• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1411576 
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-07-18 
確定日 2024-05-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第6696809号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6696809号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6696809号商標(以下「本件商標」という。)は、「popmate」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年9月15日に登録出願、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」のほか、第9類、第16類、第18類、第24類、第25類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同5年3月6日に登録査定、同年5月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標(以下、まとめて「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、これらの商標権は、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5768976号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成27年1月29日
設定登録日:平成27年6月5日
指定役務:第35類「広告,販売を目的とした、各種通信媒体による商品の紹介,輸出入に関する事務の代理又は代行,他人の商品及びサービスのライセンスに関する事業の管理,販売促進のための企画及び実行の代理,マーケティング,事業の管理に関するコンサルティング,事業の管理に関する助言,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,スポンサー探し,経理事務の代行,人事管理に関する指導及び助言,広告のための企画・立案,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配,事業所の移転の助言,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,商業又は広告のための展示会の企画・運営,ウェブサイト経由による事業に関する情報の提供」
(2)国際登録第1458554号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:POP MART
国際登録出願日:2018年(平成30年)11月23日
設定登録日:令和2年7月31日
指定商品:第28類「Amusement machines, automatic and coin-operated; toys; dolls' clothes; dolls; chess game; bladders of balls for games; body-building apparatus; swimming pools [play articles]; ornaments for Christmas trees, except illumination articles and confectionery; scratch tickets for playing lottery games.」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品及び指定役務中、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」(以下「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人
申立人は、2010年10月20日に中国で設立された法人であり、エンターテイメント分野における中国を代表する企業であって(甲4)、引用商標を構成する商標「POP MART」を自身のハウスマークとして、2010年の創業以来、継続して使用している。
申立人の主な事業は「玩具の製造販売,玩具の小売等販売」であるが、単なる製造業、小売業にとどまらず、玩具業界全体の拡大・普及を目的として様々な活動を行っている。例えば、著名なアーティスト等を起用してオリジナリティを有し、かつ、話題性のある玩具を製造・販売し、また、北京と上海にて、アジア最大規模のファッショントイズの展示会を複数回にわたって主催しており、これらのイベントの来場者数は毎回10万人を超えている(甲5)。
近年における申立人の売上高は、日本円に換算すると、2021年度は約917億円、2022年度は943億円、2023年度の中間報告では約574億円に達する。これらの売上高より、申立人の事業規模が極めて甚大であることがわかる(甲6〜甲8)。
申立人は、中国内に約300の直営店舗を有し、また、1877台の自動販売機「ROBO SHOP」を展開している。当該自動販売機「ROBO SHOP」は、日本、シンガポール、韓国、香港、台湾、カナダ、米国等の諸外国にも設置されており、「POP MART」が表示されている(甲9)。
このようなオフラインチャネル(店舗及び自動販売機)の継続的な拡大に加え、申立人はオンラインチャネルの推進、つまりインターネットを通じた販売の推進にも努めている。2019年以降、中国の著名なオンラインショッピングモールであるTmallの年間最大のショッピングイベント「ダブルイレブン(独身の日)」において、申立人の旗艦店は、玩具部門売上で3年連続首位を獲得した。また、2021年11月のショッピングイベント「ダブルイレブン」における申立人のオンラインを通じた売上げは2億7000万元(約55億円)を記録した。さらに、同年、申立人のWechat(中国の著名なSNSアプリ)のミニプログラム「Pop Draw」におけるオンラインでの売上げは8億9800万元(約183億円)に達した。
2018年以降、申立人は海外進出に注力しており、現在までに日本をはじめ、韓国、シンガポール、米国、イギリス、カナダ、ニュージーランド等の海外国・地域に店舗を展開している。さらに、申立人はインターネットでの販路拡大にも積極的に取り組んでいる。
