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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0941
管理番号 1402987 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-10-03 
確定日 2023-09-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6593381号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6593381号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6593381号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年3月19日に登録出願、第9類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同4年6月21日に登録査定され、同年7月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1176871号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「King」の文字を横書きしてなるもの
指定商品:第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)4月16日
優先権主張:2012年10月16日(EUIPO)
設定登録日:平成27年2月27日
(2)国際登録第1175497号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品及び指定役務:第9類及び第41類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)4月22日
優先権主張:2013年2月8日(EUIPO)
設定登録日:平成27年2月27日
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第113号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人及び引用商標の周知著名性について
ア 申立人について
申立人は、2003年に創設され、数百万人のデイリーアクティブユーザーを抱え、世界中の多数の国においてGoogle Play、Apple App Store、Facebook Gaming、Microsoft Store等で最も人気のあるゲームの一つとしての地位を確立しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを含む、カジュアルなソーシャルゲーム、モバイルゲーム及びオンラインゲームの世界的リーダーである。申立人は、ストックホルム、マルメ、ロンドン、バルセロナ及びベルリンにゲームスタジオを有しており、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ及びマルタに事務所を構えている。
申立人が開発したオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームのタイトルは200以上にのぼり、世界各地でリリースされ、世界中の人たちに楽しまれている。申立人が高い品質のゲームの開発及び提供を継続してきた結果、需要者は申立人のゲームをとても楽しく繰り返し何度でも遊びたいものとして高く評価するに至り、また申立人がそのブランド及び商標を注意深く維持管理し、その価値を守ってきたことと相まって、申立人の「King」商標(引用商標)は、オンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等に関係する引用商標の指定商品及び指定役務に使用される商標として、日本国内及び欧州連合を含む世界各国において極めて高い名声及び知名度を誇るに至っている。
申立人が開発し、驚異的な成功を収めているオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームには、例えば「キャンディークラッシュ」、「キャンディークラッシュソーダ」、「キャンディークラッシュゼリー」、「キャンディークラッシュフレンズ」、「ファームヒーロー」、「バプルウィッチ」、「バブルウィッチ3」、「ベットレスキュー」等があり、これらの他にも数々の大人気ゲームを開発及び提供している。これらのゲームは複数のプラットフォーム、例えばGoogle Play、Apple App Store、Facebook Gaming、Microsoft Store等でオンライン上で遊ぶ、あるいはダウンロードをして遊ぶことが可能であり(甲4)、日本国内及び欧州連合を含む世界各国の数多くの需要者が申立人のゲームを楽しんでいる。
イ WIPOのドメイン名紛争処理パネルによる「King」商標の周知著名性の認定について
申立人の「King」商標は、WIPOのドメイン名紛争処理パネルにより周知著名な商標に該当すると認定されている。認定の中で、紛争処理パネルは特に欧州連合における「King」商標の名声及び周知著名性について指摘している。証拠として、事件番号D2014−0912の2014年7月26日付決定(甲5)を提出する。
決定の中で、紛争処理パネルは「第一申立人は上記の4.に記載された登録商標の所有を証明した。また、両申立人のグループは、『King』の名称について、コンピューターゲーム及び関連する役務との関係で非常に確立された名声を有しているように思われる。」と述べている。
ウ 申立人のオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームについて
