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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W010305
管理番号 1402989 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-10-14 
確定日 2023-09-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第6596644号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6596644号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6596644号商標(以下「本件商標」という。)は、「THE EXOSOME」の欧文字を標準文字により表してなり、令和4年3月11日に登録出願、第1類「医薬品・化粧品・食品の製造において使用するための化学品,その他の化学品」、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き(医療用のものを除く)」及び第5類「医療用薬剤,ガーゼ,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として、同年7月1日に登録査定され、同年8月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標及び標章は、同人の主張から合議体は次のとおりと判断する。
1 国際登録第1303688号商標(以下「引用商標1」という。)は、「AXSOME」の欧文字を横書きした構成からなり、2015年9月1日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2016年(平成28年)3月1日に国際商標登録出願、第5類「Medicated and pharmaceutical preparations for use in connection with humans, namely, those for the treatment, prevention, and diagnosis of pain and related conditions.」を指定商品として、平成29年3月17日に日本国において設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
2 国際登録第1303581号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2015年9月1日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2016年(平成28年)3月1日に国際商標登録出願、第5類「Medicated and pharmaceutical preparations for use in connection with humans, namely, those for the treatment, prevention, and diagnosis of pain and related conditions.」を指定商品として、平成29年3月17日に日本国において設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
以下、上記の引用商標1及び引用商標2をまとめて、「引用商標」という場合がある。
3 申立人が、商品「人用の医薬品及び薬剤、すなわち痛み及び関連する疾患の治療用・予防用及び診断用のもの」等について使用した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者、取引者間において、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く知られていると主張する標章は、「AXSOME」(以下「引用標章」という。)よりなるものである。
また、引用商標及び引用標章をまとめていう場合は、以下「申立人商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであり、仮に、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しなかったとしても、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により取消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号について
(1)本件商標について
本件商標を構成する「THE」は、英語の定冠詞であり、goo国語辞書において、「名詞に付けて、その語のもつ性質・機能などを強調したり、普通名詞をその典型を表す固有名詞のように扱ったりする。広告文や映画・テレビ番組・雑誌記事のタイトルなどに「ザ−バーゲン」「ザ−商社」などと用いられる。」とある(甲2)。また、ウィキペディアの説明においては、「「the」は日本語には「その」「例の」「ほら、あの」「問題の」などと訳せるが、訳す必要がない場合が多」く、「辞書に載っている「the」の語義は10を超えるが」「文脈・状況・既存知識などから相手がそれとわかる名詞に付ける単語」という基本的な意味・語法を強調」すべき、ともある(甲3)。
一方の「EXOSOME」は、「生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一。リソソームと同様、脂質二重層からなり、血液、尿、羊水などの体液中に存在する。遠く離れた細胞への分子輸送に関与していることがわかっている。」ものであり、あらゆる細胞から分泌されるものである(甲4)。1980年代に発見され、Johnstoneらによって名付けられたものである(甲6)。
エクソソームは様々な細胞から分泌されるが、中でも間葉系幹細胞(Mensenchymalstem cell:MSC)が分泌するエクソソームに関しては、各種疾患への治療効果が報告されている。MSC由来のエクソソーム(幹細胞エクソソーム)は、MSCそのものと同様か、それ以上の治療効果を示すことが明らかになっている(甲8)。
このように、「EXOSOME」が関与する疾患メカニズムが明らかとなってきており、生物学的意義に注目が集まっていることにより、エクソソームを用いた医薬品の開発や、がん治療法の研究の高まりがあり、具体的には、再生医療、脳卒中、肝硬変、がん、リンパ浮腫、認知症、関節疾患といった様々な疾患への効果が期待されている(甲5、甲7〜甲9)。大学等の研究機関、厚生労働省、企業を交えての取り組みもみられる(甲10〜甲13)。さらに、大量生産が可能な高純度生成システムの開発や研究も行われており(甲12)、「EXOSOME」そのものを培養する企業も存在し、販売も行われている(甲14〜甲16)。
皮膚に対し様々な働きをもち、肌のコンディションを整えるなどの効果が見込まれることから、「EXOSOME」を配合した化粧品が一般に販売されていることも散見される(甲17〜甲19)。
