【重要】サービス終了について

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W28
管理番号 1406963 
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-06-05 
確定日 2024-01-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6685056号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6685056号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6685056号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和4年10月11日に登録出願、第28類「運動用具,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。)」を指定商品として、同5年3月16日に登録査定され、同月29日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する国際登録第1332353号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2016年11月11日に国際登録商標出願、第25類、第28類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲3)を指定商品及び指定役務として、平成30年1月19日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して記載する場合があり、枝番号の全てを表示する場合は、枝番号を省略する。
1 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「REAXION」の欧文字よりなるものであり、引用商標は、「REAXING」の欧文字からなるものである。
「REAXION」」の欧文字と、「REAXING」の欧文字とを比較した場合、構成文字数はともに7文字と一致し、そのうち、強く印象される語頭の5文字「REAXI」を共通にしている。
引用商標の構成中「REAXI」は、本件商標に係る指定商品(以下「本件商品」という。)の業界において、ありふれて採択されておらず、独特の文字構成であることがわかる(甲3)。
さらに、引用商標は、申立人の業務に係る商品を示す代表的出所標識として広く認知されている。
これらのことから、本件商品の分野において、文字数(7文字)及びそのうち5文字「REAXI」の一致をもって、本件商品の取引者・需要者が両商標に係る商品の出所を誤認混同する蓋然性は相当程度高いと推測することができる。
本件商標と引用商標は、いずれもやや図案化したものであるものの、商標の使用において文字の図案化は一般に行われることから、近似しているといえるため、両商標は、外観上相紛らわしいというべきである。
次いで、本件商標と引用商標の称呼上の類否について検討すると、両商標は、一般的な英語の辞書に記載された既存語ではなく、特定の観念を生じさせない造語と認識されるものである。
そして、辞書に記載のない欧文字は、通常、我が国において親しまれた英語若しくはローマ字表記にならって称呼されるところ、本件商標は、「リアクション」又は「リアクシオン」と発音され、引用商標は、「リアクシング」と発音される。
そうすると、本件商標と引用商標より生じ得る称呼を比較した場合、構成音数は、本件商標が5ないし6音、引用商標が6音で一致若しくは1音の差異であり、そのうち語頭の4音「リアクシ」を共通にしており、称呼における語頭部分は、識別上重要な要素を占めるため、5ないし6音中語頭の4音を共通にする両商標の称呼は、取引者・需要者が耳にしたときに聞き誤るおそれがあるから、両商標は、称呼上相紛らわしいというべきである。
さらに、本件商標と引用商標の観念上の類否について検討すると、両商標は、一般的な英語の辞書に記載された既存語ではないものの、語頭の「REAX」を共通にし、語尾が「ION」と「ING」とで異なるため、同じ「REAX」なる語のそれぞれ名詞と現在進行形と認識され得るものであるから、同じ語から派生した、同様の意味合いを有する語であると認識され得るといえる。
また、本件商標より生じ得る称呼「リアクション」が「反応」を意味する平易な英単語「reaction」の称呼と同一であること、甲第4号証に示すとおり、本件商標の権利権(以下「本件商標権者」という。)は本件商標を付した製品の説明として、「アプリで制御された複数のランプの点滅を感知、反応、行動することで、(中略)体を動かす機能を高めることが可能になります。」と記載しているとおり、本件商標権者の製品は、体の反応速度を高めるトレーニングに使用される製品であると理解できることから本件商標は「反応」ほどの観念が連想される。
他方、申立人の製品は、甲第5号証に示すとおり、神経反応のトレーニング(Neuroreactive Training)機器であること、引用商標とともに「TRAINTO REACT」の文字を使用していることから、本件商標と同様に「反応」ほどの観念が連想される。
これらのことから、本件商標と引用商標は、観念上相紛らわしい、というべきである。
加えて、取引の実情について検討すると、申立人の製品は、甲第5号証の7頁目に表示されているような、フィットネスジムなどに導入される大型のものから、甲第6号証に示すような、個人の自宅でも使用できるものまで、幅広く取り揃えられている。
実際に、甲第7号証は、2017年から2021年までの間に、申立人から我が国の顧客に対して発行されたインボイスの写しであるところ、そのうち1頁目及び2頁目のインボイスが示すとおり個人が購入し、価格も、1つ5ユーロといった安価な製品もある。
他方、本件商品である「運動用具」も、大衆品であり、一般の需要者が日
常生活の中で気軽に購入する安価なものも含まれる。
ここで、専門知識を有しない一般の需要者が、日常生活の中で、安価な商品を購入する場合には、高い注意力を持たずに、迅速に取引を行うことが一般的である。
