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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09354142
管理番号 1406960 
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-03-24 
確定日 2024-02-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6663911号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6663911号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6663911号商標(以下「本件商標」という。)は、「NVW」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年7月7日に登録出願、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同5年1月6日に登録査定、同年1月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標について、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第4445299号の2商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年3月5日に登録出願、第2類ないし第4類、第7類、第9類、第12類、第14類、第16類、第18類、第25類、第27類、第28類、第34類、第36類、第37類、第39類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同13年1月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する登録第4445299号の1商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年3月5日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同13年1月12日に設定登録されたものであり、その指定商品中に第12類「自動車」を含むものであって、申立人が商品「自動車」の商標として長年使用し、本件商標の登録出願日前には、周知・著名となっていたと主張するものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、標準文字で「NVW」の欧文字を書し、「エヌブイダブリュウ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない造語である。
イ 引用商標1は、欧文字「VW」が円の中に縦書きされた構成となっており、欧文字から「ブイダブリュウ」の称呼が生じる。
「VW」は、申立人の欧文社名「Volkswagen Aktiengesellschaft」略称として我が国でもよく知られているところである(甲4〜甲8)。よって、引用商標1からは「ドイツの自動車製造メーカーであるフォルクスワーゲン社」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標1の類否
本件商標は、比較的短い3文字からなる商標であるので、ここから容易に「VW」の文字が見てとれる。引用商標1は、円の中に「VW」が配されていることが一目瞭然である。よって、両商標は、「VW」の欧文字部分が共通している。そうすると、本件商標は、外観においては、引用商標1と近似し、称呼において類似し、観念においては比較することができないから、総合すると両商標は類似する商標といえる。
エ 本件商標の指定商品及び指定役務は、引用商標1の指定商品と指定役務と同一又は類似である。
オ まとめ
したがって、本件商標と引用商標1は類似する商標であり、本件商標の指定商品及び指定役務の一部は、引用商標1の指定商品と同一又は類似している。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標2は、引用商標1と同一の商標である。よって、本件商標と引用商標2の類否は、上記(1)ウで述べたとおり、本件商標と引用商標2は、互いに類似する商標である。
イ 引用商標の周知著名性と独創性について
申立人は、1937年にドイツで設立され、ロゴは時代により変化していくが、一貫して「円の中にVWの文字」が使用されている(甲4、甲5)。「VW」は、申立人を表す略語として、我が国においても既に定着している(甲4〜甲8)。
我が国へのVW車の初上陸は、1952年(昭和27年)であり、その翌年には、正規輸入が開始されている。VW社の自動車「タイプ1」(愛称ビートル、後に正式車名)は、我が国において「かぶと虫」として輸入当初から親しまれ、「タイプ2」は、「ワーゲンバス」の愛称で今でも高い人気を誇っている(甲4〜甲9)。その後、現在に至るまで、「Golf」、「Polo」等、申立人は数多くの車種を製造・販売し、これらは我が国にも輸入されている(甲10、甲11)。商標「Golf」は、日本国周知・著名商標として認定されているが(甲12)、これは申立人の製造・販売する自動車に付される商標として、我が国において周知・著名であることを意味する。
申立人の乗用車ブランドの2022年の新車販売台数は、世界全体でおよそ456万台、我が国においては3万2226台であり(甲13)、車名別輸入車新規登録台数(乗用車、貨物、バス合計)では、2021年度が10.76%、2022年度が10.21%であり、外国メーカー車新規登録台数(乗用車)では、2021年度が14.04%、2022年度が12.85%と、常に上位に位置している(甲14)。申立人が製造・販売する自動車全てに「円の中にVWの文字」のエンブレムが付されている(甲4、甲9、甲11、甲13)。
