【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1409411 
総通号数 28 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-13 
確定日 2024-04-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6346655号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6346655号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6346655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和元年12月27日に登録出願、第34類「電子たばこ,代用たばこを含む紙巻きたばこ(医療用のものを除く。),電子たばこ用香味料(精油を除く),喫煙者用の経口吸入器,喫煙パイプ,紙巻たばこ用パイプの吸い口,電子たばこ用ケース,電子式葉巻」を指定商品として、同2年10月21日に登録査定、同3年1月29日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は、以下の(1)ないし(19)であり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5897552号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成28年6月16日
設定登録日:平成28年11月18日
指定商品:第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(2)登録第5996767号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成28年7月28日
設定登録日:平成29年11月17日
指定商品及び指定役務:第9類、第11類、第34類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(3)登録第5998619号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成28年7月28日
設定登録日:平成29年11月24日
指定商品及び指定役務:第9類、第11類、第34類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(4)登録第6015014号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成29年2月7日
設定登録日:平成30年1月26日
指定商品及び指定役務:第34類、第35類、第41類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(5)登録第6044501号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成29年8月28日
設定登録日:平成30年5月18日
指定商品及び指定役務:第9類、第34類及び第37類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(6)登録第6047670号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲7のとおり
登録出願日:平成29年2月15日
設定登録日:平成30年6月1日
指定商品及び指定役務:第34類及び第35類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(7)登録第6105202号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲8のとおり(立体商標
登録出願日:平成30年4月4日
設定登録日:平成30年12月7日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(8)登録第6113945号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲9のとおり(立体商標
登録出願日:平成30年4月4日
設定登録日:平成31年1月11日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(9)登録第6134365号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:別掲10のとおり
登録出願日:平成30年6月12日
優先権主張:2018年6月5日 アンドラ公国
設定登録日:平成31年3月29日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(10)登録第6137689号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成:別掲11のとおり(立体商標
登録出願日:平成30年4月13日
優先権主張:2018年4月4日 大韓民国
設定登録日:平成31年4月12日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(11)登録第6137690号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成:別掲12のとおり(立体商標
登録出願日:平成30年4月13日
優先権主張:2018年4月4日 大韓民国
設定登録日:平成31年4月12日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(12)登録第6171552号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の構成:別掲13のとおり
登録出願日:平成30年6月12日
優先権主張:2018年6月5日 アンドラ公国
設定登録日:令和元年8月16日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(13)登録第6171553号商標(以下「引用商標13」という。)
商標の構成:別掲14のとおり
登録出願日:平成30年6月12日
優先権主張:2018年6月5日 アンドラ公国
設定登録日:令和元年8月16日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(14)登録第6171554号商標(以下「引用商標14」という。)
商標の構成:別掲15のとおり
登録出願日:平成30年6月12日
