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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 取り消して登録 W31
管理番号 1412383 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-07-07 
確定日 2024-07-05 
事件の表示 商願2022− 81327拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年7月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月 8日付け:拒絶理由通知書
令和5年 2月14日受付:意見書の提出
令和5年 3月30日付け:拒絶査定
令和5年 7月 7日受付:審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 3月27日付け:審尋
令和6年 5月 7日受付:意見書の提出

2 本願商標
本願商標は、「Aoyama Flower Market」の文字を標準文字で表してなり、第31類、第39類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願され、その後、本願の指定商品及び指定役務は、令和5年7月7日受付の手続補正書により、第31類「生花の花輪,生花の花輪・リース,装飾用生花のリース,花束,花,生花のブーケ」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、「Aoyama Flower Market」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「Aoyama」の文字は、「東京都港区の地名。」や「姓氏の一。」を表す「青山」の文字を欧文字表記したものと容易に認識されるものである。
そして、その構成中の、「Flower」の文字は、「花」を、「Market」の文字は、「市場、マーケット」等をそれぞれ意味する英単語であるから、「Flower Market」の文字部分からは、「花の市場」程の意味合いが容易に認識される。
また、「Flower Market」の文字や、その表音である「フラワーマーケット」の文字が、「花屋」を表す文字として、一般的に使用されている事実が確認できるから、本願商標全体からは、「東京都港区青山にある花屋」、あるいは「青山氏による花屋」程の意味合いが容易に認識されるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品・役務中、第31類及び第39類の指定商品・役務に使用しても、これに接する需要者は、単に、「地名」あるいは「ありふれた氏」を表す「Aoyama」の文字と、商品の販売地や役務の提供場所である「花屋」を表す「Flower Market」の文字を、組み合わせたに過ぎないものと認識するにとどまり、自他商品・役務識別標識とは認識し得ないとみるのが相当であるから、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)本願商標の使用による識別性について
意見書によると、本願商標を用いた店舗数等は確認できるものの、本願商標を使用した出願人の商品及び役務の売上げの規模、市場シェア等は不明であり、また、本願商標を、第31類及び第39類に記載された全ての指定商品・役務について使用されている事実も確認することができない。さらに、取引者・需要者を対象とした本願商標の認識度を客観的に示す資料もないから、出願人の提出に係る証拠のみでは、本願商標が使用による識別力を獲得したことを立証するには十分とはいえず、本願商標は、これが使用された結果、全国的に周知性を獲得したとはいい難く、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
したがって、本願商標について、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるに至っているものに該当するという出願人の主張は採用できず、さきの認定を覆すことはできない。

4 当審における審尋
当審において、令和6年3月27日付け審尋により、本願商標が補正後の指定商品との関係において、商標法第3条第1項第6号に該当し、また、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得しているものとは認められない旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、請求人に対し、これに対する回答(意見)を求めるとともに、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得していることを客観的に示す証拠資料の提出を求めた。

5 審尋に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記4の審尋に対し、令和6年5月7日に意見書を提出し、要旨以下のとおりの意見を述べた。
(1)審尋において、「請求人は、2022年の請求人自身の売上げが約106億円であるのに対し、本願商標を使用した店舗における売上げが約85億円であり、これは全体の売上げの約8割程度である旨主張するが、請求書に貼付された「売上の規模に関する資料」及び「各店舗の売上の規模を示す資料」は、文字が小さく、不鮮明で判読が難しいものである上、公表資料であるのか等の資料の出典も明らかでなく、請求人の主張を客観的に確認することができない」と認定されたことに対し、請求人は、文字を大きく鮮明にした上記の資料を提出する。
(2)請求人は、本願商標が使用により自他商品の識別性を獲得していることを示すため、請求人以外の者による紹介記事等の証拠物を提出する。