2020年7月、申立人は、日本に株式会社POP MART JAPAN(以下「POP MART JAPAN社」という。)という関連会社を設立し、我が国における事業活動に力をいれている(甲10)。
イ 引用商標
申立人は2010年の創業以来、引用商標を構成する「POP MART」を自身のハウスマークとして継続して使用している。「POP MART」は、申立人の商品・店舗をはじめ、ウェブサイト、宣伝広告、年度報告等に幅広く表示・使用されており(甲5〜甲9)、前述の売上高が示す申立人の事業規模からすれば、需要者・取引者は引用商標に接する機会は非常に多いといえ、引用商標に接した際には、これらを申立人に係る事業の出所表示として自然に理解する。
また、申立人は、自身のハウスマークであり最も重要な「POP MART」に関して、世界各国で商標権を取得し積極的に保護しており、「POP MART」は、各国の登録又は保護が認められ(甲11〜甲38)、申立人は、自社ブランドの保護に努めている。
ウ 日本での使用
申立人は、2020年7月に日本において「POP MART JAPAN社」を設立し(甲10)、以降、日本での事業活動の拡大に尽力している。
申立人は、日本において「POP MART原宿本店」をはじめ、8店舗の直営店を運営し、これらの直営店は、いずれも我が国の著名な繁華街にあり、例外なく引用商標が顕著に表示されている(甲39)。
直営店の第1号店である原宿本店は、2022年7月16日にオープンしたが、その際にはインターネット上の記事にて「中国で大人気なアートトイブランド「POP MART」が原宿に上陸!」とのタイトルで紹介された。同記事内では、アートトイブランドの「POP MART」が中国をはじめ、世界各国で大人気であること、申立人が多数の人気デザイナーとコラボレーションしたアートトイを販売していること、店舗数が世界中で350店舗以上であること等が紹介されている(甲40)。
また、直営店の他、39の常設店舗を出店・展開している(甲39)。さらに、公式オンラインショップを、著名なインターネットショッピングサイトであるアマゾン、楽天市場、ヤフーショッピング内に開設しており、いずれにおいても引用商標が顕著に表示されている(甲41〜甲43)。
さらに、申立人は、2022年11月25日ないし同月27日に幕張メッセで開催された「東京コミコン2022」に出展した(甲44)。漫画を中心としたポップカルチャーのイベントであるが、申立人のブースには引用商標が顕著に掲示されていた。当該イベントには67,668人が来場した為、相当数の取引者・需要者が引用商標を目にしたと考えられる。
申立人は、2023年1月28日に出願人が運営するPOP MART 原宿店にて大久保博人氏(フィギュアデザイナーの第一人者)のサイン会を開催した(甲45、甲46)。
エ 小括
以上に述べた点を総合的に考慮すると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「POP MART」を構成中に有する引用商標は、申立人の商品「おもちゃ,人形」及び役務「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「申立人の業務に係る商品・役務」という。)の出所表示として、少なくとも中国では著名であったというべきであり、日本においても周知であったと考えるのが相当といえる。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標と引用商標2の類否
(ア)外観
本件商標と引用商標2を比べると、全7文字の欧文字よりなる点において共通し、さらに、1文字目から5文字目までの文字「popma」が全て一致している。全7文字の構成文字の中で5文字が一致していることから、両商標はその外観において極めて酷似した印象が看取されるといえる。
両商標の末尾の2文字を比較すると、本件商標は「te」であり、引用商標2は「RT」であることから、双方とも欧文字「T」を有する点において共通する。また、外観の識別において重要な要素である語頭を含む5文字が共通していることからすれば、末尾における差異は微小なものであり、両商標の視覚的な印象に与える影響は小さいといえる。
これらの外観における共通点及び差異点を総合して考えると、本件商標と引用商標2とは、外観において紛れるおそれのある類似の商標であると考える。
(イ)称呼
本件商標は、構成文字に相応して「ポップメート」の称呼が生じ、引用商標2は、構成文字より称呼「ポップマート」が生じる。
両商標の称呼を比べると、いずれも全6音という構成音数において共通し、その差異は第4音の「メ」と「マ」の1音のみである。
この「メ」と「マ」は、同一のマ行の音であり、「m」の子音を共通にする近似音であって、かつ、聴者にとって聴別し難く弱く発音されがちな中間に位置することも相まって、両商標をそれぞれ一連に称呼するときには、称呼全体の語調語感が近似したものとなり、聴き紛れるおそれのあるものといえる。
また、過去の特許庁における審決例において、中間に位置する「メ」と「マ」の音の差異のみしか有しない商標が互いに類似するものであるとの判断がなされた事例が存在する。
(ウ)観念
本件商標及び引用商標2とは、共に固有の意味の無い造語と理解され、特段の観念は生じないから、観念において比較することができない。
(エ)商品の類否
本件商標の申立てに係る商品は、引用商標2の指定商品と同一又は類似する関係にある。
イ 小括
上述のとおり、本件商標は、その商標登録出願日前の商標登録出願に係る引用商標2と、外観及び称呼において紛れるおそれのある類似する商標であり、申立に係る商品は、引用商標2に係る指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録された商標である。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性
ア 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標2は、上記(2)のとおり、類似する商標である。
(イ)本件商標と引用商標1の類否
本件商標は、欧文字「popmate」を標準文字にて横書きしてなる構成である。対して、引用商標1は、上段に欧文字「POP」を表し、下段に欧文字「MART」を書してなる態様であり、上下2段に表されているものの、欧文字「POP MART」を表したものと容易に理解可能な態様といえる。
そうすると、引用商標1は、引用商標2と同様の構成文字よりなるから、本件商標と引用商標1とは、引用商標2と同様に、観念において比較はできないものの、外観と称呼において紛れるおそれのある類似の商標といえる。