優先権主張:2018年6月5日 アンドラ公国
設定登録日:令和元年8月16日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(15)登録第6198503号商標(以下「引用商標15」という。)
商標の構成:別掲16のとおり
登録出願日:平成31年1月21日
設定登録日:令和元年11月15日
指定商品:第9類及び第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(16)登録第6266311号商標(以下「引用商標16」という。)
商標の構成:別掲17のとおり(立体商標
登録出願日:平成30年4月4日
設定登録日:令和2年7月6日
指定商品:第34類に属する商標登録原簿に記載の商品
(17)国際登録第1329691号商標(以下「引用商標17」という。)
商標の構成:別掲18のとおり
国際商標登録出願日:2016年8月10日
優先権主張:2016年2月12日 Kazakhstan
設定登録日:平成30年7月13日
指定商品:第9類、第11類及び第34類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
(18)国際登録第1467469号商標(以下「引用商標18」という。)
商標の構成:別掲19のとおり
国際商標登録出願日:2019年2月15日
優先権主張:2018年8月22日 Switzerland
設定登録日:令和3年1月8日
指定商品及び指定役務:第34類、第35類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
(19)国際登録第1468279号商標(以下「引用商標19」という。)
商標の構成:別掲20のとおり
国際商標登録出願日:2019年2月25日
優先権主張:2018年8月31日 Switzerland
設定登録日:令和3年1月15日
指定商品及び指定役務:第34類、第35類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務
以下、引用商標1ないし引用商標19をまとめていう場合は、「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「HQD」の大文字(決定注:「欧文字」の誤記と思われる。)よりなるところ、その構成中「Q」の欧文字に特徴を有するものとなっており、他の欧文字「H」と「D」に比してみても、単に3文字の欧文字からなる商標というよりは、「Q」に特徴を有する商標であり、本件商標の構成中の「Q」の欧文字は、引用商標の「Q」とその外観において極めて近似した態様となっている。そして、指定商品も同一又は類似するものである。
本件商標の外観は、欧文字3文字からなるところ、「H」及び「D」が通常用いられる欧文字であるのに対し、通常は楕円形で書されることが多い「Q」の文字部分は全体として四角又はひし形にした特徴を有するものである。これを「Q」の欧文字と認識する要素は右下に付された「、」の部分である。この特徴について本件商標と引用商標の「Q」の文字部分を比較すると、引用商標は、すべて「Q」の欧文字の外観が本件商標と同一又は酷似したものとなっている。
特に引用商標2は、別掲3のとおりの構成からなるところ、色彩を異にしたとしても、本件商標中の「Q」の大文字(決定注:「欧文字」の誤記と思われる。)と同一又は極めて酷似している。
申立人は、引用商標2と同一のデザイン化された「Q」の欧文字を使用した「IQOS」商標(以下「IQOS商標」という。)を2017年頃より使用し(甲31)、現在に至るまで、引用商標2を含む引用商標を、申立人の取り扱いに係る「加熱式たばこ及び器具」である「IQOS」製品のパッケージ、宣伝、インターネットサイト、店舗における商品販売用台、広告等に使用している(甲22〜甲39)。
また、本件商標の指定商品は全て、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
本件商標と引用商標とは、称呼及び観念については類似しないか、又は比較することはできないが、外観については、本件商標の構成中の特徴を持たせた「Q」の欧文字と引用商標中の「Q」の欧文字とは、同一又は酷似する類似の商標である。
そうとすれば、本件商標は、引用商標と類似するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、たばこ及び加熱式たばこ製品を製造・販売する世界的企業であるフィリップ・モリス・インターナショナル社の完全子会社である。近年の本件商標及び引用商標に係る指定商品を取り巻く業界では、たばこを燃やして喫煙する従来型のたばこでなく、煙や副流煙が少なく環境や人体への健康に配慮した「加熱式たばこ製品」に移行することが世界的傾向となっているところであり、たばこ業界大手である、申立人及び日本たばこ産業株式会社を始めとする各社が「(燃やすのではなく)加熱式のたばこ製品」を製造・販売している(甲22〜甲39)。
申立人は、平成26年11月4日から、我が国においてたばこを加熱する独自の技術を採用した「加熱式たばこ及び加熱式たばこ用器具」について「IQOS商標」を付して発売している(甲22〜甲39)。
提出した証拠のとおり、申立人の取扱いに係る「IQOS」は、2014年より我が国における販売が開始され、我が国の「加熱式たばこ及び器具」のトップシェアを獲得している。また、申立人は、少なくとも2017年より、リーフレット、インターネット、実際の販売店舗など、様々な媒体を通じて特徴的な「Q」の文字を有する「IQOS商標」(引用商標)を使用している(甲22〜甲39)。
このように、申立人が引用商標を長期間にわたり使用した結果、本件商標の指定商品と同一又は類似する引用商標の指定商品はもとよりそれ以外の分野においても広く知られたものとなっていることから、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する需要者が申立人の業務に係る商品と誤認し、その出所について混同を生じさせるおそれがある商標と認められるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(ア)2016年ないし2017年にかけて発行された各種インターネット記事及び新聞によれば、申立人は、たばこ及び加熱式たばこ製品を製造・販売する大手企業である米フィリップ・モリス・インターナショナル社(以下、「フィリップモリス社」という。)の完全子会社であること、加熱式たばこの国内外の市場において、申立人の加熱式たばこ製品(以下「申立人商品」という。)である「アイコス」がトップシェアに位置づけられていること、申立人は、2014年に他社に先駆け申立人商品を発売したこと、我が国においては、2017年に、風味や充電時間などを改良した申立人商品を発売し、申立人商品「アイコス」が、「アイコス(IQOS)」、「アイコス」と紹介され、申立人商品の包装箱、申立人の社内やたばこ販売店の看板等に「IQOS商標」が使用されていること、2018年時点で、銀座ほか、札幌、名古屋、梅田、広島、福岡等に「IQOSストア」が存在し、申立人商品が取り扱われていることがうかがえる(甲22〜甲25)。