2003年の設立以降、申立人は多数の大人気ゲームを開発及び提供(ダウンロード可能なゲームソフトウェア(商品)/オンラインによるゲームの提供(役務)の双方の形式で提供)している。これらの驚異的な成功を収めているゲームには、例えば「キャンディークラッシュ」、「キャンディークラッシュソーダ」、「キャンディークラッシュゼリー」、「キャンディークラッシュフレンズ」、「ファームヒーロー」、「バブルウィッチ」、「バプルウィッチ3」、「ペットレスキュー」等が存在する。また、これらの他にも、例えば「ピラミッドソリティア」、「ダイヤモンドダイアリー」、「ブロッサム・ブラスト」、「クラッシュ・バンディクー ブッとび!マルチワールド」といった大人気ゲームが存在し、日本国内及び欧州連合を含む世界各国の数多くの需要者が申立人のオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームを楽しんでいる。日本における2012年11月から2022年11月までの間の申立人のゲームのダウンロード数及び収益を示すべく、アプリ分析/モバイルデータ分析ツールであるData.ai社の分析データを提出する(甲6)。この期間の申立人ゲームのダウンロード数は58,200,000、収益は426,000,000ドルであった。これらの大人気ゲームの存在及びその成功は、オンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等に関係する引用商標の指定商品及び指定役務との関係での引用商標の極めて高い周知著名性を裏付けるものである。
申立人の提供するオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームの全てにおいて、ローディング中ページ/ダウンロード中ページには引用商標2の「Kingロゴ」が極めて目立つ態様で顕著に表示され、申立人の提供するゲームで遊ぶ需要者は毎回繰り返し必ず引用商標2を目にする。これにより需要者の記憶には引用商標2が強く印象付けられる。またゲームを開始するに先立ち表示される「利用規約及びプライバシポリシーの改訂」のページにも引用商標2が表示される。さらに、ゲームのトップページに引用商標2が表示される場合もある(甲7〜甲9)。また、申立人の提供するゲームアプリの各アイコンには、いずれも引用商標2が顕著に表示されている(甲10)。
このように、引用商標2の「Kingロゴ」が極めて目立つ態様で顕著に大きく表示され、使用されている申立人のオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームであるが、いずれも高い人気を誇っており、日本国内及び欧州連合を含む世界各国の数多くの需要者が多数のダウンロードを行っている(甲11〜甲18)。
そして、このように多数のダウンロードがされたゲームを日本国内及び欧州連合を含む世界各国の数多くの需要者がプレイする際には、前述のとおり、引用商標2の「Kingロゴ」が毎回必ず極めて目立つ態様で顕著に大きく表示され、需要者は繰り返し引用商標2を目にする。これにより需要者の記憶には引用商標2が強く印象付けられ、引用商標2及び「King」の名称(引用商標1)が、日本国内及び欧州連合を含む世界各国の数多くの需要者の間で高い周知著名性を獲得するに至っていることは明らかであるといえる。
エ 広告宣伝及びメディアでの露出について
引用商標が表示される申立人の商品・役務については、日本国内及び欧州連合を含む世界各国において多数の広告宣伝及びメディアでの露出がされている。なお、2016年から2021年の間に申立人が日本において支出した広告宣伝費用は66,134,303.10米ドルである。申立人が日本において支出した広告宣伝費用を証明すべく、申立人の社内データベースより抽出をした広告宣伝費用のデータ一覧を提出する(甲18の2、3)。前述したとおり、申立人の提供するゲームアプリの各アイコンには、いずれも引用商標2が顕著に表示され、また需要者が申立人のオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームでプレイする際には引用商標2の「Kingロゴ」が毎回必ず極めて目立つ態様で顕著に大きく表示されることから、需要者は各ゲームタイトルと申立人の引用商標とを強く結びつけて認識している。つまり、各ゲームタイトルについての広告宣伝費用の合計は、すなわち引用商標の広告宣伝費用に該当するものである。
日本国内における広告宣伝及びメディア露出は、甲第19号証ないし甲第31号証のとおりであり、外国における広告宣伝及びメディア露出は、甲第32号証ないし甲第60号証のとおりである。
また、申立人のハウスマーク(社標)でもある「King」商標(引用商標)についても、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを活用した広告宣伝活動を積極的に展開している(甲61〜甲74)。
さらに、多くの国際的に著名なセレブリティ(有名人)が申立人のゲームを推奨し、申立人のゲーム及び「King」商標(引用商標)は数多くのメディアに露出してきた(甲75、甲76)。
オ 受賞歴について
引用商標が表示される申立人のオンラインゲーム及びダウンロード可能なモバイルゲームは、その人気・成功・高い品質を讃える数多くの賞を受賞し、またノミネートされてきた(甲77〜甲93)。
カ 申立人のウェブサイトについて
申立人は「king.com(king.com)」、「The King Community(community.king.com)」、「THE ROYAL GAMES WEBSITE(royalgames.com、ただし2021年12月7日付けで更新停止)」を開設し、引用商標の付された申立人のオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等について情報を提供し、宣伝し、また日本国内及び欧州連合を含む世界中のゲーム需要者が交流できる場を提供している(甲94〜甲113)。
キ まとめ
