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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W35
管理番号 1412355 
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-02-01 
確定日 2024-06-06 
事件の表示 商願2021−148626拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和3年11月29日の登録出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。
令和4年 5月 9日付け:拒絶理由通知書
令和4年10月20日付け:拒絶査定
令和5年 2月 1日付け:審判請求書
令和5年12月18日付け:審尋
令和6年 1月29日付け:回答書

第2 本願商標
本願商標は、「松本雑貨」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなり、第35類「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
1 商標法第3条第1項柱書について
商標登録を受けることができる商標は、現在使用しているもの又は近い将来使用をするものであると解されるところ、本願は、指定している小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)が、全く業種が異なり、類似の関係にもないものであるため、このような状況の下では、出願人が出願に係る商標をこれらの小売等役務のいずれにも使用しているか又は近い将来使用をすることについて疑義があるから、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
2 商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、「松本雑貨」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、本願の指定役務との関係では、「雑貨」の文字は小売等役務の取扱商品を表していると認識させるから、本願商標全体よりは、「松本氏による雑貨の取扱い店」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そうとすれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「松本氏による雑貨の取扱い店」と理解し、認識するにとどまるから、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 当審における審尋
当審において、上記第1の審尋により、請求人に対し、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとともに、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の暫定的見解を示し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答の要旨
請求人は、上記第4の審尋に対し、回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
1 商標法第3条第1項柱書について
請求人(出願人)は、本願商標「松本雑貨」を使用しており、現在もなお、商標権を取得する意思を有しており、これらの事実を証明する書面として、現時点における「商標の使用状況説明」及び「商標の使用を開始する意思及び事業予定」を補足提出する。
2 商標法第3条第1項第6号について
本願商標の構成中「松本」は、請求人(出願人)の会社の冠名を兼ねた固有の名字であってそれ自体が識別力を有しており、しかも「松本」と「雑貨」の文字の組み合わせによって、単なるありふれた氏又は名称のみからなる商標ではなく、需要者に識別可能な程度のまとまり良い一体の四文字の漢字列を構成し、本願商標はその構成自体が自他識別力を有する。
そして、本願商標は請求人(出願人)によって2021年から継続的に使用され、その商標の構成もあいまって識別力を獲得する程度まで需要者に知られ、特に、キャンドル製品又は電飾関連製品に関しては、松本雑貨というブランド名のショップはインターネット上に存在せず、キャンドル製品の松本雑貨が本願出願人のブランドであると認識されているという取引の実情がある。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項柱書について
請求人により令和6年2月1日付け手続補足書における「商標の使用に関する証明書類」及び「商標の使用を開始する意思及び事業予定」が提出された結果、請求人(出願人)が、本願の小売等役務について、商標の使用又は使用の意思があることについての疑義がなくなったものと認められる。
したがって、本願が商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした拒絶の理由は解消した。
2 商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は、「松本雑貨」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中「松本」の文字は、「姓氏の一。」の意味を有する語であり、「雑貨」の文字は、「種々のこまごました日用品。」(いずれも「大辞林第四版」株式会社三省堂)の意味を有する語である。
そして、「松本」の文字は、我が国において、ありふれた氏と理解されるものである。
また、別掲のとおり、雑貨を取り扱う会社やお店等であることを表す際、姓氏等を冠して「○○雑貨」のように一般に使用されている事実が認められる。
