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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W40
管理番号 1412402 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-11-22 
確定日 2024-06-24 
事件の表示 商願2022−110307拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年9月26日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年4月19日付け:拒絶理由通知書
令和5年6月1日:意見書の提出
令和5年9月21日:手続補正書の提出
令和5年10月5日付け:拒絶査定
令和5年11月22日:審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「TOA」の文字を標準文字で表してなり、第40類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定役務については、原審における上記1の手続補正により、第40類「受託による化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品の製造」に補正されたものである。

3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標(以下の商標をまとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5162956号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:平成19年12月20日
設定登録日:平成20年8月29日
指定商品及び指定役務:第4類「固形潤滑剤,固体燃料,液体燃料,気体燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」及び第40類「石油の精製」
(2)登録第5971986号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成28年12月8日
設定登録日:平成29年8月10日
指定商品及び指定役務:第4類「固体燃料,液体燃料,気体燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」及び第40類「石油の精製」

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「TOA」の文字を標準文字で表してなるところ、これは辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語ともいい難いから、造語として看取されるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して「トーア」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲1のとおり、黒い横長の六角形の枠の中に「TOA」の欧文字を赤色にて表してなるところ、当該六角形の枠は、文字部分の装飾や背景として看取、認識されるものであるとみるのが相当であって、当該枠部分から特定の称呼及び観念は生じない。
そうすると、引用商標1は、構成中の「TOA」の文字が、役務の出所識別標識として、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるといえるから、当該「TOA」の文字を要部として抽出し、これと本願商標を比較して、商標の類否を判断することも許される。
そして、「TOA」の文字は、上記(1)と同様に、特定の意味合いを有しない造語と認められる。
以上を踏まえると、引用商標1は、構成中の「TOA」の文字部分から「トーア」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
イ 引用商標2
引用商標2は、別掲2のとおり、「O」の文字が赤色と黄色を用いてややデザイン化されているものの、複数色を重ね合わせたりするデザインは普通に採択される範囲のものといえ、「O」の文字であることは十分に認識されるものであるから、引用商標2が全体として「TOA」の欧文字から構成されることは容易に看取されるものである。そして、「TOA」の文字は、上記(1)と同様に、特定の意味合いを有しない造語と認められる。
そうすると、引用商標2は、構成中の「TOA」の文字部分から「トーア」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、その全体の外観構成において相違するものの、本願商標の「TOA」と、引用商標の「TOA」の文字とを比較すると、両者はいずれも「TOA」のつづりを共通にするものであるから、外観において類似する。
次に、称呼においては、本願商標の「TOA」の文字から「トーア」の称呼を生じ、引用商標の「TOA」の文字から「トーア」の称呼を生じることから、両者は、「トーア」の称呼を共通にするものである。
そして、観念においては、本願商標の「TOA」と引用商標の「TOA」は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
以上からすると、本願商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観において類似し、「トーア」の称呼を共通にするものであるから、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
ア 役務の類否判断について
商標法第4条第1項第11号における役務の類否の判断は、取引の実情、すなわち、a)提供の手段、目的又は場所が一致するかどうか、b)提供に関連する物品が一致するかどうか、c)需要者の範囲が一致するかどうか、d)業種が同じかどうか、e)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか、f)同一の事業者が提供するものであるかどうか等を総合的に考慮して判断をすべきものであり、その類否は、2つの役務に同一又は類似の商標が使用された場合、これに接する取引者、需要者が役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきものである。
そこで、これを踏まえて、本願の指定役務である第40類「受託による化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品の製造」(以下「本願指定役務」という。)と、引用商標の指定役務中の第40類「石油の精製」(以下「引用指定役務」という。)の類否について検討する。
イ 本願指定役務と引用指定役務の類否について
(ア)提供の場所、目的及び事業者について
本願指定役務は、依頼者からの委託を受け、化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品の製造するものであり、主として商品の販売元に代わって、受託会社が化粧品等を製造するものである。当該役務は、いわゆるOEM(Original Equipment Manufacturingまたは Original Equipment Manufacturerの略語)と言われる経営形態であり、一般に、役務提供者の製造設備を用い、役務提供者自らが調達した原材料や保有するノウハウを用いて、依頼者が希望する製品を完成させ、納品するものである。そして、本願指定役務を取り扱う分野において、別掲3(1)のとおり、当該分野の専門業者によって提供されている。
他方、引用指定役務は、依頼者からの委託を受け、海外の油田から輸入された原油を役務提供者の製造設備である石油化学コンビナート内の石油精製工場(製油所)において、ガソリン、軽油、灯油等の石油製品への精製を行うものである。そして、当該役務は、「石油の備蓄の確保等に関する法律」や「揮発油等の品質の確保等に関する法律」等の法律に基づき、行政の許可や確認、監督の下で提供されるものであり、別掲3(2)のとおり、限られた事業者によって提供されている役務であるといえる。
(イ)需要者について
本願指定役務は、化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品を取り扱っている企業等(化粧品メーカーや日用品メーカー等)が需要者であり、個別の依頼や契約等に基づいて役務の提供を行うものである。
他方、引用指定役務は、石油を取り扱っている企業等が需要者であり、個別の依頼や契約等に基づいて役務の提供を行うものである。
(ウ)業種について
本願指定役務に関する業種としては、日本標準産業分類(https://www.soumu.go.jp/main_content/000290728.pdf)によると、本願指定役務の提供者の業種は、化粧品や薬剤の製造業が属する「化学工業」に分類されるのに対し、引用指定役務の提供者の業種は石油精製業が属する「石油製品・石炭製品製造業」に分類される。
(エ)本願指定役務と引用指定役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じかどうか
本願指定役務は、医薬品や化粧品等の運用を定めた、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の法律に基づき、行政の許可や確認、監督のもと提供される。
他方、引用指定役務は「石油の備蓄の確保等に関する法律」や「揮発油等の品質の確保等に関する法律」等の法律に基づき、行政の許可や確認、監督のもと提供される。いずれも、行政への届け出や報告、許可が必要であるが、そのための業務内容は異なる。また、事業者を規制する法律も異なる。
(オ)小括
上記のとおり、両指定役務は、役務の提供の目的、提供場所、事業者、需要者の範囲、業種及び事業者を規制する法律のいずれにおいても、一致するとはいえないものである。
以上よりすれば、本願指定役務と、引用指定役務とは、非類似の役務とみるのが相当である。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似するものであるが、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務は類似しないものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



