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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1406054 
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-05-29 
確定日 2023-12-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第6684281号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6684281号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6684281号商標(以下「本件商標」という。)は、「SKIN EXTRAORDINARY」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年10月21日に登録出願、第3類「顔の手入れ用化粧品,化粧用の顔用クリーム,メイクアップ用化粧品,ほお紅,ファンデーション,おしろい」を指定商品として、同5年3月6日に登録査定され、同年3月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5925558号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様: THE ORDINARY (標準文字)
指定商品:第3類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日:平成28年 9月 8日
設定登録日:平成29年 2月24日
(2)登録第6114038号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様: THE ORDINARY (標準文字)
指定役務:第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日:平成30年 2月13日
設定登録日:平成31年 1月11日
(3)国際登録第1596064号商標
商標の態様:「THE ORDINARY」の欧文字を横書きしてなるもの
指定役務:第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の役務
国際商標登録出願日:2021年(令和3年)2月20日
設定登録日:令和 4年 4月28日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第15号及び同項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときは枝番号を省略する。また、表記に当たっては「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本件商標
本件商標は、「SKIN EXTRAORDINARY」の欧文字を標準文字で表してなるものである(甲1)。
イ 本件商標が商品の品質等を普通に用いられる方法で表示したものであること
本件商標は「SKIN」及び「EXTRAORDINARY」の語を結合したものとして把握される。「SKIN」(「スキン」)は、「皮膚」を意味する語であり(甲2)、また、「EXTRAORDINARY」は、「〔通常と異なって〕異常な、途方もない、桁外れの、並外れた」「〔非常に〕目立った、非凡な、類いまれな」を意味する語である(甲3)。いずれも平易な語であるから、本件商標に接した取引者・需要者は、本件商標を全体として、「並外れた、素晴らしい肌(皮膚)になる」の意味合いを持つものと認識する。また、その表音を片仮名で「スキン」「エクストラオーディナリー」と表記して同様の意味合いで用いられることも少なくないところ、取引者・需要者においては、「EXTRAORDINARY」な「SKIN」と「エクストラオーディナリー」な「スキン」とは互いに対応する語で同じ意味合いを持つ語であると理解する。そして、特に本件商標の指定商品である「顔の手入れ用化粧品」等との関係では、本件商標がそれらに使用された場合、「肌」を「並外れた、素晴らしい」状態にする商品であるといった商品の品質を表示したものと通常理解される。
実際に、本件商標の指定商品を取り扱う業界では、以下に示した商品のように、肌に良い影響を与える成分を使用したクリームや化粧品等の商品名や商品説明について、「エクストラオーディナリー」と表示して販売されている商品が多々ある(甲4ないし甲6)。
・「オーエクストラオーディナリートリートメントフレグランス」「オーエクストラオーディナリーシャワーミルク」「オーエクストラオーディナリーボディクリーム」(甲4)
・「クレームエクストラオーディナリーデイトリートメント」(甲5)
・「より美しくなるためのエクストラオーディナリーセラムです。」(甲6)
また、本件商標の指定商品を取り扱う業界では、「スキンケア(肌の手入れ)」のような「スキン」を使用した言葉は非常によく使われており、以下のように「SKIN」及び「スキン」と表示する化粧品ブランドや商品が多数ある。
