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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0942
管理番号 1406959 
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-03-07 
確定日 2024-01-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6661626号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6661626号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6661626号商標(以下「本件商標」という。)は、「エムアイサクセスラボ」の片仮名及び「MI Success Lab」の欧文字を上下2段に書してなり、令和4年8月25日に登録出願、第9類及び第42類の別掲1に係る指定役務を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月16日に登録査定、同5年1月12日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第1627773号商標(以下「引用商標」という。)は、「Mi Sound Lab」の欧文字を書してなり、2021年(令和3年)10月21日に国際商標登録出願、第35類「systemization of information into computer databases; compiling indexes of information for commercial or advertising purposes;」を含む第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、令和4年11月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、申立人の業務に使用している別掲2のとおりのロゴ商標及び「MI(Mi、mI)」の欧文字からなる商標(以下「申立人使用商標」という場合がある。)である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)申立人について
申立人は、2010年4月に中国でスマートフォンメーカーとして創業した。2011年に、Androidベースのスマーフォン「MI−One(小米手機)」を発売、2012年には、「MI−2(小米手機2)」を発売。設立後僅か4年後の2014年には、サムスン、アップル、ファーウェイを抜き、中国のスマートフォン市場において、出荷台数シェアでトップとなる。
申立人は、創業当初、マーケティング戦略として、敢えて1機種のみ発売し、それを大量生産することでハイエンドながら価格を抑えるという方法を取った。申立人は、しばしば「中国のApple」と称されることがあるが、これは、通信キャリア主体ではなく自社サイト主体の販売方式を採用したり、デザイン性の高いハイスペック端末を単一機種のみで販売したり、オンラインコミュニティを重視するなど、創業当初は、Appleのマーケティング戦略に徹底的に倣ってトップ企業に上り詰めたことによる。また、創業者の雷軍も「中国のジョブズ」と称されるなど、「ユーザーが中心」を信条としており、「米粉」(ミーファン、「シャオミのファン」と「ビーフン」をかけている。)と呼ばれるファンクラブを組織し、オンラインコミュニティの他、リアルでも定期的にユーザーイベントなどを行っている。雷軍は米粉の間で「米神」と呼ばれてカリスマ的な人気を持つ(甲4〜甲6)。
中国で出荷台数シェアトップとなってからは、新興スマートフォンメーカーの台頭等もあり、中国国内でのシェアは下がったものの、その後、インドやヨーロッパ等新たな市場への進出が成功し、2021年7月に発表された大手調査会社による世界のスマートフォン出荷台数シェアでは、初のシェア第2位を記録している(甲7)。
さらに、スマートフォンのみならず、2016年頃からは、スマートフォンと連動したスマート家電の製造・販売に進出するなど事業の多角化に取り組んでおり、近年は総合家電メーカーとしても存在感を増している。特に、ウェアラブル端末は、世界で高いシェアを占めており、ウェアラブルバンド市場全体では、Appleに次いで出荷台数世界第2位を誇っている(甲5、甲6)。
その他にも、情報機器及びその周辺アクセサリーの他、空気清浄機等様々なスマート家電を製造・販売し、多角的に事業を展開している(甲8)。なお、甲8に示すように、申立人の商品名・サービス名の多くは、語頭に「Mi(MI,mI)」の文字が付されており、商品名・サービス名を一目見て申立人の商品・サービスシリーズであることが分かるようになっている。2019年には、フォーチュン誌が毎年1回発表する、全世界の会社を対象とした総収益ランキングである「フォーチュン・グローバル500(Fortune Global 500)」に初めてランキング入りを果たした。
我が国においては、2018年に「小米日本合同会社」が設立され、2019年には、申立人の日本公式Twitterアカウントが開設され、スマートフォンの他、スマート家電が購入可能となっている。
また、「フォーチュン・グローバル500」には、2019年以降、毎年ランクインしており、2021年は世界338位にランキングされている。つまり、インターネット・通信関連分野に限らず、他業種の企業を合わせても世界有数の企業であるといえる。
