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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1405078 
総通号数 24 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-02-03 
確定日 2023-11-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6645388号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6645388号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6645388号商標(以下「本件商標」という。)は、「LOGOS OUTDOOR」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月23日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同4年11月14日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、アウトドア用の商品及びアウトドアに関連する役務の需要者及び取引者の間で広く知られていると主張する商標は、「ロゴス」の片仮名及び「LOGOS」の欧文字を上下2段に書してなる商標(以下「引用商標1」という。)及び「LOGOS」の欧文字からなる商標(以下「引用商標A」という。)である。
以下、引用商標1と引用商標Aをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第28号証(枝番号を含む。以下、甲○と表記する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類似性について
(ア)本件商標と引用商標Aとの類似性について
本件商標は、「LOGOS」の欧文字と「OUTDOOR」の欧文字とを1文字分のスペースを介して標準文字で横書きしてなる結合商標である。
そして、「LOGOS」は、「概念・意味・論理・説明・理由・思想などの意」、「言語。理性」等の意味である(甲14の1)。
一方、「OUTDOOR」は「屋外。野外。「−用品」」の意味である(甲14の2)とともに、「アウトドア・アクティビティ(屋外での活動、具体例として、「キャンピング(野外での生活)」、「ハイキング(+ピクニック)」、「トレッキング」、「トレイルラン」、「スカイランニング」、「登山」、「沢登り」等)」を指す用語の略語としても一般的に広く知られている(甲14の3)。このように本件商標を構成する「LOGOS」と「OUTDOOR」の各要素間に観念上の繋がりはなく、また、1文字分のスペースを介していることから外観上も分離されている。
また、過去の審決の認定(甲26の1)のほか、インターネット検索サイト「google」において、「アウトドアシューズ」を紹介するウェブサイトや「アウトドアシューズ」のカテゴリーが存在するオンラインショップがヒットした(甲22)。さらに、Alpen Outdoorsのオンラインアウトドアショップにおいて、「アウトドアシューズ」のカテゴリーが存在し(甲19の2)、かつ、ABC−MARTのオンラインアウトドアショップにおいても、「アウトドアシューズ」のカテゴリーが存在する(甲19の7)。
なお、本件商標権者が、「アウトドアで大活躍!!」と表示した防水靴のカタログを自身のウェブサイトで公開している事実があり(甲20の2、3)、かつ、本件商標権者のシューズが、2020年12月頃に、インターネット上の販売サイト(甲21の1、3,5、6)において、「アウトドアシューズ」として販売されている事実もある。
以上の記事及びウェブサイト(販売サイトを含む。)から明らかであるように、本件商標の登録出願日よりも前から、「履物」について、アウトドアに適した機能や構造を有するシューズを「アウトドアシューズ」と称する一般的、恒常的である取引の事実が存在する。
そうすると、本件商標の需要者及び取引者は、その指定商品「履物」との関係で、本件商標の後半の「OUTDOOR」を、「アウトドアシューズ等のアウトドア用の商品」を表示するものとして認識理解し、自他商品の識別機能を有しない部分であるか極めて弱い部分であると認識するので、本件商標は、結合商標と解されるものの、その結合の程度は弱く、「LOGOS」の欧文字部分が取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるため、本件商標から「LOGOS」の欧文字部分が抽出される。