以上のとおり、医薬品業界、化粧品業界、化学品業界において「EXSOME」が「生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一。」を意図するものとして、培養された「EXOSOME」そのものが取引されている、あるいは「EXOSOME」を配合した化粧品、医薬品が一般に取引されていることが認められる。
(2)第3条第1項第3号第4条第1項第16号について
本件商標における「THE」は単に後に続く名詞を強調するにすぎず、あるいは、強いて訳さなくてよい場合が多い「その、例の」の意味を有するにとどまるから、「生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一」の一般名称である「EXOSOME」に「THE」を付けたとしても、識別標識として機能しうるものではない。
そうすると、本件商標をその指定商品中、「エクソソーム」そのものに使用する場合はいうまでもなく、「エクソソームを配合した商品」について使用しても、これに接する需要者は、単に商品の品質及び原材料又は効能を表示したものとして理解するにとどまり、取引者又は需要者が商品又は役務の特徴等を表示するものと一般に認識するから、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきである。かつ、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。
(3)小括
したがって、本件商標登録に係る商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号について
(1)商標法第4条第1項第11号について
類否判断基準
本件商標は「THE」と「EXOSOME」の欧文字を一文字分のスペースを介して標準文字で表してなり、両者を分離して親察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとまではいえない。
本件商標のうち、「THE」は、英語の定冠詞であり、名詞に付けて、その語のもつ性質・機能などを強調したり、普通名詞をその典型を表す固有名詞のように扱ったりするものであり、「その」「例の」「ほら、あの」「問題の」などと訳せるが、訳す必要がない場合が多い(甲2、甲3)。一方の「EXOSOME」は生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一。リソソームと同様、脂質二重層からなり、血液、尿、羊水などの体液中に存在するものである(甲4〜甲6)。本件商標に識別力があることを前提とすると、「THE」の観念は実質的に生じないから、相対的に「EXOSOME」の部分が見る者に強く支配的な印象を与えうるものである。
以上のとおり、本件商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標であり、その構成部分の一部である「EXOSOME」によって簡略に称呼、観念され得るものであるから、「EXOSOME」の文字部分を本件商標の要部と捉えて類否判断を行うべきである。
イ 称呼について
「EXOSOME」の文字部分が要部であるといえるから、該文字部分から、「エクソサム」「エクソソーム」の称呼が自然と生じうる。
一方で、英語のAは「エ」あるいは「ア」と「エ」の中間音で発音しうることより(甲46)、引用商標1からは、「エクソサム」「アクソサム」「アクソソーム」又は「エクソソーム」の称呼を生ずる。引用商標2は、「AXSOME\THERAPEUTICS」と書してなるが、「THERAPEUTICS」は「AXSOME」の下に、小さい文字で、かつ薄い色で付加されているに過ぎないから、「AXSOME」部分のみから称呼が生じうると考えられるため、引用商標1と同様の称呼が生じる。
これより、本件商標と引用商標は、様々生じる可能性ある称呼のうち、「エクソサム」と「エクソソーム」との称呼において同一である。
引用商標から語頭音として「ア」が生じる場合も、「ア」と「エ」は近似する母音であり聞き間違えやすいため、引用商標から「アクソサム」「アクソソーム」の称呼が生じる場合は、称呼において類似する。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼において同一又は類似である。
ウ 外観及び観念について
本件商標のうち「EXOSOME」は、標準文字のアルファベット7文字よりなる。引用商標「AXSOME」とは、アルファベット「A」以外の、「X、O、S、M、E」が共通し、比較的長い英単語中、「XSOME」「XOSOME」が共通し、外観上紛らわしい。
本件商標中の「EXOSOME」は、生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一。リソソームと同様、脂質二重層からなり、血液、尿、羊水などの体液中に存在するものである(甲4〜甲6)。引用商標は、造語である。「EXOSOME」は、医療、医薬品及び美容業界において関心が高まっているとはいえ、本件商標に識別力があることを前提とすると、我が国において一般的に知られた語であるとまではいえず、仮にそれらに携わる専門的知識を有する需要者にとっては知られていたとしても、様々な細胞から採取することが可能であり用途も様々考えられるため、その意味する内容は異なることも考えると(甲8)、本件商標からも引用商標からも、特段の観念が生じるとはいえない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較することはできない。
エ 小括
以上によれば、本件商標と引用商標は、称呼が同一又は類似であり、外観上の相違はあるものの、特徴的なものとはいえず、観念上の相違も比較することができない。加えて、後述するように引用商標は需要者の間で広く知られているから、取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すると、同一又は類似の商品又は役務に用いられた場合には、商品又は役務の出所につき誤認混同を生じるおそれがある類似の商標であると認められる。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 引用標章の周知著名性
申立人は、2012年1月に、現最高経営責任者のヘリオットタブトーにより設立された、うつ病、アルツハイマー病、片頭痛、ナルコレプシー、線維筋痛症などの中枢神経系(CNS)障害の新規治療法を開発する会社である(甲38〜甲40)。
申立人は、引用標章をそのハウスマークとして、米国、オーストラリア、中国、欧州共同体、インド、韓国、ニュージーランド、カナダにおいても所有している(甲22〜甲37)。代表的商品としては、ナルコレプシー治療薬の「SUNOSI」、抗うつ剤の「Aubelity」等があり、申立人が販売するそれら商品に使用されている。これ以外にも、プレスリリースや学術発表を通じて、広告宣伝に努め、各種メディアでも紹介されている(甲43〜甲45、甲47、甲48)。