そして、申立人使用商標は、申立人ウェブページを始め、申立人の業務に係る商品、サービスのあらゆる宣伝広告(屋外広告、電車広告、インターネット広告:甲11〜甲20)に使用されているほか、商品名・サービス名にも使用され(甲4〜甲8)、申立人及び申立人の商品・サービスを表示するものとして我が国において広く認識されている。
(2)申立人使用商標について
申立人名称の略称は、漢字及び欧文字でそれぞれ「小米」及び「Xiaomi」と表記される。そして、これらに対応する片仮名は「シャオミ」である。「小米」は中国語で粟などの雑穀を意味する語であるが、申立人のビジネスの中核をなす「Mobile(モバイル)」と「Internet(インターネット)」の頭文字からなる「MI」と中国語の「米」の発音が同じであるところから「小米」と名付けられた。そして、上記由来の下採択された「MI(Mi、mI)」の文字及びそのロゴは、申立人の業務に係る商品・役務の出所を表示するものとして、また、申立人商品・サービスの名称の多くについて、商品・サービスの出所が申立人であることを表示するものとして、使用されている(甲4〜甲8)。
例えば、申立人の運営するウェブサイトのトップページの左上には、オレンジ色の目立つ態様で「mI」ロゴが表示してあるし、そのURLも「https://www.mi.com/jp」であり、「mi」の文字部分が実質的に当該URLの自他識別機能を担っていることが分かる(甲9)。上掲の「Xiaomi Japan」の公式Twitterにおいても同様に、オレンジ色の「mI」ロゴが、顕著に目立つ態様で表示してある。
(3)申立人使用商標が周知著名であること及び申立人の広告宣伝活動について
申立人は、上記(1)のとおり、2021年には、世界のスマートフォン出荷台数シェアで、初のシェア第2位を記録し、ウェアラブルバンド市場でも出荷台数世界第2位に位置するなど、インターネット・通信関連分野においては、既に世界のトップ企業の一つとなっている(甲4〜甲7)。また、「フォーチュン・グローバル500」には2019年に初めてランキング入りを果たして以来、毎年ランクインしており、2021年は世界第338位にランキングされている。つまり、インターネット・通信関連分野に限らず、他業種の企業を合わせても今や世界有数の企業であるといえる。
そして、上記(2)のとおり、申立人使用商標は、申立人ウェブページを始め、申立人の業務に係る商品・サービスのあらゆる宣伝広告に使用されているほか、商品名・サービス名にも使用されている(甲4〜甲8)。したがって、申立人使用商標は、申立人及び申立人の商品・役務を表示するものとして、我が国において広く認識されている。その証拠として、我が国における申立人の宣伝広告活動(屋外広告、電車広告、インターネット広告)の一例を紹介する。いずれの広告においても、「mI」のロゴが顕著に目立つ態様で付してあることが分かる(甲11〜甲20)。
ア 屋外広告
申立人は、2021年、申立人提供に係るハイエンドモデルのスマートフォン「11Tシリーズ」の発売を開始したが、その発売開始に合わせ、ブランドフレンドとして、モデル・俳優として活躍するKoki氏を起用し、大規模な宣伝広告活動を展開した(甲10)。その一環として、六本木の六本木ヒルズを始めとする大都市エリアで、巨大な屋外広告を展開した。以下はその一例であるが、いずれも国内で有数の商業エリア、駅等であり、非常に多くの一般需要者が申立人の商標に接したことがうかがえる(六本木(六本木ヒルズ)(甲11の1、11の2)、原宿(ラフォーレ原宿)(甲12)、秋葉原駅構内(甲13)、品川駅構内(甲14)、福岡天神駅構内(甲15の1、15の2)大阪道頓堀(甲16)、札幌駅構内(甲17))。
イ 電車広告
また、申立人は、2021年のスマートフォン「11Tシリーズ」の発売に合わせて、山手線の電車の車内において大規模な宣伝広告を展開した。山手線の利用者数は我が国トップであり、非常に多くの一般需要者が申立人の商標に接したことがうかがえる(甲18の1、18の2)。
ウ インターネット広告
申立人は、インターネットポータルサイト「YAHOO!JAPAN」において、スマートフォン「11Tシリーズ」の広告を掲載した他(甲19)、電化製品やガジェットの話題を扱うテクノロジーブログである「engadget(エンガジェット日本版)」において、PR広告を掲載した(甲20)。
(4)申立人所有に係る「MI(Mi,mI)」関連の商標出願・登録
上記(2)及び(3)から分かるように、商標「MI(Mi,mI)」及びそのロゴは、申立人にとって、自他商品等識別標識として非常に重要なものであるので、申立人は、数多くの「MI(Mi,mI)」関連の商標出願・登録を行っている。これら商標出願・登録の存在は、上記(2)及び(3)における説明(甲4〜20)とともに、申立人使用の「MI(Mi,mI)」の文字及びそのロゴが、申立人及び申立人の業務に係る商品・役務を示すものとして、つまり、自他商品等識別標識として、いかに重要であるか、そして、我が国において広く認識されていることを示す証左である(甲21〜甲22)。
(5)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、2段組み構成であり、上段に片仮名「エムアイサクセスラボ」、下段に欧文字「MI Success Lab」を表してなる。
下段の構成文字中「Success」の文字は、「成功」を意味する英単語であり(甲23)、「Lab」は、「実験室、研究室、ラボ」等を意味する英単語である(甲24)。下段欧文字は、同じフォント、同じサイズで、全体としてまとまりよく横一列に一体的に表されており、これらの構成文字「MI」、「Sussess」、「Lab」を結合したものは、一般の辞書等に採録されているものではなく、また、特定の意味を有する成語となるものでもない。したがって、本件商標の下段欧文字全体は、特定の意味合いを認識させるものではなく、一種の造語として認識、理解される。
