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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W1011
管理番号 1402929 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2022-04-05 
確定日 2023-09-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第6047824号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6047824号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6047824号商標(以下「本件商標」という。)は、「バブスパ」の文字を標準文字で表してなり、平成29年8月3日に登録出願、第10類「医療用気泡発生装置,医療用微細気泡発生装置,治療浴用気泡発生装置,治療浴用超音波気泡発生装置,微細気泡発生装置付き美容マッサージ器具」及び第11類「気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付きシャワー器具,微細気泡発生機能付シャワーヘッド,浴槽に取付ける気泡発生装置付循環温浴器,排水処理用微細気泡発生装置,工業用水浄水装置,上水用浄水装置,家庭用浄水器,業務用浄水装置,汚水処理装置,美容院用及び理髪店用微細気泡発生装置付きシャワー器具,微細気泡発生装置付き汚水浄化槽,し尿処理槽,微細気泡発生装置付き浴室ユニット」を指定商品として、同30年5月15日に登録査定、同年6月1日に設定登録がされたものである。

第2 請求人が引用する商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由において引用する商標は、次のとおりである。
1 登録第1807901号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「バブ」の片仮名を横書きしてなるもの
指定商品:第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」
登録出願日:昭和57年8月30日
設定登録日:昭和60年9月27日
書換登録日:平成18年11月22日
最新更新登録日:平成27年6月16日
2 登録第4172757号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「バブ」の片仮名を横書きしてなるもの
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
登録出願日:平成9年2月28日
設定登録日:平成10年7月31日
最新更新登録日:平成30年4月10日
3 登録第4203541号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「BUB」(標準文字)
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,薫料,化粧品,歯磨き」
登録出願日:平成9年6月16日
設定登録日:平成10年10月23日
最新更新登録日:平成30年7月10日
4 請求人が、その業務に係る入浴剤「バブ(BUB)シリーズ」として全国的な周知著名性を獲得していると主張する主として片仮名「バブ」からなる商標
以下、上記1ないし4を総称して「引用商標」ということがある。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書(以下「請求書」という。)及び令和4年6月24日付け審判事件答弁書(以下「第1答弁書」という。)に対する同年11月11日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号の全てを引用する場合には、枝番号を省略する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。
2 無効理由の要点
本件商標は、請求人の業務に係る入浴剤として全国的な周知著名性を獲得している「バブ(BUB)」ブランド商品を表す引用商標と同一又は類似する「バブ」の文字を含む商標であり、その指定商品は、引用商標が周知著名性を獲得した入浴剤との関連性が高いものであって、需要者の範囲も一致すること等から、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、請求人の「バブ(BUB)」ブランド商品を想起・連想し、あたかも請求人が取り扱う業務に係る商品であるかのごとく認識して取引に当たると考えられるため、その出所について混同を生ずるおそれが高いものである。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知著名性
ア 請求人の「バブ(BUB)」及び「バブ(BUB)」ブランド商品について
「バブ(BUB)」は、1983年(昭和58年)に「炭酸ガスが血行を促進する!」というキャッチフレーズのもとに発売を開始した、請求人の薬用入浴剤及びインバスヘルスケア製品の商標ないしブランド名である。請求人の薬用入浴剤は、キャッチフレーズにあるとおり、湯舟に投入すると血行を促して疲れや肩こりに効く炭酸ガスが発生する商品であるが、錠剤のように一つずつ個別包装された固形になっており、湯船への投入時に分量を量ることなく開封してそのまま投入することができるという利便性のほか、分封されていることによる品質の劣化防止や保存のしやすさ、携帯のしやすさという特徴を有する。また、「ゆず」「森」「ひのき」「ラベンダー」を始めとする香りの種類の豊富さなどを消費者にアピールした結果発泡タイプと呼ばれる入浴剤がメジャーになり、後発の競合他社製品が多数販売されるようになった入浴剤市場において他社の追随を許さない多数のシリーズラインナップを擁し市場全体を牽引する人気ロングライフ商品となっている(甲6)。
イ 「バブ(BUB)」及び「バブ(BUB)」ブランド商品の販売状況等