そうすると、本件商標と引用商標とが、強く印象され、識別上重要な要素を占める語頭で一致することにより、細心の注意を払わずに商品を選択する一般の需要者が、両商標に係る商品の出所を誤認混同する蓋然性は相当程度高いといえる。
(2)本件商標と引用商標に係る指定商品の類否について
本件商品のいずれもが、引用商標に係る指定商品のいずれかと同一又は類似するものであることは自明である。
(3)小括
以上のことから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号について
商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」を不登録商標とし、商標審査基準によれば、「その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう。」とされている。
また、その判断にあたっては、「本号に該当するか否かは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断する。
出願商標とその他人の標章との類似性の程度、その他人の標章の周知度、その他人の標章が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか、その他人の標章がハウスマークであるか、企業における多角経営の可能性、商品間、役務間又は商品と役務間の関連性、商品等の需要者の共通性その他取引の実情とされている。
(2)両商標の類似度について
本件商標と、引用商標とは、極めて高い類似度を有する。
また、甲第5号証及び甲第6号証に示すように、申立人は、「Reax○○」の商標で商品を展開している。
よって、語頭に「Reax」を有する本件商標も、申立人に係る商標であると取引者・需要者が誤認する蓋然性は相当程度高いと推測することができる。
(3) 引用商標の周知度
申立人は、我が国を含む世界規模でビジネスを展開する、トレーニング機器の製造販売を業とする会社であり、2015年にReaxingプロジェクトを立ち上げた(甲8)。
従来のトレーニングは、予測可能かつ反復的で、特定の筋肉のみを鍛えるものであったため、予測不能な状況に対応し、様々な筋肉を使う必要のある日常生活やスポーツの場面に備えることはできなかった。
他方で、「Reaxing」は、不安定な場所でのトレーニングを提供するものであって、それにより、予測不能な状況にさらされることで、より効率的に運動能力を鍛えることができ、神経筋反応の活性化が期待できる画期的なエクササイズとして高い注目を受け、世界中で高い名声を獲得し、人気を博している(甲9、甲10)。
申立人のウェブページの写しである甲第8号証に記載があるとおり、申立人の「Reaxing」製品は、2016年及び2017年に、「FIBO Global Fitness」(以下「FIBO展示会」という。)において受賞している。
甲第11号証及び甲第12号証に示すとおり、「FIBO展示会」は、ドイツのケルンで開催される、世界最大規模のフィットネス・トレーニング機器の展示会である。
そして、甲第9号証に示すとおり、2017年8月4日に、引用商標の付されたトレーニング機器が我が国のフィットネスジムにも導入された。
現在も、東急スポーツオアシスの梅田店及び習志野店で「Reaxing」製品が導入されており(甲13)、ブログや各種SNSでも頻繁に紹介されている(甲14)。
甲第15号証は、東急スポーツオアシスの梅田店の様子を撮影した写真である。
「Reaxing」コーナーが設置され、「Reaxing」プログラム専用のスケジュールが組まれ、「Reaxingチャレンジ」なるイベントが開催されるなど、「Reaxing」の人気の高さがうかがえる。
また、甲第7号証から、東急スポーツオアシスにて導入されているだけでなく、個人でも購入されていることがわかる。
よって、引用商標は、遅くとも本件商標の登録出願日には、関連する取引者・需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く知られるに至っていたというべきであり、その周知著名性は、現在に至るまで
維持されている。
(4) 引用商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するか、ないしハウスマークであるか
引用商標は、当該業界において、ありふれて採択されていない、申立人によって独自に創作、採択された商標である。
また、引用商標は、申立人の名称「REAXING S.r.l.」のうち、法人格を除いた「REAXING」部分をやや図案化したものであり、申立人の代表的出所識別標識、すなわちハウスマークとして長年にわたり使用されているものである。
(5)商品・役務間の関連性ないし商品等の需要者の共通性その他取引の実情について
引用商標は、トレーニング機器について使用されている。
他方、本件商品は、「運動用具,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。)」である。
よって、引用商標が実際に使用される商品と、本件商品とは、同一であるか、又は極めて密接に関連しているというべきである。
以上のように、本件商標は、引用商標との間で高い類似度を有し、引用商標は、申立人の業務に係る商品を示すものとして、関連取引者・需要者の間で、広く知られており、引用商標は、申立人により独自に採択された、ありふれて採択されていない独特な創造商標であり、本件商品と、申立人の業務に係る商品とは、重複ないし密接に関連し、また、取引者・需要者は共通している。
これらの事情を総合的に考慮すれば、本件商標を本件商品に使用した場合、これに接した需要者及び取引者は、申立人又は同人と資本関係あるいは業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について誤認混同を生ずるおそれが十分にあるというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
(1)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するもの」を不登録商標とし、商標審査基準によれば、「外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの。日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの。」とされている。