また、上段片仮名は、下段欧文字の読みを表記したものであることが明らかである。したがって、本件商標からは、特定の観念は生じない。
本件商標の構成文字中、上段片仮名は、上述のとおり、下段欧文字の表音表記なので、本件商標からは、構成文字に相応して「エムアイサクセスラボ」の称呼が生じる。
イ 引用商標について
引用商標は、欧文字「Mi Sound Lab」を横一列に表示してなる。構成文字中「Sound」は、「音」を意味する英単語であり(甲25)、「Lab」は、「実験室、研究室、ラボ」等を意味する英単語である(甲24)。引用商標全体は、同じフォント、同じサイズで、全体としてまとまりよく横一列に一体的に表されており、これらの構成文字「Mi」、「Sound」、「Lab」を結合したものは、一般の辞書等に採録されているものではなく、また、特定の意味を有する成語となるものでもない。したがって、引用商標全体は、特定の意味合いを認識させるものではなく、一種の造語として認識、理解され、特定の観念は生じない。
また、引用商標からは、構成文字に相応して「エムアイサウンドラボ」との称呼が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
両商標を比較すると、外観において、本件商標の下段欧文字と引用商標とは、語頭の「MI(i)」、2番目の構成要素の語頭「S」、そして、3番目の構成要素「Lab」を共通にする。
本件商標と引用商標とは、商標の読みを表す片仮名の有無において相違し、また、欧文字における構成要素の2番目の文字「Success」と「Sound」において相違するものの、片仮名の有無の相違は、商標の読みが明示してあるか否かの差異にすぎず、外観の識別上、需要者に与える印象等に格別大きな影響を与えるものではないし、構成文字中の2番目の語の相違は、外観上最も見過ごしやすい中間の文字である上、視覚的に最も目立つ語頭の文字「S」が大文字で共通するため、簡易迅速を尊ぶ取引の実際において、そして、時と場所を異にする離隔観察を前提とした場合、当該差異は、両商標に接する取引者、需要者に与える印象等において、外観識別上大きな影響を与えるものではない。
したがって、両商標は、外観上極めて近似した印象を与えるものである。
次に、観念においては、両商標とも特定の観念を生じないから、観念上相比べることはできない。
さらに、称呼について検討すると、本件商標から生じる「エムアイサクセスラボ」と引用商標から生じる「エムアイサウンドラボ」とは、構成音である10音のうち7音を共通にする。さらに、共通する音は、語頭から5音と語尾の2音であり、称呼上差異を有するのは、聴別しづらい中間音の3音「クセス」と「ウンド」のみである。したがって、両商標を一気一連に称呼した場合、中間の差異音は、取引者、需要者をして明瞭に聴取されず、全体として、これに接する取引者、需要者に、似通った語調、語感の印象を与えるものである。よって、両商標は、称呼上相紛れるおそれがある。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比べることができないものの、外観において近似しており、称呼においても相紛らわしいものであるから、類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務との類否
本件商標の第42類の指定役務中の別掲1に掲げる指定役務と、引用商標の第35類の指定役務中「systemization of information into computer databases; compiling indexes of information for commercial or advertising purposes;」とは、コンピューターや情報処理等に関連するサービスであり、役務の提供手段、目的、提供に関連する物品、需要者の範囲等を共通にする。つまり、これらは、共通する事業者により提供されるサービスであるから、同一又は類似の商標を使用するときは、同一営業主の提供に係る役務であると出所の誤認混同が生じるおそれがあり、類似する役務と認められる。
オ 取引の実情について
申立人は、上記(1)ないし(3)で述べたとおり、2010年の創業当初から、申立人使用商標を自らの商品・役務出所識別標識として継続して使用しており、申立人使用商標は、申立人の提供に係る商品、役務を表示するものとして、本件商標の指定役務の分野で広く認識されるに至っている。
そして、申立人の商品名、サービス名の多くの語頭に「MI(Mi、mI)」の文字が付されており、これらが申立人の提供に係る商品又は役務であることが広く認識されているので、「MI(Mi、mI)+〜」との名称に接する取引者、需要者は、当該商品又は役務が申立人の提供に係るものであると認識、理解する。かかる取引の実情をも考慮しつつ、本件商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に判断すれば、本件商標を第42類の役務中の別掲1に掲げる指定役務に使用した場合、語頭に「MI」を有する本件商標は、なおさら引用商標と出所混同のおそれがあるというべきである。
カ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その指定役務と同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)ないし(3)で述べたとおり、申立人使用商標は、申立人の提供に係る商品、役務を表示するものとして、本件商標の指定商品及び指定役務の分野で広く認識されるに至っている。