請求人の「バブ(BUB)」ブランド商品は、主としてGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)やドラッグストア、家電量販店などのほか、インターネット通信販売サイトなど、全国で取り扱われている。「バブ(BUB)」は、配合する成分によって入浴後の効果が異なる多くのシリーズラインナップ製品がある。また、「バブ(BUB)」は、香りの種類が豊富な薬用入浴剤であることを特徴の一つとしており、各シリーズ製品の中でも多数の香りの種類に細分化されている。
請求人は、「バブゆずの香り」、「バブ森の香り」、「バブひのきの香り」、「バブラベンダーの香り」などを定番製品として永年にわたって製造販売している一方で、定期的に、多数のシリーズ製品を新規に開発し、市場に送り出している(甲6、甲7)。
ウ 「バブ(BUB)」ブランド商品の宣伝広告実績
請求人は、発売開始当初より、テレビCMを中心に、雑誌(甲8の1)、新聞(甲8の2)、交通広告等の各メディアを通じて、「バブ(BUB)」ブランド商品の宣伝広告を積極的に実施している。2008年(平成20年)4月より2013年(平成25年)9月までの宣伝広告実績は、株式会社博報堂一社のみでも、総額で約9億3,725万円である(甲9)。2014年(平成26年)以降の請求人の宣伝広告実績は、甲第10号証のとおりで、テレビCM、ラジオCM、新聞雑誌広告、インターネット広告、交通広告を通じて行っており、CMは人気テレビ番組で繰り返し放送され、宣伝広告において多くの人気俳優などを起用している。
エ 「バブ(BUB)」ブランド商品の一般消費者の認知度
請求人は、東京都を中心とする首都圏30kmにおいて、同地域に居住する12歳から69歳の個人女性(小学生を除く。)を対象に、入浴剤等に関するベンチマーク調査を実施しており、当該調査において、「バブ(BUB)」の助成知名率は、常に90%以上を獲得している(甲11)。
かかる事実を裏付けるように、「バブ」は、入浴剤の売れ筋商品や人気商品として度々紙面上に取り上げられ、製品としての評価の高さや、入浴剤市場において、請求人の入浴剤は売上高の市場占有率が第1位であり、特にブランド別シェアで「バブ」が1位であることなども報じられている(甲12、甲13)。
オ 小括
以上をみれば明らかなとおり、人気「バブ(BUB)」ブランド商品は、1983年の販売以来、40年近くの永きにわたって製造販売されている人気ロングセラー商品であり、「バブ(BUB)」は取引者・需要者の間で請求人の製造販売に係る入浴剤を示すものとして、全国的な極めて高い周知著名性を獲得している商標である。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標を構成する「バブ」は、一般には特定の観念を生じない造語であるが、既述のとおり、引用商標は、請求人の業務に係る入浴剤を表すものとして全国の取引者・需要者の間に広く知られた周知著名性を獲得している商標であり、かかる周知著名な請求人の入浴剤としての観念を生じるものである。これに対し、本件商標を構成する「スパ」の文字は、「鉱泉。温泉。また、それを利用した保養施設」(甲14)という意味合いを有する語であり、入浴施設の代名詞として使用されることも少なくない一般的な語である。このため、本件商標は、「バブ」と「スパ」の語からなる結合商標として認識されるものであるが、造語である「バブ」と一般的な成語である「スパ」の間に出所識別標識としての機能(識別力)に軽重の差があり、この差は、引用商標が獲得した周知著名性によって更に大きなものとなる。のみならず、本件商標の指定商品は、「気泡発生装置付き浴槽、微細気泡発生装置付き浴槽、微細気泡発生装置付きシャワー器具、微細気泡発生機能付シャワーヘッド、浴槽に取付ける気泡発生装置付循環温浴器、微細気泡発生装置付き浴室ユニット」など、入浴用の商品や入浴時に使用する商品を多く含むことから、入浴に供される鉱泉や温泉などの意味合いを有する「スパ(spa)」との関連性は強く、「スパ」の部分の自他商品識別力はより一層欠けるものとなるため、本件商標は「バブ」を要部とする商標であると強く認識されるものである。
しかして、特許庁の商標審査基準は、商標法第4条第1項第15号該当性の判断において、「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする」と定めている(甲5の2)。
したがって、本件商標は、「バブ」の文字部分を要部とする商標として、「バブ」又は「BUB」の文字からなる引用商標とは、要部から生じる外観、称呼及び観念が同一又は類似する類似商標に該当する。
よって、本件商標と引用商標の類似性の程度は、相当程度高いものである。
(3)引用商標の独創性の程度
「バブ(BUB)」は、「バブ(BUB)」シリーズの入浴剤が最初に販売開始された昭和58年(1983年)当時はもちろんのこと、現在でも、商品(役務)の品質(質)を表示する語として一般に使用されているものではなく、造語の一種として理解されるものである。
したがって、引用商標は、独創性を有するものである。
(4)本件商標の指定商品と他人の業務に係る商品等との関連性の程度
請求人の「バブ(BUB)」が周知著名性を獲得した商品は、一般に「薬用入浴剤」と呼ばれており、請求人も、自己のウェブサイトで「バブは、炭酸ガスが温浴効果を高めて血行を促進、疲労・肩こり・腰痛・冷え症に効く薬用入浴剤シリーズです。」(甲6の1)と、「バブ(BUB)」を薬用入浴剤のシリーズ商品と説明している。後掲する特許庁の審決(甲16)も、引用商標が周知著名性を獲得した商品を「薬用入浴剤」であると認定している。
本件商標は、「医療用気泡発生装置、医療用微細気泡発生装置、治療浴用気泡発生装置、治療浴用超音波気泡発生装置」や、「気泡発生装置付き浴槽、微細気泡発生装置付き浴槽、微細気泡発生装置付きシャワー器具、微細気泡発生機能付シャワーヘッド、浴槽に取付ける気泡発生装置付循環温浴器、微細気泡発生装置付き浴室ユニット」など、主として入浴時に気泡を発生させる装置や機械器具及びこれらの類似商品を指定商品としているが、既述のとおり、請求人の入浴剤「バブ(BUB)」は、湯舟に投入すると血行を促して疲れや肩こりに効く炭酸ガスが発生する商品として広く一般に知られており、上記指定商品も、気泡を発生させることにより入浴時の身体の血行促進効果を促す商品であることは容易に想起できるものであるから、引用商標が周知著名性を獲得している薬用入浴剤とは、用途、効能、効果等において極めて高い関連性を有する。入浴時に気泡を発生させる装置や機械器具が入浴剤と高い関連性を有する点は、特許庁の審決及び決定(甲16の2、4、5)などが認定しているところである。
