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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W093542
管理番号 1411581 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-08-18 
確定日 2024-05-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第6706200号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6706200号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6706200号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和4年11月14日に登録出願、第9類「携帯情報端末,電子応用機械器具及びその部品」、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同5年5月12日に登録査定、同年6月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録商標(以下、ア及びイをまとめて「引用商標1」といい、また、ウないしオをまとめて「引用商標2」という。なお、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続している。
ア 登録第1758671号商標
商標の態様:APPLE
登録出願日:昭和53年4月4日
設定登録日:昭和60年4月23日
指定商品:第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
イ 登録第3286569号商標
商標の態様:APPLE
登録出願日:平成4年9月24日
設定登録日:平成9年4月25日
指定役務:第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
ウ 登録第2173459号商標
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:昭和60年6月6日
設定登録日 平成元年9月29日
指定商品:第7類、第9類及び第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
エ 登録第4762822号商標
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成14年8月26日
設定登録日:平成16年4月9日
指定商品:第14類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
オ 登録第4684951号商標
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成14年5月20日
設定登録日:平成15年6月20日
指定役務:第37類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(以下「甲〇」と表記する。)を提出した。
(1)申立人について
米国カリフォルニア州に本社を置く申立人は、GAFAと称されるデジタル市場の巨大企業の4つのうちの一社であり、「MacBook」、「iMac」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「Apple Watch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「Apple Music」、映画・動画配信サービス「Apple TV」、データ保管サービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。
(2)引用商標の周知著名性について
引用商標1は、「APPLE」の欧文字からなり、申立人の社名の略称でもある。また、特許庁の「日本国周知・著名商標検索」に掲載されている事実からも、引用商標1の周知著名性は確認できる。
引用商標2は、林檎の図形を装飾化した構成からなり、申立人は、1976年の創業以来、ハウスマークとして継続して使用している。
そして、引用商標2は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、番組・映像・インターネット接続機、コンピュータ用マウス、腕時計型情報端末、音楽配信場サービス、支払いサービスなどについて、申立人の製品、サービス、広告、販売促進資材等と常に併せて使用されている。
このように様々な製品について長期にわたる継続的な使用により、引用商標2は、申立人を象徴するロゴマークとして日本を含む世界中で認知されている。
また、引用商標2は、特許庁における審決例(異議2019−900202、異議2017−900340、無効2017−680001、異議2017−900329)でも、周知著名商標と認定されている。
上記に示したとおり、引用商標2は、申立人の製品・サービスの利用者であれば必ず目にすることのある商標であって、申立人を表す商標として需要者の間において極めて広く知られているものである。
(3)本件商標が無効とされるべき理由
ア 商標法第4条第1項第15号
特許庁審査基準では、他人の著名な商標を一部に有する商標について、以下のように規定されている。
「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱うものとする。ただし、その他人の著名な商標が既成語の一部となっているもの、又は、指定商品若しくは指定役務との関係において出所の混同のおそれのないことが明白なものを除く。」(商標審査基準 改訂第15版 十三 第4条1項15号 2.)
本件商標についてみると、本件商標は、別掲1のとおり、角ばった楕円形状の図形の下に、「Bit」及び「Apple」の欧文字を配した構成からなるところ、当該図形部分と文字部分は、視覚上分離できるものである。
そして、上記で述べたように、「APPLE」の欧文字は、申立人の著名商標である。
特許庁審査基準でも、「著名性の認定に当たっては、防護標章登録を受けている商標又は審決、異議決定若しくは判決で著名な商標と認定された商標(注)については、その登録又は認定に従い著名な商標と推認して取り扱うものとする。」と規定されている(商標審査基準 改訂第15版 十三 第4条1項15号 4.)
