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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1410535 
総通号数 29 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-07-27 
確定日 2024-05-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第6699667号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6699667号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6699667号商標(以下「本件商標」という。)は、「LAZARA」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年11月10日に登録出願、第25類「被服,運動競技用ユニフォーム,防水加工した被服,運動靴及び運動用特殊靴,帽子,ベルト,ソックス,手袋,下着,ガーター,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,ジャケット,ジョギングパンツ,スウェットパンツ,ズボン,半ズボン,オーバーコート,トッパーコート,セーター,開襟シャツ,スポーツシャツ,ポロシャツ,ティーシャツ,洋服,コート,厚地のコート,セーター類,ワイシャツ類,靴,靴類,加圧式下着,水泳着,水泳帽,ドレス,水着,サイクリング競技用衣服,作務衣,半纏,法被,甚平,はかま,浴衣,ふんどし,下駄,草履類,寝巻き類,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,レインコート,オートバイ用ジャケット,バンド,ジャージー製被服,女性用のワンピース,スーツ,プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,半袖のワイシャツ類及びアンダーシャツ,コースレット,ボクサーショーツ,キャミソール,タンクトップ,タイツ及びタイツストッキング,運動用及び運動競技用シングレット,電気式通気装置を取り付けた被服,電気式通気装置を取り付けた作業服,電気式通気装置を取り付けたコート,電気式通気装置を取り付けたレインコート,電気式通気装置を取り付けたジャケット,電気式通気装置を取り付けたオートバイ用ジャケット,電気式通気装置を取り付けたシャツ,電気式通気装置を取り付けたズボン,電気式通気装置を取り付けた帽子,電気式通気装置を取り付けた履物,通気機能を備えた被服,通気機能を備えた作業服,通気機能を備えたコート,通気機能を備えたレインコート,通気機能を備えたジャケット,通気機能を備えたオートバイ用ジャケット,通気機能を備えたシャツ,通気機能を備えたズボン,通気機能を備えた帽子,通気機能を備えた履物,アイマスク,ゲートル,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,すげがさ,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト」を指定商品として、同5年5月12日に登録査定、同年5月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、それらの商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4108998号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ZARA
登録出願日:平成5年3月31日
設定登録日:平成10年1月30日
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(2)国際登録第752502号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:ZARA
国際商標登録出願日:2001年(平成13年)2月1日
優先権主張:2000年(平成12年)8月1日(Spain)
設定登録日:平成14年4月12日
指定商品・役務:第25類「Ready-made clothing for women, men and children, footwear (except orthopaedic footwear) and headgear; clothing for motorists and cyclists; bibs, not of paper; head bands (clothing); bathrobes; swimming costumes; bathing caps and sandals; boas (to wear around the neck); underwear; babies' pants; scarves; hoods; shawls; belts; wet suits for waterskiing; ties; corsets; scarves; fur stoles; headscarves; woolly hats; gloves; underwear; mantillas; stockings; socks; neckscarves; textile nappies; furs (clothing); pyjamas; soles; heels; veils (clothing); braces; paper clothing; gym and sportswear; baby clothes; collars (clothing); insoles; bow ties; pareos.」及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務
以下「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめていうときは「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
以下、証拠の記載に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する場合がある。
(1)申立人商標「ZARA」の周知・著名性について