したがって、本件商標に係る指定商品は、引用商標が周知著名性を獲得した薬用入浴剤と関連性が強いものであるから、本件商標と引用商標の取引者・需要者の共通性も極めて高いものである。
(5)取引者及び需要者において普通に払われる注意力
引用商標が周知著名性を獲得した入浴剤は、ドラッグストアやスーパーマーケットで一般に販売されている商品であるところ、ドラッグストア等における主な需要者は、必ずしも商標について詳細な知識を持たない一般消費者である。こうした一般消費者は、商品の購入や役務の提供を受けるに際して、メーカー名などについて常に注意深く確認するとは限らないことからすれば、商品購入時に払う注意力は高いものではなく(甲15)、商標構成中の覚えやすく親しみやすい印象及び過去に購買した際の記憶に基づいてその商品又は役務を選択ないし購買する。
しかして、一般消費者の間において、健康や疲労回復等に対する関心がおしなべて高いことは顕著な事実であり、引用商標が、血行促進効果を有する炭酸ガスが発生する薬用入浴剤として、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されている事情も併せ考慮すると、本件商標に接する需要者は、その構成中、引用商標と同一のつづりである「バブ」の文字部分に着目し、請求人の「バブ(BUB)」と同じく入浴時に気泡を発生させる商品として印象付けられ、引用商標を想起、連想するというべきである。
(6)裁判例及び審決例
他人の周知著名な商標を一部に含む商標について、当該他人の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがあるとして、登録拒絶又は登録無効若しくは取消しの判断をした判決や特許庁の審決は多数存在する(甲16)。そうした先例の中でも、引用商標1を含む請求人の「バブ(BUB)」の周知著名性を認定し、一般には非類似の商品である使用時に気泡を発生させる機械器具との関係において、請求人の業務に係る商品(「薬用入浴剤」又は「入浴剤」)と混同を生じるおそれがあると判断している審決(決定)がある。中でも甲第16号証の2、甲第16号証の4、甲第16号証の5の審決において示された判断は、入浴時に気泡を発生させる装置や機械器具等を指定商品とする本件商標と引用商標の出所混同可能性の判断に、そのまま当てはまる。
周知著名性を獲得した商標と同一又は類似する文字を含む商標について、当該周知著名性を獲得した商標に係る業務と混同を生じるおそれがあると判断した裁判例(甲16の7〜12)にみられる判断に照らせば、「(薬用)入浴剤」と関連性の高い商品を指定商品とし、周知著名性を獲得した引用商標と同一の「バブ」の文字を含む本件商標は、引用商標に係る「バブ(BUB)」シリーズ商品と出所混同を生じるおそれが高いものであることは明らかである。
(7)考慮すべき特殊な事情
被請求人は、静岡県湖西市在住の個人であり、インターネット情報によると、次亜塩素酸水のほか、気泡発生式のシャワー器具類を製造販売している者と思われる(甲17の1)ところ、自己のウェブサイトで「バブスパ」を店舗名として使用している(甲17の2)ほか、「バブスパ」及び「BubSpa」の文字からなるロゴを自己の商標として業として使用している(甲17の1)。
しかるに、被請求人のロゴは、「バブ」と「スパ」を円的図形で分断していることから、「バブ」の片仮名が分離独立して認識されやすい態様であるだけでなく、上記円的図形も、上下に併記した「Bub」と「Spa」の各欧文字を表したものであることから、「Bub」と「Spa」が分離して観察される外観的要素があり、さらには、主体的に表した「BubSpa」の欧文字部分は、「S」が英大文字で表されていることから、「Bub」と「Spa」の2語からなるものと容易に理解されるものである。
すなわち、本件商標は片仮名の「バブスパ」を標準文字で書したものであるとしても、被請求人は、本件商標を現実に使用するに際して、「バブ(Bub)」を強調した使用をしているという具体的な取引の実情がある。
また、被請求人は、シャワー器具類を製造販売している者である以上、入浴剤として全国的な周知著名性を獲得している請求人の「バブ(BUB)」を知らないはずはないが、被請求人は、自己の「次亜塩素酸水」の商品説明において、説明文「「次亜塩素酸ナトリウム」は、強アルカリ性を示し、家庭用に販売されている液体の塩素系漂白剤、殺菌剤(洗濯用、キッチン用、哺乳瓶の殺菌用など)に使われていますが、花王などのメーカーによると、つけ置きやドアノブなどの拭き取り以外の「スプレー噴霧や加湿器での空間除菌、手指への殺菌利用」は危険とされています。(参照:「花王の塩素系漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?」)」とともに、請求人のウェブサイトにリンクを貼っている(甲17の3)。
「バブ(Bub)」が分離した態様で使用した本件商標のロゴや、上記の商品説明に接した取引者、需要者の通常の注意力からすると、被請求人及び本件商標を使用した商品は、請求人と緊密な営業上の関係がある者、又は請求人から特別な許諾を得た関係にある者の業務に係る商品等であると誤信させるおそれがより一層高まっているといわざるをえない。
商標法第4条第1項第15号の該当性を判断する上では、具体的な取引の実情を考慮すべきであり、この点は、特許庁の審決(甲18)も明確に述べている。
(8)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 弁駁の理由(要旨)
請求人は、被請求人の第1答弁書に対し、以下のとおり弁駁する。
(1)引用商標について