そして、申立人の商品名、サービス名の多くの語頭に「MI(Mi、mI)」の欧文字が付されており、これらが申立人の提供に係る商品又は役務であることが広く認識されているので、「MI(Mi、mI)+〜」との名称に接する取引者、需要者は、自然に、当該商品又は役務が申立人の提供に係るものであると認識、理解する。
ここで、本件商標は、語頭に「MI」の欧文字を表示してなるものであり、かかる構成からなる本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、「MI(Mi、mI)+〜」の構成を有する名称は、申立人の提供に係る商品、役務シリーズ名であると広く認識されていることにより、本件商標を付した商品、役務も、申立人の業務に係る商品、役務であるとの誤信(「狭義の混同」)を生じるおそれがある。さらには、申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社などの緊密な営業上の関係又は同一表示による商品化事業を営むグループに属する関係にあるものの業務に係る商品、役務であると誤信されるおそれ(「広義の混同」)もある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人使用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)「ウィキペディア」のウェブサイトにおいて、「Xiaomi」の紹介として、別掲2のとおりのロゴ商標が表示され、「北京市に本社を置く総合家電メーカーで、2010年4月6日に設立された」、「スマホ会社として創業」、「総合家電メーカーへ」等の記載、「スマホの売上・シェア」の項に、「中国内でのシェアを見ると・・・2014年第2四半期には、Xiaomiがサムスン(12%)を抜いて中国市場トップ(14%)となった。」の記載及び「日本での展開」の項に、「2017年4月3日、TJC株式会社が日本での正規代理店となったと発表。同年6月16日、TJCはモバイルバッテリーとステレオイヤホンのオンライン販売を開始した。」、2019年「12月9日、Xiaomiは日本市場への正式参入後初の製品として、Mi Note 10などの製品を発表した。」等の記載がある。また、2021年に変更する以前のロゴとして、オレンジ色の角丸正方形内に、別掲と同一の「mI」の白抜き文字が配されている図形(以下「旧ロゴ」という。)が表示されている(甲4)。
(イ)「リカテック」のウェブサイトには、「Xiaomi(シャオミ)とは?由来やシェアについてやさしく解説します」(2020年7月11日)の表題の下、旧ロゴが表示され、「Xiaomiの事業ラインナップはスマホだけでなく、ウェアラブルやPCも」の項に、「Xiaomiはスマホメーカーとして設立された企業であるため、やはり事業のメインはスマホ。しかし現在ではスマホのみならず、総合家電メーカーとして様々な事業を展開しています。」の記載、「スマートフォン出荷量・世界シェア第4位」の項に、「2018年、それまでの事業戦略を大きく変更したことや、世界各国での参入成功により、世界シェアは9.3%とサムスン・Apple・Huaweiに続く第4位にまで復活しました。」の記載、「日本では事業展開していない」の項に、「世界的には高い人気を誇るXiaomiですが、日本では名前すら聞いたことがないという人が多いのはなぜでしょうか。それは、いまだ日本国内では事業展開されていないからです。近年になり日本向けのモデルも登場しましたが、やはり知名度はまだまだ。」の記載がある(甲5)。
(ウ)「ITmedia Mobile」のウェブサイトには、「Xiaomiのスマホが絶好調 世界2位、中国3位の秘密を探る」(2021年8月23日)の見出しの下、旧ロゴが表示された店舗写真とともに、「各調査会社の報告によると、2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。また、中国でも3位に浮上している。日本でも次々と新製品を出すXiaomiは瞬間的な世界1位も見えてきた。」の記載がある(甲7)。
(エ)「SPACE MEDIA」のウェブサイトには、「OOHニュース」として「Xiaomi、11Tシリーズを発売!Koki,を起用した屋外広告を六本木で展開」(2021年12月19日)の見出しの下、「発売開始に合わせて、六本木ヒルズでは巨大な屋外広告が実施されていました。」の記載とともに、屋外広告の写真には、スマートフォンとともに別掲2のとおりのロゴ商標が表示されている(甲10)。
(オ)申立人は、2021年、スマートフォン「11Tシリーズ」の発売を開始し、その発売開始に合わせ、モデル・俳優として活躍するKoki氏を起用し、国内の商業エリア、駅等、電車の車内、インターネット等で、宣伝広告活動を展開した(甲10〜甲20)。
(カ)「YAHOO!JAPAN」のウェブサイトには、ニュース(2021年10月28日)のページに、別掲のとおりのロゴ商標とともに「Xiaomi 11T Series」の広告がされている(甲19)。
イ 上記アの事実によれば、申立人は、スマートフォンなどを製造、販売する家電メーカーであり、2018年には、スマートフォン出荷量・世界シェアが第4位になり(甲5)、2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが第2位になったこと(甲7)、屋外広告にはスマートフォンとともに別掲2のとおりのロゴ商標が表示されていること(甲10)を合わせ考慮すれば、別掲2のとおりのロゴ商標は、申立人の商品を取り扱う業界の取引者、需要者の間に一定程度認識されているものということができる。
しかしながら、「MI(Mi)」の文字のみからなる商標についての使用は認められない。