以上に述べたとおり、申立人及び引用商標の周知著名性は、日本国内及び欧州連合を含む世界各国に広く及んでおり、本件商標の出願日の時点はもとより現在においても、引用商標が日本国内及び欧州連合を含む世界各国において、オンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等に関係する引用商標の指定商品及び指定役務に使用する商標として「需要者の間に広く認識された商標」に該当することは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標の称呼、観念、外観について
本件商標は、図形と「KINGSGROUP」の欧文字とが結合された態様からなる商標であるが、その構成中には「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標」である引用商標と同一の文字列からなる「KING」の文字が含まれており、当該部分こそが取引者又は需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部に当たると解されるべきである。加えて、「SGROUP」の文字部分からは「〜のグループ」の意味合いが看取され、本件商標の出願人が申立人と同じ企業グループに属しているかのような印象を取引者及び需要者に与える記述的な部分にすぎないことから、当該部分から独立して出所識別標識としての称呼、観念が生じることはないと解される。
以上から、本件商標について引用商標と比較して商標の類否を判断する際には、「KING」の文字部分だけを取り出して比較を行うことこそが、適当である。
(ア)称呼について
本件商標は、取引者又は需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部である「KING」の部分より「キング」の称呼が生じる。
(イ)観念について
本件商標は、要部である「KING」の部分より、「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人」及び「世界中で人気を博している、申立人の開発・提供するオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム」の観念が生じる。また、本件商標全体からは、「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人のグループに属するグループ企業」の観念が生じる。
(ウ)外観について
本件商標は、取引者又は需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、なおかつ視覚的に最も看るものの目を引く語頭部分に配置されていることも相まって、最も取引者又は需要者の目を引く部分である「KING」の欧文字と、雄ライオンの顔を連想させる図形と、「〜のグループ」の印象を与える「SGROUP」の欧文字を組み合わせた外観より構成される。
イ 引用商標1の称呼、観念、外観について
(ア)称呼について
「King」の文字より「キング」の称呼が生じる。
(イ)観念について
「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人」及び「世界中で人気を博している、申立人の開発・提供するオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム」の親念が生じる。
(ウ)外観について
「King」の欧文字を横書きした構成よりなる。
ウ 引用商標2の称呼、観念、外観について
(ア)称呼について
ロゴ態様で表した「King」の文字より「キング」の称呼が生じる。
(イ)観念について
「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人」及び「世界中で人気を博している、申立人の開発・提供するオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム」の観念が生じる。
(ウ)外観について
「King」の欧文字をロゴ態様で横書きに表示した構成よりなる。
エ 本件商標と引用商標の称呼、観念、外観の類否について
(ア)称呼について
本件商標と引用商標からは、いずれも「キング」の称呼が生じ、称呼は同一である。
(イ)観念について
本件商標と引用商標からは同じ「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人」及び「世界中で人気を博している、申立人の開発・提供するオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム」の観念が生じ、観念も同一である。なお、本件商標全体から「世界中で人気を博しているオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームを開発・提供する申立人のグループに属するグループ企業」の観念が生じると解した場合にも、引用商標より生じる観念と紛らわしく、観念は類似すると判断されるべきである。
(ウ)外観について
本件商標と引用商標の外観との間には、図形部分の有無、全体の構成文字数の違い、構成文字の大文字、小文字の違いといった差異がある。
しかしながら、本件商標の構成中で最も強く支配的な印象を与える要部であり、なおかつ視覚的に最も看るものの目を引く語頭部分に配置されている「KING」の欧文字部分と、引用商標1「King」及び引用商標2「King」ロゴ態様との間には一定以上の共通性が認められ、相紛らわしいといえる。
オ 結論
以上のとおり、本件商標と引用商標の称呼及び観念は同一であり、外観にも共通性が認められる。これらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と引用商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合には、その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかであり、本件商標と引用商標は類似する商標に当たるというべきである。
