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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1412481 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-08-15 
確定日 2024-06-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6705094号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6705094号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6705094号商標(以下「本件商標」という。)は、「Hi−Think」の欧文字を横書きしてなり、令和4年11月1日に登録出願、第9類、第35類及び第42類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同5年4月20日に登録査定され、同年6月7日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2571577号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 THINK PAD
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成16年10月20日書換登録)
登録出願日 平成2年12月27日
優先権主張日 1990年(平成2年)6月29日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成5年8月31日
(2)登録第4679937号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 THINKCENTRE(標準文字)
指定商品 第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成14年12月4日
優先権主張日 2002年(平成14年)8月26日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成15年6月6日
(3)登録第4422628号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 THINKLIGHT(標準文字)
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成11年9月29日
設定登録日 平成12年10月6日
(4)登録第4899408号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 THINKPLUS(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成17年4月1日
設定登録日 平成17年10月7日
(5)登録第4679936号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 THINKVANTAGE(標準文字)
指定商品 第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成14年12月4日
優先権主張日 2002年(平成14年)8月26日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成15年6月6日
(6)登録第4696902号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 THINKVISION(標準文字)
指定商品 第9類及び第16類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成15年1月28日
優先権主張日 2002年(平成14年)12月12日(アメリカ合衆国)
設定登録日 平成15年8月1日
(7)登録第5180701号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 THINKSTATION(標準文字)
指定商品及び指定役務 第9類、第16類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成19年2月19日
設定登録日 平成20年11月14日
(8)国際登録第1344942号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の態様 THINKAGILE
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2017年(平成29年)2月28日
設定登録日 平成30年11月30日
(9)国際登録第1466979号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の態様 THINKBOOK
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2019年(令和元年)5月13日(事後指定)
優先権主張日 2018年(平成30年)11月16日(Singapore)
設定登録日 令和2年8月14日
(10)国際登録第1447376号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の態様 THINKREALITY
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2018年(平成30年)12月7日
優先権主張日 2018年(平成30年)12月7日(United States of America)
設定登録日 令和2年4月10日
(11)国際登録第1431022号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の態様 THINKSHIELD
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2018年(平成30年)10月4日
優先権主張日 2018年(平成30年)7月24日(United States of America)
設定登録日 令和2年4月10日
(12)国際登録第1324014号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の態様 THINKSYSTEM
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
国際商標登録出願日 2016年(平成28年)8月17日