つまり、本件商標は、当該申立人の著名商標と同一の文字を含むものである。
加えて、本件商標は、第9類、第42類を指定し、引用商標1と抵触するものである。
以上より、本件商標は、指定商品・役務との関係において出所の混同のおそれのないことが明白なものとは言えないため、上記基準の但し書きに該当するものではない。
したがって、上記審査基準に照らせば、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」と認定されるべきものである。
上記のとおり、申立人は、林檎の一部が欠けた図形(引用商標2)をハウスマークとして長期にわたり使用し、その図形について周知著名性を獲得している。また、当該図形は、林檎の一部がかじられたように欠けていることから、「かじられたリンゴ」の愛称で親しまれ、「かじられたリンゴ」の語は、申立人又は申立人のロゴマーク(引用商標2)を表す言葉として知られている(甲6〜甲9)。
本件商標は、赤色で装飾された角ばった楕円形状の図形を含むところ、その構成中「Bit」の文字は、「噛む、かじる」を意味する英単語「Bite」の過去形である(甲10)。
したがって、本件商標中の文字部分からは、「かじったリンゴ」や、受け身構文と捉えた場合「かじられたリンゴ」の観念が想起される。そして、この文字部分と相まって、本件商標中、当該楕円形状の図形は、かじられた後のリンゴを想起させるものである。
つまり、本件商標からは、「かじられたリンゴ」の観念が生じ、当該観念は申立人又は申立人のロゴマーク(引用商標2)を想起させるものである。
以上より、本件商標が、申立人の著名商標「APPLE」と同一の文字を含む点、申立人のロゴマークの愛称である「かじられたリンゴ」を想起させる点、引用商標2と近似する図形を含む点、及び、本件商標と引用商標の指定商品・役務の共通性を考慮すると、本件商標が使用されると、申立人が提供する商品・役務との間で出所の混同が生じるおそれや、申立人から公認を受けているとの誤認あるいは、申立人の引用商標の希釈化汚染化が生じるおそれがある。
また、本号の規定は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであることからすると、本件商標は、申立人の著名商標へのただ乗りが確認でき、申立人の著名表示の希釈化を防止する必要がある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第19号
本件商標は、「Apple」の文字を含み、かつ、申立人のロゴマークの愛称として広く知られている「かじられたリンゴ」の観念を想起させる。
本件商標権者は、申立人の著名商標である引用商標、かつ、かじられたリンゴの図形が申立人のロゴマーク・申立人ブランドを表すことを当然に知りながら、本件商標を採択し登録出願したものと優に推認できる。
上記の事実及び引用商標が、極めて大きな顧客吸引力を有する事実を考慮すれば、本件商標は、引用商標のもつ強大な顧客吸引力・名声へのただ乗りによって不正の利益を得る目的を有するか、引用商標の有する強い識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化することによって申立人に損害を加える目的を有するかのいずれかの不正の目的をもって使用するものと解さざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、上段に赤色で表された縦長の略紡錘形の図形(以下「本件図形部分」という。)を、下段に「BitApple」の欧文字(以下「本件文字部分」という。)を表してなるところ、両構成部分は、段を異にし、間隔を空けて配置されているから、視覚上分離して認識されるものであり、それぞれが独立した自他商品役務の出所識別標識として機能するものといえる。
そして、本件商標の構成中、下段の「Bit」の文字部分は「少し(の)、小片」等の意味を、「Apple」の文字部分は「りんご」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるとしても、両語を結合して具体的な意味を有する成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも漠然としているから、特定の意味を有さない一種の造語として理解されるというのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ビットアップル」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標
a 引用商標1は、上記2(1)ア及びイのとおり、「APPLE」の文字からなり、該文字に相応し「アップル」の称呼を生じ、観念については、「りんご」を理解させる。
b 引用商標2は、別掲2のとおり、右側の一部が欠けたりんごをモチーフにした図形を黒塗りで描いてなるところ、これより特定の称呼及び観念は生じない。
(ウ)本件商標と引用商標の類否について
a 本件商標と引用商標1の比較
以上を踏まえて本件商標と引用商標1を比較すると、外観は、本件図形部分の有無の差異により容易に区別し得るものであり、また、本件商標の「BitApple」の文字部分と引用商標1の「APPLE」の文字部分にしても、両者は文字商標における外観の識別上重要な要素である語頭において、「Bit」の文字の有無という差異を有し、互いに異なる語を表してなるから、両者を離隔的に観察しても、外観上相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生じる「ビットアップル」の称呼と引用商標1から生じる「アップル」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において、「ビット」の音の有無を有するから、両商標より生ずる称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が異なり、称呼上相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、引用商標1から、「りんご」の観念を生じるとしても、本件商標からは特定の観念が生じないから、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないから、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であり、類似する商標とはいえない。
その他、本件商標と引用商標1が類似するというべき事情は見いだせない。
b 本件商標と引用商標2の比較