カ 本件商標と引用商標の指定商品及び指定役務の類否について
本件商標の指定商品及び指定役務には、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する商品及び役務が含まれる。
キ 結論
以上述べたとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であり、また指定商品・役務についても、少なくともその一部については申立人の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認されるおそれがある同一又は類似する商品・役務に当たるというべきであることから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
類似性の程度について
上記(2)において述べたとおり、本件商標と引用商標は類似する商標であり、商品及び役務の出所の混同を生ずるおそれがある商標に該当するというべきである。
イ 周知度について
上記(1)において述べたとおり、申立人及び引用商標の周知著名性は、日本国内はもとより欧州連合を含む世界各国に広く及んでおり、引用商標はオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等に関係する引用商標の指定商品又は指定役務に使用する商標として、日本国内はもちろんのこと外国(欧州連合を含む世界各国)においても著名であって、我が国内の需要者によって広く認識されている。
ウ 造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるかについて
引用商標は「King」の文字及びこれをロゴ化した態様からなる標章であるところ、「king」の語それ自体は辞書にも掲載のある語であり、必ずしも造語ではない。しかしながら、申立人が開発・提供し、引用商標が使用されたオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等が、日本国内はもとより世界中で人気を博した結果、当該業界で「King」といえば申立人及び申立人の開発・提供するゲームを指すものとしてゲームの分野の取引者及び需要者は認識しており、引用商標は高い顕著性を獲得するに至っているといえる。
エ ハウスマークであるかについて
引用商標は、ハウスマークである。
オ 多角経営の可能性について
本件商標の商標権者は、スイス連邦に本拠を置くモバイルゲームのディベロッパー(開発会社)であり、申立人とは同じ業界に属する同業他社である。そのため、申立人における多角経営の可能性の有無に関わらず、商標権者の業務に係る商品又は役務と申立人の業務に係る商品又は役務との間に出所の混同を生ずるおそれは極めて高いといえる。
カ 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性について
上記(2)において述べたとおり、本件商標の大多数の指定商品又は指定役務は引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の関係にあり、関連性は極めて高いといえる。
キ 商品等の需要者の共通性その他取引の実情について
本件商標の商品・役務と引用商標の商品・役務はいずれもオンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲームをプレイするゲーム愛好家に向けて提供される商品・役務であって、需要者は共通である。取引の実情についても、需要者がゲームのプラットフォームにアクセスしオンライン上で遊ぶ、またはプラットフォームより自身の端末にゲームをダウンロードして遊ぶという共通の取引の実情があり、本件商標の出願人の業務に係る商品又は役務が申立人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生ずるおそれは極めて高いといえる。
ク 検討
以上で検討した考慮事由に基づき総合的に判断すると、需要者が本件商標の出願人の業務に係る商品又は役務についてあたかも申立人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その出所について混同が生じるおそれは極めて高いといえる。また、本件商標中の「SGROUP」の文字部分からは「〜のグループ」の意味合いが看取され、本件商標の出願人が申立人と同じ企業グループに属しているかのような印象を取引者及び需要者に与えるおそれが極めて高いことから、出願人の商品又は役務について、あたかも申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品等であると需要者が誤認し、その出所について混同するおそれについてはなおさら高いといえる。
ケ 結論
以上に述べたとおり、本件商標は「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に当たることは明らかであることから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
ア 「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に当たることについて
上記(1)において述べたとおり、申立人及び引用商標の周知著名性は、日本国内はもとより欧州連合を含む世界各国に広く及んでおり、引用商標は、オンラインゲームやダウンロード可能なモバイルゲーム等に関係する引用商標の指定商品又は役務に使用する商標として、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」に当たる。
イ 「同一又は類似の商標」に当たることについて
上記(2)において述べたとおり、本件商標と引用商標は類似する商標である。
ウ 「不正の目的」があることについて