イ 引用商標の周知・著名性
前記(1)で述べたとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品・役務の出所表示として、日本の需要者・取引者の間で周知であったと考えるのが相当といえる。
ウ 商品・役務の類否
申立人が、引用商標との関係で周知性を獲得したのは、申立人の業務に係る商品・役務であるが、これらの商品及び役務は、本件商標の申立てに係る商品と同一又は類似する関係にある。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品・役務に使用して周知性を獲得した引用商標と類似するから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性
前述のとおり、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において相紛らわしいものであって、両者の類似性の程度は高いといえる。
引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、少なくとも中国においては著名であり、日本においても需要者・取引者の間で周知であったと考えられる。また、引用商標は、特段の意味の無い造語であり、加えて、引用商標を構成する標章「POP MART」は申立人のハウスマークであって、創業以来、一貫して使用を継続しているものである。
さらに、本件商標の申立てに係る商品は、申立人の提供する商品と同一又は類似するものであって、また、申立人の提供する小売等役務とは類似する関係にあり、需要者・取引者も共通するといえる。
以上を総合的に考慮すると、本件商標が申立てに係る商品に使用された場合、申立人の提供する商品・役務との間で出所の混同を生じるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性
前述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願前において、申立人の業務に係る商品・役務の出所表示として、少なくとも中国においては著名であり、我が国の需要者・取引者の間でも広く知られていた。
さらに、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において相紛らわしいものであって、両者の類似性の程度は高いといえる。
そうすると、本件商標権者は、引用商標の存在を認識した上で、これらの引用商標がいまだ第35類の指定役務「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について商標登録されていないことを奇貨として、それに化体した業務上の信用と顧客吸引力にただ乗りし、その著名性を利用して不正の利益を得る目的のもとで、引用商標と類似する本件商標を登録出願し、設定登録を受けたものと推認せざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において相紛らわしいものであって、両者の類似性の程度は高く、また、引用商標は、本件商標の登録出願前において、申立人の業務に係る商品・役務の出所表示として、少なくとも中国においては著名であり、我が国の需要者・取引者の間でも広く認識されていた。
そして、引用商標は、独創的な造語よりなり、かつ、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、中国の需要者・取引者の間で広く認識されていた引用商標と類似する本件商標を、申立人が偶然に採択することは考え難いことから、他人が外国で使用する商標をひょうせつするという不正な目的のもとで登録出願を行った可能性が高いといえる。
そうすると、本件商標の登録出願は、申立人の引用商標の存在を認識し、引用商標がいまだ第35類の指定役務「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について日本において登録されていないことを把握した上で、不正の目的のもとに引用商標と類似する本件商標を登録出願したものと推認できる。
してみれば、本件商標の登録出願の経緯には、申立人の引用商標をひょうせつするという不正な目的をもって登録出願されたものとして、社会的妥当性を欠くものがあり、その登録を認めることは、健全な商取引の遂行を阻害し、公正な競業秩序を害するものであるから、公序良俗に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人に関する年報には、申立人の業務全体と思われる収益が2021年度に44億9,065万1千人民元、2022年度に46億1,732万4千人民元、2023年度の中間報告では28億1,381万2千人民元であったことがうかがえるが、申立人の業務全体のものであって、引用商標に係るものであるか確認できない(甲6〜甲8)。
(イ)我が国において、2020年7月1日にPOP MART JAPAN社が設立されている(甲10)。
(ウ)「Trepo」のウェブサイトには、「【日本一号店】中国で大人気なアートトイブランド「POP MART」が原宿に上陸!この可愛さはゲットするしか(ハートマーク)」(2022年8月3日)の見出しの下、引用商標2が表示されるとともに、アートトイ(フィギュア)が紹介されている(甲40)。
(エ)申立人は、2010年10月20日に中国で設立された法人であり(甲4)、ファッショントイズの展示会を行っている(甲44)と主張するが、引用商標2の表示が認められるものの、その開催日、入場者数に関しては確認できない。
(オ)「POP MART」のウェブサイト及び「Amazon.co.jp」のウェブサイトには、「POP MART」を表示するとともに、POP MART製品及び取扱店舗が紹介されているが、そのサイトへの掲載日が不明である(甲9、甲39、甲41、甲42)。
(カ)「YAHOO!JAPANショッピング」のウェブサイトは、本件商標の登録査定後のものであり(甲43)、東京コミコン2022(甲44)及び、フィギュア制作者の大久保氏のサイン会は、本件商標の登録出願後のものである(甲45)。
(キ)申立人は、引用商標について、世界各国で商標権を取得している(甲11〜甲38)。
イ 上記アからすると、申立人は、2010年10月20日に中国で設立された法人であって、フィギュアなどを製造、販売しており、その際には、引用商標2を表示している。また、我が国においては、2020年7月1日にPOP MART JAPAN社が設立されている。