また、米国のみならず、カナダと欧州においても申立人の治療薬は販売されている(甲41、甲42)。主として米国で使用されているものであり、米国において周知であるうえ、少なくとも欧州、カナダにその製造商品は輸出されている。
以上から、引用標章は本件商標の出願日である令和4(2022)年3月11日より前には、医薬品業界において、申立人の商標として広く一般に知られるものとなっていた。
イ 本件商標と引用標章の類否
上記(1)で述べたように、本件商標からは欧文字「ESOXOME」(決定注:「EXOSOME」の誤記と認める。)の文字部分が抽出される。他方、引用標章は「AXSOME」の欧文字からなり、本件商標と引用標章は要部を共通にして類似する。
本件指定商品(決定注:「本件商標」の誤記と認める。)と引用標章は医薬品について使用するものであり、同一又は類似である。
ウ 小括
以上から、本件商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品又はこれらに類似する商品について使用をするものに該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用標章の混同のおそれ
上記のとおり、本件商標からは、「EXOSOME」の文字部分が抽出され、引用標章とは全体として類似する。引用標章は、医薬品について周知著名であり、その周知著名性は医薬品の原料となる化学品、美容医療との関りから化粧品の需要者の間にも及ぶ。本件商標は、識別力が高いとはいえないまでも、我が国でありふれているわけではなく、生来的に識別力を有しうる。本件商標の指定商品と引用標章の使用商品(「人用の医薬品及び薬剤、すなわち痛み及び関連する疾患の治療用・予防用及び診断用のもの」等)とは医薬品において重複し、その他の商品についても化学品、化粧品関連商品として密接な関連性を有するもので、取引者及び需要者も重複ないし共通性があり、本件商品は特殊なものであり、注意力は比較的高いともいえるが、周知著名でフリーライドされ易いといえる。
これらのことを総合的に考慮すれば、本件商標を指定商品に使用した場合は、これに接した取引者及び需要者に対し、当該商品が申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信され、商品の出所につき誤認を生じさせるとともに、化粧品を含むその関連商品について周知著名となっている引用標章の持つ顧客吸引力ヘのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を生じかねない。
イ 小括
以上から、本件商標は他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その需要者の重なりから、引用標章に類似しない商品についても、出所の混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「THE EXOSOME」の文字からなるところ、その構成文字は、「THE」と「EXOSOME」の文字の間に空白を有するとしても、同じ書体、同じ大きさをもって、等間隔に表されており、外観上、まとまりよく一体のものとして把握し得るものである。
そして、「THE」の文字が英語の定冠詞であって、また、「EXOSOME」の文字が、申立人提出の証拠によれば、「生体内で細胞外に放出される直径約30〜100ナノメートル程度の超小型の膜小胞。細胞外小胞の一。」(甲4)の意味を有するとしても、当該文字は、一般的な辞書等には載録のないものであって、我が国において一般になじみのある語とはいえないことから、この文字に接する取引者、需要者が直ちに上記意味合いを理解するとはいい難いものである。
そうとすれば、「THE EXOSOME」の文字からは、直ちに特定の意味合いを認識させるものとはいえず、本件商標の指定商品との関係において、商品の原材料、品質等を直接的、かつ、具体的に表すものとして、取引者、需要者に認識されるともいい難いものである。
また、当審において職権をもって調査するも、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「THE EXOSOME」の文字が、商品の原材料、品質等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
してみると、本件商標は、その構成全体をもって一体的に把握される、特定の意味を有しない一種の造語であると判断するのが相当である。
そうすると、本件商標は、その指定商品との関係において、商品の原材料、品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえず、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれもないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 本件商標と申立人商標の類否について
(1)本件商標について
上記1のとおり、本件商標は、全体がまとまりよく一体のものとして把握され、特定の意味や観念を有しない一種の造語と認められるものであり、また、これよりは、「ザエクソソーム」の称呼のみが生ずるものである。
(2)申立人商標について
ア 引用商標1及び引用標章について
引用商標1及び引用標章は、上記第2 1及び3のとおり、「AXSOME」の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、英語を始めとする辞書類に掲載されておらず、既成の語とはいえないものであるから、特定の意味や観念を有しない一種の造語と認められる。そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、引用商標1及び引用標章からは、「アクサム」及び「アクスサム」の称呼が生じるものとみるのが相当である。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲のとおり、「AXSOME」の文字とその下に小さく「THERAPEUTICS」の文字を二段に横書きした構成からなるものである。
そして、その構成中、「THERAPEUTICS」の文字は、「AXSOME」の文字と比べて極めて小さく、文字の色も薄く表されており、また、両文字は、共に一般的な辞書類に載録されていない一種の造語と認められ、観念上のつながりもないことから、引用商標2の構成中の「AXSOME」の文字と「THERAPEUTICS」の文字とは、分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているということはできず、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、引用商標2に接する取引者、需要者において、その構成中にひときわ大きく書された「AXSOME」の文字部分(以下「引用2要部」という。)をもって取引の用に供されることもあるというべきである。