(2)引用商標の周知・著名性および顧客吸引力について
申立人は、引用商標を、申立人の業務に係る商品を示す商標として、トレーニング機器について、全世界において、長年にわたって使用している。
甲第16号証に記載のとおり、申立人は、50か国で引用商標を付したトレーニング機器を販売している。
引用商標を付したトレーニング機器は、イタリアのプロサッカークラブであるユヴェントスFC、アメリカのユタ大学、南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、イタリア、オーストラリア、シンガポール、タイ、英国において233店舗を展開するヘルスクラブであるヴァージン・アクティブなど、各国において、スポーツチーム、フィットネスジム、大学、企業、宿泊施設など様々な施設で導入されている。
また、スポーツチームも、ラグビー、バレーボール、サッカー、オートバイ競技など、その競技も多岐にわたる。
甲第17号証に示すとおり、特定のスポーツチームに導入されるだけでなく、大会ででも導入され、出場選手がウォーミングアップなどに使用している。
また、甲第18号証に示すとおり、宿泊施設では、機器が導入されているだけではなく、トレーナーによるレッスンも行われており、宿泊客などが数多く参加している。
そして、申立人は、FIBO展示会にも出展しており、甲第19号証に示すとおり、2019年にはセンターステージに2ブース出展した。
甲第12号証の2に記載されているとおり、2019年の来場者数は14.5万人であった。
甲第20号証に示すように、FIBO展示会では、デモンストレーションのショーを行ったり、製品の説明を行ったり、来場者に実際に体験してもらったりすることで、「Reaxing」の広告活動に努めている。
さらに、甲第21号証ないし甲第23号証に示すとおり、FIBO展示会以外の展示会にも出展し、世界各国で個別に展示会や体験会を行ったりもしている。
また、甲第24号証に示すとおり、世界中の販売代理店の販売員などを集めて、製品の使用方法やトレーニング方法を教える、REAXING国際トレーニングサミットも行っており、販売員などへの教育にも努めている。
このように、申立人は、世界各国において、引用商標を用いて、これまで甚大な数量の商品を販売し、かつ、広告活動に励んできた。
すなわち、引用商標が、申立人の業務に係る商品を示すものとして、国内外における需要者及び取引者の間で、広く知られているということは容易に推測可能である。
(3)引用商標と本件商標の類似性について
本件商標と引用商標とは、その外観、称呼において相紛れるおそれがあり、観念上の繋がりもあるため、互いに類似するというべきである。
(4)不正の目的について
本件商標権者は、トレーニング機器を製造販売している(甲4,甲25)。
他方、申立人は、我が国を含む世界規模でビジネスを展開するトレーニング機器の製造販売会社であり、同様の商品を取り扱う本件商標権者は、引用商標「REAXING」が申立人によって長年にわたり大規模に使用されており、高い名声を博していることは知悉していたはずである。
すなわち、本件商標権者は、申立人に何ら依拠することなく、偶然に「REAXION」の文字を採択したとは考えられない。
よって、本件商標権者は、本件商標の登録出願時点において、世界規模で周知著名な引用商標の存在を知りながら、その顧客吸引力にフリーライドする目的で、引用商標と酷似する本件商標を登録出願しようとしたものである。
(5)小括
以上より、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして国
内又は外国における需要者の間に広く認識されている引用商標と類似し、また、不正の目的をもって使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」を不登録商標とし、商標審査基準によれば、ア 商標の構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字、固形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音である場合(中略)商標の構成自体がアでなくても、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合。」と記載されている。
この「指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合」には、当該登録出願の経緯が、信義誠実の原則に反し、社会的相当性を欠くものである場合を含むと解され、たとえば、他人の標章が末登録であることを奇貨として、不正の利益を得る意図で出願する行為は、公正な取引秩序を乱すおそれがあり、その独占使用を認めることは、取引秩序の維持という商標法の目的に反するというべきである。
本件商標権者は、引用商標が、申立人の業務に係る商品を示す商標として使用されていることを知りながら、それと酷似する本件商標を、引用商標の有する顧客吸引力にフリーライドする目的で、登録出願したものと推測することができる。
かかる本件商標の独占使用を認めることは、社会公共の秩序を著しく混乱させるおそれがあり、取引秩序の維持を目的とする商標法の予定するところではなく、保護に値しないというべきである。
また、かかる使用によって、本件商標権者と申立人との関係が誤認され、申立人のこれまで築き上げてきた名声・信用が希釈化するおそれがあるばかりでなく、また、誤認した需要者及び取引者にまで損害が生じる可能性も否定できない。
以上より、本件商標の登録出願は、その経緯において社会的相当性を欠くものであって、また、本件商品についての本件商標の使用は、社会公共の利益に反するというべきである。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の主張及び同人の提出に係る全証拠によれば、申立人は、トレーニング機器の製造販売を業とする企業であり、2015年にReaxingプロジェクトを立ち上げたこと(甲8)、2017年8月4日以来、引用商標の付されたトレーニング機器(以下「申立人商品」という。)が我が国のフィットネスジムにも導入されていること(甲9、甲13)、申立人商品は、「FIBO展示会」に出展され、当該展示会において、商品の説明やデモンストレーションを行ったこと(甲19、甲20)、「FIBO展示会」以外の展示会に出展していること(甲21〜甲23)、販売員に、製品の使用方法やトレーニング方法の教育を行っていること(甲24)は、確認できる。
