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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W35
管理番号 1412401 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-10-12 
確定日 2024-07-07 
事件の表示 商願2023−13108拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続経緯
本願は、令和5年1月26日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 4月 5日付け:拒絶理由通知書
令和5年 5月11日受付:意見書
令和5年 7月13日付け:拒絶査定
令和5年10月16日 :審判請求書

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
ア 登録第431730号(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ひよこ」の文字を平仮名で横書きしてなるもの
登録出願日:昭和26年2月16日
設定登録日:昭和28年9月21日
指定商品:第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつまめ・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,干菓子,蒸し菓子,掛物菓子,ビスケット,カステラ,ドロップ,アイスクリーム,あめ,砂糖漬け,いり豆,パン、但し、もちを除く」
イ 登録第524914号(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「ひよ子」の文字を縦書きしてなるもの
登録出願日:昭和32年6月4日
設定登録日:昭和33年8月1日
指定商品:第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつまめ・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち菓子,干菓子,蒸し菓子,掛物菓子,ビスケット,カステラ,ドロップ,アイスクリーム,あめ,砂糖漬け,いり豆,パン」
ウ 登録第779390号(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「HIYOKO」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:昭和39年8月21日
設定登録日:昭和43年4月25日
指定商品:第30類「菓子及びパン」
エ 登録第2648221号(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「HIYOCO」の欧文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成4年2月13日
設定登録日:平成6年4月28日
指定商品:第30類「菓子,パン」
オ 登録第3219124号(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:「ヒヨコ」の片仮名を縦書きしてなるもの
登録出願日:平成5年12月 3日
設定登録日:平成8年11月29日
指定商品:第30類「菓子及びパン」
カ 登録第5053653号(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:「ひよ子」の文字を横書きしてなるもの
登録出願日:平成18年9月14日
設定登録日:平成19年6月 8日
指定商品:第30類「菓子及びパン」
キ 登録第5053654号(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:「ひよこ」の平仮名及び「HIYOKO」の欧文字を二段に横書きしてなるもの
登録出願日:平成18年9月14日
設定登録日:平成19年6月 8日
指定商品:第30類「菓子及びパン」
(2)商標法第4条第1項第15号について
本願商標は、「ひよこのケーキ屋」の文字を横書きし、その構成中、「の」の文字は卵の図形内に有してなるところ、これに類似する「ひよ子」(以下「引用標章」という。)の文字は、福岡県福岡市所在の株式会社ひよ子が、菓子等について使用する商標として、本願商標の登録出願前から広く知られているものである。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用するときは、その役務があたかも前記会社又は同会社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法4条第1項第11号について
ア 本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、「ひよこ」の文字(茶色)、割れた卵の中に「の」の文字(黄色)、「ケーキ屋」の文字(茶色)を、丸みを帯びた同一の書体で、間隔を空けずに横一列に配置してなるから、外観上まとまりのよい印象を与えるものである。
また、本願商標の構成中「ひよこ」の文字部分は「鳥の子。ひな。」の意味を有する語、「の」の文字部分は「前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する。」格助詞、「ケーキ」の文字部分は「西洋風の生菓子。」の意味を有する語、「屋」の文字部分は「その職業の家またはその人を表す語。」の意味を有する語であるところ(いずれも「広辞苑第七版」岩波書店)、本願商標のようなまとまりのよい構成においては、構成全体として何らかのケーキ屋の名称に通じるような、一体不可分の造語を表したものと認識、把握される。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ヒヨコノケーキヤ」の称呼を生じるが、特定の観念を生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、上記3(1)アからキのとおり、「ひよこ」、「ひよ子」、「ヒヨコ」、「HIYOKO」及び「HIYOCO」の文字を書してなるところ、それぞれ「鳥の子。ひな。」の意味を有する「ひよこ」の語に通じる。
そうすると、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「ヒヨコ」の称呼を生じ、「鳥の子。ひな。」程度の観念を生じ得る。
ウ 本願商標と引用商標の比較
本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、構成文字全体としては異なる語を表してなり、その他に図形部分の有無や文字種、書体の差違などもあるから、判別は容易である。
また、称呼においては、語頭の「ヒヨコ」の音を共通にするとしても、語尾の構成音の有無の差違により、全体の語調、語感は明らかに異なるから、聴別は容易である。
さらに、観念においては、本願商標からは特定の観念を生じない一方、引用商標からは「鳥の子。ひな。」の観念を生じるため、本願商標と引用商標とは、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、互いの印象を異にする別異の商標であり、商品及び役務の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法4条第1項第15号について
ア 本願商標と引用標章の類似性
引用標章「ひよ子」は、引用商標2及び引用商標6と構成文字を共通にするから、本願商標とは、上記(1)と同様の理由により、互いの印象を異にする別異の商標といえる。
イ 引用標章の独創性
引用標章は、一般的な辞書に掲載されている普通名詞の「ひよこ」の語に通じ、造語ではなく、独創性が高いものではない。
ウ 本願指定役務の分野における引用標章の周知性
当審による職権調査によれば、引用商標が商品「菓子」について使用されている実情があることは把握できるとしても、本願商標の指定役務である「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務と関連して、店名等として広く使用されている実情を見いだすことはできないから、本願商標の指定役務に係る需要者の間において、広く認識されている商標とはいえない。
エ 出所の混同を生ずるおそれ
上記のとおり、本願商標と引用標章は別異の商標であり、引用標章の独創性は高いものではなく、また、本願商標の指定役務の分野において広く認識されている商標ではないから、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用標章を連想又は想起させるものではなく、その役務が、他人(株式会社ひよ子)又は同人と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのごとく、その役務の出所の混同を生じるおそれはない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当しないから、それらに該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



別掲
別掲 本願商標(色彩は、原本参照。)


(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審決日 2024-06-24 
出願番号 2023013108 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W35)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 大島 康浩
特許庁審判官 吉沢 恵美子
阿曾 裕樹
商標の称呼 ヒヨコノケーキヤ、ヒヨコノ、ヒヨコ 

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