そして、我が国においては、2019年12月9日に「Mi Note 10」の製品を発表している(甲4)ものの、2020年7月11日時点において、申立人の製品が日本国内では事業展開されていないとされる(甲5)。
また、申立人は、2021年10月頃から「Xiaomi、11Tシリーズ」についての広告をした(甲10〜20)ことがうかがわれるが、申立人提出の証拠からは、我が国での申立人使用商標を使用した具体的な商品についての売上高、市場シェアなどの販売実績等は不明であり、かつ、スマートフォンや家電に限定したとしても、それらの取引実績、当該商品に係る申立人使用商標の広告宣伝の費用、方法、回数及び期間など、その事実を量的に把握することはできない。
さらに、申立人のいう、申立人使用商標を使用した役務についても具体的ではなく、不明である。
以上を踏まえると、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「エムアイサクセスラボ」の片仮名及び「MI Success Lab」の欧文字を上下2段に書してなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表記したものといえ、当該構成文字より生ずる「エムアイサクセスラボ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、当該片仮名及び欧文字は全体として一般の辞書等には掲載されていないものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「エムアイサクセスラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2(1)のとおり、「Mi Sound Lab」の欧文字を書してなるところ、その構成文字全体より生ずる「エムアイサウンドラボ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、構成文字全体として一般の辞書等には掲載されていないものであるから、一種の造語として理解されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「エムアイサウンドラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は片仮名と欧文字の2段書きの構成文字からなるのに対し、引用商標は欧文字のみからなり、かつ、本件商標の欧文字と引用商標とを比較しても、中央に位置する「Success」と「Sound」の語において差異を有し、かつ、第2文字目の「I」と「i」とが相違するものであるから、両商標の外観は、明確に区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「エムアイサクセスラボ」の称呼と引用商標から生じる「エムアイサウンドラボ」の称呼は、中間における「クセス」の音と「ウンド」の音の差異を有するものであって、かつ、それぞれ中央に位置する「Success/サクセス」と「Sound」の語は我が国で一般に親しまれている語であることから、「サ」に続くその差異音が全体の称呼に大きく影響し、両者を一連に称呼しても、明瞭に聴別でき、称呼において相紛れるおそれはない。
さらに、観念について、本件商標及び引用商標からは、特定の観念は生じないから、両商標は、観念において比較することができない。
以上からすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観においては明確に区別できるものであり、称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから、これらを総合して考察すれば、両商標は、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標の指定役務が、引用商標の指定役務と同一又は類似であるとしても、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 申立人使用商標の周知性
上記(1)のとおり、申立人使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
イ 本件商標と申立人使用商標の類否
本件商標は、「エムアイサクセスラボ」の片仮名及び「MI Success Lab」の欧文字を上下2段に書してなり、上記(2)アのとおり、「エムアイサクセスラボ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
申立人使用商標は、別掲2のとおりのロゴ商標及び「MI(Mi、mI)」の欧文字からなる商標であり、「エムアイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
本件商標と使用商標とを比較すると、外観においては、「Success Lab」の文字において差異を有し、全体の構成文字が明らかに異なるから、両者は外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に称呼においては、本件商標から生じる「エムアイサクセスラボ」と「申立人使用商標から生じる「エムアイ」とは、「サクセスラボ」の有無において差異があり、全体の音数及び語調、語感が明瞭に異なるものであるから、両者は称呼上、相紛れるおそれのないものである。
そして、本件商標は、上段及び下段の文字がまとまりよく表されている構成及び称呼等においては、殊更に、その構成中の「MI」及び「エムアイ」の文字部分のみに着目して取引されるというよりは、むしろ構成文字全体をもって一体不可分のものとして認識、把握され、取引されるとみるのが自然である。