設定登録日 平成29年10月27日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第9類「コンピュータ,コンピューター周辺機器,ICカード(スマートカード),コンピュータハードウェア,眼鏡,再充電可能な電池」及び第42類「コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,電子データの保存用記憶領域の貸与,ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,コンピュータソフトウェアの保守」(以下「申立商品役務」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標及び引用商標の要部について
(ア)本件商標
本件商標は、「Hi−Think」の欧文字をやや太めの書体で横書きしてなるものである。欧文字の「Hi」及び「Think」の頭文字のみが大文字であり、両単語の間に「−」(ハイフン)がある。「Hi」は「高い」を意味する英語の「high」の略語として使われている(甲3)。例えば、「Hi−Fi」(ハイファイ)など、「High Fidelity」(高忠実度、高再現性)の略語であり、音響機器などにおいて「原音や原画に忠実な再現」という意味を持つ(甲4)。「Think」の欧文字は「考える」等の意味を有し、日本人にとって相当な馴染みのある英単語である(甲5)。
J−platpatにおいて確認したところ、本件商標のように、「Hi−」と他の英単語や欧文字から構成され、申立商品役務と共通する類似群コードを有する指定商品又は指定役務において登録した先行商標は多数存在する(甲6、甲7)。当該登録状況に鑑みると、本件商標の「Hi−」の部分は、申立商品役務の分野において、ありふれた標章として使用されているともいえる。
また、前述したように、「Hi」は英語の「high」の略語として「高い」との意味をするため、本件商標の申立商品役務に使用する際に、あくまで当該商品又は役務の品質(質)を表示しているにすぎない、「Hi」の部分の識別力が極めて弱い、あるいはないともいえる。
さらに、本件商標の文字部分は「−」(ハイフン)を介して、間隔をもって表されていることから、視覚上、分離して看取されるばかりでなく、観念上もこれらを不可分一体のものとして把握しなければならない特段の事情もないから、本件商標は、それぞれ「Hi」と「Think」として認識できる。本件商標の構成中の「Hi」の欧文字は2文字しかなく、極めて簡単で、かつ、申立商品役務の分野においてありふれた表示であり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いものであるから、「Think」の文字が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものに相当する。「Think」の文字部分は、本件商標では7文字中5文字を占めて、商標の大部分を占めているから、本件商標の要部として看者の注意をひくものといえる。したがって、本件商標は、その構成中の「Think」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許される。
(イ)引用商標
引用商標1は、欧文字の「THINK PAD」をやや太めの書体で横書きしてなる。「THINK」と「PAD」の間にスペースがあるため、両単語を分離して看取することができる。また、「PAD」はタブレット端末等の電子製品に広く使われているため(甲8〜甲10)、引用商標1の指定商品「電子計算機,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」等に使用する時、識別力が極めて弱い、あるいはないといえる。したがって、「Think」の文字部分は、引用商標1の要部として抽出し、これを本件商標と比較して商標そのものの類否を判断すべきである。
引用商標4は、欧文字の「THINKPLUS」を標準文字で横書きしてなる。「PLUS」はスマートフォン等の電子製品において広く使われているため(甲11、甲12)、引用商標4の指定商品「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」等に使用する時、識別力が極めて弱い、あるいはないといえる。したがって、「THINK」の文字部分は、引用商標4の要部として抽出し、これを本件商標と比較して商標そのものの類否を判断すべきである。
引用商標12は、欧文字の「THINKSYSTEM」を横書きしてなる。「SYSTEM」は「装置」「システム」等の意味を有する英単語であり(甲13)、コンピュータやスマートフォン等の電子機器の「operating system」(オペレーティングシステム)及び関連分野において広く使われているため(甲14、甲15)、引用商標12の指定商品「operating systems software;computer software for systems administration」等に使用する時、識別力が極めて弱い、あるいはないといえる。したがって、「THINK」の文字部分は、引用商標12の要部として抽出し、これを本件商標と比較して商標そのものの類否を判断すべきである。
引用商標2ないし12はいずれも大文字の「THINK」及び他の大文字の欧文字から構成されるものであり、商標全体の構成は決して短いとはいえないため、取引者、需要者に対し、商標全体として視覚上にやや冗長感を与える。しかし、そのうち、「THINK」の欧文字は「考える」等の意味を有する英単語であり、日本人にとって相当な馴染みのある英単語であるため、需要者は冗長感がある引用商標2ないし12と接触する際に、「THINK」の部分は看取されやすいともいえる。さらに、引用商標2ないし12の構成においては、通常左から右へと読まれるため、最初に読まれる文字(単語)は最も需要者の注意力をひくものといえる。したがって、引用商標2ないし12の左にある「THINK」の文字部分は需要者の注意力をひく要部といえる。当該「THINK」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することが許される。
イ 商標の外観について
本件商標の要部及び引用商標の要部は「Think」又は「THINK」との文字が共通しているため、本件商標は、引用商標とは外観上近似した印象を与えるものであり、類似している。
ウ 商標の称呼について
称呼においては、本件商標の要部である「Think」の文字部分から「シンク」の称呼を生じ、引用商標の要部である「THINK」の文字部分からも「シンク」の称呼を生じることから、本件商標は、引用商標とは「シンク」の称呼を共通にする。よって、本件商標は引用商標と称呼において類似している。
エ 商標の観念について
本件商標は全体として、一種の造語として理解されるものであり、特定の観念は生じないため観念においては比較し得ない。
引用商標は、いずれも全体として、一種の造語として理解されるものであり、特定の観念は生じないため観念においては比較し得ない。