そこで、本件商標と引用商標Aとは、書体が相違するものの、外観上、実質的に同一であるといえる。また、本件商標の「LOGOS」からは、「ロゴス」の称呼が生じ、引用商標A「LOGOS」からは、「ロゴス」の称呼が生じ、両者は、同一の称呼が生じ得る。そして、本件商標及び引用商標Aからは、「概念・意味・論理・説明・理由・思想」等の同一の観念が生じる(甲14の1)。
したがって、両商標は、相当程度高い類似性を有する。
(イ)本件商標と引用商標1との類似性について
本件商標は、上記のとおり、「LOGOS」の欧文字部分が抽出される。
一方、引用商標1は、片仮名「ロゴス」と欧文字「LOGOS」とを二段に横書きした構成である。このように片仮名「ロゴス」と欧文字「LOGOS」とは、二段に表されていることから、外観上も分離されている。
また、一般にその構成中に欧文字と片仮名を併記した部分を有する商標において、その片仮名が欧文字の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは、片仮名より生ずる称呼がその欧文字より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。引用商標1は、その構成中、上段の片仮名「ロゴス」が、下段の欧文字「LOGOS」の読みを特定したといえる。
しかるところ、本件商標の「LOGOS」と引用商標1の「LOGOS」とは、書体が相違する以外、外観上実質的同一である。また、本件商標の「LOGOS」からは「ロゴス」の称呼が生じるのに対し、引用商標1の「LOGOS」からは前述のとおり「ロゴス」の称呼が生じ、両者は同一の称呼を生じ得る。本件商標及び引用商標1の「LOGOS」からは「概念・意味・論理・説明・理由・思想」等の親念が生じる(甲14の1)から、両者は同一の観念を生じる。
したがって、両商標は、相当程度高い類似性を有する。
イ 引用商標の周知度
(ア)申立人について
申立人は、昭和28年(1953年)7月17日に大阪市住之江区にて第三商事株式会社として設立され、平成9年(1997年)7月1日に株式会社ロゴスコーポレーションに社名変更した会社であって(甲1の1)、引用商標を使用して昭和58年(1983年)からキャンプ用の商品の販売を開始し(甲1)、昭和60年(1985年)から現在に至るまで引用商標をハウスマークとしてアウトドア用の商品及びアウトドアに関連する役務について以下のとおり使用されてきたものである。
a 申立人のカタログ
申立人は、本件商標の登録出願日よりも前の2004年にBBQリーフレットを発行し、その後2005年から毎年、自身のアウトドア用の商品に関するカタログを発行している(甲5の1、3、5)。
b 申立人のウェブサイトについて
申立人は、自身のウェブサイトの左上に黒楓のマーク内に「LOGOS」の文字を表示し、かつ、同ウェブサイトの黒楓のマークの右横に、「LOGOS OFFICIAL ONLINE SHOP」と横書きに表示している。「LOGOS OFFICIAL ONLINE SHOP」のうちの「OFFICIAL ONLINE SHOP」は、「LOGOS」の公式オンラインショップを表示しているものとして認識、理解させるにとどまり、商標としての識別力を発揮しない又は極めて弱いものであるので、「LOGOS」が抽出されて商標としての識別力を発揮している。
このように申立人は、引用商標を使用して、第25類の商品では、被服(甲6の1の1〜367、甲6の1の371〜373)及びベルト(甲6の1の368)、靴に取り付ける滑り止め器具(甲6の2の1026)を販売するとともに宣伝広告している。
c 通販サイト及び申立人の実店舗における販売について
インターネット通販サイト「amazon.com.jp」において、「ロゴス(LOGOS)のストアを表示」と表示されている(甲7)。「ロゴス(LOGOS)のストアを表示」のうちの「のストアを表示」は、ロゴス(LOGOS)のストアを表示しているものとして認識理解させるにとどまり、商標としての識別力を発揮しない又は極めて弱いものであるので、「ロゴス(LOGOS)」が抽出されて商標としての識別力を発揮している。
また、申立人は、本件商標の登録出願日よりも前から、インターネット通販サイト「ヨドバシ.com」で、引用商標と社会通念上同一の商標「ロゴス」を表示して、バーベキュー及びクッキングに関する商品などを、継続的に販売かつ宣伝広告している(甲8の1〜8)。
さらに、申立人は、2020年9月29日の時点で、計76の実店舗を日本全国で展開しており(甲4の10)、本件商標の登録出願後の2023年1月20日時点においても、79店舗の実店舗(ロゴスショップ、ロゴスストア及びロゴスフラグシップコーナー等)を展開している(甲4の1〜9)。