被請求人は、引用商標の著名性及びその著名性を獲得した商品について争っている(又は保留している)が、請求人が提出した「バブ」シリーズのラインナップ(甲6の1)や数々の新聞・雑誌の掲載記事(甲7の1〜甲8の2等)をみれば明らかなとおり、引用商標の著名性は、主として片仮名からなる「バブ」を商標として獲得したものである。すなわち、引用商標の著名性は、片仮名からなる「バブ」を主とする「バブ」という音自体の商標として獲得されたものであることを疑う余地はなく、引用商標1ないし3は、数ある請求人の「バブ」商標のうち、引用商標1を含む代表的なものを示したものにすぎないから、引用商標の態様や、引用商標1ないし3の優劣ないし順位付けに全く意味はない。
請求人は、一般消費者への浸透度と分かりやすさを考慮し、自己のウェブサイトでは、「バブは、炭酸ガスが温浴効果を高めて血行を促進、疲労・肩こり・腰痛・冷え症に効く薬用入浴剤シリーズです。」(甲6の1)と説明しているが、そもそも、商標がどのような商品について著名性を獲得したかを判断するに当たっては、実態として、その商標が具体的にどのような商品に使用され、どのような需要者が購入して、結果的にどの程度広く知られているのかという点が重要であり、指定商品の分類(区分)は重要な問題ではない。需要者においても、特許庁が指定商品の表記の運用を変更したからといって、異なる種類の商品として「バブ」の認識を改めるなどということはありえない。
請求人の「バブ」が、著名性を獲得した商品は、現行の商標法上、第5類であるか第3類であるかにかかわらず、「(薬用)入浴剤」であることは明らかである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
被請求人は、請求人が本審判において商標法第4条第1項第11号を無効理由としていないことを根拠に、「本件商標と引用商標1(標章)とは非類似であ・・・ることは請求人と被請求人間で争いがない。」と述べるが、請求人が商標法第4条第1項第11号を無効理由としていないのは、本件商標の第10類及び第11類の指定商品と引用商標の指定商品が、形式上、互いに非類似であるからにほかならない。
また、被請求人は、本件商標を構成する「バブ」は「泡」等を意味する「バブル」の2文字であり、「スパ」は「噴出」などを意味する「スパート(spurt)」の2文字を表したものであるから、全体として「バブル(気泡)の噴出」の意味合いを暗示すると述べるが、「バブ」の片仮名は、請求人の著名商標「バブ」そのものであり、また、「スパ」の片仮名は、「鉱泉。温泉。また、それを利用した保養施設」(甲14)という意味で知られ、入浴施設の代名詞としても使用される「スパ(spa)」に該当するものであって、いずれも浴室で使用する商品との関係を直ちに想起させる語であるから、本件商標の「バブスパ」に接した者は、わざわざ「バブル」や「スパート」の略語を想起するというような回りくどい捉え方はせず、端的に請求人の著名な「バブ」と入浴施設としての「スパ(spa)」の結合商標であると認識すると考えるのが自然である。
(3)その他
被請求人は「「花王株式会社」が「入浴剤」等以外の分野において、多角的に業務を行っている事情も認められない。」と述べるが、請求人は我が国最大手の日用品メーカーとして、洗剤、トイレタリー関連商品のほか、化粧品、衣料用洗濯用洗剤等を製造販売し、世界中で事業展開している会社であることは顕著な事実である。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、また、答弁書における被請求人の主張はいずれも理由のないものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求めると答弁し、第1答弁書及び弁駁書に対する令和5年4月28日付け審判事件答弁書(その2)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 引用商標について
(1)請求人が、引用商標を引用商標1ないし3とすることに対する反論
請求人は、登録商標を引用商標としている。引用商標は、商品に付して使用する商標でなければならないのであり、引用商標は必ずしも登録商標とは限らないので、妥当性を欠く。実際に使用して著名となった商標は、登録商標と同一商標としても使用態様が全く同じというわけではなく、また、著名に至った商標を付した商品も明示してしかるべきである。
(2)請求人が引用商標を「バブ(BUB)」とすることに対する反論
請求人が引用商標を「バブ(BUB)」としていることについては、引用商標1ないし3の中、どの引用商標を主位的主張されるのか、どの商標を予備的主張されるのか、あるいはその他の主張をされるのか不明であり、ここでは、仮に、引用商標を引用商標1の「バブ」の文字を書してなる標章とし、使用商品は「入浴剤」として答弁をすることとする。
引用商標3については、商標審査基準(商標法第4条第1項第15号)の「5.他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。」が適用されないので、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものであることは立証する必要がある。
(3)引用商標1ないし3が使用されている商品が不明確であることに対する反論
引用商標1が使用されている商品は、薬剤の中の薬用入浴剤であると推測されるものの、明確ではない。
引用商標2が使用されている商品は、化粧品の中の入浴剤であると推測されるものの、明確ではない。
引用商標3が使用さている商品は、化粧品の中の入浴剤であると推測されるものの、明確ではない。
本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品との関連性を論述するには、引用商標1ないし3が使用されている商品を明確にする必要がある。
「薬用入浴剤」とあるが、現在では、第3類に属する指定商品「薬用入浴剤」、第5類に属する指定商品「薬用入浴剤」を指定して出願することはできない。
「薬用入浴剤」の代わりに、第5類に属する商品「医療用入浴剤」あるいは第3類に属する商品「入浴剤(医療用のものを除く。)」を指定して出願することは可能である。
審決等で、引用商標1が使用されている商品を薬剤中の「薬用入浴剤」は、事実認定を誤ったおそれがあるように思われる。
いずれにしろ、引用商標は、著名標章と使用している商品を明確化する必要があるものと思料する。
