違するから、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明瞭に聴別し得るものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者の観念は比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼において区別し得るものであり、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
なお、申立人は、申立人が世界的に有名な服飾品ブランドであること、その取扱商品の範囲を広げていること、「BOSS」と「HUGO」のブランドを二本柱とし、宣伝広告が話題となっていることなどを述べているところ、その主張の趣旨は必ずしも明らかでないものの、これを「HUGO」の文字の周知、著名性を主張したものと解して検討しても、その周知性を客観的に確認できる証拠は全く提出されておらず、本件における判断を左右する事情とはいえない。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし引用商標3は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標3の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
また、本件商標と引用商標4及び引用商標5も非類似の商標であるから、本件商標と引用商標4及び引用商標5の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものとはいえない。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 引用商標1(登録第2301695号商標)


別掲3 引用商標2(登録第3265268号商標)


別掲4 引用商標3(国際登録第776148号商標)


別掲5 引用商標4(国際登録第1657111号商標)


別掲6 引用商標5(国際登録第1676995号商標)


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異議決定日 2024-06-11 
出願番号 2022067803 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W18)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 板谷 玲子
特許庁審判官 馬場 秀敏
小田 昌子
登録日 2023-06-13 
登録番号 6706891 
権利者 株式会社GRIT
商標の称呼 ハグー、ハゴー、フグー、フゴー 
代理人 山崎 和香子 
代理人 前川 純一 
代理人 岡野 真未子 
代理人 松永 章吾 
代理人 森田 拓 
代理人 大倉 桂子 
代理人 前川 砂織 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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