6 当審の判断
(1)本願商標は、「Aoyama Flower Market」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「Aoyama」の文字は、「東京都港区の地名。」や「姓氏の一。」(出典:株式会社小学館「デジタル大辞泉」)を表す「青山」の文字を欧文字表記したものと認識されるものである。
また、その構成中、「Flower」の文字は、「花」を、「Market」の文字は、「市場」等をそれぞれ意味する英単語として広く一般に知られるものであるから(出典:株式会社小学館「ランダムハウス英和大辞典第2版」)、「Flower Market」の文字部分からは、「花の市場」程の意味合いが容易に理解される。
そして、原審提示のインターネット情報にもあるとおり、「Flower Market」の文字や、その表音である「フラワーマーケット」の文字が、「花屋」を表す文字として、一般に使用されている実情がうかがえることよりすれば、本願商標全体からは、「東京都港区青山にある花屋」、あるいは、「青山氏による花屋」程の意味合いが容易に看取されるものといえる。
そうすると、本願商標の補正後の指定商品との関係においては、本願商標は、単に、「地名」又は「ありふれた氏」を表す「Aoyama」の文字と、商品の販売地である「花屋」を表す「Flower Market」の文字とを組み合わせたにすぎないものといい得るものである。
(2)しかしながら、請求人は、令和5年7月7日受付の手続補正書において、上記1のとおりの商品に補正を行うとともに、同日受付の審判請求書及び同6年5月7日受付の意見書(以下「当審意見書」という。)において、本願商標は、その指定商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものである旨主張し、証拠方法として、実績資料1ないし54及び当審意見書に添付の表や画像を提出しているところ、上記証拠及び請求人の主張(令和5年2月14日受付の意見書(以下「原審意見書」という。)における主張を含む。)並びに職権による調査によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、1989年に生花販売業を開始し、1993年に最初の店舗をオープンしてから現在に至るまで約30年間、「Aoyama Flower Market」の文字(以下「使用標章」という。)を使用して、商品「生花の花輪,生花の花輪・リース,装飾用生花のリース,花束,花,生花のブーケ」を取り扱っている(原審意見書に貼付された店舗外観写真、請求書に貼付された「生花の花輪」「生花の花輪・リース」「装飾用生花のリース」「花束」「花」「生花のブーケ」についての各写真)。
イ 2021年末時点において、使用標章を使用した店舗は、北海道から九州までの国内のみならず、ロンドンとパリに各1店舗ずつの海外を含む123店舗存在し(原審意見書に貼付された店舗外観写真及び当審意見書)、2022年の請求人自身の全体の売上げが約106億円であり、そのうち、使用標章を使用した店舗における売上げが約85億円と、全体の売上げの約8割程度を占める(請求書本文及び当審意見書における請求人の主張)。
ウ 農林水産省による報告書「花きの現状について」(令和5年4月)の3ページには、花きの国内消費の総額は1.1兆円(11,000億円)であることが示されていることからすれば、上記使用標章を使用した店舗の売上げ(約85億円)は、日本の花きの市場の0.8パーセントのシェアを占めることとなる(請求書本文及び当審意見書に添付の表)。
エ 上記店舗は、各地域の駅構内や駅に隣接する施設内、駅から近い場所等、極めて人通りの多い立地にテナントを構えており、ほぼ全ての店舗の前面又は入口上方に使用標章が大きく表示され、販売に係る商品である生花等が店舗の外から視認できるようになっている(原審意見書に貼付された店舗外観写真)。
オ 以下(ア)ないし(テ)のとおり、請求人以外の者が、全国的に販売ないし放送等されている新聞、テレビ番組、雑誌、書籍及びウェブサイトの各媒体を通じて、使用標章を用いた請求人の店舗の紹介やイベントの開催情報の提供等を行っている事例がある(当審意見書に添付の画像)。
(ア)2019年1月30日/日経MJ新聞(全国版)の「パリ百貨店にポップアップ店」の見出しの記事において、「「青山フラワーマーケット」は2月3日まで、世界最古とされるパリの百貨店に花を販売するポップアップストアを出店する。」の記載とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(イ)2019年3月25日/朝日小学生新聞(全国版)の「みんなのお仕事 花屋」「日々の生活に一輪の花を」の見出しの記事において、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(ウ)TBS「王様のブランチ」(買い物の達人)において、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(エ)テレビ東京「WBS」において、「バレンタインデー 男性たちが花求め続々」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(オ)テレビ朝日「スーパーJチャンネル」において、「注目“コロナ疲れ”花見で癒やす 外出せずとも楽しむ術とは」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(カ)日本テレビ「それって!?実際どうなの課」において、「青山フラワーマーケットに来ました」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(キ)日本テレビ「バカリズムの大人のたしなみズム」において、「植物のある暮らし ボタニカルライフ」「駅中の花屋にも季節の花が置いてある」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(ク)TBS「初耳トレンディ」において、「ズボラさんも失敗しない観葉植物」「国内最大級の店舗数 青山フラワーマーケット」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(ケ)日本テレビ「ゼロイチ」において、「爆買いさんはどんな人?」「青山フラワーマーケット 南青山本店」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(コ)TBS「王様のブランチ」において、「買い物の達人」「みちょぱ結婚祝い」「10万円でお買い物」「青山フラワーマーケット 南青山本店」の字幕とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(サ)「花時間2020[春夏]」(出版社:株式会社KADOKAWA)の「時代とともに進化しています いまどきスタイルの花屋さんに注目!」の見出しのページにおいて、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(シ)「フローリスト2022年8月号」(出版社:誠文堂新光社)において、「五感が研ぎ澄まされる世界でも稀にみる大型花店誕生!」「Aoyama Flower Market南青山本店」の記載とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(ス)「フローリスト2023年2月号」(出版社:誠文堂新光社)において、「絶えず手を加え、進化し続けるAoyama Flower Marketのブランディング」の記載とともに、「Aoyama Flower Market」の表記が確認できる。