2 引用商標1の著名性について
「バブ」の文字からなる商標は、「花王株式会社」が商品「薬用入浴剤(商品内容は不明確である。)」について使用して、「薬用入浴剤(商品内容は不明確である。)」を取り扱う分野において、本件商標の登録出願前から、現在に至るまで、我が国の需要者に広く認識されているものとなっていると請求人が主張するものであるが、3つある引用商標のうち、どれを主位的主張とするのか、どれを予備的主張とされるのか、あるいは、主張をとり下げられるのか整理して明確化してほしい。
3 本件商標と引用商標の類似性の程度について
(1)商標の類似性について
本件商標は、「バブスパ」の文字からなるところ、その構成文字は、同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表され、いずれかの文字部分だけが独立して看者の注意を引くようなものではない。また、該文字から生じる「バブスパ」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
本件商標は、構成文字全体として特定の意味を有しない造語というべきものである。
一方、引用商標1は、「バブ」の文字からなるところ、「バブ」のみの称呼が生じ、特定の意味合いを生じない造語というべきものである。
両商標の外観は、「スパ」の文字の有無のみが相違し外観非類似である。両商標の観念は、共に特定の意味合いを生じないので、相通じることのない観念非類似である。
本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがないから、互いに非類似の商標というべきである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標が、商標法第4条第1項第11号に該当しないことは、請求人も認めるところである(請求人は、商標法第4条第1項第11号について争っていない。)。すなわち、本件商標と引用商標1とは非類似であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標1の使用商品(医療用入浴剤)とは非類似であることは請求人と被請求人間で争いがない。
(3)本件商標の「バブ」と「スパ」の分離観察の可能性について
被請求人は、「泡」を意味する「バブル」の2文字「バブ」をとり、さらに、「噴出」の意味合いを有する「スパート(spurt)」の2文字「スパ」をとり、本件商標「バブスパ」を出願して商標登録されたものである。そして、「バブ」は、「バブル」の2文字を表し、「スパ」は、「スパート」の2文字を表し、全体として「バブル(気泡)の噴出」の意味合いを暗示するものである。
ここに、「バブル」には、「1 泡。あぶく。また、泡のように消えやすく不確実なもの。2 「バブル経済」の略。「バブル時代」「バブル崩壊」3 外部と遮断された状態のたとえ。「フィルターバブル」「バブル方式」」(デジタル大辞泉)の意味合いがある(乙1)。
「spurt」には、「[動]1自 〈液体などが〉(・・・から)噴出する,ほとばしる ;他 〈液体などを〉(・・・から)ほとばしらす,噴出させる 2自 スパートする,(急に)大奮闘[力走,力泳]する [名]1(液体などの)ほとばしり,噴出 2(レース途中での)急加速,スパート 3(価格の)急騰(期間);(商売などの)急成長」(プログレッシブ英和中辞典)の意味合いがある(乙2)。
さらに、引用商標1の称呼「バブ」は、第1音の「バ」の音にアクセントを置いて呼称されるのに対して、本件商標「バブスパ」は、英語の2語の一部を結合した造語であり、かつ、日本語の語であり、本件商標は、平坦に発音されるというのが自然であるから、引用商標1に単に「スパ」の語が付加されたものではない。
すなわち、本件商標「バブスパ」は、引用商標1「バブ」が埋め込まれた商標であるということはできない。
してみれば、本件商標「バブスパ」をみた本件商標の指定商品に属する分野の需要者は、「バブル」の2文字「バブ」を想起するとしても、引用商標1「バブ」を想起することはないと考えられる。
本件商標の「バブ」と「スパ」の分離観察の可能性については、可能性は低いと考えられ、引用商標1「バブ」を想起することはないので、狭義及び広義の出所混同は生じ得ない。
4 本件商標の指定商品と他人の業務に係る商品との関連性の程度について
本件商標の指定商品は、第10類、第11類に属する高額の設備商品(例えば、「微細気泡発生装置付きシャワー器具」。設置工事も必要であり、少なくとも10万円を超える高額商品である。)であるのに対し、引用商標に関する商品は、大量消費商品「入浴剤」であり、両者は、その商品の内容において、分野が著しく異なるから、互いの商品間の関連性が乏しいものであり、その需要者の共通性も低いものといえる。
5 引用商標の独創性の程度について
「独創性」とは「他人を真似ることなく、独自の考えでものごとを作り出す性質・能力」をいう(乙3)。
引用商標1は「バブ」の文字からなる標章である。「バブ」の語は、特定の意味合いを有しない造語と考えられ、「バブ」の称呼を生じる(ただし、アクセントは第1音の「バ」にある。)。
しかしながら、「バブ」は、濁音2音から構成される語であり、濁音は、が行、ざ行、だ行、ば行の計20通りがあり、濁音2音の文字は、400通りある。
そして、当該400通りの中に「バブ」は存在するのである。当該400通りの中から「バブ」を選択することは独創性の発揮とはいわない。
濁音2音の文字はありふれた文字とも考えられ、濁音2音の文字中の「バブ」もありふれた文字と考えられ、引用商標1「バブ」は、独創性がないか、独創性が極めて低い標章と考えられる。
6 引用商標がハウスマークであるか否かについて
「ハウスマーク」とは、「営業の同一性を表す営業標識として使用される社標」のことをいう。引用商標1「バブ」は、花王株式会社の社標ではない。したがって、本件商標「バブスパ」をその指定商品に使用していたとしても、本件商標の指定商品に属する分野の需要者は、花王株式会社、あるいは関係会社を想起することはないと考えられる。
7 企業における多角経営の可能性について
「花王株式会社」が「入浴剤」等以外の分野において、多角的に業務を行っている事情も認められない。