なお、これらのインターネット記事及び新聞に、引用商標2を除く引用商標と同一態様の標章をその構成中に含む「IQOS商標」の使用は確認できるが、引用商標2と同一態様のみの標章の使用は確認できない。
(イ)2018年から2021年までのウェブサイトによれば、我が国の加熱式たばこ市場において、申立人商品がトップシェアを占めていること、2018年時点で、我が国の約700万人以上の加熱式たばこユーザーのうち、約540万人がアイコスユーザーであることが記載され、申立人商品「アイコス」が「IQOS(アイコス)」、「アイコス」と紹介されている(甲26〜甲30)。
なお、これらのウェブサイトに、引用商標2を除く引用商標と同一態様の標章をその構成中に含む「IQOS商標」の使用は確認できるが、引用商標2と同一態様のみの標章の使用は確認できない。
(ウ)2014年から2017年までの申立人に係る広告資料によれば、2017年以降、たばこ販売店や店舗内の販売台、申立人のウェブサイトや販売用リーフレット等に「IQOS商標」が付された申立人商品の広告宣伝がされていることはうかがわれるが、引用商標2と同一態様のみの標章の使用は確認できない(甲31〜甲35、甲38、甲39)。
イ 上記アによれば、たばこ及び加熱式たばこ製品を製造・販売するフィリップモリス社の完全子会社である申立人は、2014年から申立人商品の販売を開始し、申立人商品は、我が国の加熱式たばこ市場において、トップシェアを占めていることが認められ、2017年に、風味や充電時間などを改良した申立人商品を発売し、インターネット記事及び新聞において、申立人商品「アイコス」が、「IQOS(アイコス)」、「アイコス」と紹介され、申立人商品の包装箱、申立人の社内やたばこ販売店の看板等に「IQOS商標」が使用されており、我が国のIQOSストアにおいて、「IQOS商標」が付された申立人商品が取り扱われていることがうかがえる(甲23〜甲25、甲27、甲32〜甲35、甲38)。
また、2018年時点で、我が国の加熱式たばこユーザーのうち、約7割がアイコスユーザーであることが認められ(甲26)、2017年頃から現在まで、各種インターネット記事、新聞及びウェブサイト、申立人のウェブサイトや販売用リーフレット等に「IQOS商標」を付した申立人商品「アイコス」が紹介され、広告宣伝されたことがうかがえる(甲26〜甲33)。
以上よりすれば、「IQOS商標」と同一の態様の標章をその構成中に含む引用商標2を除く引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品(加熱式たばこ製品)(以下、「申立人の業務に係る商品」という。)「アイコス」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
しかしながら、加熱式たばこ製品以外の商品の分野において、申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、引用商標2を除く引用商標の周知性は、加熱式たばこ製品の分野にとどまるというのが相当であり、当該商品分野を超えて、我が国の需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
また、申立人提出の証拠からは、引用商標2と同一態様の標章が使用された証拠は、提出されていないことから、引用商標2が、我が国の需要者の間にどの程度認識されているかを把握、評価することができない。
その他、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標2の周知性を認め得る特別な事情も見いだせない。
以上よりすれば、申立人提出の証拠によっては、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「H」及び「D」の欧文字の間に、左上隅及び右下隅の先端がやや突出し、右下隅の先端に短い直線を伴った四角形状の枠線図形を配した構成よりなるものである。
そして、本件商標の構成各要素は、一体的にまとまりよく表されており、「H」と「D」の間に配された図形は、その前後が「H」と「D」の欧文字であることから、何らかの欧文字をデザイン化して表したものと理解され得るところ、その構成態様の特徴よりすれば「Q」の欧文字を図案化したものと把握され得るものである。
してみれば、本件商標は、「HQD」の文字を表したものと認識できるものであり、当該文字より生じる「エイチキューディー」の称呼は、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、「HQD」の文字は、一般的な辞書に載録がなく、特定の意味合いを理解させるものではない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「エイチキューディー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標について
(ア)引用商標2を除く引用商標について
引用商標2を除く引用商標は、それぞれ、別掲2及び別掲4ないし別掲20のとおりの構成よりなるところ、これらの商標の構成中には、「I」と「OS」の間に、左上隅及び右下隅の先端がやや突出し、右下隅の先端に短い直線を伴った四角形状の枠線図形を配してなるところ、上記(1)のとおり、「IQOS商標」は、申立人の業務に係る商品「アイコス」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができるものであり、引用商標2を除く引用商標は、「IQOS商標」と同一態様の「IQOS」の文字からなる標章をその構成中に含むものである。
したがって、引用商標2を除く引用商標は、「IQOS」の文字部分に相応して、「アイコス」の称呼が生じ、「申立人商品に係る「IQOSブランド」」の観念が生じるものである。
