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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W29
管理番号 1402907 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-06 
確定日 2023-10-13 
事件の表示 商願2021−104289拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年8月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年12月24日 :刊行物等提出書の提出
令和4年 2月15日付け:拒絶理由通知書
令和4年 3月30日 :意見書の提出
令和4年 4月25日 :刊行物等提出書の提出
令和4年 5月31日付け:通知書
令和4年 6月17日 :上申書の提出
令和4年 9月 9日付け:拒絶査定
令和4年12月 6日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第29類「水産物の佃煮,昆布の佃煮,肉の佃煮,野菜の漬物,果実の漬物,水産物の漬物,海藻を主材とする惣菜,魚介を主材とする惣菜,野菜を主材とする惣菜,肉を主材とする惣菜,昆布の加工水産物,塩昆布,とろろ昆布,刻み昆布,ちりめんじゃこ,鰹田麩,鰹節,ふりかけ,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),寒天,削り節,食用魚粉,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、別掲の構成からなるものであるところ、前記1における2度の刊行物等提出書によれば、本願商標は、大阪府大阪市所在の加工水産物等を取扱う「株式会社神宗」が、本店内への展示や商品カタログ、ウェブサイトへの掲載など、その業務に広く使用している商標(写真)と同一のものである。
そうすると、上記「株式会社神宗」と関係の認められない出願人が、本願商標について商標登録出願し、登録を受け、本願の指定商品について独占的に使用することは、商取引の秩序を乱すおそれがある。
よって、本願商標は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するおそれのある商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができない旨規定しているところ、同号は、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が同法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高裁平成16年(行ケ)第108号 同年12月8日判決参照)。
また、商標法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである(知財高裁平成19年(行ケ)第10391号 同20年6月26日判決参照)。
(2)原審における刊行物等提出書(提出者:株式会社神宗(以下「神宗」という。))及び参考資料1ないし参考資料19の3、上申書、並びに当審における審判請求書及び甲第1号証ないし甲第12号証によれば、以下のとおりである。
ア 本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、「大正3年11月の大阪行幸の際に、神宗の前身の第5代目店主であった「尾崎宗兵衛」が、大正天皇に鰹田麩を献上したこと」を示す写真(以下「写真」という。)からなるものである。
イ 請求人の代表取締役であるO(以下「O氏」という。)は、上記献上者の「尾崎宗兵衛」の子孫であるところ、写真は、O家に代々受け継がれており、現在もO氏自身の所有物である。また、O氏は、平成4年から平成27年までの期間、神宗の代表取締役社長(いわゆる「先代」)であったところ、当該期間中に、写真を神宗の店舗に飾る等していた。
ウ O氏の神宗代表取締役社長退任後の令和元年10月25日に、O氏と神宗は、O氏の所有物品を神宗の事業目的に用いるため動産賃貸借契約を締結した(甲11)。写真も、当該動産賃貸借契約の対象であり、神宗は、その使用料・賃料として、O氏に毎月一定額を支払っていた。
エ 令和3年1月8日に、O氏と神宗は、上記動産賃貸借契約について、同年10月31日の期間満了をもって終了することを相互に確認する旨の合意書を締結し(甲12)、その後、写真を含め、同契約の対象物品は全てO氏に返還された。
オ 神宗は、写真を、淀屋橋店(平成16年開店)内に開店時から展示しているほか、創業230周年を迎えた平成23年に、限定品として発売した鰹田麩・鰹昆布のリーフレットに使用する等している。
なお、請求人の主張によれば、現在、同店舗において展示されている写真は、上記動産賃貸借契約の対象物品の返還時に、O氏に無断で作成された写しであるとされ、神宗のオンラインショッピングページ(甲9)における写真の使用は、上記動産賃貸借契約満了後、請求人に無断で使用しているものとされる。
(3)上記(2)によれば、O氏が神宗の代表取締役社長であった時期及びO氏と神宗が動産賃貸借契約を締結していた時期に、O氏が受け継いだ個人の所有物である写真が、神宗の店舗内に展示されたり、同社の商品のリーフレット等に使用されることはあったものの、当該写真が、神宗を認識させる程に一般に広く知られるようになったといい得る事実は発見できない。
そうすると、請求人が本願商標を登録することが、社会的相当性を欠き、商取引の秩序を乱すおそれがあるということはできないし、また、このような契約によって自己の所有物(写真)を賃貸した者(請求人)とこれを借受けていた者(神宗)との間の当該所有物(写真)からなる商標権の帰属等をめぐる問題は、当事者同士の私的な問題として解決すべきといえる。
そして、本願商標は、その構成自体が、非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、他に本願商標が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足りる具体的事実や特段の事情は見いだせない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから、本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本願商標




(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審決日 2023-10-03 
出願番号 2021104289 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W29)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 高野 和行
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
商標の称呼 トクベツダイエンシュー、ギョーコーハユーゲツケンジョーヒンカツオデンブ、ギョーコーハユーゲツ、ケンジョーヒンカツオデンブ、オザキソーベー 
代理人 上甲 悌二 
代理人 プリティ 梨佐クリスティーン 
代理人 雨宮 沙耶花 
代理人 三上 真毅 
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