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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1402982 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-08-08 
確定日 2023-09-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6565017号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6565017号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6565017号商標(以下「本件商標」という。)は、「Spicafe」の文字を横書きしてなり、令和4年3月16日に登録出願、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,チョコレートスプレッド,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」並びに第5類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年5月17日に登録査定され、同年6月1日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6339795号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、令和元年12月5日に登録出願、第30類「コーヒー,茶,ココア,代用コーヒー,チョコレート,コーヒー豆,チョコレート製品(チョコレート菓子、チョコレート飲料),チョコレートシロップ,チョコレートスプレッド,アイスクリーム,菓子」を指定商品として、同3年1月13日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標はその指定商品中、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,茶,コーヒー,ココア,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー豆,チョコレートスプレッド」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)具体的理由
本件商標は、大文字のアルファベット「S」の右方に、小文字のアルファベットの文字列「picafe」を配置してなる。本件商標の構成中、「cafe」の部分は、「もともとはコーヒー豆やそれをひいていれたコーヒー(珈琲)の意味。転じて、客にコーヒーを飲ませるための店・施設(甲3)」を表す語として、第30類「コーヒー」の需要者・取引者に限らず一般に広く認識され、広く親しまれている。
ちなみに、本件商標と同様に、文字列の語尾に「cafe」や「CAFE」を有する態様で、第30類「コーヒー,菓子」等を指定商品として登録されている登録商標は、計829件に上り(甲4、2022/07/28現在)、コーヒーや菓子等の商品の生産地や販売地やその主体を暗示する接尾語として「cafe」の文字列が我が国において好んで使用されており、その結果、商品に付された「cafe」の意味及び使用法が我が国国民に広く知られていることが証される。
そして、本件商標が、取引市場において指定商品に使用された場合に、本件商標に接した需要者は、本件商標中「cafe」の部分が商品の販売地等を表示することを直ちに認識し、次にその他の部分「Spi」や「S」や「pi」に、「cafe」と関連する何らかの意味を読み取ろうとするのが当然の振る舞いである。
「Spi」と「S」には特段の意味は想起されないが、「pi」は、スペルは異なるが、「カフェ」で供される「アップルパイ」、「ピーチパイ」、「パンプキンパイ」及び「カスタードパイ」等の菓子や「ミートパイ」、「キドニーパイ」及び「パイ包み焼き」のような菓子以外の料理「パイ」に通ずる。
したがって、本件商標に接した需要者は、本件商標から「パイを取り扱うカフェ」のような観念を生じ、「エスパイカフェ」の称呼を生ずる。
これに対し引用商標は、赤地の長方形の中にアルファベットの大文字「SI」と「CAFE」を二段併記してなり、「エスアイカフェ」の称呼が生じる。
よって、比較するに、本件商標から生じる称呼「エスパイカフェ」と引用商標から生じる称呼「エスアイカフェ」とは、第3音において「パ」と「ア」との相違を有するとしても、いずれも商標としてはかなり冗長な6音からなり、他の5音を共通にしており、相異する音「パ」と「ア」とは母音[a]を共通にした近似する音であり、相異する音が称呼の弁別上あまり重要でない第3音という中間に位置することをも考え併せると、両称呼「エスパイカフェ」と「エスアイカフェ」とを一連に読み下した場合には、それらの語韻語調が非常に似通っており、彼此聞き誤るおそれがある。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上相紛らわしい相互に類似する関係にある。
そして、本件商標と引用商標の指定商品の一部は、同一又は類似するものである。
過去の審決例(昭和54年審判第11572:甲5)は、本件と同様に「パ」と「ア」との一音相違の両称呼「パナプラミン」と「アナプラミン」を、相違音が語頭に位置するにも拘わらず、相紛れるおそれがあると認定している。
この審決例は本件とは事情において大差はないから、審理の衡平性及び予測可能性の観点よりするも、本件商標は引用商標と相類似するものとして登録を取り消す旨の決定がなされて然るべきである。
(2)むすび
本件商標と引用商標とは称呼上相紛らわしい類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、申立商品について、その登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「Spicafe」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成態様は、各文字を同じ大きさ、同じ書体、等しい間隔でまとまりよく表してなるものであるから、たとえ、その構成中の「cafe」の文字が「もともとはコーヒー豆やそれをひいていれたコーヒー(珈琲)の意味。転じて、客にコーヒーを飲ませるための店・施設」(ウィキペディア「カフェ」の項:甲3)の意味を有するとしても、かかる構成からすれば、該文字部分が指定商品の品質等を表示したものとして認識されるというよりはむしろ、「Spicafe」の文字全体で一体のものとして認識、把握されるものである。