してみれば、本願商標は、全体として「(ありふれた氏である)松本氏による雑貨を取り扱う会社又は店」といった意味合いを表したものと認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用したときには、これに接する需要者は、「(ありふれた氏である)松本氏による雑貨を取り扱う会社又は店に係る役務」であることを表したものと認識するにとどまり、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標の構成中「松本」は、請求人(出願人)の会社の冠名を兼ねた固有の名字であってそれ自体が識別力を有しており、しかも「松本」と「雑貨」の文字の組み合わせによって、単なるありふれた氏又は名称のみからなる商標ではなく、需要者に識別可能な程度のまとまり良い一体の四文字の漢字列を構成し、本願商標はその構成自体が自他識別力を有する旨主張し、過去の登録例を挙げている。
しかしながら、上記2のとおり、「松本」及び「雑貨」の語の意味や、「松本」の文字が我が国においてありふれた氏と理解されること、雑貨を取り扱う会社やお店等であることを表す際、姓氏等を冠して「○○雑貨」のように一般に使用されている事実を併せみれば、本願商標は、その指定役務に使用したときには、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。
また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記2のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
(2)請求人は、本願商標は請求人(出願人)によって2021年から継続的に使用され、その商標の構成もあいまって識別力を獲得する程度まで需要者に知られ、特に、キャンドル製品又は電飾関連製品に関しては、松本雑貨というブランド名のショップはインターネット上に存在せず、キャンドル製品の松本雑貨が本願出願人のブランドであると認識されているという取引の実情がある旨主張する。
しかしながら、令和6年2月1日付け手続補足書における「商標の使用に関する証明書類」によれば、「松本雑貨」の文字が、インターネットショップや小売店舗名として使用されていることはうかがえるものの、その指定役務について本願商標が継続的に使用された事実を裏付ける証拠の提出はなく、本願商標を使用した役務の使用数量や市場シェア、売上高、広告宣伝の規模等についても、客観的な証拠の提出がなく不明であるなど、本願商標は、具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し、その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから、その指定役務との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているということはできない。
(3)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないとした拒絶の理由は解消したが、本願商標は、同法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 「雑貨」の文字が、雑貨を取り扱う会社や店を表すものほどの意味合いで使用されている事実
(1)「e-shopsローカル」のウェブサイトにおいて、「ショップ名」の項に、「杉浦雑貨」の記載、「掲載業種」の項に、「日用品雑貨製造卸」の記載がある。
https://el.e-shops.jp/local/nsh/7520690395.html
(2)「浜松雑貨株式会社」のウェブサイトにおいて、「事業内容」の項に、「家庭用・業務用日用品雑貨、ノベルティなどの卸売ならびに販売」の記載がある。
https://hamamatsuzakka.com/
(3)「SalesNowDB」のウェブサイトにおいて、「有限会社白石雑貨」の項に、「大業界」に「小売・販売」、「小業界」に「雑貨販売」の記載がある。
https://salesnow.jp/db/companies/8290802020300
(4)「Mapion電話帳」のウェブサイトにおいて、「イナガキ雑貨」の項に、「ジャンル」に「家具屋・雑貨屋・インテリアショップ」の記載がある。
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M02013/34209/23430478441/
(5)「SalesNowDB」のウェブサイトにおいて、「千代田雑貨株式会社」の項に、「タバコや生活雑貨を販売する会社」の記載がある。
https://salesnow.jp/db/companies/6010001022854
(6)「お出かけタウン情報」のウェブサイトにおいて、「佐藤雑貨」の見出しの下、「業態:日用品雑貨店」の記載がある。
http://www.gekinavi.net/map/%E9%9B%91%E8%B2%A8+%E4%BD%90%E8%97%A4%E9%9B%91%E8%B2%A8+0573-22-3511.html
(7)「中島雑貨」のウェブサイトにおいて、ロシア雑貨等の商品が掲載、販売されている。
https://rus.thebase.in/
(8)「e-shopsローカル」のウェブサイトにおいて、「ショップ名」の項に、「越智雑貨」の記載、「掲載業種」の項に、「衣料品店」の記載がある。
https://el.e-shops.jp/local/nsh/0852313435.html
(9)「e-shopsローカル」のウェブサイトにおいて、「ショップ名」の項に、「オハナ雑貨」の記載、「掲載業種」の項に、「日用品雑貨製造卸」の記載がある。
https://el.e-shops.jp/local/nsh/0275029395.html
(10)「e-shopsローカル」のウェブサイトにおいて、「ショップ名」の項に、「有限会社扇屋雑貨」の記載、「掲載業種」の項に、「日用品雑貨製造卸」の記載がある。
https://el.e-shops.jp/local/nsh/7735984975.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2024-03-18 
結審通知日 2024-03-21 
審決日 2024-04-19 
出願番号 2021148626 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 浦崎 直之
小林 裕子
商標の称呼 マツモトザッカ、マツモト 
代理人 森田 拓生 

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