本件商標の商標権者は、申立人とは同じ業界に属する同業他社である。また、スイス連邦は欧州連合の加盟国ではないものの、スイス連邦と欧州連合の加盟各国は経済的に緊密な関係にあり、地理的にも近接しており、人的交流も活発である。これらの状況をふまえれば、本件商標の商標権者が申立人及び申立人の開発・提供するゲームの極めて高い人気や名声について知らなかったはずがなく、本件商標を偶然採択したとは考え難いというべきである。それどころか、本件商標には「〜のグループ」の意味合いが看取される「SGROUP」の文字が含まれており、あたかも本件商標の商標権者が申立人と同じ企業グループに属しており、商標権者も申立人のゲームの人気や名声を享受できる立場にあるかのような誤認を取引者及び需要者に与えるおそれが高いことに鑑みれば、本件商標の商標権者が不正の利益を得る目的で引用商標の有する名声・信用・評判・顧客吸引力にフリーライドをしようとしたことは明らかというべきである。
エ 上記のとおり、引用商標は、高い名声・信用・評判・顧客吸引力を有する商標であるところ、これにフリーライドする目的でなされた本件商標の出願及び使用により引用商標の名声・信用・評判・顧客吸引力が毀損されるおそれは高く、かつ引用商標の有する出所表示機能が稀釈化されるおそれも高いというべきである。
オ 結論
以上を総合的に判断すると、本件商標が「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするもの」であることは明らかであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)むすび
以上に述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
申立人は、2003年に設立されたマルタ共和国所在のゲームメーカーであって、申立人の開発したゲームは、200タイトル以上あり、世界各地でリリースされている。
申立人は、複数のプラットフォームでダウンロード又はオンライン双方の形式でゲームを提供しており(甲4)、上記ゲームをダウンロードする際の画面やゲームのトップページ画面、さらに、アプリのアイコンに引用商標2が表示される(甲7〜甲10)。
申立人が提供するゲームは、我が国において、遅くとも2012年頃から公開され、2012年11月から2022年11月までの我が国における申立人の提供するゲームのダウンロード数は5820万であること(甲6)、2022年12月14日時点で、申立人の「キャンディークラッシュ」他7種類のゲームは、Google Playにおいて、約16.5億回ダウンロードされたこと(甲11〜甲18)が認められる。
また、我が国において、2013年12月から少なくとも2016年まで、申立人が提供するゲーム(「キャンディークラッシュ」シリーズ)に関するテレビコマーシャルが放映されたこと(甲19〜甲25)、2015年から2022年までの間にインターネットに申立人が提供するゲーム等に関する記事が6回掲載されたこと(甲26〜甲31)が認められる。
さらに、外国において、2013年以降、申立人が提供するゲームについてキャンペーン、限定版コレクション、ギネス世界記録の達成等がインターネット上に掲載されたこと(甲32〜甲60)、Twitterに2009年4月から自身のアカウントを運営する(甲66)など、SNSを活用した広告等を行ったこと(甲61〜74)、申立人が提供するゲームが多数の賞を受賞したこと(甲77〜93)、申立人は複数のウェブサイトを開設していること(甲94〜113)などがうかがえる。
イ 上記アのとおり、申立人が提供するゲームは、遅くとも2012年頃から我が国を含む世界各地でリリースされたことが認められ、中でも「キャンディークラッシュ」シリーズは、10年以上継続してダウンロードされている状況などがうかがえ、申立人が提供するゲームをダウンロード等する際の画面やゲームのトップページ画面、さらにはアプリのアイコンに必ず引用商標2が表示されることを考慮すれば、引用商標2は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務(コンピュータ用ゲームプログラム、オンラインによるゲームの提供など)を表示するものとして、我が国及び外国におけるオンラインゲーム等の需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
なお、引用商標1は、その周知性を判断するための具体的な使用状況等について確認できないことから、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、上段にライオンの頭部を模した図形(以下「図形部分」という。)、下段その下部に「KINGSGROUP」の欧文字(以下「文字部分」という。)を配してなるところ、図形部分と文字部分とは、いずれも重なることなく上下に配置されているから、視覚上、分離して看取、把握され得るものである。また、本件商標の図形部分と文字部分は、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものであるから、当該文字部分が独立して自他商品又は役務の出所識別標識として機能し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成中の「KINGSGROUP」の文字部分に相応して、「キングスグループ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、本件商標の文字部分のうち「KING」の文字が強く支配的な印象を与える要部に当たり、「SGROUP」の文字は「〜のグループ」の意味合いが看取され、申立人と同じ企業グループに属しているかのような印象を与える記述的な部分にすぎないことから、本件商標は、「KING」の文字部分だけを取り出して引用商標と比較することが適当である旨主張している。