申立人が使用する商標「ZARA」(以下「申立人使用商標」という場合がある。)は、世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして、下記に述べるとおり、世界各国及び我が国の需要者・取引者に広く知られている。
申立人のファッションブランド「ZARA」は、1975年にスペインにて1号店がオープンして以来、現在では世界で約2,040を超える店舗が展開されており、日本においても1997年に日本法人が設立され、翌年に1号店を渋谷に開店した後(甲7)、その後、統廃合を経て、現時点で国内に67の店舗が存在する(甲8)。
東京都内の主要なZARAの店舗としては、ZARA新宿店、ZARA六本木ヒルズ店、ZARA銀座店、ZARA渋谷公園通り店などがあり、いずれも都内の主要な繁華街に所在している(甲9)。
また、パソコンやスマートフォンからZARA.comのウェブサイトを介したオンライン販売がかなりの程度行われている。女性・男性のアパレル製品を主力に、アパレルブランドの枠を超えたブランドとして、我が国の需要者・取引者に広く認識されている(甲10、甲11)。
主力業態である「ZARA」(「ZARA HOME」を含む)ブランドに関する2023年1月期の世界全体の売上高は、237億6,100万ユーロ(約3兆3,503億100万円、1ユーロ=141円で換算)である。ECオンラインでの売り上げが、78億ユーロ(約1兆998億円、1ユーロ=141円で換算)となっており、その割合を増やしている(甲12)。
日本市場における過去5年間の「ZARA」の取扱商品についての売上高は、日本においても相当規模の大きい売上高となっている。
このような「ZARA」の世界展開や商業的成功、及びそれに伴うブランド認知度の向上により、米Interbrand社が毎年公表するブランド価値評価ランキング「Best Global Brands」において、毎年上位に選出されているが、2020年度では第35位に選出され(甲13)、2021年度では第45位に選出されており(甲14)、世界で最も成功しているファッションブランドの一つとして認識されている。
申立人の「ZARA」は日本の時事用語事典Imidasにおいて2017年3月の時点で掲載されており、「ファストファッションの草分け的ブランド」と説明されるとともに、「全国の服飾専門学校生を対象にした「好きなブランド」「よく買うブランド」調査(繊研新聞)では、どちらもザラが1位に選ばれた。」との記載が認められる(甲15)。
我が国の代表的な日刊経済紙である日本経済新聞の記事(2019年6月21日)においても、「「ZARA(ザラ)」を展開するアパレル最大手のインディテックス」との記載があり、掲載された同業他社との時価総額を比較するグラフ、同新聞のその他の記事(2021年12月16日及び2022年6月8日)からも、「ZARA」ブランドが日本国内において非常に有名であることがうかがえる(甲16〜甲18)。
1998年当時に「ZARA」が日本において店舗展開を始めた頃には多くの国内の雑誌媒体で「ZARA」ブランドが取り上げられている(甲19〜甲28)。そして、およそ10年後の2010年での雑誌BLENDA(ブレンダ)の「好きなブランドアンケート」では、1位に選出されている(甲29)。
そして、WWDジャパンの記事では、2019年12月時点でのSNS世代1600人を対象とした、好きなブランドのアンケート調査では、「ザラ(ZARA)」が1位に選出されている(甲30)。
申立人の広告宣伝についてみると、申立人は、店舗そのものを広告塔とすることで広告宣伝費を抑える戦略を採っていることが知られており、2022年の世界での広告費は約2億2千万ユーロ(約282億円)である(各地域での内訳は非公表)。
広告宣伝がインターネットやソーシャルメディアを通じても行われている今日の事情に鑑みれば、広告宣伝費の多寡以外でも「ZARA」の周知著名性を判断することは可能であり、「ZARA」の周知著名性は、主要なソーシャルメディアでのフォロワー数で示すことも可能である。ソーシャルメディアでのフォロワー数は、需要者が積極的に、対象のアカウントにアクセスをして、情報を継続的に得る約1億600万ものフォロワーの数を示すものであり、客観的な周知著名性を示す有力な資料といえる(甲31)。
以上のことからすると、申立人使用商標は、本件商標の登録出願時には、少なくとも「被服」の分野において外国及び我が国の需要者・取引者の間で広く認識されており、強い顧客吸引力を持つ周知又は著名な商標であるといえる。
さらに、特許庁における異議申立ての決定や無効審判の審決においても、商標「ZARA」が少なくとも「被服」の分野において、我が国の需要者・取引者の間で広く認識されている旨が認定され(甲32、甲33)、Jplat−patにおいても日本周知著名商標の一つとして「ZARA」は記録されている(甲34)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、欧文字の「LAZARA」を標準文字により書してなるところ、引用商標を構成する「ZARA」を全て含むものである。
本件商標からは「ラザラ」の称呼が生じ得るが、これは、引用商標から生じる称呼である「ザラ」を含むものであり、冒頭の「ラ」については、その後に続く「ザラ」とあいまって、「ラ」が弱く発音されるものである。したがって、音節数が比較的少ない語であっても、明確に聴取することは困難であり、称呼において類似するというべきである。
確かに、本件商標「LAZARA」と引用商標を構成する「ZARA」とは、外観上、冒頭の「LA」の差異があるものの、「LA」はスペイン語の定冠詞であることが知られており(甲35)、我が国のスペイン語の一般的な理解の水準が高くないとしても、「LA」はスペイン語の定冠詞といった基本的な事項については我が国の需要者・取引者において広く知られている。
そして、引用商標を構成する「ZARA」は独創性の高い商標であり、このような造語より構成される創造商標については一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも需要者に対する印象・連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。
さらに上述のとおり、申立人使用商標は「被服」の分野で周知・著名であって、本件商標が指定商品に使用された場合には、周知・著名なブランド「ZARA」を想起・連想させるため、互いに観念上の類似性も認められる。
