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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1406050 
総通号数 25 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2024-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-05-15 
確定日 2023-12-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第6686442号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6686442号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6686442号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cailin Kailun」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年9月1日に登録出願、第25類「コート,運動用及び運動競技用シングレット,スーツ,ズボン,ズボン下,ティーシャツ,タイツ及びタイツストッキング,ドレス,パジャマ,メリヤス下着、メリヤス靴下,ワイシャツ類及びシャツ,運動靴及び運動用特殊靴,下着,外衣,手袋(被服),ブラジャー」を指定商品として、同5年1月27日に登録査定、同年4月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由において引用する商標(以下「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る被服等に使用しているとする「Calvin Klein」の欧文字を書してなる商標である。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
以下、証拠の記載にあたっては、「甲第1号証」を「甲1」のように記載する。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の著名性
「Calvin Klein」は、アパレルを中心として、アンダーウェアやアクセサリー、フレグランスなど、ファッションに関するものを幅広く展開していることで知られている。1968年、ニューヨーク出身のカルバン・クラインとバリー・シュワルツにより、コートのラインを中心として設立された。1972年にはスポーツウェアや化粧品、香水なども手がけている。アメリカトラディショナルを基本としたマスキュリンなスタイル、ボディーラインを強調したシルエットは、ニューヨーカーの中でもとりわけ、キャリアウーマンに受けている。また設立から50年近くが過ぎた現代でも、活気のあるアイデアを生み出し、世界110か国以上で販売されている。世界中のファッション文化や、ファッションに関わらない文化にも刺激と影響を与え続けている(甲5)。
「Calvin Klein」が設立されて以来、その長い歴史の中で様々なファッションアイテムが生み出され、世に送り出された。特に「Calvin Klein」というブランドの象徴的なアイテムとして挙げられるジーンズとアンダーウェアは、現代にいたるまで人気を博している。2017年、「新生カルバン クライン」として注目を集めていた秋冬コレクションが開催され、ラフ・シモンズが就任して初となるこのコレクションでは、ブランドの発祥地でもあるアメリカをオマージュしたデザインでパレードをテーマに、キルトやウエスタンなど多様性に富んだデザインが並んだ。アンダーウェアにおいては、1992年、過去に発売された下着をリバイバルし、現代風にアレンジしたボクサーパンツが世界的に大ヒットする。このボクサーパンツは映画などにも登場し、我が国でも人気の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では、主人公マーティー・マクフライが「Calvin Klein」のロゴ入りの下着を着用していた(甲5)。
日本国内においては、アンダーウェアとフレグランスを中心に展開しており、2014年、ドーバー・ストリート・マーケット・ギンザにおいて、期間限定カプセルコレクションとして「カルバン クライン コレクション メンズ」が日本初上陸を果たす。また、2017年には、「カルバン クライン アンダーウェア」「カルバン クライン ジーンズ」「カルバン クライン ジーンズ アクセサリー」がZOZOTOWNに出店し、「カルバン クライン アンダーウェア」のメンズは、今まで日本国内でも販売されていたが、ウィメンズは「カルバン クライン ジーンズ」、「カルバン クライン ジーンズ アクセサリー」とともに初上陸を果たす。1992年にセカンドラインである「ck カルバン クライン」が設立されると、価格設定が低いことから日本でも人気に火がつき、女性、男性問わずにアンダーウェア、香水などが話題となる(甲5)。
「アンダーウェアや下着のブランドと言えば このようなアンケートを取ったら、きっとカルバンクラインが1番になるのではないでしょうか?それくらい定番であり人気の高い世界的ブランドCalvin Klein(カルバンクライン)」であり、「メンズ下着の王道ブランド。デザイン・履き心地ともに間違いない日本だけでなく世界でもトップに君臨し続けている大人気ブランド」である(甲6)。