一方、前述のように、本件商標及び引用商標の要部は「THINK」であり、当該要部は「考える」等の意味合いを共通にする。
よって、本件商標と引用商標とは、全体として観念においては比較し得ないが、要部の観念は同一であるため、観念において類似している。
オ 商標の類否について
したがって、本件商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察すると、本件商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に、引用商標と出所混同のおそれがある。よって、本件商標は引用商標に類似する。
(2)商品又は役務の類否について
本件商標の申立商品役務は、引用商標の第9類の商品及び第42類の役務と需要者の範囲等が共通し、同じ類似群コードを有している。よって、本件商標の申立商品役務は、引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似である。
(3)まとめ
本件商標は申立人の引用商標に類似し、本件商標の申立商品役務は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似である。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「Hi−Think」の文字を横書きしてなるところ、「Hi」の文字と「Think」の文字の間に「−」(ハイフン)を介しているものの、同じ書体、同じ大きさで、間隔なく外観上まとまりよく一体的に表されており、構成全体から生じる「ハイシンク」の称呼もよどみなく一連に称呼できる。
そして、本件商標は、その構成中の「Think」の文字が、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情は見いだせないから、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更前半の「Hi−」の部分を捨象し、「Think」の文字のみに着目するというより、むしろ本件商標の構成全体をもって一体不可分のものと認識するとみるのが相当である。
また、本件商標は、構成全体として辞書等に掲載されている語ではなく、我が国において親しまれた意味合いを有する語でもないから、特定の意味合いを生じない一種の造語とみるべきものである。
以上によれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ハイシンク」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標
ア 引用商標1
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「THINK PAD」の欧文字を横書きしてなるところ、「THINK」の文字と「PAD」の文字の間に一文字程度の空白を有しているものの、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく表されており、構成全体から生じる「シンクパッド」の称呼もよどみなく一連に称呼できる。
そして、引用商標1は、その構成中の「THINK」の文字が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情は見いだせないから、引用商標1に接する取引者、需要者が、殊更「PAD」の文字を捨象し、「THINK」の文字のみに着目するというより、むしろ引用商標1の構成全体をもって一体不可分のものと認識するとみるのが相当である。
また、引用商標1は、構成全体として辞書等に掲載されている語ではなく、我が国において親しまれた意味合いを有する語でもないから、特定の意味合いを生じない一種の造語とみるべきものである。
以上によれば、引用商標1は、その構成文字全体に相応して「シンクパッド」の称呼を生じるが、特定の観念を生じない。
イ 引用商標2ないし引用商標12
引用商標2ないし引用商標12については、前記2(2)ないし(12)のとおり、引用商標2は「THINKCENTRE」の文字、引用商標3は「THINKLIGHT」の文字、引用商標4は「THINKPLUS」の文字、引用商標5は「THINKVANTAGE」の文字、引用商標6は「THINKVISION」の文字、引用商標7は「THINKSTATION」の文字をそれぞれ標準文字で表してなる。また、引用商標8は「THINKAGILE」の文字、引用商標9は「THINKBOOK」の文字、引用商標10は「THINKREALITY」の文字、引用商標11は「THINKSHIELD」の文字、引用商標12は「THINKSYSTEM」の文字をそれぞれ横書きしてなる。
そして、引用商標2ないし引用商標12は、いずれも同じ書体、同じ大きさで、間隔を設けることなく、外観上、まとまりよく一体的に表されているものであって、それぞれの構成中の「THINK」の文字が、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるとか、又はそれ以外の部分から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないというべき事情は見いだせないから、引用商標2ないし引用商標12に接する取引者、需要者が、それぞれの構成中の「THINK」の文字のみに着目するというより、むしろ、構成全体をもって一体不可分のものと認識するとみるのが相当である。
さらに、これらはいずれも一般の辞書類に掲載されている語ではなく、我が国において親しまれた意味合いを有する語でもないから、特定の意味合いを生じない一種の造語とみるべきものである。
そうすると、引用商標2ないし引用商標12は、それぞれの構成文字に相応して、「シンクセンター」「シンクライト」「シンクプラス」「シンクバンテージ」「シンクビジョン」「シンクステーション」「シンクアジャイル」「シンクブック」「シンクリアリティ」「シンクシールド」「シンクシステム」等の称呼を生じ得るが、特定の観念を生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字と引用商標のそれぞれの構成文字とは、「Think」(THINK)の文字部分のつづりを同一にするとしても、当該文字の前後において、「Hi−」の文字の有無、及び「(一文字程度の空白を設けた)PAD」「CENTRE」「LIGHT」「PLUS」「VANTAGE」「VISION」「STATION」「AGILE」「BOOK」「REALITY」「SHIELD」「SYSTEM」の文字の有無の差異をそれぞれ有することから、全体としては異なる語を表してなり、外観上容易に区別し得る。
次に、本件商標と引用商標の称呼を比較すると、両者は、「シンク」の音を同一にするとしても、当該音の前後において、「ハイ」の音の有無、及び「パッド」「センター」「ライト」「プラス」「バンデージ」「ビジョン」「ステーション」「アジャイル」「ブック」「リアリティ」「シールド」「システム」の音の有無の差異を有することから、全体の語調、語感は異なり、容易に聴別し得る。