申立人の製造・販売する引用商標を付した自動車は、その優れたデザインや機能から、国内外において数多くの賞を受賞している(甲15〜甲19)。
申立人の自動車を取り扱う正規ディーラーは、日本中に存在し(甲20)、その他の中古車販売業者もVW車を取り扱っている(甲11)。
以上の事実からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願日前には、申立人の商標として周知著名なものとなっており、現在も周知著名性を維持していることは疑念のないところである。
ウ 商品・役務の関連性について
現代の自動車は、ABSなど、電子制御が組み込まれている。電子制御とはコンピュータを活用することで様々な機能を状況に応じて制御する仕組みのことである(甲21)。自動車に搭載されている多くのセンサーは、そのために瞬時に様々な情報の測定・検出を行い(甲22)、鉛蓄電池とリチウム電池は、車載用バッテリーとして使われている(甲23)。また、携帯電話のGPSを利用してカーナビとして機能させるアプリも数多くあり、一般的に利用されている(甲24)。このような現代の自動車の状況に鑑みると、本件商標の指定商品・役務のうち、特に第9類の「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具」等は、引用商標2の指定商品としている「自動車」と深く関連している。
エ まとめ
上記のとおりであるから、本件商標を第9類「測定機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェア,コンピュータアプリケーションソフトウェア,配電用又は制御用の機械器具,電池,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,携帯情報端末」に使用した場合、当該商品が申立人の業務に係るものであると誤認され混同を生じさせるおそれがあるので、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性
ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人及び同人の製造販売に係る自動車について
申立人は、1937年から自動車の製造販売をしているドイツの企業であり、同人の製造販売に係る自動車(以下「申立人商品」という。)は、我が国においては1953年から販売が開始され(甲4)、近年の車名別輸入車新規登録台数(乗用車、貨物、バス合計)及び外国メーカー車新規登録台数では、2021年度は第3位である(甲14)。
また、申立人のプレスリリースには、「新型ポロが『ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2010』」(2010年4月2日)、「『up!』輸入車初の“ゴールデンマーカー・トロフィー賞”」(2012年1月24日)、「『up!』ワールド カー オブ ザ イヤー2012」(2012年4月6日)、「『polo』が、ニューヨークモーターショーで『ワールド・アーバン・カー・オブ・ザ・イヤー』」(2018年4月2日)等の受賞、「『ID.4』が『2021ワールドカーオブザイヤー』に選出」(2021年4月22日)の記載がある(甲15)。
そして、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の公式サイトの「2010−2011日本カー・オブ・ザ・イヤー得点表」には、「フォルクスワーゲン ポロ」が第2位に位置している(甲16)。
(イ)引用商標の使用について
申立人は、申立人商品について、我が国において、遅くとも1978年には別掲のとおりの構成からなる引用商標を申立人商品のエンブレム、申立人のハウスマークとしてカタログ等に表示して現在まで継続して使用している(甲4、甲5、甲9、甲10、甲13等)。
(ウ)「VW」の文字について
a 「英辞郎 on the WEB検索結果」において、「VW」が「【略】1.=vascular wall/血管壁 2.=Volkswagen Group/フォルクスワーゲン・グループ◆ドイツの自動車メーカー。・・・3.=volume weight/容積重量」の記載がある(甲6)。
b 「コンサイス外来語辞典 第4版(株式会社三省堂発行)」において、「VW[ドVolkswagen]」の見出し語に、「⇒フォルクスワーゲン.」の記載がある(甲7)。
c 「英和商品名辞典(株式会社研究者発行)」において、「VW」の見出し語として、「西ドイツVolkswagen社の略.マークは,VとWが縦に配列され,円で囲まれている.」の記載がある(甲8)。
d 「’78 VOLKSWAGEN/Beetle」には、車種の紹介として「かぶと虫−VW1200」、「かぶと虫−VW1302S」等の文字が記載されている(甲4)。
イ 上記アによれば、申立人は、我が国において、別掲のとおりの構成からなる引用商標と実質的に同一といえる商標を、申立人商品について、遅くとも1978年から現在まで継続して使用しており、また、申立人商品は、各種の賞を継続的に受賞している。
したがって、別掲のとおりの構成からなる引用商標は、本件商標の登録出願の日前から、申立人商品又は申立人のハウスマークを表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものといえる。
一方で、「VW」の文字について、上記の辞書に掲載が認められるとしても、申立人の提出に係る証拠からは、当該文字のみが独立して、申立人の略称を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「NVW」の欧文字からなり、その構成文字に相応して「エヌブイダブリュウ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標は「ブイダブリュウ」の称呼が生じ、「ドイツの自動車製造メーカーであるフォルクスワーゲン社」の観念が生じる旨主張している。