しかしながら、本件商標の文字部分「KINGSGROUP」は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表された構成であって、該文字から生じる「キングスグループ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであるから、かかる構成及び称呼においては、これに接する取引者、需要者をして、その構成中「KING」の文字部分に着目することなく、その構成文字全体が一体不可分のものと把握、認識させるものと判断するのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「KING」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの、及び「SGROUP」の文字部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成中「KING」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討することが許されないものといわなければならない。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
イ 引用商標
引用商標1は、上記2(1)のとおり、「King」の文字を横書きしてなり、引用商標2は、別掲2のとおり、レタリングを施した「King」の文字からなるものである。
そして、引用商標1は、その構成文字「King」に相応し、「キング」の称呼を生じ、「王様」の観念を生じると判断するのが相当である。
また、引用商標2は、レタリングを施した「King」の文字に相応し、「キング」の称呼を生じ、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているから、「申立人の業務に係るゲームのブランド」の観念を生じると判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成よりなるところ、全体の外観においては、その構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
また、本件商標の構成中の「KINGSGROUP」の文字と引用商標1の「King」の文字又は引用商標2のレタリングを施した「King」の文字との比較においても、両者は、「SGROUP」の文字の有無という明らかな差異を有し、この差異が両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、外観上、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「キングスグループ」の称呼と引用商標から生じる「キング」の称呼とを比較すると、「スグループ」の音の有無という差異を有し、この差異が両称呼全体に与える影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、構成音数、語調語感が異なり、明瞭に聴別し得るものであるから、称呼上、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標1は「王様」、引用商標2は「申立人の業務に係るゲームのブランド」の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標は、観念上、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品又は指定役務が類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであり、また、引用商標2は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるものの、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、類似性の程度は低い。
そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品又は役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記(1)のとおり、引用商標1は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないものであり、また、引用商標2は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるものの、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であって、別異の商標であり、本件商標は引用商標を連想又は想起させるものでもない。
加えて、申立人が提出した証拠からは、本件商標の商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
そうすると、本件商標は、引用商標の名声にただ乗りする、引用商標に化体した信用等を毀損するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲1(本件商標)




別掲2(引用商標2)





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異議決定日 2023-09-01 
出願番号 2021033447 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0941)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 鈴木 雅也
特許庁審判官 小松 里美
渡邉 あおい
登録日 2022-07-28 
登録番号 6593381 
権利者 キングスグループ インターナショナル エージー
商標の称呼 キングスグループ、キングス、キングズグループ、キングズ 
代理人 八木 智砂子 
代理人 弁理士法人三枝国際特許事務所 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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