8 請求書に対するその他の反論
(1)取引者及び需要者において普通に払われる注意力について
本件商標の指定商品は、比較的安価な大量消費品とは異なって、高額な設備商品であるので、慎重に商品カタログを比較し、メーカー名はもとより、商品スペックの隅から隅まで比較して慎重に購入を決定するのが一般的である。
需要者は、いちいちメーカー名を確認することもしないで本件商標の指定商品の購入を決定するということは、高額な設備商品の分野においては、あり得ないことと考えられる。
比較的安価な大量消費品の分野において著名商標であったとしても、高額な設備商品の分野では、需要者は慎重に商品購入を決定するので、狭義及び広義の出所混同は起こり難いというべきである。
(2)考慮すべき特別な事情に対する反論
「BubSpa」の文字にマルRを付した部分をウェブサイトに掲載したのは、全くの間違いで、被請求人が指定商品に付して使用する商標は登録商標「バブスパ」と同一商標に限定されることを知らなかったことが原因である。
「バブ」と「スパ」を円的図形で分断していることは、デザイナーに依頼した結果、デザインとしては優れているということで掲載してしまったという事情がある。「バブ」と「スパ」を円的図形で分断していることは、登録商標と同一性が疑われるので、やはり全くの間違いで、被請求人が指定商品に付して使用する商標は登録商標「バブスパ」と同一商標に限定されること及び同一商標の範囲を知らなかったことが原因である。
上記2点については、修正作業中である。
9 小括
よって、仮に、引用商標が本件商標の登録出願前より需要者に広く認識されていたものであるとしても、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに相紛れるおそれのない非類似の別異の商標であり、また、本件商標の指定商品と引用商標に関する商品「入浴剤」は、互いの商品間の分野が著しく異なるものである。
そうすると、被請求人が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が、花王株式会社又は同人と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所の混同を生じるおそれはないとみるのが相当である。
10 弁駁書に対する反論
(1)引用商標について
請求人の主張は、妥当性を欠く。なぜならば、「「バブ」を主とする「バブ」という音自体の商標」の意味合いが、意味不明であり、「バブ」という音自体は称呼であり、著名性判断の一要素であるものの、それだけに限るものでもない。
引用商標1が、著名商標であったとしても、引用商標2、3が著名であるという請求人の主張は容易に認められるべきではない。
引用商標1が、仮に著名商標であったとしても、引用商標2、3が著名商標でない場合もあるし、引用商標1の使用商品が第5類の商品であるのに対して、引用商標2、3の使用商品が第3類の商品であるので、使用態様も異なっており、引用商標1と引用商標2、3とでは、引用商標1が著名商標である可能性が高いというべきである。
(2)使用している商品について
引用商標1が使用されている商品は、薬剤の中の薬用入浴剤であると推測されるものの、「薬用入浴剤」は「薬剤」中に存在しない。
「薬剤」とは、「薬品。薬物。くすり。特に、使用目的に合わせて薬物を糊製したもの。」(「デジタル大辞泉」)と定義されるが、「薬用入浴剤」が第5類の「薬剤」に含まれるはずである。
引用商標1が、仮に、著名商標であるにもかかわらず、使用している商品は、指定商品の分類(区分)は重要でなく、実際は「第3類の商品としての入浴剤」を使用した結果、著名になった旨主張することは原則的には許されないと解すべきである。
引用商標1ないし3の指定商品に含まれない商品を使用した結果、引用商標1ないし3が著名性を獲得したのであるならば、最初から、引用商標1ないし3を引用しないで、使用している商品は、「これこれこういう商品」であり、使用している商標が著名性を獲得したものであると主張すべきである。
(3)その他
その他、本件商標の「バブ」と「スパ」の分離可能性、企業における多角経営の可能性、「バブ」の独創性等の請求人の主張への反論は、上記3(3)、5、7に記載したとおりである。
11 まとめ
以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することはない。

第5 当審の判断
1 本件審判の請求の利益について
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、被請求人は争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。
以下、本案に入って審理する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)請求人について
請求人(花王株式会社)は、我が国における大手の日用品メーカーとして、洗剤、トイレタリー関連商品のほか、化粧品、衣料用洗濯用洗剤等を製造販売している会社である。
(2)商標「バブ」の周知著名性及び独創性の程度について
ア 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人は、「パブ」の片仮名からなる商標を使用した入浴剤(以下「請求人商品」という。)を1983年に発売して以来、継続して、その商品の製造、販売を行っている(甲6、甲7、甲13の6ほか)
(イ)請求人商品の宣伝広告は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット及び公共交通機関を通じて行われてきた(甲8〜甲13)。
(ウ)2012年ないし2020年に発行された、請求人商品が紹介されている新聞・雑誌記事(甲12、甲13)には、特に、次の記載がある。
a 日本経済新聞社が行った、小売業者のバイヤーを対象とした入浴剤についての調査では、「ブランド力」、「リピート購入率」等の14項目中11項目(2020年)又は12項目(2015年)で最も高い評価を得、総合評価で首位(甲13の2、4)。
b 2015年の入浴剤についての「ブランド別シェアベスト5」において第1位(甲13の5)。
