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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1410538 
総通号数 29 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-09-13 
確定日 2024-04-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第6714525号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6714525号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6714525号商標(以下「本件商標」という。)は、「PocoStudio」の文字を標準文字により表してなり、令和5年1月10日に登録出願、第9類「配信した動画の分析を行うためのコンピュータソフトウェア,アプリケーションソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「配信した動画の分析を行うためのコンピュータソフトウェアの提供,アプリケーションソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの提供,アプリケーションソフトウェアの設計・作成・開発又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定商品及び指定役務として、同年6月6日に登録査定され、同年7月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議の申立ての理由に該当するとして引用する登録商標は、以下の1及び2の商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1650349号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおり、「POCO」の欧文字を横書きした構成からなり、2021年(令和3年)10月21日に国際商標登録出願、第7類、第9類、第11類、第12類、第35類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和5年9月22日に設定登録されたものである。
2 国際登録第1438549号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおり、「POCO」の欧文字を横書きした構成からなり、2018年(平成30年)11月1日に国際商標登録出願、第9類、第35類及び第38類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年4月30日に設定登録されたものである。
なお、上記の引用商標1及び引用商標2を、まとめていうときは、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第9類の全指定商品(以下「申立てに係る商品」という。)について商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第1号証」を「甲1」のように省略して記載し、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略して記載する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標の要部の認定について
本件商標は、標準文字による「PocoStudio」の文字のみからなる結合商標であり、Pocoの「P」、Studioの「S」の両文字が大文字で表記されており、看者は「Poco」と「Studio」の2語からなるものと認識できる。
また、「Poco」と「Studio」の2語は、観念上のつながりがないものである。
Eゲイト英和辞典によれば、「Studio」の語の意味は、例えば「仕事場」、「放送室」(甲4)等であり、申立てに係る商品に使用される場合、「Studio」の部分は、単に「バーチャルな仕事場」、「バーチャルな放送室」、「バーチャルなプラットフォーム」といった意味を連想させるものであり、明らかなように、申立てに係る商品の需要者の注意を引く部分ではない。
さらに、申立てに係る商品において、「Studio」の文字は、普通に使用される文字、慣用される文字である。甲第6号証が示すように、日本国特許庁データベースについて、このような指定商品を対象とした先行登録商標及び先行商標出願は、非常に多くの実例が見られる。「Studio」の部分は、何ら自他商品の識別機能を果たさず、識別力を有しない文字に当たる。そのため、本件商標の要部は「Poco」と認定されるべきである。識別力を有しない文字を有する結合商標は、それが付加結合されていない商標と類似すると考えられる。
(2)称呼・外観・観念等の類似
本件商標の「Studio」の部分は、何ら自他商品の識別機能を果たさず、識別力を有しない文字に当たる。そのため、本件商標の要部は「Poco」と認定されるべきである。
称呼において、本件商標の要部「Poco」から生じる称呼は「ポコ」であり、引用商標1及び引用商標2の称呼と同一である。
外観において、本件商標は標準文字による「PocoStudio」の文字のみからなるものであり、要部「Poco」から生じる外観は、引用商標1及び引用商標2の外観と類似である。
観念において、「POCO」の意味は「少し」であり(甲5)、本件商標の要部「Poco」から生じる観念は、引用商標1及び引用商標2の観念と同一である。
そのため、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と、外観、称呼、観念のいずれにおいても同一又は類似である。
そして、本件商標と引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務は、同一又は類似に当たるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4条第1項第15号該当性について
申立人、すなわちXiaomi社(以下「シャオミ社」という場合がある。)について紹介した日経ビジネスの記事(甲7の1)によれば、シャオミ社は中国に本社を置く総合家電メーカーであり、同社の創業は2010年、高性能・低価格なスマートフォンや米アップルにも例えられるマーケティング手法で急速に成長し、2021年度の売上高は6.2兆円に達している。シャオミ社の売上げを支える大きな柱はスマートフォン事業である一方、同社はIoT(モノのインターネット)や生活関連製品事業にも力を入れており、広告やゲームといったインターネットサービス事業、さらにはEVも手掛けるなど幅広い分野で事業展開を行う多角化経営するものである。スマートフォンから生活家電に至るまでコストパフォーマンスに優れた製品を送り出す同社は、国内のファン集団だけでなく、我が国を始めとする国外からも高く評価されている。また、現在手掛けている製品は、Mi及びRedmiのスマートフォン、MiTV、セットトップボックス、Miルーター、Miエコシステム製品(スマートホーム製品、ウェアラブル、各種アクセサリ)がある(甲7の2)。
一方で、POCOブランドについて紹介したWikipediaページ(甲8の1)によれば、POCOブランドは、2018年8月にXiaomiのサブブランドとして立ち上げられ、同月に最初のスマートフォン「Pocophone Fl」を発売した。2022年6月23日、XiaomiはPOCOを我が国で展開することを正式に発表し、同日、スマートフォン「POCO F4 GT」を発表、発売した。また、POCOGlobalのホームページ、POCO公式ホームページにおける「POCO F4 GT」製品の紹介及び販売サイト、Poco:新興国向けモデルシリーズの位置付けを説明したウェブページ(甲8の2〜4)を参照できる。
日本国内においては、2021年3月頃から、「POCO X3 Pro」製品を紹介するウェブ記事等が見られるようになり、2022年5月頃まで、このようなPOCO紹介ウェブ記事が散在して見られ、この時期から日本においてある程度知られるようになっている(甲9の1〜5)。2022年6月23日、日本市場向けにPOCOの最新フラッグシップ製品「POCO F4 GT」を発売する時期に合わせ、日本国内では大きい話題を呼び、「POCO」ブランドは大きな周知性を獲得している(甲9の6〜15)。また、その後においても、「POCO F5 Pro」等の製品が日本国内で大きな影響力を獲得している(甲9の16〜18)。