そして、該「Spicafe」の欧文字は辞書に掲載のない単語であるところ、欧文字からなる商標において、それが特定の意味合いを有する親しまれた語と認識されるものでない場合、該文字はローマ字読み又は我が国で普及している外国語である英語に倣い発音されるほか、これを構成する欧文字の1文字1文字を区切って発音される場合も少なくない。
そうすると、例えば、「Spi」で始まる英単語である「spice」は「スパイス」、「spider」は「スパイダー」、「spike」は「スパイク」、「spin」は「スピン」及び「spindle」は「スピンドル」と発音されることからすれば、本願商標はその構成文字に相応して「スパイカフェ」又は「スピカフェ」の称呼を生ずるほか、本件商標の構成中前半の「Spi」の各欧文字の読みに照らし、「エスピーアイカフェ」の称呼を生じるものであり、該文字は前記したとおり、辞書に掲載されていない造語と認められるから、特定の観念は生じないものである。
なお、申立人は、本件商標の構成中、「pi」の文字は、カフェで提供される「アップルパイ」、「ピーチパイ」、「パンプキンパイ」、「カスタードパイ」等の菓子や「ミートパイ」、「キドニーパイ」、「パイ包み焼き」のような菓子以外の料理に通じるから本件商標に接する需要者は、本件商標から「パイを取り扱うカフェ」のような観念を生じ、「エスパイカフェ」の称呼を生ずると主張する。
しかしながら、本件商標は、「pi」の文字部分から生ずる称呼及び観念だけに着目するのではなく、構成文字全体からどのように称呼されるか検討するのが適当であるといえ、前記のとおり、「スパイカフェ」、「スピカフェ」又は「エスピーアイカフェ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものとするのが相当であるから、申立人の主張は採用することはできない。
イ 引用商標
引用商標は、別掲のとおり、赤地の長方形(以下「背景図形」という。)内に上段に「SI」の文字を表し、その右に「SI」の文字に比して相当に小さく「(R)」(決定注:(R)は○の中に「R」の文字。以下同じ。)の文字を表し、下段に「CAFE」の文字をいずれも白抜きで表してなるものである。
そして、「SI」及び「CAFE」の文字部分は、背景図形内にバランスよく同じ書体で表してなり、外観上まとまりよく一体的に表されているもの認識、把握されるものである。
そうすると、本願商標は「SICAFE」の文字に相応して、「シカフェ」又は「エスアイカフェ」の称呼を生じ、該文字は辞書に掲載されていない造語と認められるから、特定の観念は生じないものである。
なお、引用商標の構成中の「(R)」は、他の文字に比して相当に小さく表されていることから、外観上、強い印象を与えるものでないことに加え、一般に登録商標であることを表すマークとして使用されるものであるから、商品の出所を識別のための機能を有しないものであり、特定の称呼及び観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなり、外観において、一段書きと二段書き、背景図形の有無において相違するものであり、本件商標と引用商標の構成中の「SICAFE」の文字とを比較しても、本件商標は2文字目に「p」の文字を有するほか、2文字目以降の小文字と大文字の相違があることから、明確に区別できるものである。
次に、称呼において、本件商標から生じる「スパイカフェ」の称呼と引用商標から生ずる「シカフェ」又は「エスアイカフェ」の称呼とは、いずれも後半の「カフェ」の音を共通にするとしても、称呼の識別上重要である語頭又は語頭の音を含む「スパイ」と「シ」又は「エスアイ」の音の差異を有し、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれはなく、明瞭に聴別できるものである。
また、本件商標から生じる「スピカフェ」又は「エスピーアイカフェ」の称呼と引用商標から生ずる「シカフェ」又は「エスアイカフェ」の称呼との比較においても、前記と同様に、称呼の識別上重要である語頭又は語頭の音を含む「スピ」又は「エスピー」と「シ」又は「エスアイ」の音の差異を有し、両者をそれぞれ一連に称呼しても語調語感が異なり、相紛れるおそれはなく、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念において、本件商標と引用商標は、ともに、特定の観念を生じないものであるから、比較することはできない。
そうすると、本願商標と引用商標は、観念において比較できないとしても、外観において明確に区別できるものであり、称呼において明瞭に聴別できるものであるから、これらを総合的に勘案すると、両商標は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
その他、両商標が類似するという特段の事情はみいだせない。
したがって、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中、申立商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標の指定商品中、申立商品についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標(色彩は、原本を参照。)


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異議決定日 2023-09-21 
出願番号 2022030194 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 小俣 克巳
石塚 利恵
登録日 2022-06-01 
登録番号 6565017 
権利者 株式会社NatuRise
商標の称呼 スピカフェ、スピ、エスピイアイ 
代理人 西浦 ▲嗣▼晴 
代理人 白浜 秀二 
代理人 出山 匡 
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