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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W30 |
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管理番号 | 1402939 |
総通号数 | 22 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-03-09 |
確定日 | 2023-10-01 |
事件の表示 | 商願2022− 70923拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和4年6月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和4年 9月13日付け:拒絶理由通知書 令和4年10月26日 :手続補正書及び意見書の提出 令和4年12月14日付け:拒絶査定 令和5年 3月 9日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、別掲1の構成よりなり、第32類「甘酒」を指定商品として登録出願されたものである。 本願の指定商品は、上記1の手続補正書により、第30類「千葉県市原市皆吉産の米糀を原料とした甘酒」に補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第1822115商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:別掲2のとおり 指定商品:第30類「菓子及びパン」 登録出願日:昭和58年12月17日 設定登録日:昭和60年11月29日 書換登録日:平成18年 3月29日 (2)登録第3340956商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:別掲3のとおり 指定商品:第30類「菓子及びパン」 登録出願日:平成 6年11月28日 設定登録日:平成 9年 8月22日 4 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、十字状に配された二本の線で区切られた上下左右の空間のうち、左上に「み」、右上に「な」、左下に「よ」、及び、右下に「し」の若干図案化された文字を表してなる部分(以下「上段の部分」という。)を上段に大きく表し、その下に「米糀みなよし甘酒」の文字を普通に用いられる方法で小さく表してなるところ、上段の部分と下段の文字部分とは、それぞれが視覚上分離、独立した印象を与えるものであることからすると、両部分はそれぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るものというのが相当であって、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者において、その構成中に大きく表された上段の部分(以下「本願要部」という。)をもって取引の用に供されることも少なくないというべきである。 そして、本願要部よりは、本願商標の構成中、下段の文字部分中に「みなよし」の文字が含まれていること、及び、我が国においては、文章を横書きする際に、左上から右上を経て、左下、右下の順に表すことが表現方法の一つとして一般的であることからすれば、本願要部は、その取引者、需要者に、「みなよし」の文字を図案化したものであると容易に認識されるといえ、これより「ミナヨシ」の称呼が生じるものである。 また、「みなよし」の文字は、本願の指定商品である「千葉県市原市皆吉産の米糀を原料とした甘酒」との関係において、その取引者、需要者に、商品の原材料の産地である「千葉県市原市皆吉地域」の意味合いを想起させる場合もないとはいえないものの、同地域の人口や規模等を考慮すれば、同地域及びその近隣地域以外の全国の者を含む、本願の指定商品の取引者、需要者は、必ずしもこの文字より同地域を認識するとはいえず、むしろ、辞書類に掲載がない「みなよし」の文字は、これより特定の意味を認識することができない造語といえ、それよりは特定の観念は生じないものである。 そうすると、本願商標よりは、本願要部に相応して、「ミナヨシ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (2)引用商標について ア 引用商標1について 引用商標1は、別掲2のとおり、二本の線を用いて二重に表されたひし形図形の内部に、「皆好」の文字を比較的大きく表し、この文字の右側にやや小さく「美濃焼」の文字を、下側に小さく「みなよし」の文字を、それぞれ普通に用いられる書体によって縦書きで表したものであるところ、その構成中のひし形図形は、単なる輪郭として看取される極めて簡単かつありふれたものであることから、自他商品の識別力を有さないか、又はそれが極めて弱いものであるといえる。 また、引用商標1の文字部分は、「美濃の南東部(現、岐阜県多治見市・土岐市・可児市など)一帯で室町末期頃から作られる陶磁器の総称」(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)を意味する「美濃焼」の文字及び「皆好」の文字、並びに、構成態様から「皆好」の文字の振り仮名を表したものと認識させる「みなよし」の文字からなるところ、このうち「皆好」の文字は構成中の中央部分に比較的大きく表されていることから、この文字部分が、看者に対して強く支配的な印象を与えるものであり、自他商品の識別標識としての機能を強く発揮する部分といえるから、これを要部として抽出し、他人の商標と比較することも許されるというべきである。 そして、「皆好」の文字は、成語として辞書類に掲載がなく、また特定の意味合いを有するものとして認識されているといった事情も見いだせないものの、これを構成する「皆」、及び、「好」の漢字は、我が国において広く一般に知られたものであって、その組み合わせから「皆がよい」ほどの意味合いを想起させる場合も少なくないものといえる。 そうすると、引用商標1よりは、「皆好」の文字部分(以下「引用1要部」という。)に相応して、「ミナヨシ」の称呼が生じ、「皆がよい」ほどの観念が生じるものである。 イ 引用商標2について 引用商標2は、別掲3のとおり、「皆好」の文字を中心に大きく、その右側に「みなよし」の文字を小さく、ともに普通に用いられる書体を用いて縦書きに表したものであり、このうち、「みなよし」の文字は、その配置、大きさから「皆好」の文字の振り仮名として表されたものと容易に看取されるものである。 そうすると、引用商標2よりは、その構成文字に相応して「ミナヨシ」の称呼を生じ、また、上記アと同様に、その構成中「皆好」の漢字より、「皆がよい」ほどの観念が生じるものである。 (3)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、全体として大きく相違するものであって、また、本願要部と引用1要部又は引用商標2とを比較しても、これらは文字種ないし漢字の有無、文字の配置方法、図形の有無ないし形状を異にすることから、明確に区別できるものである。 そして、称呼においては、「ミナヨシ」を共通にし、観念においては、本願商標よりは特定の観念が生じない一方、引用商標よりは「皆がよい」ほどの観念が生じることから、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼が共通するとしても、観念において相紛れるおそれのないものであり、外観においても明確に区別できるものであるところ、本願商標及び引用商標の指定商品において、取引者、需要者が、専ら商品の称呼のみによって商品を識別し、商品の出所を判別するような実情があるものとは認められず、また、称呼による識別性が、外観及び観念による識別性を上回るとはいえないことから、両商標が与える印象、記憶等を総合してみれば、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのない、非類似の商標というのが相当である。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標 ![]() 別掲2 引用商標1 ![]() 別掲3 引用商標2 ![]() (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
審決日 | 2023-09-13 |
出願番号 | 2022070923 |
審決分類 |
T
1
8・
261-
WY
(W30)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
白鳥 幹周 板谷 玲子 |
商標の称呼 | コメコージミナヨシアマザケ、コメコージミナヨシ、ミナヨシアマザケ、ミナヨシコメコージ、ミナヨシマイ、ミナヨシ |