c 2015年11月23日ないし同年12月20日の入浴剤についての日経POSデータにおける金額ベースの売上げは、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ のんびり ゆったり ほのぼの湯」が第4位(甲13の3)。
d 2014年11月17日ないし同月23日の入浴剤についての日経POSデータにおける金額ベースの売上げは、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ ヨーロピアンスパ」が第4位(甲13の1)。
e 2020年に、日本経済新聞社の「日経POSセレクション2020 ロングセラー」(10年以上」売れ続けて好調をキープしている人気商品)の一つに選出された(甲13の6)。
イ 上記アの事実を総合すると、請求人商品は、1983年の発売以来、約40年にわたって継続して製造販売され、宣伝広告されたものであり、その結果、入浴剤の市場における売上げ規模等で上位に位置しているものであり、これに使用される商標「バブ」(以下「請求人商標」という。)は、請求人の業務に係る商品(請求人商品)を表示するものとして、本件商標の登録出願時には、既に我が国において需要者の間に広く認識されていたものといえ、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたというのが相当であって、その周知著名性の程度は高いものといえる。
ウ そして、「バブ」の文字は、片仮名2文字の短い構成であるとしても、辞書等に掲載されていないものであって、独自に採択された造語とみるべきものであるから、これが濁音2音から構成されるとしても、請求人商標の独創性は高いものといえる。
(3)本件商標と請求人商標との類似性の程度について
本件商標は、前記第1のとおり、「バブスパ」の文字を標準文字で表してなるところ、その前半部を構成する「バブ」の文字は、上記(2)のとおり、辞書等に掲載されていない造語であって、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている請求人商標「バブ」と、同一のつづりである。そして、本件商標の後半部を構成する「スパ」の文字は、「鉱泉。温泉。また、それを利用した保養施設」の意味を有する語(甲14)である。加えて、「バブスパ」の文字は、その全体では辞書等に掲載されていないものであって、一体となって特定の意味合いを認識させるものとして親しまれている語とはいえない。
そうすると、本件商標は、その構成中に、請求人商品を表示するものとして周知著名な請求人商標「バブ」の文字を有するものであり、これに、当該文字が看者の注意をひきやすい語頭に位置すること、当該文字が造語であるのに対し、構成中の「スパ」の文字は上記意味を有する成語であることを合わせみれば、本件商標においては、構成中の「バブ」の文字部分が強く印象付けられるものというのが相当である。
してみれば、本件商標において強く印象付けられる「バブ」の文字が請求人商標と共通するのであるから、両商標は、一定程度の類似性を有するものといえる。
なお、本件商標の構成中「スパ」の片仮名文字は、「鉱泉。温泉。また、それを利用した保養施設」(甲14)という意味で知られ、入浴施設の代名詞としても使用される「スパ(spa)」に該当するものであって、いずれも浴室で使用する商品との関係を想起させる語であるから、本件商標の「バブスパ」に接した者は、「スパート」(乙2)の略語を想起するというような捉え方はせず、「バブ」と入浴施設としての「スパ(spa)」の結合商標であると認識すると考えるのが自然である。
(4)本件商標の指定商品と請求人商品との関連性及び需要者の共通性について
請求人商品(入浴剤)は、湯舟に投入すると、「炭酸ガスが温浴効果を高めて血行を促進、疲労・肩こり・腰痛・冷え症に効く」(甲6の1)商品であり、一方、本件商標の指定商品中、第10類「治療浴用気泡発生装置,治療浴用超音波気泡発生装置,微細気泡発生装置付き美容マッサージ器具」、第11類「気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付きシャワー器具,微細気泡発生機能付シャワーヘッド,浴槽に取付ける気泡発生装置付循環温浴器,美容院用及び理髪店用微細気泡発生装置付きシャワー器具,微細気泡発生装置付き浴室ユニット」は、入浴時、シャワー使用時、マッサージ時等において、浴槽やシャワーで気泡を発生させる装置や機械器具であって、当該気泡によって血行促進等の効果を図る商品であることは容易に理解できるものであるから、請求人商品と上記指定商品とは、用途、効能、効果が共通するところがあり、これらの商品は高い関連性を有するものといえる。そして、請求人商品の需要者は、入浴時の血行促進等の効果に関心を有する者である一方、本件商標の上記指定商品の需要者も入浴時やシャワー使用時の気泡発生による効果に関する興味を有する者であるから、両商品の需要者層は共通することが多いといえる。
(5)企業における多角経営の可能性について
請求人は、入浴剤のほか、化粧品、洗剤、衣料用洗濯用洗剤、トイレタリー関連商品等の健康や衛生に関わる各種商品を製造販売している大手企業であることを踏まえれば、本件商標の指定商品は、上記(4)以外の指定商品(「医療用気泡発生装置」、「排水処理用微細気泡発生装置,上水用浄水用装置,家庭用浄水器、汚水処理装置」等)も含め、企業における多角経営の観点から、健康や衛生に関わる商品として請求人が取り扱う可能性があるものといえる。
(6)取引者及び需要者において普通に払われる注意力について
本件商標の指定商品は、大量消費の商品とはいえないものの、近時の消費者の健康志向の高まりに照らせば、「微細気泡発生装置付き美容マッサージ器具」、「気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付き浴槽,微細気泡発生装置付きシャワー器具,微細気泡発生機能付シャワーヘッド,浴槽に取付ける気泡発生装置付循環温浴器,家庭用浄水器,微細気泡発生装置付き浴室ユニット」の需要者には、健康や疲労回復に対する関心を有する一般消費者も含まれているというべきであり、一般消費者は商品の購入供を受けるに際して、メーカー名などについて常に注意深く確認するとは限らないことからすれば、商品購入時に払う注意力は高いものではなく、商標構成中の覚えやすく親しみやすい印象及び過去に購買した際の記億に基づいてその商品を選択ないし購買することもあり得るものといえる。