・「SKINFOOD JAPAN」(甲7の1)
・「ZO SKIN HEALTH」(甲7の2)
・「タカミスキンピール」(甲7の3)
これらの事実からも、本件商標がその指定商品に使用されれば、取引者・需要者は、当該商品を「肌」を「並外れた、素晴らしい」状態にする商品であるといった商品の品質を表示したものと理解しうるといえる。
なお、本件商標は、「SKIN」と「EXTRAORDINARY」はそれぞれ大文字で表記されているが、このような表示の構成態様は格別珍しいものではなく、特別な意味はない。また、当該文字の書体も一般的な書体である。欧文字からなる語が、適宜大文字や小文字に変換して使用されるケースはよく見られるものである。したがって、本件商標を見ても、取引者・需要者は、本件商標が特定の出所を識別できるものとして把握しない。そのため、本件商標は、全体として商品の品質等が普通に用いられる方法で表示されているといえる。
よって、本件商標は、その指定商品との関係では、「肌」を「並外れた、素晴らしい」状態にする商品であることを取引者・需要者に認識させ、商品の品質、効能及び用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また現在に至るまでも相当数の使用例があるように、今後も本件商標の指定商品を取り扱う業界においては何人も使用を欲する語であるから、特定人にその独占使用を認めることは公益上も適当ではない。よって、本件商標は、商標登録を受けることができないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 本件商標
上記(1)アと同様である。
イ 引用商標
引用商標は、いずれも「THE ORDINARY」の欧文字からなる(甲8)。
ウ 引用商標の周知・著名性
(ア)世界における引用商標の周知・著名性
a 申立人について
(a)コンセプト
申立人は、平成25年創業のカナダを拠点とする企業であり、現在世界各国に実店舗を構え、ECサイト販売を通じて世界中に顧客を持つ著名な化粧品会社である。誠実なコミュニケーションを大切にし、化粧品産業において効果的なテクノロジーを公正な価格で市場に提供することを目指すことで、同産業の停滞に立ち向かっている。
申立人は、高度な機能美に焦点を当てており、化学と生化学を専門とする企業として多くのブランドを通じて、スキンケアに先駆的な革新をもたらしてきた。自社を「アブノーマル(普通ではない)・ビューティ・カンパニー」と掲げ、ユニークなコンセプトの化粧品・スキンケアブランドを複数手掛けている。
その結果、申立人の製品は、化粧品業界において破壊的な勢いで、世界中で前例のない成功を収め、高い評価を得ている。
(b)販売方法
申立人のウェブサイトは、200以上の国別に開設されており、ECサイトとして機能している。ウェブサイトのインターフェイスは、ブランドごとに商品をカテゴリー分けしており、消費者はボタンをクリックするだけで、特定のブランドを選んで閲覧することができる(甲9)。ウェブサイトはまた、特定の肌の悩みに対応したガイドや製品の提案も行っている。消費者は自分の肌の悩みに関するいくつかの短い質問に答えることで、個別のスキンケアルーティンを知ることができる。このようにして世界中の消費者はECサイトを通じて、不都合なく申立人の製品を購入することができる(甲9)。
申立人は、元々はオンライン販売のみのD2Cブランドだったが、その評判は美容インフルエンサーや美容愛好家の間で一気に広まり、平成29年に初の路面店をカナダのトロントに開店した。その後世界中に店舗を続々とオープンし、現在ではカナダに10店舗の他、アメリカ、イギリス、メキシコ、オランダ、オーストラリア、韓国、香港と、全世界で店舗を運営している。
(c)広告・宣伝
申立人のスキンケアヘの革新的で画期的なアプローチは、メディアから大きな注目を浴びてきた。例えば、Refinery29(リファインリー29)、The New Yorker(ニューヨーカー)、Vox(ヴォックス)、Vogue(ヴォーグ)などのメディアの中では、美容の編集者やブロガーはしばしば申立人を「破壊的」なスキンケアブランドとして紹介している(甲10)。
さらに、申立人の製品は、Women’s Health(ウィメンズヘルス)、Vogue(ヴォーグ)、Style Beauty(スタイルビューティー)、Cosmopolitan(コスモポリタン)、In Style(インスタイル)、Marie Claire(マリ・クレール)、The Times(タイムズ)、Allure(アリューア)等の主要な雑誌によって、数多くの業界賞を受けてきた(甲11)。
そして、これらの出版物の多くは日本を含む世界中の消費者が読むことができる。
(d)収益
申立人の2015年(平成27年)ないし2022年(令和4年)の収益は、毎年1,928万カナダドル(約20.8億円)ないし6億9,242万カナダドル(約746.3億円)であり、平成27年から令和4年までの間に驚異的に収益を伸ばしている。また、各種ECサイトにも出店を引き続き増やしており、令和2年の売り上げは前年の倍を記録するなど、今もなお人気上昇中である。