しかしながら、本件商標の構成文字は、標準文字により、同書、同大、同間隔でまとまりよく一体に表され、該文字から生じる「エヌブイダブリュウ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものであって、上記(1)イのとおり、「VW」の文字は、申立人の略称として需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、一体不可分のものとして認識されるというべきであり、本件商標から「VW」の文字部分を抽出して、この部分を要部として他人の商標との類否を検討することは許されないというべきである。
してみれば、本件商標は、上記のとおり、「エヌブイダブリュウ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当であるから、申立人のかかる主張は、採用できない。
イ 引用商標1について
引用商標1は、別掲のとおり、黒い円の中に白抜きの円とV字状の線及びW字状の線が結合した図形からなるところ、これは、全体がまとまりよく一体的に構成されており、円と鋭角に折れ曲がった直線から構成された一種の幾何図形を表したものとして認識し把握されるというべきであるから、該図形からは、特定の称呼を生じないものである。
そして、引用商標1は、上記(1)イのとおり、本件商標の登録出願時前ないし登録査定時において、申立人商品を表示する申立人のハウスマークとして需要者の間に広く認識されている商標であることから、申立人のハウスマークの観念を生じるものである。
なお、申立人は、引用商標1は「ブイダブリュウ」の称呼、「申立人の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる旨を主張している。
しかしながら、仮に、引用商標1が「V」と「W」の文字をロゴ化したものであるとしても、かかる構成においては、需要者をして「V」と「W」の文字を理解、認識させるというより、一種の幾何図形として理解、認識させると判断するのが相当であり、また、引用商標1が「ブイダブリュウ」と称呼されている証左も見いだせない。
してみれば、引用商標1は、上記のとおり、特定の称呼を生じず、申立人のハウスマークとしての観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標1の類否について
本件商標と引用商標1とを比較すると、外観においては、本件商標は欧文字からなる商標であり、引用商標1は、一種の幾何図形の商標であるから、外観において明らかに異なり、外観上、相紛れるおそれはないものである。
また、称呼においては、本件商標は、「エヌブイダブリュウ」の称呼を生じ、引用商標1は、特定の称呼が生じないから、称呼上、相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念は生じないものであり、引用商標1は、申立人のハウスマークの観念が生じるから、観念上、相紛れるおそれはないものである。
以上からすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、明らかに相違し相紛れるおそれがない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標といえる。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、類似するとはいえない別異のものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いといえる。
ウ 本件商標の指定商品と申立人商品の関連性、需要者の共通性について
本件商標の指定商品は、その指定商品中に「電気通信機械器具,電子応用機械器具」等を含んでいるところ、現代の自動車においてコンピュータを活用しているものがあるとしても、当該指定商品と申立人商品は、生産部門・販売部門、用途、商品の流通経路等を異にし、関連性の程度が高いとはいい難いものである。
エ 出所の混同のおそれについて
上記アないしウからすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標と引用商標との類似性の程度が低く、両商標の商品の関連性の程度が高いとはいい難いというべきである。
そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務について使用をした場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
オ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲(引用商標1、引用商標2)



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異議決定日 2024-01-23 
出願番号 2022078797 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09354142)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 鈴木 雅也
特許庁審判官 渡邉 あおい
青野 紀子
登録日 2023-01-19 
登録番号 6663911 
権利者 日本電気株式会社
商標の称呼 エヌブイダブリュウ 
代理人 佐久間 洋子 
代理人 江崎 光史 
代理人 高橋 正宏 
代理人 羽切 正治 
代理人 田崎 恵美子 

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