一方で、POCO製品の我が国における販売形態を見ると、日本アマゾン(甲10の1〜8)、楽天サイト(甲10の9)、GEOオンラインストア(甲10の10)、日本IIJ mioウェブサイト(甲10の11)、または価格.com(甲10の12)、POVOウェブサイト(甲10の13)等において販売している。すなわち、オンラインにおける販売及び宣伝がされ、広く影響力を持っていることが分かる。これに対して、株式会社ディー・エヌ・エーが本件商標「PocoStudio」を申立てに係る商品において使用する際も、オンライン販売がメインな展開ルートとして考えられ、その需要者群もかぶるものと考えられる。
そのため、株式会社ディー・エヌ・エーが本件商標「PocoStudio」を申立てに係る商品において使用した場合、需要者は、それが申立人の業務に係る商品等であると誤認する可能性が考えられる。または、それが申立人と企業提携等の経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認し、その商品等の需要者が商品等の出所について混同するおそれがあると考えられる。
したがって、かかる本件商標が、引用商標に使用される商品と関連性の高いその指定商品について使用された場合、これに接する需要者は、引用商標について連想し、その出所について誤認・混同するおそれが高い。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、2010年に創業した中国に本社を置く総合家電メーカーであり、2021年度の売上高は6.2兆円に達している(甲7の1)。現在手掛けている製品には、Mi及びRedmiのスマートフォン、MiTV、セットトップボックス、Miルーター、Miエコシステム製品(スマートホーム製品、ウェアラブル、各種アクセサリ)がある(甲7の2)。
(2)POCOブランドについて紹介したWikipediaページ(甲8の1)によれば、POCOブランドは、2018年8月にXiaomiのサブブランドとして立ち上げられ、同月に最初のスマートフォン「Pocophone Fl」を発売した。2022年6月23日、XiaomiはPOCOを我が国で展開することを正式に発表し、同日スマートフォン「POCO F4 GT」を発表、発売した。
(3)日本国内においては、2021年3月頃から、2022年5月頃まで、「POCO X3 Pro」製品を紹介するウェブ記事等が見られるようになり(甲9の1〜5)、同年6月23日にPOCOの最新フラッグシップ製品「POCO F4 GT」等を発売した(甲9の6〜18)。
(4)POCO製品の我が国における販売形態は、日本アマゾン(甲10の1〜8)、楽天サイト(甲10の9)、GEOオンラインストア(甲10の10)、日本IIJ mioウェブサイト(甲10の11)、価格.com(甲10の12)、POVOウェブサイト(甲10の13)等の通販サイトである。
(5)上記より、インターネット上の申立人のウェブサイトや通販サイトなどにおいて、「POCO」の文字が商品(スマートフォン)に使用されていることは確認できるものの、申立人がPOCOブランドを我が国で展開することを正式に発表した日から本件商標の登録出願日までは6月程度、登録査定日までは1年程度の短い期間であり、また、引用商標に係る商品(スマートフォン)の販売数量、売上高、市場シェアなどの販売実績、宣伝広告の回数や宣伝広告の額などの広告実績等、周知性を具体的に立証する証拠の提出はない。
してみると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「PocoStudio」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成各文字は、同書、同間隔で、まとまりよく一体的に表されており、外観上、いずれかの文字が需要者に対し強く支配的な印象を与えるとはいえないばかりか、当該文字部分全体から生ずる「ポコスタジオ」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、当該文字は、辞書等に載録されている成語ではなく、直ちに何らかの意味合いを理解させるものではないから、一種の造語として認識されるものである。
そうすると、本件商標の係る構成及び称呼においては、本件商標に接する取引者、需要者が、殊更、その構成中の「Poco」の文字部分のみに着目するということはなく、構成要素全体をもって把握するとみるのが相当である。
してみると、本件商標は、「ポコスタジオ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標1及び引用商標2は、別掲1及び別掲2のとおり、いずれも「POCO」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成文字に相応して、「ポコ」の称呼を生じるものである。
そして、「POCO」の欧文字は、一般の辞書等に載録がない語であることから、造語と認識、理解されるものである。
したがって、引用商標は、「ポコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標の構成は、上記第1並びに別掲1及び別掲2のとおりであり、両者の外観は、「Studio」の文字の有無という明らかな差異があることから、判然と区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはない。
イ 称呼について
本件商標から生じる「ポコスタジオ」の称呼と引用商標から生じる「ポコ」の称呼とは、音構成及び音数が明らかに相違するから、明瞭に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念が生じないものであるから、両商標は、観念において比較することができない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において明確に区別できるものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらを総合して考察すれば、両商標は、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標とが類似するというべき特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標の指定商品中、申立てに係る商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品について商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1(5)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものである。
そして、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は高いということはできない。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性の程度、需要者の共通性の程度などを併せ考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の申立てに係る商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1 引用商標1(国際登録第1650349号商標)



別掲2 引用商標2(国際登録第1438549号商標)



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異議決定日 2024-04-16 
出願番号 2023001325 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 山田 啓之
特許庁審判官 渡邉 あおい
杉本 克治
登録日 2023-07-05 
登録番号 6714525 
権利者 株式会社 ディー・エヌ・エー
商標の称呼 ポコスタジオ 
代理人 李 じゅん 

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