加えて、申立人は、実店舗において、引用商標又はそれと社会通念上同一の商標を使用してカタログ、ウェブサイトに掲載の商品の継続的に販売し、かつ、当該商品を展示して宣伝広告している(甲10の11の2〜15、甲10の25、26、38、39、44、46、47、50、62〜64、甲10の65の3)。
d 申立人の売上げについて
申立人の期毎の売上額は、56期(2007年3月〜2008年2月)は下回るものの、53期(2004年3月〜2005年2月)から70期(2021年3月〜2022年2月)を全体的に見れば、売上額は右肩上がりに増加をし続けている。
また、53期売上額と70期売上額とを比較すると、約2.9倍(四捨五入)に増えており、70期の売上額は、約106億円(四捨五入)にも及んでいる(甲2)。
e 宣伝広告について
申立人は、YouTube、テレビ、雑誌、イベント、ウェブサイト、Instagramにおいて、引用商標を表示して継続的に宣伝広告をしている(甲9〜甲11、甲13、甲15、甲17)。
f 証明書について
383人もの取引者が、引用商標が、本件商標の登録出願日よりも前の令和3年(2021年)8月22日の時点で、申立人の「被服」及びアウトドアブランドの商品を示す表示として、日本全国において広く知られていることを証明し、かつ、引用商標が、本件商標の登録出願日前の時点で、申立人のアウトドアブランドの商品を示す表示として周知であるため、他者が、商標「LOGOS OUTDOOR」を「履物,運動用特殊靴,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服」について使用すると、申立人のアウトドアブランドの商品であると混同を生ずるおそれがあることについて証明している(甲12)。
g 引用商標の認知度を示すウェブサイトについて
ウェブサイト(甲17、甲18)記載のとおり、引用商標と社会通念上同一である「ロゴス」又は「ロゴス(LOGOS)」が主要なアウトドア用の商品(アウトドアウェアを除く。)のブランドとして選ばれているので、引用商標は、関連する需要者及び取引者の間でアウトドア用の商品(アウトドアウェアを除く。)を示すブランドとして高い認知度を有するに至っている。
また、ウェブサイト(甲18)記載のとおり、引用商標と社会通念上同一の商標である「ロゴス」又は「ロゴス(LOGOS)」が主要なアウトドアウェアを示すブランドとして選ばれているので、引用商標は、関連する需要者及び取引者の間で、アウトドアウェア(被服)を示すブランドとして高い認知度を有するに至っている。
h 引用商標の周知性に関する小括
以上のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務の出所を示す、代表的な商標として広く使用されており、その販売規模、広告規模を考慮すると、少なくともアウトドア用の商品(アウトドアウェア、アウトドア用のかばん、その他のアウトドア用品)及びアウトドアに関連する役務の需要者・取引者の間で、引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を示す表示として、広く知られている。
ウ 引用商標がハウスマークであるか
引用商標は、本件商標の登録出願日よりも前から、申立人のハウスマークとして長年にわたり使用されている。
エ 企業における多角経営の可能性
申立人は、「ロゴス」又は「Logos」を使用して多数のアウトドア用の商品を販売しており、その上、アウトドアに関する役務も行っていることから、現に多角経営している。
オ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
引用商標は、アウトドア用の商品(アウトドアウェア、アウトドア用のかばん、その他のアウトドア用品)について使用されている。
一般的に、アウトドア用の商品を取り扱う実店舗においては、アウトドア用のウェア、かばん、その他のアウトドア用品とともに、アウトドア用のシューズ及びサンダル等の履物が販売されており(甲19の1、甲19の4の1、甲19の5)、アウトドアのオンラインショップにおいても、アウトドア用のウェア、かばん、その他のアウトドア用品とともに、アウトドア用のシューズ及びサンダル等の履物が販売されている(甲19の2〜4、甲19の6)。
そうすると、引用商標が実際に使用されるアウトドアの商品(アウトドアウェア、アウトドア用のかばん、その他のアウトドア用品)と、本件商標のアウトドアシューズを含む指定商品「履物」とは、同一店舗で取り扱われ、同一場所(アウトドア)で使用される商品であるので、需要者、販売部門、用途等の共通性が相当高く、密接に関連しているといえる。