令和3年に申立人は、アメリカ合衆国に本拠を置く化粧品・スキンケア用品・ヘアケア用品・香水の世界的な製造及び販売メーカーであるエスティローダーカンパニーズに買収された。その当時の申立人の企業価値評価額は22億米ドル(約2,310億円)となり、エスティローダーカンパニーズにとって過去最大の買収となった(甲12)。
b 「The Ordinary」について
(a)コンセプト
「The Ordinary」は平成28年に誕生した申立人の看板ラインの一つであり、化粧品の成分に詳しい美容愛好家の間で瞬く間に話題になり、今では世界中の有名人、メイクアップアーティストに愛されている人気ブランドである。中間業者を省き、さらに広告費やパッケージ費も極限まで抑え、「高品質」と「低価格」というこれまでの化粧品業界の概念を変えるようなアプローチにより、近年またたく間に世界的に評価されるブランドにのぼりつめた。
(b)広告・宣伝
「The Ordinary」は、原料名をそのまま製品名に入れ、シンプルな原料構成にこだわるマーケティング戦略により、「ナイアシンアミド+ジンク1%」(910円/30ml)等の人気製品は成分に詳しい美容愛好家の間でも話題になった(甲13)。前記の雑誌による化粧品ランキングにランクインしている申立人の製品のほとんどがThe Ordinary製品である(甲11)。
「The Ordinary」はフェイスブック、TikTok等の各種SNSを通じて情報を発信している(甲14)。特に、公式インスタグラムのフォロワーは約191万人であり、申立人自体の公式インスタグラムのフォロワー約28.1万人と比較しても、「The Ordinary」がいかに世界中で知名度があるかは一目瞭然である(甲15)。
(c)収益
The Ordinary製品のおおよその世界売上高は、2016年ないし2022年において、毎年200万カナダドル(約2.2億円)ないし6億5,841万カナダドル(約709.6億円)である。上記a(d)の申立人の世界売上高と比較してみても、売上の大半をThe Ordinary製品が占めていることは明らかである。
(イ)日本国内における引用商標の周知・著名性
a コンセプト
引用商標が商標登録に至ったのは、平成29年、平成31年、令和4年(国内)と比較的最近であるが、下記のとおり近年その知名度は急上昇している。
「The Ordinary」は、前記のとおり、広告費のために高い値段で売られる化粧品に異議を唱え、誠実・手頃な価格で効果的な商品を提供するというブランド方針を取っている。
b 販売方法
「The Ordinary」はただ安いのではなく、質が高く、有効成分の含有率が高いことが人気の理由であるが、含有率が高すぎる故に、日本国内では、まだ正式に発売されていない。しかし、その希少さゆえに、かえって以下に挙げるECサイトでの販売を通じて人気を博している。
・LookFantastic(THG)(日本語対応)(甲16)
・Cult Beauty
・Beauty Bay
・ASOS
・Selfridges
・Space NN
・Harvey Nichols
・Harrods(Sets only but may expand range)
c 広告・宣伝
また、海外と同様に日本の女性ファッション誌のサイトにも度々取り上げられ、たびたび反響を呼んでいる(甲17)。中でも、「AHA30%+BHA2%ピーリングソリューション」という商品は、AHA(フルーツ酸)が30%という自宅ケアではありえない高濃度で配合されたピーリング美容液であり、「血みどろピーリング」という名称で話題になった(甲17の3)。有効成分が凝縮されている美容液が1,000円程度で購入できること等の事情が女性の心をくすぐり、日本での知名度を上げた。
実際に、申立人のウェブサイトヘの日本人訪問者数は、令和3年が43,605セッション、令和4年が88,966セッション、令和4年1月1日ないし令和4年5月31日が76,116セッションと増加傾向にあり、また、令和4年6月8日ないし令和5年6月7日で公式インスタグラムの日本におけるフォロワー数は約23.3%増加している。これらの事実から、多くの消費者が「The Ordinary」に関心を寄せていることがうかがえる。
日本においても「ジ オーディナリー」というシンプルかつ容易に呼称しうる文字からなる商標「The Ordinary」は広く使用され、広い知名度を得ている。そして、引用商標は、「The Ordinary」を大文字にし「ジオーディナリー」と呼称を同一にしたものであるので、当然「The Ordinary」と同様に著名な商標である。
(ウ)小括
申立人自身のマーケティング努力に加え、美容業界の主要メディア等により、申立人に対する世界中の消費者の注目度は非常に高く、日本でも注目度を急上昇させている。その結果、申立人の代表的なブランドである「THE ORDINARY」の商標はよく知られ、申立人の商品・サービスを特徴づけるものとなった。「THE ORDINARY」の商標は、顧客が申立人と新しいブランド、製品、サービスを市場で識別するための最も重要な手段の一つである。