(7)出所の混同のおそれ
上記(1)ないし(6)のとおり、請求人商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして周知著名なものであり、その独創性も高いといえる。そして、本件商標と請求人商標は一定程度の類似性を有し、また、本件商標の指定商品と請求人商品とは関連性を有するものであって、取引者、需要者も共通するものである。さらに、本件商標の指定商品は、企業経営の多角化の観点から請求人が取り扱う可能性があるものである。
以上を踏まえ、本件商標の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力(本件商標の指定商品の需要者には一般消費者も含まれる。)を基準として、総合的に判断すれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用したときは、請求人商標が請求人のハウスマークではないとしても、これに接する需要者は、請求人商標を想起、連想し、当該商品を他人(請求人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
(8)小括
したがって、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、「請求人は登録商標を引用商標としている。引用商標は商品に付して使用する商標でなければならないのであり、引用商標は必ずしも登録商標とは限らないので、妥当性を欠く。実際に使用して著名となった商標は、登録商標と同一商標としても使用態様が全く同じというわけではなく、また、著名に至った商標を付した商品も明示してしかるべきである。」旨主張している。
しかしながら、請求人の主張の全趣旨からすれば、請求人が引用する商標には、引用商標1ないし3に加えて、同人の業務に係る入浴剤「バブ(BUB)シリーズ」として全国的な周知著名性を獲得していると主張する主として片仮名「バブ」からなる商標が含まれており、引用商標に、片仮名「バブ」からなる商標が含まれていることは、明らかである。
(2)被請求人は、「薬用入浴剤は、現在では、第3類に属する指定商品「薬用入浴剤」、第5類に属する指定商品「薬用入浴剤」を指定して出願することはできない。」として、引用商標1ないし3が使用されている商品が不明確である旨反論している。
しかしながら、商標がどのような商品について著名性を獲得したかを判断するに当たっては、商標法の商品区分上、第5類であるか第3類であるかにかかわらず、実態として、その商標が具体的にどのような商品に使用され、どのような需要者が購入して、結果的にどの程度広く知られているのかという点が重要であるところ、請求人が提出した請求書及び弁駁書並びに甲各号証によれば、請求人商品は少なくとも「入浴剤」であると認めることができ、当該商品が不明確ということはできない。
(3)被請求人は、本件商標の指定商品と他人の業務に係る商品との関連性の程度について、「本件商標の指定商品は、第10類、第11類に属する高額の設備商品(例えば、「微細気泡発生装置付きシャワー器具」。設置工事も必要であり、10万円を超える高額商品である。)であるのに対し、引用商標に関する商品は、大量消費商品「入浴剤」であり、両者は、その商品の内容において、分野が著しく異なるから、互いの商品間の関連性が乏しいものであり、その需要者の共通性も低いものといえる」旨主張している。
しかしながら、請求人商標と第10類、第11類に属する設備商品との間で、商品の分野や、商品の価格等が異なるとしても、上記2(4)のとおり、これらの商品は、用途、効能、効果が共通するところがあり、高い関連性を有するものであって、需要者層も共通するものであるというのが相当である。また、第10類、第11類に属する指定商品は、上記2(5)のとおり、企業における多角経営の観点から、健康や衛生に関わる商品として請求人が取り扱う可能性があるものというのが相当である。
(4)被請求人は、「取引者及び需要者において普通に払われる注意力」について、「比較的安価な大量消費品の分野において著名商標であったとしても、高額な設備商品の分野では、需要者は慎重に商品購入を決定するので、狭義及び広義の出所混同は起こり難いというべきである。」旨主張する。
しかしながら、本件商標の指定商品に高額な設備商品が含まれているとしても、本件においては、請求人商標が、血行促進効果を有する炭酸ガスが発生する入浴剤として、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されている事情も合わせ考慮すると、本件商標に接する需要者は、その構成中、請求人商標と同一のつづりである「バブ」の文字部分に着目し、請求人の「バブ」と同じく入浴時に気泡を発生させる商品として印象付けられ、請求人商標を想起、連想するというべきである。
(5)したがって、請求人のかかる主張はいずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審理終結日 2023-07-04 
結審通知日 2023-07-07 
審決日 2023-07-28 
出願番号 2017102612 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W1011)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
山田 啓之
登録日 2018-06-01 
登録番号 6047824 
商標の称呼 バブスパ 
代理人 中村 勝彦 
代理人 阪田 至彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 佐藤 富徳 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 関川 淳子 

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