加えて、使用状態や使用目的が共通(アウトドア用として共通)でファッション関係商品としてコーディネートの対象となる「被服及びかばん」と「履物」とが、密接に関連していることは周知の事実である(甲27)。なお、「日本標準産業分類」(総務省統計局)においても、「服の小売業」と「靴・履物の小売業」とが同じ「56 織物・衣服・身の回り品小売業」の分類に属しており、両者は密接に関連する(甲14の4)。
カ 小括
以上のように、本件商標の要部「LOGOS」と引用商標とは、同一の称呼及び観念を生じ、かつ、外観も実質的に同一であるので、両者は相当程度高い類似性を有すること、引用商標は申立人の業務に係る商品及び役務を示すものとして関連需要者・取引者の間で広く知られていること、引用商標は、申立人のハウスマークとして長年にわたり使用されており、アウトドア用の商品及び役務について他に使用している者が存在しないこと、申立人が引用商標等を使用して多角経営を行っていること、互いの商品が密接に関連し、商品等の需要者が共通していること等を考慮すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した需要者及び取引者は、申立人又は同人と資本関係若しくは業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるであるかのように商品の出所について混同を生じるおそれが十分にある。
しかも、引用商標は、申立人のアウトドア用品の商品及びアウトドアに関連する役務を示す表示として周知、著名である。
加えて、本件商標の需要者及び取引者は、本件商標の指定商品「履物」との関係で、本件商標の後半の「OUTDOOR」を、「アウトドアシューズ等のアウトドア用の商品」を表示するものとして認識、理解する。
そうすると、後半に「OUTDOOR」を含む本件商標は、申立人のアウトドア用の商品及びアウトドアに関連する役務を示す表示として周知著名である引用商標のバリエーションの一つであって、申立人によって新たに展開されたアウトドアに関する商品、又は、申立人と資本関係若しくは業務提携関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性
引用商標は、本件商標の登録出願時よりも前から、申立人の業務に係る商品及び役務を示すものとして、関連需要者・取引者の間で全国的に広く知られている。
イ 引用商標と本件商標との類似性
引用商標と本件商標は、相当程度高い類似性を有する。
不正の目的について
(ア)申立人の展示会に出席していること
本件商標権者の従業員は、申立人によって2017年9月6日〜8日に開催された2018 THE LOGOS SHOW(展示会)に2017年9月8日に出席し(甲16の1、2)、かつ、申立人によって2017年2月2日〜3日に開催された2017−2018 LOGOS COLLECTION(展示会)にも2017年2月2日に出席している(甲16の3)。同人は、本件商標権者の従業者として申立人の展示会の招待を受けているのであるから(甲16の1の1、甲16の3の1)、その業務として申立人の展示会に出席していることになる。
したがって、申立人の展示会に出席した本件商標権者の従業員は、少なくとも、引用商標が申立人のアウトドア用の商品を示すものとして使用されていることを認識したことは明らかである。
他方で、本件商標権者の従業員数は、パートを含めて20人(甲20の1)とごく少数であることから、展示会出席の報告は、本件商標権者の経営陣に直接行われた、又は間接的であっても、本件商標権者の経営陣に伝わったと推認される。
そうすると、本件商標権者は、引用商標が申立人のアウトドア用の商品を示すものであることを知らずに、前半部分を引用商標と略同一の「LOGOS」とし、後半部分をアウトドア用の商品を示す「OUTDOOR」とする本件商標をたまたま偶然に採択したとは考えられない。換言すると、本件商標権者は、本件商標の登録出願時の時点で、全国的に周知著名な引用商標の存在を知りながら、その顧客吸引力にフリーライド及び/又はダイリューションする目的で、引用商標と類似する本件商標を登録出願しようとしたことは明らかである。
(イ)本件商標権者のレインシューズの販売
申立人は、2020年12月頃に、インターネット上の販売サイト(楽天市場、Yahooショッピング、ポンパレモール、aupayマーケット、Qoo10及びamazon.co.jp(甲21の1〜6)において、本件商標権者のレインシューズが販売されているのを発見した。
上記販売サイトにおいて、申立人の商標登録第6228582号商標(商標:Enjoy Outing!/指定商品:被服、履物等(甲24))を無断で使用し、かつ、本件商標権者がアウトドア総合ブランドの会社ではないにもかかわらず(甲20の1)、アウトドア総合ブランドと称した上で、「LOGOS」と「FIELD AND TOWN」とを二段書きした画像を表示して、販売した。