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と互いに同一又は類似の関係にある。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似するものであり、外観上の差異があるものの、引用商標の周知・著名性の事情を総合的して全体的に観察すれば、両商標は、互いに類似する商標であり、本件商標と引用商標の指定商品も同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人使用商標は、世界最大の売上高を誇るアパレル企業である申立人の基幹ブランドとして知られ、申立人のハウスマークと同等に位置づけられるべきものである。それ自体は辞書に採録のない造語であり、少なくとも「被服」分野においては周知・著名性を獲得している。そして、構成文字「ZARA」の共通性により、本件商標と引用商標とは、高度の類似性があるというべきである。
また、引用商標を構成する「ZARA」は独創性の高い商標である。
さらに、本件商標に係る指定商品は、「被服」に関連する商品であり、申立人の業務に係る商品と同一又は類似する商品といえるから、両商品は密接な関連性を有するとともに、需要者を共通にするものである。
そうすると、本件商標が指定商品に使用された場合は、これに接した需要者は、申立人と経済的又は組織的関係を有する者の業務に係る商品であると誤信することで、商品の出所について混同を生じるおそれが高いものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が外国及び我が国の需要者・取引者の間で周知・著名な商標であること、さらに、本件商標が引用商標と類似することは、上述のとおりである。
申立人とは無関係の他人である本件商標の権利者が、周知・著名な商標と類似する本件商標を採択することは、自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、著名商標に化体した信用にただ乗りフリーライド)することによって得ようとするものであり、不正の目的が認められる。
また、本件商標の使用は、引用商標に化体した出所表示機能の希釈化を招くものであり、またその名声を棄損させるものである。
したがって、本件商標の使用は、引用商標に化体した出所表示機能の希釈化を招き、またその信用、名声、顧客吸引力等を毀損させる不正の目的が認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)「ZARA」の文字からなる商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、ファッションブランド「ZARA」を展開する、主に被服の製造、販売を行うスペインのアパレル企業であり、1975年にスペインで第1号店をオープンして以降、現在では世界で約2,000以上の店舗を展開している(甲7)。
また、「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)ブランドの2023年1月期の世界全体の売上高は237億6,100万ユーロ(約3兆3,3503億円)であり、オンラインでの売り上げが78億ユーロ(約1兆998億円)である(甲12)。
(イ)我が国においては、1997年に日本法人「株式会社ザラ・ジャパン」が設立され、翌年の1998年に第1号店を渋谷に開店した後(甲7)、現時点で国内に67の店舗が存在している(甲8)。
また、日本市場における2018年ないし2022年の「ZARA」ブランドの取扱商品についての売上高は、約6億2,056万ユーロないし約7億5,664万ユーロ(約817億円ないし約921億円)で推移している(申立人の主張)。
(ウ)「ZARA」ブランドは、米国Interbrand社のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2020」において、第35位であり、同「Best Global Brands 2021」においては第45位である(甲13、甲14)。
(エ)申立人のオンラインショップ(打ち出し日は、本件商標の登録査定後の日付)において、「ZARA」ブランドの被服等が取り扱われている(甲11)。
(オ)「情報・知識&オピニオン imidasの時事用語事典」には、「ZARA(ザラ) 2017/03」の項に「スペインのインディテックス社が展開するファストファッションの草分け的ブランド。・・・2017年1月時点ではリニューアルも含めて約100店舗を構えている。学生からの支持も厚く全国の服飾専門学校生を対象にした「好きなブランド」「よく買うブランド」調査(繊研新聞)ではどちらもザラが1位に選ばれた。」の記載がある(甲15)。
(カ)日本経済新聞(2019年6月21日、2021年12月16日、2022年6月8日)には、「ZARA(ザラ)を展開するアパレル最大手のインディテックス(スペイン)」に関する記事がある(甲16〜甲18)。
(キ)我が国で店舗展開を開始した頃の1998年9月から12月発行の雑誌には、「ZARA渋谷店」が紹介され、申立人のブランドに「ZARA」、「ザラ」の文字が使用されている(甲19〜甲27)。
なお、甲第29号証は、雑誌「BLENDA(ブレンダ)」の抜粋とするものであり、「好きなブランド“ベスト5”」の見出しの下、1位「ZARA」の記載があるが、雑誌名、発行日は確認できない。
(ク)「WWDJAPAN」のウェブサイトには、「SNS世代1600人を徹底調査 好きなブランドTOP10」の見出しの下、「公開2019/12/03(更新:2019/12/10・・・全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。」、「【1位】 「ザラ(ZARA)」」の記載がある(甲30)。
(ケ)申立人が作成した「annual report 2020」には、「ZARA」ブランドの「INSTAGRAM」や「FACEBOOK」などのソーシャルメディアにおいて、合計約1億600万のフォロワー数となっている(甲31)。
イ 上記アによれば、申立人は、ファッションブランドである「ZARA」(「ZARA HOME」を含む。)の商品「被服」を1975年から世界各国で販売し、我が国においては、1998年から現在まで、店舗、オンラインショップ等を通じて販売されていること、世界全体の売上高及びブランド価値評価ランキングなどを併せ考慮すれば、「ZARA」の文字からなる引用商標及び申立人使用商標(以下「引用商標等」という。)は、申立人の業務に係る「被服」を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に一定程度認識されているものということができる。