本件商標と引用商標2を比較すると、外観は、図形部分の構成態様や文字部分の有無が明らかに異なるから、相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件文字部分からは「ビットアップル」の称呼を生じるのに対し、引用商標2は、特定の称呼を生じないから、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標2はいずれも特定の観念は生じないから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼においても相紛れるおそれはないから、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であり、類似する商標とはいえない。
その他、本件商標と引用商標2が類似するというべき事情は見いだせない。
c 申立人の主張について
申立人は、本件文字部分「BitApple」の「Bit」文字部分が「噛む、かじる」を意味する英単語「Bite」の過去形であることから「かじられたリンゴ」の観念が生じ、また、本件図形部分は本件文字部分と相まって「かじられた後のリンゴ」を認識することから、本件商標から生じる観念は、申立人又は申立人のロゴマークを想起させる旨主張している。
しかしながら、「Bit」の語は「噛む、かじる」を意味する英単語「Bite」の過去形として我が国で親しまれた英単語とは考えにくく、本件商標の構成中「BitApple」の文字部分は、上記ア(ア)のとおり、特定の意味を有さない一種の造語を表してなると理解されるというべきである。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
(エ)以上のとおり、本件商標は、引用商標のいずれとも非類似の商標であって別異の商標というべきものである。
イ 引用商標の周知性について
申立人は、引用商標の周知著名性について、「日本国周知・著名商標検索」に掲載されている事実や過去の審決例を援用して、申立人を表す商標として需要者の間において極めて広く知られている旨を主張する。
しかしながら、申立人の主張及び提出証拠によれば、申立人は、米国カリフォルニア州に本社を置き、GAFAと称されるデジタル市場の巨大企業の4社のうちの1社であり、申立人の社名の略称「APPLE」(引用商標1)を使用して、パーソナルコンピュータ、スマートフォン及び音楽・映像配信サービス等を行う企業であること、また、1976年の創業以来、引用商標2について、ハウスマークとして長期にわたり継続的に使用している事実が確認できる(甲6、甲8)ものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標を使用した申立人の業務に係る商品及び役務についての我が国における市場占有率(販売シェア等)、売上高、宣伝広告の詳細など、使用の事実を量的に把握することができる資料は提出されておらず、客観的な使用事実に基づいて引用商標の使用状況を把握することができない。
したがって、被請求人提出の証拠によっては、その周知著名性の程度を推し測り、評価することはできない。
ウ 出所混同のおそれ
上記のとおり、本件商標は、引用商標と別異の商標であるから、その指定商品及び指定役務と申立人の商品及び役務との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを考慮しても、また、引用商標の周知著名性の程度に関わらず、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるとは考えにくく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 本件商標は、上記(1)ア(ウ)のとおり、引用商標とは、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であり、類似する商標とは認められない。
イ 申立人は、本件商標権者が、申立人の著名商標である引用商標及びかじられたリンゴの図形が申立人のロゴマーク・申立人ブランドを表すことを当然に知りながら、本件商標を採択し登録出願した旨主張する。
しかしながら、本件商標は、引用商標とは互いの印象が明らかに異なる別異の商標であるから、本件商標権者がその指定商品及び指定役務について登録出願することについて、本件商標を用いて何らかの不正の利益を得る目的を有していたとか、申立人に損害を加えるなどの行為に及んだといった事実関係を直ちに推し測ることはできない。
なお、仮に本件商標権者が指定商品及び指定役務について、引用商標を認識しながら本件商標を登録出願したとしても、それだけでは直ちに不正の利益を得る目的や、他人に損害を加える目的などの不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。
その他、申立人は、本件商標が不正の目的をもって使用するものであることを明らかにするための証拠を提出していない。
そうすると、本件商標は、申立人提出の証拠によっては、引用商標のもつ顧客吸引力にただ乗りする又は顧客吸引力を希釈化させるなど不正の目的をもって登録出願されたものと認めることはできない。
ウ 以上によれば、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではなく、不正の目的をもって使用をするものとはいえないから、その他の要件について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲

別掲1 本件商標(色彩については原本参照。)



別掲2(引用商標2)





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異議決定日 2024-05-09 
出願番号 2022129980 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W093542)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 阿曾 裕樹
大島 康浩
登録日 2023-06-09 
登録番号 6706200 
権利者 株式会社桂実
商標の称呼 ビットアップル、ビット、ビイアイテイ、アップル 
代理人 弁理士法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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