以上の事実関係から引用商標は、日本国内において高い知名度を誇っており、申立人の事業、商品及び役務を示す商標として周知・著名性を獲得するに至っている。
エ 本号該当性
本号該当性について、最高裁判決(レールデュタン事件、最判平成12年7月11日第三小法廷民集54巻6号1848頁)が示した判断基準及び商標審査基準に沿って、以下検討する。
(ア)本件商標と引用商標の類似性
後述(3)アのとおり、本件商標は引用商標と類似する。
(イ)引用商標の周知度
上記ウのとおり、引用商標は本件商標の出願時点において周知・著名な商標であり、申立人の商品である特に化粧品等を示すものとして需要者に広く認識されている。
(ウ)引用商標の特徴等
「Ordinary」という単語は、「普通の、通常の、いつもの」「よく目にする、どこにでもある、当たり前の」「目立たない、つまらない、平凡な」等の意味がある(甲18)。
この「Ordinary」に定冠詞「The」をつけることで、広告費や仲介業者をそぎ落とし無駄を省き、誠実・手頃な価格で効果的な商品を提供するというポリシーのブランドを特定することができる。「The Ordinary」は、申立人のハウスマークではなく、ファミリーネームであるが、上記ウのとおり、申立人の売上の大半を占め、SNS等を通じてハウスマークを超える知名度を持つ。
引用商標は、「The Ordinary」のすべての文字を大文字にしたものであり、定冠詞により「ORDINARY」という文字の存在を前面に押し出している。
(エ)申立人における多角経営の可能性、商品間、役務間又は商品と役務間の関連性、商品等の需要者の共通性その他取引の実情、等の事情
後述のとおり、本件商標の指定商品は引用商標が使用される商品と同一又は類似であり、強い関連性がある。
需要者の共通性については、本件商標の指定商品はいずれも化粧品類である。一方で、引用商標も、「顔の手入れ用化粧品」を指定商品としており、その他「The Ordinary」は「ファンデーション」も販売している(甲19)。また、申立人は、複数の化粧品ブランドを擁する化粧品会社であることから、今後、本件商標の指定商品の全てを販売する可能性は非常に高い。これらの事実から、両商標に係る商品の需要者が重なっているといえる。したがって、本件商標と引用商標は需要者が共通する。
(オ)小括
上記の事情を考え併せると、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標の周知性に鑑みれば、これに接する需要者は、特に「ORDINARY」の部分に着目して、本件商標から引用商標を連想する。また、指定商品が同一又は類似であることも踏まえれば、商品の出所について需要者が混同するおそれがあり、又は申立人と経済的もしくは組織的になんらかの関係がある者による商品であると誤認混同するおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性
ア 本件商標と引用商標とが類似すること
引用商標は、「THE」と「ORDINARY」という同書・同大の欧文字の2つの単語から成る。「THE」は定冠詞であり、一般的に定冠詞は自他識別機能を有しないので、「ORDINARY」の部分を抽出することができる。
本件商標は、「SKIN」と「EXTRAORDINARY」という同書・同大の欧文字の2つの単語から成る。「SKIN」は「皮膚」を意味し、今回の指定商品との関係では特に自他商品識別機能を有しない。さらに、「EXTRA」は形容詞で「余分な、必要以上の、追加の」「特上の、極上の」という意味を持つ(甲20)。「EXTRA」は日本では「エキストラ」という呼称で使われることが多い。広辞苑には、「エキストラ(extra)」は「臨時のもの。番外のもの。」「演劇や映画撮影で端役を演ずる臨時雇いの出演者。」、「エキストライニング(extra inning)」は「野球で、延長戦の回。補回。」、「エキストラベッド(extra bed)」は「ホテルで、客室のベッド数を超えて客が泊まるために、臨時に運び入れるベッド。」等、エキストラを使った言葉が数多く載っている(甲21)ことから、「エキストラ」が一般的な日本人にとってなじみのある言葉であることがわかる。
したがって、化粧品類を購入する一般的な日本人の英語能力を考慮しても、「EXTRAORDINARY」という単語は、「ORDINARY」という単語に「EXTRA」という単語がついて意味を成しているという印象しか与えないのである。したがって、「ORDINARY」の部分を抽出することができる。
本件商標と引用商標とでは、その外観において、他の商標と識別するにあたり重要である語尾の「ORDINARY」の部分を共通にしている。そして、呼称については、需要者に強く認識される語尾部分の「オーディナリー」の発音を共通にしている。
したがって、本件商標の呼称は、引用商標と類似するものであり、この点も合わせ考えれば、本件商標は、商品の出所について引用商標と混同を生じさせるおそれがあり、引用商標と類似する。
イ 本件商標と引用商標の指定商品が類似すること