(セ)「Forbes JAPAN」のウェブサイト(https://forbesjapan.com/articles/detail/29390)において、「週末のパリの花屋に「男性客」が多い理由」の見出しの下、青山フラワーマーケット・パリ店の様子とともに、「Aoyama Flower Market」を表示した看板が確認できる。
(ソ)「FASHIONSNAP」のウェブサイト(https://www.fashionsnap.com/article/2021-09-30/aoyamaflowermarket-hanshin/)において、「青山フラワーマーケットの新コンセプトショップが阪神梅田本店にオープン、ピンクの花や雑貨を展開」の見出しの下、「「青山フラワーマーケット(Aoyama Flower Market)」が、新コンセプトショップ「Pink by Aoyama Flower Market」を阪神梅田本店に出店する。オープン日は10月8日。同店ではピンクの花や植物、雑貨のみを取り扱う。」の記載がある。
(タ)「FASHION PRESS」のウェブサイト(https://www.fashion-press.net/news/81466)において、「“ペールピンク&シルバーグリーン”のフラワーギフト&クリスマスリース、青山フラワーマーケットから」の見出しの下、「青山フラワーマーケットは、2021年クリスマスシーズンに向けた「フラワーギフト」を青山フラワーマーケット全店舗で発売する。」の記載とともに、「Aoyama Flower Market」の表記が確認できる。
(チ)「マイナビニュース」のウェブサイト(https://news.mynavi.jp/article/20230206-2582131/)において、「「フラワーバレンタイン」どの花を贈ったらいい?フラワーショップ店員に聞いたトップ5」の見出しの下、「Aoyama Flower Market(青山フラワーマーケット)は1月30日、「青山フラワーマーケットのスタッフ100名がバレンタインにおすすめな花トップ5」を発表した。」の記載がある。
(ツ)「RETRIP」のウェブサイト(https://rtrp.jp/articles/137027/)において、「【終了】約100種のチューリップが勢ぞろい。南青山にて「青山チューリップ祭り」開催」の見出しの下、「「Aoyama Flower Market」、「Aoyama Flower Market TEA HOUSE」、フラワースクール「hana−kichi」の南青山本店では、2月23日(木・祝)〜2月26日(日)の4日間、約100種のチューリップを揃えた「青山チューリップ祭り」が開催されます。」の記載がある。
(テ)「PR TIMES」のウェブサイト(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000123.000007230.html)において、「【青山バラ祭り】一番人気のピンクのバラが100種類も勢揃い!」の見出しの下、「株式会社パーク・コーポレーション(本社:東京都港区、代表取締役:井上 英明)が運営する「Aoyama Flower Market(以下、青山フラワーマーケット)」、「Aoyama Flower Market TEA HOUSE(以下、ティーハウス)」、フラワースクール「hana−kichi(以下、ハナキチ)」の南青山本店では、4月20日(木)〜4月23日(日)の4日間、ピンクのバラだけで100種を揃えた「青山バラ祭り」を開催します。」「青山フラワーマーケット南青山本店がオープンして30周年を迎える記念として、旬を迎える一品目にフォーカスし、店内いっぱいにその花をご用意して開催する青山花祭り。」の記載がある。
カ 職権による調査によれば、農林水産省のウェブサイトにおける「国産花き生産流通強化推進協議会」が実施する「花店利用者調査2021年度」(https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/attach/pdf/f_japanflower-44.pdf)は、その目的のひとつとして、「花小売の代表的な企業・業態について、利用実態と顧客満足(CS:Customer Satisfaction)に関わる評価を把握。」することとされ、請求人が調査対象とされている。また、上記の調査において、花専門業態で全国にチェーン展開している調査対象企業は2社のみであり、そのうちの1社が請求人である。
キ 上記アないしエにおける使用標章は、本願商標と同一視し得るものであり、請求人によって使用されていることが確認できる。
また、上記アないしカによれば、請求人は、約30年にわたり、本願商標を本願の指定商品である「生花の花輪,生花の花輪・リース,装飾用生花のリース,花束,花,生花のブーケ」を取り扱う店舗の看板等について使用している。
さらに、当該店舗は、2021年末時点において、北海道から九州までの国内のみならず、ロンドンとパリに各1店舗ずつの海外を含む123店舗存在し、ほぼ全ての店舗において、前面又は入口上方に本願商標を大きく表示した外観で各地域の駅構内や駅に隣接する施設内、駅から近い場所等、極めて人通りの多い立地にテナントを構えていることが確認できる。
そのうえ、上記ウのとおり、本願商標を使用した店舗の売上げは約85億円であり、これは、日本の花きの市場の0.8パーセントのシェアを有するものであることに加え、上記カのとおり、花小売の代表的な企業・業態を対象に、その利用実態と顧客満足(CS:Customer Satisfaction)に関わる評価を把握することを目的に実施され、農林水産省のウェブサイトで公表されている「花店利用者調査2021年度」において、請求人が対象企業の1社として選定されている。
そして、請求人以外の者によって、全国的に販売ないし放送等されている新聞、テレビ番組、雑誌、書籍及びウェブサイトの各媒体を通じて、本願商標を表示した紹介等が行われている事例が相当数認められる。
以上のことから総合的に判断すると、本願商標は、その指定商品との関係において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間において、広く認識されているに至っているということができる。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないものであるから、原査定は取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

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審決日 2024-06-25 
出願番号 2022081327 
審決分類 T 1 8・ 16- WY (W31)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 瑠美
商標の称呼 アオヤマフラワーマーケット、アオヤマフラワー、フラワーマーケット、マーケット 
代理人 日高 一樹 

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