そうすると、引用商標2は、引用2要部に相応した称呼及び観念を生じるものとみるのが相当である。
してみれば、引用2要部は、英語を始めとする辞書類に掲載されておらず、既成の語とはいえないものであるから、特定の意味や観念を有しない一種の造語と認められる。
そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、引用2要部からは、「アクサム」及び「アクスサム」の称呼が生じるものとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標1及び引用標章の類否について
本件商標と引用商標1及び引用標章を比較するに、外観においては、「THE」の有無に差異を有し、また、文字数や文字構成等を異にするものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
そして、称呼においては、本件商標からは「ザエクソソーム」の称呼が生じ、引用商標1からは「アクサム」及び「アクスサム」の称呼が生じるところ、両者は、音構成及び音数において明確な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに相紛れるおそれはないものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標1及び引用標章とは、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念において比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1及び引用標章とは、外観においては明確に区別できるものであり、称呼においては、相紛れるおそれのないものであり、観念においては比較できないものであるから、それらが与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、本件商標と引用商標1及び引用標章とを類似するものとすべき理由は見いだせない。
(4)本件商標と引用商標2の類否について
本件商標と引用商標2を比較するに、外観においては、全体的には明確に相違するとともに、本件商標と引用2要部とを比較しても、「THE」の有無に差異を有し、また、文字数や文字構成等を異にするものであるから、外観上、明確に区別できるものである。
そして、称呼においては、本件商標からは「ザエクソソーム」の称呼が生じ、引用2要部からは「アクサム」及び「アクスサム」の称呼が生じるところ、両者は、音構成及び音数において明確な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、互いに相紛れるおそれはないものである。
また、観念においては、本件商標と引用2要部とは、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念において比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2とは、外観においては明確に区別できるものであり、称呼においては、相紛れるおそれのないものであり、観念においては比較できないものであるから、それらが与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
その他、本件商標と引用商標2とを類似するものとすべき理由は見いだせない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
上記2のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用標章の周知性について
申立人提出の証拠によれば、申立人は、中枢神経系障害治療法の開発を手がけるバイオ医薬品企業である(甲40)ことは認められるものの、引用標章の使用開始日や使用に係る商品の我が国における売上高、販売数量等の販売実績並びに宣伝広告の回数や費用等の広告実績など、その周知性を数量的に判断し得る客観的、かつ、具体的事実に関する証拠は何ら見いだせない。
また、引用標章と同一又は類似の商標が米国、オーストラリア、中国、欧州共同体等において商標登録されているとしても、そのことをもって直ちに引用標章が我が国の需要者の間に広く認識されているものということはできない。
その他、本件商標の登録出願日において、引用標章が広く知られていることを認めるに足る証拠の提出はなく、引用標章の周知性を認め得る事情は見いだせない。
してみると、提出された証拠をもってしては、引用標章の周知性を認めるには不十分といわざるを得ないものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることができない。
(2)本件商標と引用標章の類似性
上記2のとおり、本件商標と引用標章とは非類似の商標である。
(3)小括
上記のとおり、引用標章は他人(申立人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり、本件商標と引用標章は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用標章の使用商品とが類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記2のとおり、本件商標と引用標章とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるばかりでなく、申立人の提出に係る証拠をもってしては、本件商標の登録出願時において、引用標章が申立人の業務に係る商品を表す商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに充分なものとはいえない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用標章を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第16号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲 引用商標2



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異議決定日 2023-09-07 
出願番号 2022034623 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W010305)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 板谷 玲子
豊瀬 京太郎
登録日 2022-08-04 
登録番号 6596644 
権利者 株式会社三和製薬
商標の称呼 ザエクソソーム、ザエキソソーム、エクソソーム、エキソソーム 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 

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