以上のとおり、引用商標は、我が国において長年にわたって幅広い商品に使用され、大々的に宣伝広告されてきたものであり、その結果、引用商標に接した需要者は「Calvin Klein」のブランドを連想するに至り、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る下着、ジーンズ製の被服等を表示する商標として、我が国の取引者・需要者の間で広く認識されて周知・著名な商標となっており、それは、本件商標の登録出願時及びそれ以降も継続している。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、「Cailin Kailun」の文字を標準文字で表してなり、一般の辞典類に載録されている既成の語ではないことから、日本人に親しまれた英語風読みで「カイリンカイルン」の称呼を生ずるものである。
これに対して、引用商標は、「Calvin Klein」の欧文字を書してなり、著名なデザイナーの名前である「カルバンクライン」の称呼を自然に生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「カイリンカイルン」の称呼と、引用商標から生ずる「カルバンクライン」の称呼を比較すると、ともに8音構成よりなり、中間にスペースがあることから、「カイリン・カイルン」、「カルバン・クライン」と区切って発音され、前半部の語頭音及び語尾音、後半部の語頭の子音及び語尾音を共通とする。
したがって、両商標をそれぞれ称呼するとき、その音調を同じくし、彼此相紛れるおそれがある。
また、本件商標の指定商品であるコート、ズボン、下着等は、商品のサイズ、柄、デザイン等、購買者個々人の嗜好に極めて左右されやすい商品であり、インターネット販売のウェブサイトの商品写真を見て取引に当たる消費者が多く、問屋等の取引を除けば、電話等による取引は少ないものと考えられる。したがって、一般的な消費者が商品を選択する場合、商標の有する外観は、他の商標と比較する際に極めて重要な要素となるというべきである。
そこで、外観についてみると、両商標は、ともに、大文字の「C」から始まる前半部及び「K」から始まる後半部よりなるところ、見る者の注意をひく前半部の語頭「Ca」と、後半部の語頭「K」の文字を共通とし、他にも、順番は異なるものの、「l」「i」「n」の文字を共通とし、11ないし12文字中、9文字が同一の欧文字である。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできないが、称呼において近似するのに加え、両者を離隔観察すれば、外観上相紛らわしい商標である。
ウ 引用商標の独創性
引用商標は、もともと、著名なデザイナーの名前に由来し、既成語ではなく、独創性が高いものである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の商品の関連性・需要者の共通性
引用商標は、アパレルを中心として、アンダーウェアやアクセサリー、フレグランスなど、ファッションに関するものを幅広く展開しており、特に、我が国では、下着、ジーンズ製の被服等について使用されている。
他方、本件商標の指定商品には、引用商標が使用されている商品のほか、被服全般が含まれている。
したがって、引用商標が使用される商品と、本件商標の指定商品とは、商品の生産、販売部門、用途、流通経路、販売場所を共通にし、関連性が高いものである。また、いずれの商品についても、需要者は一般消費者である。
オ 商品の需要者において普通に払われる注意力
本件商標の指定商品であるズボン、ティーシャツ、下着等の被服は、日常的に消費される性質の商品であって、その需要者が特別な専門的知識経験を有しない一般大衆であることからすると、これを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものでない(平成13年7月6日 最高裁第二小法廷 平成12年(行ヒ)第172号)。
需要者が購入する際は、恒常的な取引やアフターサービスがあることを前提にメーカー名、その信用などを検討して購入するとは限らず、インターネット販売のウェブサイトで目に留まったり、いきなり小売店の店頭に赴いたり、ときには通りすがりにバーゲンの表示や呼び声につられて立ち寄ったりして、短い時間で購入商品を決定することが多い。
このように、本件商標の需要者は、老人から若者までを含む一般の消費者であり、必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれていること、商品の購入に際し、メーカー名などについて常に注意深く確認するとは限らず、ウェブサイト上、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないことは、経験則に照らして推認するに難くない(平成17年4月13日 東京高裁 平成17年(行ケ)第10230号)。
本件商標についての混同のおそれの有無の判断は、上記のような取引の実情における需要者の注意力として使用される可能性をも十分考慮に入れて、検討するのが相当と考える。
そこで、実際に引用商標が使用されている、黒の男性用パンツをみると、ウエストゴムの上に引用商標が白抜きで大きく表示されている(甲6)。
他方、本件商標が使用されている、黒の男性用パンツでは、白いウエストゴムの上に、引用商標に酷似した細い書体で、本件商標が黒色で大きく表示されている(甲7)。
本件商標が使用されている男性用パンツを購入した消費者の反応は、(a)引用商標と混同するおそれに言及する者(甲7)、(b)購入後に、引用商標と混同したことに気づく者(甲7〜甲9)、(c)購入後でも、引用商標と混同したことに気づかない者(甲7)のとおり、被服の需要者において普通に払われる注意力を基準とすると、本件商標と引用商標とを混同する者は決して少なくない。
カ 出所の混同を生ずるおそれ