しかしながら、我が国又は外国における引用商標等を使用した被服に限定した売上高など販売実績を示す主張はなく、その証左も見いだせず、当該商品に係る広告宣伝の規模及び広告宣伝費等の実績も確認できないから、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「被服」を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人は、「ZARA」の文字からなる商標が我が国において周知であることの証左として過去の異議決定及び審決例を挙げている(甲32、甲33)が、商標の周知性は、事案毎に事実、証拠に基づき個別具体的に判断すべきものであるから、それらをもって上記判断が左右されるものではない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「LAZARA」の欧文字を標準文字で表してなるところ、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されたものである。
そして、本件商標の構成中の「LA」の欧文字が、スペイン語で定冠詞を意味する語(甲35)であるとしても、上記のようなまとまりのよい構成においては、本件商標に接する需要者は、「LA」の欧文字を捨象して、「ZARA」の文字部分のみに着目するというよりは、むしろ「LAZARA」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握するとみるのが相当であり、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しない造語である。
さらに、本件商標全体から生じる「ラザラ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「ラザラ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、「ZARA」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は辞書等に記載された成語ではなく、特定の意味を有しない造語であるから、その構成文字に相応して、「ザラ」の称呼を生じ、また、当該文字は、上記(1)のとおり、引用商標等は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることもできないことを踏まえれば、特定の観念は生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者はそれぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観においては、看者の注意を引きやすい語頭において「LA」の文字の有無という差異を有し、この差異が6文字及び4文字という少ない文字構成からなる両者の外観全体から受ける視覚的印象に与える影響は大きく、両者を離隔的に観察しても、外観上、明確に区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から生じる「ラザラ」の称呼と引用商標から生じる「ザラ」の称呼とは、称呼の識別上重要な要素である語頭において「ラ」の音の差異を有し、その差異が3音及び2音構成という短い音構成である称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、両商標はともに特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において明確に区別及び明瞭に聴別し得るものであり、観念において比較することができないものであるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきである。
その他、両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品を含むとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標等は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
また、本件商標と、引用商標と構成文字を同じくする申立人使用商標とは、上記(2)と同様の理由により、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標と引用商標等の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、商品の関連性を有し、需要者が共通する場合があるとしても、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、需要者をして引用商標等を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
上記(1)のとおり、引用商標等は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、さらに、本件商標が、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他不正の目的をもって使用するものと認めるに足りる具体的証拠も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するとはいえず、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
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異議決定日 2024-04-22 
出願番号 2022128691 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 小田 昌子
馬場 秀敏
登録日 2023-05-19 
登録番号 6699667 
権利者 吉岡 利樹
商標の称呼 ラザラ 
代理人 小暮 君平 
代理人 福井 孝雄 
代理人 弁理士法人BORDERS IP 

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