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び指定役務は、需要者の範囲、業種等が共通し、同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品と誤認されるおそれがある。また、本件商標、引用商標1及び引用商標2の指定商品・役務は、類似群コード「04C01」を共通にし、類似するものと推定される。
したがって、上記商標の指定商品は類似する。
ウ 小括
以上より、本件商標は引用商標と類似し、その指定商品も互いに同一又は類似である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人提出の証拠について
ア 「SKIN EXTRAORDINARY」の文字、及び、その読みを片仮名で表した「スキン エクストラオーディナリー」の文字について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、「SKIN」「スキン」の文字は「皮膚」などを意味する語であり、「EXTRAORDINARY」「エクストラオーディナリー」の文字は「異常な、目立った、非凡な」などを意味する語であること(甲2、甲3)、及び、「エクストラオーディナリー」の文字が化粧品の商品名などの一部に用いられている事例があること(甲4ないし甲6)が認められる。
しかしながら、上述の事例をもってしては、化粧品を取り扱う分野において、「エクストラオーディナリー」の文字が、申立人が述べるように、その商品が「並外れた、素晴らしい」ものであることを表現するための語として、一般的に使用されているということは困難である。
また、申立人提出の甲各号証も含め、「SKIN EXTRAORDINARY」「スキン エクストラオーディナリー」の文字が、申立人が述べるように、「肌」を「並外れた、素晴らしい」状態にする商品であることを表現するための語として用いられている事例は見当たらない。
そして、「EXTRAORDINARY」「エクストラオーディナリー」の語が、我が国において親しまれた平易な語とはいえないことを併せて考慮すれば、「SKIN EXTRAORDINARY」「スキン エクストラオーディナリー」の文字は、これに接する取引者、需要者において、特定の意味合いを想起、認識させることのないものと判断するのが相当であり、そのほか、該文字が特定の意味合いを想起、認識させるというべき事情は見いだせない。
イ 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、カナダ所在の企業であり、カナダ、アメリカ、イギリス、韓国、オーストラリアなどで、引用商標を使用した肌の手入れ用の商品などの化粧品(以下「申立人商品」という。)の販売等を行っている(甲12の1)ところ、申立人商品は我が国において、正式に発売されていないが、通販サイトを通じて購入することができるものであって(甲16、甲17の2)、また、遅くとも2020年(令和2年)7月頃から、ウェブサイトや申立人のSNSなどにおいて紹介等されているものである(甲13ないし甲17)。
しかしながら、申立人は、申立人商品の全世界における売上高について、2016年(平成28年)ないし2022年(令和4年)において、毎年200万カナダドル(2.2億円)ないし6億5,841万カナダドル(709.6億円)である旨主張しているが、そのことを裏付ける証左は見いだせない。
そして、申立人商品は、我が国において正式に発売されておらず、また、当該商品に係る我が国における売上高に係る主張はなく、その証左も見いだせない。
以上のことからすれば、提出された証拠をもってしては、申立人商品及びそれに使用されている引用商標が、本件商標の登録出願時及び現時点において、申立人の業務に係る商品若しくは役務並びに同商品若しくは役務を表示する商標として、需要者の間に広く認識されているものということはできない。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「SKIN EXTRAORDINARY」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、上記(1)アのとおり、特定の意味合いを想起、認識させることのないものであるというのが相当であって、これが本件商標の指定商品の品質等を表示したものと認識させるというべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、それに接する取引者、需要者をして、商品の品質等を表示したものと認識させることのないものであって、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、「SKIN EXTRAORDINARY」の欧文字を標準文字で表してなるものであるところ、これよりは構成文字に相応した「スキンエクストラオーディナリー」の称呼が自然に生じるものである。
また、該文字は、上記(1)アのとおり、特定の意味合いを想起、認識させることのないものであるというのが相当であるから、本件商標よりは、特定の観念は生じないというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、いずれも「THE ORDINARY」の欧文字からなるものである。