上記によると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表すものとして著名であり、本件商標と引用商標とはある程度の類似性があり、引用商標の独創性及び本件商標の指定商品と申立人商品の関連性の高さ、需要者の共通性の程度、需要者において普通に払われる注意力を考慮すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を使用している申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 引用商標の独創性・周知著名性
上記のとおり、引用商標は、デザイナーの名前に由来し、独創的なものである。
また、引用商標は、申立人によって永年下着、ジーンズ製の被服等に使用された結果、申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られ、強い顧客吸引力を取得するに至り、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、その指定商品分野の取引者・需要者の間で周知・著名な商標となっているものである。
イ 本件商標と引用商標の比較
上記のとおり、本件商標と引用商標は、それぞれ称呼するとき、その音調を同じくし、称呼において近似するのに加え、構成文字のほぼすべてを共通にするので、両者を隔離観察すれば、外観上相紛らわしい商標である。
また、実際に使用されている本件商標の書体は、引用商標と酷似しており、両商標が使用されている位置も、ウエストゴムの上という点で同じである。
ウ 公の秩序を害するおそれ
本件商標は、引用商標と音調を同じくし、その構成文字は順番が異なる箇所があるものの、ほぼすべてが引用商標を共通である。
そして、引用商標は、著名なデザイナーの名前に由来し、独創的なものである。
さらに、実際に使用している本件商標の書体や位置、本件商標が使用された男性用パンツの柄、デザインは、引用商標と酷似している。
以上のことから、本件商標が引用商標と無関係に採択されたとは到底考えることができず、むしろ、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、意図的に、著名な引用商標の特徴を一見してわかる程度に残したまま外観を変え、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想・想起させ、著名な引用商標の持つ顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択したものといわざるを得ない。
すなわち、本件商標は、引用商標が取引者・需要者の間に広く知られている商標であることを承知の上で、申立人の承諾もなく、引用商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る等の目的のもとに、引用商標の有する特徴を模倣して出願し、登録を受けたものであって、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くというべきである。また、本件商標の使用により、引用商標の出所表示機能が希釈化され、申立人の業務上の信用を毀損させるおそれがあることから、商道徳に反するものでもある。
このように、本件商標は、商標の自他商品識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護するという商標法の目的を阻害し、公正な取引秩序を乱し、社会の一般的道徳観念に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
申立人の主張及び提出された証拠によれば、「Vogue Japan」における「カルバン クライン/CALVIN KLEINに関する最新記事」の見出しの下、「アメリカのファッションブランドであるカルバン クラインは、アパレルを中心として、アンダーウェアーやアクセサリー、フレグランスなど、ファッションに関するものを幅広く展開していることで知られている。・・・また設立から50年近くが過ぎた現代でも、活気のあるアイデアを生み出し、世界110か国以上で販売されている。」の記載及び「日本国内においては、アンダーウェアとフレグランスを中心に展開しており、「カルバン クライン コレクション」として日本国内向けのアパレル販売は行われておらず、「ckカルバン・クライン」と「カルバン・クライン・ジーンズ」としてのみ展開している。2014年、ドーバー ストリート マーケット ギンザにおいて、期間限定カプセルコレクションとして「カルバン クライン コレクション メンズ」が日本初上陸を果たす。また、2017年には、「カルバン クライン アンダーウェア」「カルバン クライン ジーンズ」「カルバン クライン ジーンズ アクセサリー」がZOZOTOWNに出店し、「カルバン クライン アンダーウェア」のメンズは、今まで日本国内でも販売されていたが、ウィメンズは「カルバン クライン ジーンズ」、「カルバン クライン ジーンズ アクセサリー」とともに初上陸を果たす。1992年にセカンドラインである「ck カルバン クライン」が設立されると、価格設定が低いことから日本でも人気に火がつき、女性、男性問わずにアンダーウェア、香水などが話題となる。」の記載がある(甲5)。
上記によれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人は、被服関連商品について、引用商標を使用し、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の被服関連の需要者の間に一定程度知られていたといえる。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、「Cailin Kailun」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、一般の辞書に載録されている既成の語ではないから、特定の観念を有する語ではない。