(イ)引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、引用商標2を除く引用商標の構成中の「IQOS」の文字中の「Q」の欧文字を図案化したものと同一の構成からなるところ、引用商標2は、特定の称呼及び観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標2を除く引用商標を比較すると、外観においては、それぞれの文字構成が異なることから、外観上十分に区別し得るものである。 また、称呼においては、両者は、全体の構成音数及び音構成の顕著な差異を有するものであるから、明確に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、引用商標2を除く引用商標は、「申立人商品に係る「IQOSブランド」」の観念を生じるものであるから、両者は相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標2を除く引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれはなく、互いに非類似の商標というべきである。
そして、本件商標と引用商標2とは、外観においては、欧文字からなる本件商標と、図形からなる引用商標2とは明らかに相違するものであり、外観上十分に区別し得るものである。
また、称呼においては、本件商標から「エイチキューディー」の称呼を生じるのに対し、引用商標2からは、特定の称呼を生じないことから、両者は相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、両者から特定の観念が生じないことから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標2は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれはなく、互いに非類似の商標である。
なお、申立人は、本件商標と引用商標の外観については、本件商標の構成中の特徴的な「Q」の欧文字と、引用商標の構成中の「Q」の欧文字とは、同一又は酷似する類似の商標である旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、引用商標2を除く引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「アイコス」を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められるとしても、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
そして、上記アのとおり、本件商標は、構成各要素が一体的にまとまりよく表されているところ、このような構成態様においては、特定の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないから、たとえ、本件商標及び引用商標の構成中の「Q」の欧文字が同一又は酷似するものであるとしても、本件商標と引用商標の類否は、特定の文字部分を要部として抽出して判断すべきではなく、構成文字全体に相応する外観、称呼及び観念に基づき全体的に考察すべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、その指定商品及び指定役務の類否について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
上記(1)のとおり、引用商標2を除く引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められるものである。
しかしながら、引用商標2を除く引用商標の周知性は、申立人の業務に係る商品の分野にとどまるというのが相当であり、当該商品分野を超えて、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
そして、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められないものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、観念において相紛れるおそれはないか比較できないとしても、外観、称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標と引用商標の類似性の程度は低いものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
以上のとおり、引用商標2を除く引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認められるとしても、本件商標とは類似性の程度は低いものである。
また、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり、本件商標とは類似性の程度は低いものである。
以上よりすれば、申立人商品との関連性や需要者の共通性にかかわらず、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、それに接する取引者、需要者が、申立人又はその業務に係る商品との関連性を連想又は想起し、同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1。色彩は原本参照。)



別掲3(引用商標2。色彩は原本参照。)



別掲4(引用商標3。色彩は原本参照。)




別掲5(引用商標4)




別掲6(引用商標5。色彩は原本参照。)




別掲7(引用商標6)




別掲8(引用商標7。立体商標)












別掲9(引用商標8。立体商標)












別掲10(引用商標9)






別掲11(引用商標10。立体商標)














別掲12(引用商標11。立体商標 )














別掲13(引用商標12)





別掲14(引用商標13)






別掲15(引用商標14)






別掲16(引用商標15)




別掲17(引用商標16。立体商標)















別掲18(引用商標17。色彩は原本参照。)




別掲19(引用商標18)




別掲20(引用商標19。色彩は原本参照。)





(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-06-17 
出願番号 2019169249 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W34)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 杉本 克治
小田 昌子
登録日 2021-01-29 
登録番号 6346655 
権利者 深▲せん▼市漢清達科技有限公司
商標の称呼 エイチキュウデイ、エッチキュウデイ 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