しかしながら、申立人は、申立人商品の売上高やその経緯、市場占有率等について、詳細が確認できる証拠は提出していない。
また、申立人商品が販売されている店舗やその店舗数、販売方法について、その詳細が確認できる証拠も提出していない。
その他、展示会への出展以外の方法による申立人商品の広告宣伝の方法やその提供手段、広告宣伝費等の引用商標の周知著名性を数量的に判断することができる証拠は提出されていない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 本件商標と引用商標の類似性及びその程度
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、左側にデザイン化された「REA」の欧文字と右側に「ION」の欧文字を書し、各文字には、これらを囲む枠(以下「囲み枠」という。)を描き、各文字との間に、囲み枠とクロスするように、左上から右下に薄い青色の斜めの線を配してなるものである。
そして、本件商標の構成中の囲み枠とクロスする薄い青色の斜めの線は、
「REA」の欧文字と「ION」の欧文字との間に「X」の欧文字を記載したものと認識し得ることから、本件商標は、囲み枠と「REA」の欧文字、「X」の欧文字及び「ION」の欧文字とを一体のものとして認識するものであり、「REA」の欧文字、「X」の欧文字及び「ION」の欧文字を結合した「REAXION」の欧文字に相応して、「リアクション」の称呼が生じるものである。
また、本件商標の構成中の「REAXION」の欧文字は、一般の辞書等に載録されている成語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の観念は生じないものであり、「囲み枠」は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
したがって、本件商標は、その構成全体より、「リアクション」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、語頭の欧文字の「R」をややデザイン化し、その右横に「EAXING」の欧文字を配してなるものであり、これは構成全体として「REAXING」の欧文字を横書きしたものと看取できるものであるから、当該文字に相応して、「リアクシング」の称呼が生じるものである。
また、「REAXING」の欧文字は、一般の辞書等に載録されている成語とは認められず、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないため、これよりは、特定の観念は生じないものである。
したがって、引用商標は、その構成全体より、「リアクシング」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類似性及びその程度について
本件商標と引用商標は、囲み枠の有無、本件商標の6文字目及び7文字目の「ON」の欧文字と引用商標の6文字目及び7文字目の「NG」の欧文字に明らかな差異を有することから、外観上明らかに相違する。
また、本件商標より生じる「リアクション」の称呼と引用商標より生じる「リアクシング」の称呼は、第4音「シ」に続く「ョン」の音と「ング」の音に明らかな差異があり、いずれも6音という比較的短い音構成においては、この差異が称呼全体に与える影響は決して小さくなく、これらを一連に称呼しても語調語感が相違し、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念が生じないため、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において、相紛れるおそれのないものであるから、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであり、別異の商標と判断するのが相当である。
3 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、これらは相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであり、別異の商標と判断するのが相当であるから、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品が同一又は類似する商品であり、これらが密接な関連性を有しているとしても、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、申立人又は申立人の業務を表示するものと認識するとはいえないため、出所の混同が生じるおそれはない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 本件商標の商標法第4条第1項第7号及び同項第19号
上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできず、上記2のとおり、本件商標と引用商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであり、別異の商標と判断するのが相当であるから、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、需要者において、引用商標又は申立人を連想又は想起するということはできないものである。
そして、本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激若しくは他人に不快な印象を与えるものではないことは明らかである。
また、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標が引用商標に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択・出願されたものであるとすべき具体的事情を証明するところはなく、不正の目的をもって使用するものであると認めることはできない。
