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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W33
管理番号 1406883 
総通号数 26 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2024-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-08-30 
確定日 2024-02-06 
事件の表示 商願2022−102083拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和4年8月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年12月 1日付け:拒絶理由通知書
令和5年 1月18日 :意見書の提出
令和5年 5月24日付け:拒絶査定
令和5年 8月30日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、「博多人形肌」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第30類、第32類及び第33類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
本願の指定商品は、当審における上記1の手続補正書により、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「博多人形肌」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中に「博多人形」の文字を有してなるものである。
そして、「博多人形」の文字は、福岡市所在の「博多人形商工業協同組合」により、「福岡県福岡市及びその周辺地域で生産される人形」を指定商品として、地域団体商標として商標登録を受けているものである。
また、「博多人形商工業協同組合」は、「博多人形」について、昭和51年には経済産業大臣指定伝統工芸品の指定を受け、当該商品の販売に寄与をしていることからすれば、「博多人形」の文字は、「博多人形商工業協同組合」又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして、本願商標の出願前より本査定時に至るまで、取引者、需要者間に広く認識されているものといい得るものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、それより「博多人形」を想起、連想し、当該商品が「博多人形商工業協同組合」又は同組合と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとともに、地域団体商標を取得した「博多人形商工業協同組合」の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねないものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)「博多人形」の文字の周知著名性について
原査定が述べるように、「博多人形」は、昭和51年2月26日に経済産業大臣の指定を受けている伝統的工芸品であり(https://kougeihin.jp/craft/1308/)、また、「博多人形」の文字を標準文字で表してなる商標は、博多人形商工業協同組合が、その構成員に使用をさせる商標であって、その商標が使用をされた結果、自己又はその構成員の業務に係る商品である第28類「福岡県福岡市及びその周辺地域で生産される人形」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを理由に、当該商品を指定商品として、平成18年12月8日に地域団体商標の商標登録(登録第5009422号商標)を受けているものであって、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
そうすると、「博多人形」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)は、本願商標の登録出願時において、商品「人形」を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識され、一定の周知著名性を有していたものであって、その周知著名性は、現在においても継続しているものといえる。
(2)商標の類似度の程度
ア 本願商標について
本願商標は「博多人形肌」の文字を標準文字で表してなるところ、これは「福岡市東半部の地名。」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)である「博多」の語と、「人形」及び「肌」の語とを結合してなるものと、容易に看取できるものであるが、商標全体として何らか具体的な意味合いが理解、認識されるとはいい難いものである。
そして、本願商標は、わずか5文字の漢字が、同大、同一書体で等間隔に横一列に表されているものであるから、外観上、一体的に把握されるものといえる。
また、本願商標全体より生じる「ハカタニンギョーハダ」の称呼も格別冗長とはいえないものである。
さらに、本願商標構成中の「肌」の文字が、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を有しないという事情は見当たらず、また、本願の指定商品である酒類を取り扱う分野において、「博多人形」の文字部分が周知、著名な商標であって、看者に強く支配的な印象を与えるものということもできない。
そうすると、本願商標は、その指定商品の取引者、需要者において、一体不可分のものとして認識、把握されるものというのが相当である。
したがって、本願商標よりは、その構成文字に相応した「ハカタニンギョーハダ」の称呼が生じるといえ、また、特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「博多人形」の文字よりなるものであって、これは、上記(1)のとおり、博多人形商工業協同組合の事業に係る「福岡県福岡市及びその周辺地域で生産される人形」を指称する語として、「人形」を取り扱う分野において広く知られているものである。
そうすると、引用商標よりは「ハカタニンギョー」の称呼が生じ、「博多人形商工業協同組合の事業に係る、福岡県福岡市及びその周辺地域で生産される人形」ほどの観念が生じるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標の対比
本願商標と引用商標とを比較するに、まず外観においては、「博多人形」の4文字を共通にするものの、全体で4文字ないし5文字という短い文字構成において、語尾の「肌」の文字の有無を異にするものであるから、相紛らわしいとまではいえないものである。
また、称呼においては、本願商標より生じる「ハカタニンギョーハダ」と、引用商標より生じる「ハカタニンギョー」とでは、末尾の「ハダ」の2音の有無を異にするものであるから、明りょうに聴別できるものである。
そして、観念においては、本願商標は特定の観念が生じないのに対し、引用商標よりは「博多人形商工業協同組合の事業に係る、福岡県福岡市及びその周辺地域で生産される人形」ほどの観念が生じるものであるから、相紛らわしいものとはいえない。
以上のことからすると、本願商標と引用商標とは、外観及び観念において相紛らわしいものとはいえず、称呼において明りょうに聴別できるものであるから、これらを総合して判断すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(3)引用商標の周知著名性及び独創性の程度
引用商標は、上記(1)のとおり、商品「人形」を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されている周知著名な商標であるが、これが本願の指定商品を取り扱う分野の取引者、需要者にまで広く認識されていることを示す事実は見当たらないものである。
また、引用商標は、我が国の地名を表す「博多」の文字と、商品の普通名称である「人形」の文字を結合してなるものであって、その独創性の程度は高くないものである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本願の指定商品「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」と、引用商標が周知、著名性を有する分野の商品「人形」は、その商品の用途や需要者、流通経路などを明らかに異にするものである。
(5)出所の混同のおそれについて
以上のとおり、本願商標と引用商標とでは、それらが使用される商品の分野が明らかに異なり、商標の類似性の程度も高いものとはいえない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したとしても、それに接する需要者において引用商標が容易に想起され、その商品が博多人形商工業協同組合又は同組合と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

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審決日 2024-01-24 
出願番号 2022102083 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (W33)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 白鳥 幹周
板谷 玲子
商標の称呼 ハカタニンギョーハダ、ニンギョーハダ、ハカタニンギョー 
代理人 市川 泰央 
代理人 松尾 憲一郎 

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