そして、申立人は、引用商標を世界各国で商標権を取得しているとしても、これをもって、広く認識されているとはいい難く、また、申立人の業務全体に係る収益は示されているものの、引用商標に係るものであるかは確認できないものであって、市場シェア、引用商標に関する広告の方法、回数等の具体的な事実は確認できないものである。
そうすると、引用商標が申立人の業務に関する商品・役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国及び中国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができないというべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「popmate」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しない造語であるから、その構成文字に相応して、「ポップメイト」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、上記2のとおり、「POP MART」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しない造語であるから、その構成文字に相応して、「ポップマート」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標2の類否について
本件商標と引用商標2の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、小文字と大文字との差異、中間部における1文字程度のスペースの有無及び後半部の「mate」と「MART」の文字において差異を有するから、両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、外観上、判然と区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「ポップメイト」の称呼と引用商標2から生じる「ポップマート」の称呼とは、前半における「ポップ」の音と語尾における「ト」の音を共通にするとしても、後半の相違部分における「メイ」の音と「マー」の音の差異を有するものであり、該差異音が短い音構成において称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標及び引用商標2からは、特定の観念は生じないから、両商標は、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観及び称呼において判然と区別及び明瞭に聴別できるものであり、観念において比較することができないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標である。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標2は非類似の商標であるから、申立てに係る商品と引用商標2の指定商品が同一又は類似する商標を含むものとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、上記(2)のとおり、引用商標2とは非類似の商標である。
そして、引用商標2は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、その指定商品が引用商標2に係る指定商品と類似するものを含むとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標1は、「POP」及び「MART」の欧文字を2段に書してなり、引用商標2と同一の構成文字からなるから、引用商標2と同様に、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であり、その類似性の程度は決して高いものとはいえない。
そして、上記(1)のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品中、申立てに係る商品について使用しても、需要者が、引用商標1を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記(2)ないし(4)のとおり、非類似の商標である。
そして、上記(1)のとおり、申立人の提出に係る証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に関する商品・役務を表示すものとして、我が国及び中国の需要者の間に広く認識されているとはいえないものである。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記(2)ないし(4)のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、上記(4)のとおり、本件商標は、本件商標権者がこれを申立てに係る商品について使用しても、需要者が、引用商標を連想又は想起させるものでもない。
また、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであり、さらに、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を著しく欠く、又は本件商標をその申立てに係る商品について使用することが、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(7)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標1



(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
異議決定日 2024-05-10 
出願番号 2022107310 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W28)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 馬場 秀敏
小田 昌子
登録日 2023-05-10 
登録番号 6696809 
権利者 株式会社リリーバレイ
商標の称呼 ポップメート 
代理人 恩田 俊郎 
代理人 岡村 太一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