さらに、観念においては、両者はともに特定の観念を生じないから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において容易に区別し得るから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は、以下の理由により、本件商標及び引用商標は、両者の構成中「Think」及び「THINK」の文字部分をそれぞれ要部として抽出し、これらを比較して商標の類否を判断すべきである旨主張する。
(ア)本件商標「Hi−Think」は、「−」(ハイフン)を介して表され、「Hi」の部分は自他商品識別標識としての機能を有しないか、極めて弱いから、「Think」の文字が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、また、「Think」の文字は本件商標の構成文字の大部分を占める。
(イ)引用商標1「THINK PAD」は、中間にスペースがあり、「PAD」の文字は「電子計算機」等について識別力が極めて弱い、あるいはない。
(ウ)引用商標4「THINKPLUS」は、その構成中「PLUS」の文字が「電子応用機械器具及びその部品」等について識別力が極めて弱い、あるいはない。
(エ)引用商標12「THINKSYSTEM」は、その構成中「SYSTEM」の文字が、その指定商品中「operating systems software」等に使用する時、識別力が極めて弱い、あるいはない。
(オ)引用商標2ないし引用商標12は、いずれも「THINK」の文字と他の欧文字から構成され、商標全体の構成は決して短いものとはいえず視覚上やや冗長感を与え、「THINK」の文字はなじみのある英単語であり看取されやすい上、最初に読まれる左にあるから最も需要者の注意力を引く。
イ しかしながら、上記(1)及び(2)のとおり、本件商標及び引用商標は、それぞれ構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握されるというべきものである。
そして、申立人の主張及び提出された証拠(甲4、甲8〜甲12、甲14、甲15)からは、本件商標、引用商標1、2及び4の構成中の「Hi」「PAD」「PLUS」「SYSTEM」の各文字が、それぞれの指定商品又は指定役務の分野において使用されている場合があることがうかがえるとしても、これらの語が直ちに自他商品及び役務の識別標識としての機能を欠くものとまでは認められない。
その他、本件商標及び引用商標の構成中の「Think」及び「THINK」の文字が、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標及び引用商標において、構成中の「Think」及び「THINK」の文字が要部として抽出されるべきものとは認められないから、申立人の上記の主張は採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、その指定商品及び指定役務中、申立商品役務と引用商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本件商標の申立商品役務についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲(本件商標の指定商品及び指定役務)
第9類「コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム,サーバー利用アクセスの制御用及び管理用のコンピュータソフトウエア,データベース管理用コンピュータソフトウエア,コンピュータ記憶装置,電子出版物(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ダウンロード可能なモバイル機器用のアプリケーションソフトウェア,教育用電子応用機械器具,スマートフォン用のケース,アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル,教育用映像・音声周波機械器具及び電子応用機械器具,コンピュータプログラム(記憶されたもの),データ処理装置,コンピュータ,コンピューター周辺機器,ICカード(スマートカード),コンピュータハードウェア,眼鏡,再充電可能な電池」
第35類「コンピュータによるファイルの管理,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベース内のデータの更新及び保守,マーケティング,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,事業戦略の分野における指導及び助言,ウェブサイト経由による事業に関する情報の提供,広告,人事管理に関する指導及び助言,コンピュータへのデータ入力,スポンサー探し,事業の管理に関する指導及び助言,販売促進のための企画及び実行の代理,コンピュータデータベースへの情報構築,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,事業の管理に関する助言,事業の評価,販売促進のための検索エンジンの検索結果の最適化」
第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,電子データの保存用記憶領域の貸与,情報技術(IT)に関する助言,データ処理用コンピュータプログラムの開発及び作成,技術的な研究,データ処理用プログラムの作成,ダウンロード可能なクラウドコンピューティング用ソフトウェア,工業デザインの考案,室内装飾のデザインの考案,コンピュータプログラムの設計・作成又は保守,コンピュータプログラムの開発,コンピュータソフトウェアのバージョンアップ,コンピュータの貸与,コンピュータソフトウェアの貸与,コンピュータソフトウェアの保守,他人のためのウェブサイトの作成及び保守,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),ウェブサイト経由によるコンピューター技術及びコンピュータプログラミングに関する情報の提供」

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異議決定日 2024-06-19 
出願番号 2022125122 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大島 康浩
特許庁審判官 小林 裕子
阿曾 裕樹
登録日 2023-06-07 
登録番号 6705094 
権利者 信華信技術股▲フン▼有限公司
商標の称呼 ハイシンク、シンク 
代理人 行田 朋弘 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 小暮 理恵子 

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