そして、その構成中「THE」の文字は英語の定冠詞であって、また、同構成中「ORDINARY」の文字は「普通の、通常の、目立たない」(甲18)などを意味する英語であるが、それらを結合した「THE ORDINARY」の文字より特定の意味合いが想起、認識されるというべき事情は見当たらないものである。
そうすると、引用商標よりは、その構成文字に相応した「ジオーディナリー」の称呼が生じ、また、特定の観念は生じないものというのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、本件商標の構成文字「SKIN EXTRAORDINARY」と引用商標の構成文字「THE ORDINARY」の比較において、両者は構成文字、構成文字数など構成態様が明らかに異なり、明確に区別できるものである。
そして、称呼においては、本件商標から生じる「スキンエクストラオーディナリー」の称呼と、引用商標から生じる「ジオーディナリー」の称呼とでは、構成音数、構成音などが明らかに異なり、明りょうに聴別できるものである。
また、観念においては、両商標はいずれも特定の観念を生じないものであるから、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観において明確に区別でき、称呼において明りょうに聴別できるものであって、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 申立人の主張について
申立人は、引用商標は「THE」と「ORDINARY」の2つの単語からなり、「THE」が一般的に自他識別機能を有しない定冠詞であるから、「ORDINARY」の部分を抽出することができ、また、本件商標は「SKIN」と「EXTRAORDINARY」の2つの単語からなり、「SKIN」は「皮膚」を意味し、その指定商品との関係では自他商品識別機能を有せず、さらに、「EXTRA(エキストラ)」は一般的な日本人にとってなじみのある言葉であるから、「EXTRAORDINARY」という単語は「ORDINARY」という単語に「EXTRA」という単語がついて意味を成しているという印象しか与えないから、「ORDINARY」の部分を抽出することができるとして、本件商標は、商品の出所について、引用商標と混同を生じさせるおそれがあり、引用商標と類似するものである旨主張する。
しかしながら、本件商標及び引用商標の構成文字は、いずれも同書、同大でまとまりよく一体的に表されているものであって、それぞれの称呼である「スキンエクストラオーディナリー」及び「ジオーディナリー」は、前者がやや冗長ではあるものの、いずれも無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成中「EXTRAORDINARY」の文字は「異常な、目立った、非凡な」などの意味を有する英語の成語であるから、それをことさら「EXTRA」と「ORDINARY」の2語に捉えることは不自然といわざるを得ない。
そのほか、本件商標又は引用商標より、その構成中「ORDINARY」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、本件商標及び引用商標は、それらに接する取引者、需要者をして、それぞれの構成全体が一体不可分のものとして認識、把握されるものというのが相当であるから、申立人の主張を採用することはできない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとはいえないものであり、また、上記(3)ウのとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と申立人商品との関連性の程度や需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用したときに、その需要者が引用商標を連想又は想起させるとはいえず、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
そのほか、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

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異議決定日 2023-12-20 
出願番号 2022120856 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 白鳥 幹周
板谷 玲子
登録日 2023-03-27 
登録番号 6684281 
権利者 ロレアル
商標の称呼 スキンエクストラオーディナリー、スキンエキストラオーディナリー、エクストラオーディナリー、エキストラオーディナリー 
代理人 弁護士法人窪田法律事務所 
代理人 保田 元希 

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