そして、「LOGOS」の欧文字部分が取引者及び需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるため、当該部分から「LOGOS」の欧文字部分が抽出される。
このように本件商標権者が当該画像を作成したものであったり、当該画像の作成を他者に指示したものであったりする場合、本件商標権者は、本件商標の登録出願時よりも前の時点で、全国的にアウトドアブランドとして周知著名な引用商標の存在を知りながら、顧客吸引力にフリーライド及び/又はダイリューションする目的で、引用商標と類似する「LOGOS」を使用していたことは明らかである。
そうすると、本件商標権者が、引用商標が申立人のアウトドア用の商品を示すものであることを知らずに、本件商標を採択したとは考えられない。換言すると、本件商標権者は、本件商標の出願時の時点で、全国的に周知著名な引用商標の存在を知りながら、その顧客吸引力にフリーライド及び/又はダイリューションする目的で、引用商標と類似する本件商標を登録出願しようとしたものであるといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性
ア 申立人の提出証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、昭和28年(1953年)7月に設立され、平成9年(1997年)7月に商号を株式会社ロゴスコーポレーションに変更した会社であり(甲1の1)、1985年からLOGOSブランドによるアウトドア用品の本格展開を始めた(甲1の2)。
申立人の「LOGOS」ブランドの商品(以下「申立人商品」という。)には、グリル、テント、シェラフ、ベッド、テーブル、チェアなどのキャンプ用品があり、それらには「LOGOS」の文字を表示するものもある(甲5の1の1、2)。
(イ)申立人商品は、ロゴスショップなどの店舗のほか、オンライン通信販売サイト(amazon.co.jp、www.yodobashi.comなど)において販売されている(甲4の10、甲7の1、甲8の1の1)。
(ウ)申立人の売上高(申立人商品の売上高を含むと考えられる。)は、69期(2020年3月から2021年2月)で、約83億9千万円あったとされる(甲2)。
(エ)YouTube、テレビ番組、雑誌、SNS、インターネット記事情報等において、申立人の店舗や申立人商品が紹介又は掲載されており、イベント等が実施されている(甲9の1、甲10の1の1、甲10の2の1、甲11の1、甲13の1の1、甲15の1の1、甲17の1の1)。
イ 以上を踏まえると、申立人は、引用商標の構成文字「LOGOS」をロゴとする申立人商品(主にキャンプ用品)について、1985年以降の30年以上の販売期間があり、相当程度の売上高を継続的にあげるなどの販売実績があるもので、種々の広告宣伝媒体を通じて商品紹介等もされているから、引用商標は、我が国の需要者の間において、申立人の業務に係る「キャンプ用品」を表示する商標として、ある程度知られているといえる。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類似性の程度
(ア)本件商標は、「LOGOS OUTDOOR」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び書体で、語間に1文字分の空けながら、まとまりよく一連一体の構成で表してなるもので、いずれかの文字部分が強い印象を与えるものではない。
そして、本願商標の構成中「LOGOS」の文字は「ロゴス(宇宙を支配する理法)」などの意味を、「OUTDOOR」の文字は「屋外の」の意味を有する英語(参照:「ジーニアス英和辞典 第5版」)であるところ、両語を結合して成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いは具体性を欠く。
申立人は、本願商標の構成中「OUTDOOR」の文字部分は、「アウトドアシューズ等のアウトドア用の商品」を表示する自他商品の識別機能を有しないか極めて弱い部分であり、「LOGOS」の文字部分が抽出される旨を主張するが、当該文字部分は、その指定商品「履物」との関係において、商品の普通名称や品質等を具体的に表示するものではないから、構成文字全体でまとまりのよい一連一体の構成で表されていることもあって、自他商品の出所識別標識としての機能を欠く文字部分として省略されるものではない。