別掲

別掲1 引用商標1(色彩は原本を参照。)


別掲2 引用商標2(色彩は原本を参照。)


別掲3 「受託による化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品の製造」と「石油の精製」の役務がそれぞれの分野の専門業者によって提供されている事実(下線は当審が付した。)
(1)「受託による化粧品・歯磨き粉・せっけん類・化粧用具及び医薬品の製造」の役務の提供を行っている企業の一例
ア 「株式会社東洋新薬」のウェブサイトにおいて、「事業内容」の項目に「医薬品の受託製造、販売」及び「化粧品の受託製造、販売」との記載がある。
https://odem.toyoshinyaku.co.jp/company/
イ 「株式会社美粧ケミカル」のウェブサイトにおいて、「美粧ケミカルは、スキンケア製品をはじめとして、ヘアケア製品、フレグランス製品、ボディケア製品、医薬部外品など様々な製品の製造を行っている化粧品OEMメーカーです。」との記載がある。
http://www.bisho.co.jp/oem/
ウ 「株式会社サンワ・ウイングス」のウェブサイトにおいて、「コスメやオリジナル化粧品・基礎化粧品・枠練り石鹸のOEM(ODM)&受託製造ならサンワ・ウイングス」との記載がある。
https://www.sanwa-c.co.jp/?gad_source=1&gclid=EAIaIQobChMI3rjtgt_FhQMVytQWBR0VFw-GEAAYASAAEgKx7PD_BwE
エ 「株式会社大阪エース」のウェブサイトにおいて、「OEMブランドの製造」の見出しの下、「固形石鹸をはじめ、基礎化粧品、ボディケア、へアケア、雑貨など多品種な製品開発が可能です。弊社では、素肌を育てるスキンケアをモットーに製品の見た目や使用感に特徴を持たせることを得意としております。」との記載がある。
https://cocoon-soap.com/oem/
オ 「株式会社ゼロ・インフィニティ」のウェブサイトにおいて、「歯磨き粉のOEM製造開発ならゼロ・インフィニティにお任せ下さい。ゼロ・インフィニティでは、化粧品をはじめとするOEM製造を得意としており、バリエーション豊富な容器をご用意や、ラベル・パッケージのデザインも社内のデザイナーが無料でお客様のご希望に合わせて提案・作成いたします。また、OEM製品や容器の小ロットでの発注にも対応しております。」との記載がある。
https://www.zero-infinity.co.jp/oem/oem_cosme/dentifrice/
(2)「石油の精製」の役務の提供を行っている企業の一例(下線は当審が付した。)
ア 「株式会社日本経済新聞社」の「NIKKEI COMPASS」のウェブサイトにおいて、「石油開発・精製・販売の会社 (26社登録)\石油類の資源開発(油田開発・原油採掘)、石油(原油)の精製・販売(元売り)を行う。鉱区保有に関わる権益の保有を含む。」との記載があり、企業の紹介がなされている。
https://www.nikkei.com/compass/search/Y2F0ZWdvcnk9Y29tcGFueSZpbmR1c3RyeVM9MDAxMQ
イ 「富士石油株式会社」のウェブサイトにおいて、「事業内容」として、「原油の輸入、石油の精製ならびに石油製品および石油化学基礎製品の製造、加工、貯蔵、輸出入および売買等」との記載がある。
https://www.foc.co.jp/ja/corporate/profile.html
ウ 「鹿島石油株式会社」のウェブサイトにおいて、「事業内容」として、「石油精製業」との記載がある。
https://www.kashima-oil.co.jp/company/
エ 「コスモエネルギーホールディングス株式会社」のウェブサイトにおいて、「石油事業(精製・販売)」の見出しの下、「コスモエネルギーグループの中核会社であるコスモ石油にて主に原油の調達から石油製品の製造・物流・輸出入を行っています。同じく中核会社であるコスモ石油マーケティングでは、石油製品を含めたグループ商品を法人・個人のお客様に販売しています。」との記載がある。
https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/company/business/petroleum.html



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審決日 2024-06-06 
出願番号 2022110307 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W40)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 大島 康浩
特許庁審判官 小林 裕子
大塚 正俊
商標の称呼 トア、トーア、テイオオエイ 
代理人 並川 鉄也 
代理人 小谷 昌崇 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 江島 絢子 
代理人 渡部 彩 
代理人 田中 尚文 

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