さらに、本件商標が、国際信義に反する又はその出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事実は見当たらず、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般道徳観念に反し、商取引の秩序を乱すものともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号のいずれにも該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当するとはいえず、その登録は同項の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(本件商標)(色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標)


別掲3(引用商標に係る指定商品及び指定役務)
第25類「Clothing; footwear; hats; rainproof clothing; clothing for gymnastics; bathrobes; bandanas [neckerchiefs]; sweat-absorbent underwear; teddies [undergarments]; stockings; sweat-absorbent stockings; socks; breeches; bathing trunks; sports singlets; bathing suits; gloves [clothing]; mittens; leg warmers; leggings [trousers]; sports jerseys; sandals; bath sandals; neck scarfs [mufflers]; footmuffs, not electrically heated; tee-shirts; combinations [clothing].」
第28類「Games; toys; appliances for gymnastics; decorations for christmas trees; body-building apparatus; machines for physical exercises; stationary exercise bicycles; weight lifting belts [sports articles]; discuses for sports; chest expanders [exercisers]; boxing gloves; protective paddings [parts of sports suits]; bar-bells; rollers for stationary exercise bicycles; gymnastic articles consisting of a strong canvas sheet attached with spring to a metal frame; spring boards [sports articles].」
第41類「Tuition; training; entertainment; sporting activities; organization of exhibitions for cultural or educational purposes; academies [education]; coaching [training]; sport camp services; conducting fitness classes; timing of sports events; physical education; practical training [demonstration]; entertainment information; education information; recreation information; gymnastic instruction; providing sports facilities; rental of sports equipment, except vehicles; rental of sports grounds; organization of balls; organisation of sports competitions; arranging and conducting of congresses; arranging and conducting of colloquiums; arranging and conducting of seminars; arranging and conducting of workshops [training]; holiday camp services [entertainment]; health club services [health and fitness training]; club services [entertainment or education]; providing recreation facilities; personal trainer services [fitness training]; tutoring.」




(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
異議決定日 2023-12-27 
出願番号 2022116463 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W28)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 馬場 秀敏
豊田 純一
登録日 2023-03-29 
登録番号 6685056 
権利者 株式会社スマートスタート
商標の称呼 リアクション、リアクシオン、リアキシオン 
代理人 勝見 元博 
代理人 山尾 憲人 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