そして、我が国においては、特定の観念を有しない文字からなる商標は、英語又はローマ字読みに倣って称呼されるのが一般的といえるから、本件商標は、英語風読みで「カイリンカイルン」の称呼を生じる。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「カイリンカイルン」の称呼を生じ、特定の観念は生じない。
他方、引用商標は、「Calvin Klein」の欧文字を書してなるところ、上記アのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の被服関連の需要者の間に一定程度知られていたことから、引用商標は、「カルバンクライン」の称呼を生じ、「カルバンクラインというブランド」ほどの観念を生じるというべきである。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、両者の語頭における「Ca」の文字と後半部分の語頭における「K」及び語尾の「n」のつづりを共通にするとしても、その他の文字のつづりが全く異なり、その構成が明らかに相違するものであるから、両者の外観は明確に区別できるものである。
また、本件商標から生じる「カイリンカイルン」の称呼と引用商標から生じる「カルバンクライン」の称呼とは、語頭の「カ」の音と4音目及び語尾における「ン」の音を共通にするとしても、その他の音において、明らかな差異を有することから、両者は明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標から、特定の観念が生じないのに対し、引用商標から「カルバンクラインというブランド」ほどの観念を生じるから、両商標は観念において紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきであるから、類似性の程度は低いものである。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標を使用する商品との関連性及び需要者の共通性
本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品は、ともに被服関連の商品であるから、両者は、商品の関連性を有し、需要者も共通するといえる。
エ 以上からすると、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の被服関連商品の需要者の間に一定程度知られており、本件商標の指定商品は、引用商標が使用されている商品と関連性を有し、需要者を共通するとしても、本件商標と引用商標とは、類似性の程度が低いものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標と引用商標は、上記(1)イのとおり、非類似の商標であり、かつ、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実も見いだせない。
また、社会の一般的道徳観念に反するなど、公序良俗に反するものというべき証左も見あたらない。
さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではなく、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合にも該当しない。
そうすると、本件商標は、その登録を維持することが商標法の予定する秩序に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に該当するとはいえない。
なお、申立人は、実際に使用されている本件商標の書体や位置、本件商標が使用された男性用パンツの柄、デザインは、引用商標と酷似していることから、本件商標が引用商標と無関係に採択されたとは到底考えることができず、むしろ、本件商標権者は、意図的に、著名な引用商標の特徴を一見してわかる程度に残したまま外観を変え、本件商標に接する取引者、需要者に引用商標を連想・想起させ、著名な引用商標の持つ顧客吸引力にただ乗りする不正な目的で採択したものといわざるを得ない旨主張するが、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の被服関連の需要者の間に一定程度知られていることや引用商標の使用態様を考慮してもなお、上記のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、かつ、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実をも見いだせないから、当該申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反して登録されたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
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異議決定日 2023-12-18 
出願番号 2022101513 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 馬場 秀敏
小田 昌子
登録日 2023-04-04 
登録番号 6686442 
権利者 李栄集
商標の称呼 カイリンカイルン、カイリン、カイルン 
代理人 曾我 道治 
代理人 叶野 徹 
代理人 坂上 正明 

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