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ロゴスアウトドア」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標1は、「ロゴス」の片仮名と「LOGOS」の欧文字を二段に横書きした構成からなり、また、引用商標Aは「LOGOS」の欧文字を横書きしてなるところ、それら構成文字は、「ロゴス(宇宙を支配する理法)」などの意味を有する英語(前掲書参照)に通じるが、我が国で親しまれた外来語ではない。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ロゴス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(ウ)本願商標と引用商標を比較すると、外観においては、「LOGOS」の構成文字を含む点を共通にするが、その他の構成文字の有無により、構成文字全体としては異なる語を表してなると容易に理解できるから、判別は容易である。また、称呼においては、語頭の「ロゴス」の構成音を共通にするとしても、語尾の「アウトドア」の音の有無により、全体として聴別は容易である。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないから、比較できない。
そうすると、両商標は、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別及び聴別は容易であるから、それらを総合して考察すれば、同一又は類似の商品について使用しても、出所の混同を生じるおそれのない非類似の商標であって、類似性の程度は低い。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係るキャンプ用品との関連性
本件商標の指定商品「履物」は、履物製造業者により製造され、靴・履物小売業者により販売されるものである。
当該商品は、引用商標の使用に係る「キャンプ用品」とは、商品の性質や用途が相違し、商品の製造部門、販売部門及び流通経路も相違するから、互いに関連性の程度は低い。
ウ 引用商標の著名性
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る「キャンプ用品」を表示するものとして、我が国の需要者の間にある程度知られているといえる。
エ 出所の混同のおそれについて
上記を踏まえて検討すれば、引用商標が申立人の業務に係る「キャンプ用品」を表示するものとして、我が国の需要者の間にある程度知られているとしても、本件商標とは非類似の商標であり類似性の程度は低く、また、その指定商品「履物」と引用商標の使用に係る「キャンプ用品」とは、互いに商品の性質や用途等の関連性の程度は低いから、本件商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人又は引用商標との具体的な関連性を想起、連想するとは考えにくく、また、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標ではないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 本件商標は、引用商標とは、上記(2)アのとおり、非類似の商標である。
イ 申立人は、本件商標権者の従業員が申立人の展示会に出席したことを根拠に、本件商標権者が引用商標を知りながら登録出願したとして、本件商標の登録出願に不正の目的があった旨を主張するが、引用商標を認識しながら本件商標と登録出願することが直ちに不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的など)につながるものではないこと明らかで、その他に、本件商標の登録出願の目的及び経緯を明らかにする具体的な証拠はない。
ウ そうすると、引用商標の周知性の程度にかかわらず、本件商標と引用商標は同一又は類似する商標ではなく、また、不正の目的をもって使用をするものとも認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号の規定に違反してされたものではなく、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
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異議決定日 2023-10-27 
出願番号 2021104419 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 小田 昌子
阿曾 裕樹
登録日 2022-11-28 
登録番号 6645388 
権利者 株式会社スタートトレーディング
商標の称呼 ロゴスアウトドア、ロゴス 
代理人 大西 正夫 
代理人 IAT弁理士法人 

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