さらに、観念においては、本件商標と申立人使用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は観念上、比較できないものである。
そうすると、本件商標と申立人使用商標は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者は非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
ウ 混同のおそれ
上記アのとおり、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであり、上記イのとおり本件商標は、申立人使用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、類似性の程度が高いとはいえない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして申立人使用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同項に違反してされたものとはいえない。
他に本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲


別掲1 引用商標の指定役務と類似する、本願に係る第42類に属する指定役務
第42類「情報科学の手法を応用した材料開発に用いる電子計算機システムの設計・作成・構築又は保守,その他の電子計算機システムの設計・作成・構築又は保守,電子計算機システムの設計・作成・構築又は保守に関する調査・分析又は助言及び指導,電子計算機システムの設計・作成・構築又は保守に関する情報の提供,通信ネットワークシステムの設計・企画・構築又は保守,通信ネットワークシステムの設計・企画・構築又は保守に関する調査・分析又は助言及び指導,通信ネットワークシステムの設計・企画・構築又は保守に関する情報の提供,電子計算機用プログラムの動作の検証,電子計算機用プログラムの動作の検証についての助言及び指導,電子計算機システムの動作の確認検証,電子計算機システムの動作の確認検証についての助言及び指導,通信ネットワークシステムの確認検証,通信ネットワークシステムの確認検証についての助言及び指導,電子計算機プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する調査・分析又は助言,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,電子計算機用プログラムの環境設定・インストール及びその機能の拡張・追加,通信ネットワークシステムに関する調査・分析又は助言,ウェブサイトの作成又は保守,電子商取引における利用者の認証,電子計算機を用いて行う情報処理,インターネットにおけるホームページの作成,コンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,コンピュータプログラムの故障診断及びウィルス検査,電子計算機システム監査,コンピュータネットワークシステムのセキュリティ対策に関する診断又はコンサルティング,通信ネットワークシステムのセキュリティ対策に関する診断又はコンサルティング,コンピュータシステムの遠隔監視,通信ネットワークシステムにおける障害の遠隔監視,コンピュ−タにおけるウィルスの検出・排除及び感染の防止・パスワ−ドに基づくインタ−ネット情報及びオンライン情報の盗用の防止並びにコンピュ−タにおけるハッカ−の侵入の防止等の安全確保のための監視及び通報及びそれらの安全確保に関する情報の提供,電子計算機を用いて行うデータ処理,コンピュータによるデータ及び情報処理,コンピュータ・アプリケーションソフト・コンピュータネットワークシステム・コンピュータソフトウェアに関する問題のトラブルシューティング(技術支援),情報技術(IT)基盤についてのサービスデスク・ヘルプデスクによる技術的助言,コンピュータシステムにおけるデータのバックアップ処理及びこれに関するコンサルティング・助言及び情報の提供,コンピュータデータ回復及びこれに関するコンサルティング・助言及び情報の提供,コンピュータプログラムのインストール,コンピュータソフトウェアの環境設定・インストール・故障診断・修理・改良及び保守,コンピュータソフトウェアのインストール・保守及び修正」


別掲2(申立人が使用するロゴ商標:色彩については、甲4を参照。)



(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。

異議決定日 2024-01-04 
出願番号 2022098151 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0942)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 山田 啓之
特許庁審判官 青野 紀子
渡邉 あおい
登録日 2023-01-12 
登録番号 6661626 
権利者 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
商標の称呼 エムアイサクセスラボ、エムアイサクセスラブ、エムアイサクセス、サクセスラボ、サクセスラブ、サクセス、ラボ、ラブ、エルエイビイ 
代理人 門田 尚也 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 長嶺 晴佳 
代理人 杉村 憲司 

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