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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 取り消して登録 W2930
管理番号 1402885 
総通号数 22 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-09-13 
確定日 2023-09-25 
事件の表示 商願2021−38062拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年3月30日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月 8日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月25日付け:意見書、手続補正書
令和4年 2月15日付け:手続補正指示書
令和4年 4月 4日付け:意見書
令和4年 5月31日付け:拒絶査定
令和4年 9月13日付け:審判請求書
令和4年11月25日付け:上申書

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正により、第29類「食用油脂,乳製品,干しのり,焼きのり,乾燥野菜,乾燥果実,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第30類「茶,コーヒー,ココア,氷,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,食品香料(精油のものを除く。),調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,即席菓子のもと,パスタソース,食用粉類」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中に「京都府南部の市」であり、茶の名産地として知られる「宇治市」を認識させる「宇治」の文字を有してなるものであるから、これを本願商標に係る指定商品中、「京都府宇治市産の茶」以外の「茶」に使用するときは、その商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、「宇治の露」の文字を毛筆体で縦書きし、当該文字の左右に曲線を配した構成からなるものである。
そして、本願商標の構成中「宇治」の文字は、「京都府南部の市。」等の意味を、「露」の文字は、「晴れた朝に草の上にみられる水滴。」等の意味(いずれも「大辞泉第二版」株式会社小学館)を有する語であるから、本願商標全体からは、「宇治の朝にみられる水滴」ほどの意味合いが想起されるものであり、必ずしも商品の品質を認識させるものではないというのが相当である。
(2)使用実績からみた本願商標の一体不可分性について、請求人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
請求人は、京都府木津川市に本社を置く、日本茶の製造販売を業とする法人であるところ、同社は、宇治の露製茶株式会社(以下「宇治の露製茶」という。)をグループ会社としている(甲30、甲31)。
「宇治の露製茶」は、請求人グループの海外事業部門として、1980年に設立された法人であって、「伊右衛門シリーズ」(リーフ商品、ティーバッグ、インスタントティー)と「宇治の露シリーズ」を主たる商品とする緑茶製造販売の企業である(甲34〜甲37)。
「宇治の露製茶」のウェブサイトにおいて、表題とともに本願商標が使用されており、「商品一覧」の見出しの下、「宇治の露シリーズ」の商品パッケージに本願商標が使用されている(甲36)。
「宇治の露製茶」の2014年〜2016年の間の販売額、メーカーシェア、シェア順位は、緑茶ティーバッグにおいて、2014年が11.5億円、5.2%、3位、2015年が12億円、5.3%、3位、2016年が12億円、5.2%、3位であり、粉末緑茶において、2014年が3.2億円、6.0%、3位、2015年が4億円、6.8%、3位、2016年が4.5億円、7.3%、3位である(甲38)。
「宇治の露製茶」は、「伊右衛門」をはじめ、その新商品、経営戦略、中国・ロシア・台湾等における海外展開、異業種とのコラボレーションのほか、読売新聞東京本社等主催の、小学校低学年に特化した日本初の体育教材サービス「カラチャレ」への特別協力といった取組について、業界紙をはじめとして、各種メディアで取り上げられている(甲39〜甲84)。
上記各種メディアにおいて、本願商標及び「宇治の露」の文字が、「宇治の露製茶」の商品パッケージ、看板等に使用されている(甲39〜甲41、甲49、甲68、甲69、甲78、甲84)。
以上によれば、請求人のグループ会社の「宇治の露製茶」が、我が国において、遅くとも1998年から(甲41)、本願商標及び「宇治の露」の文字を、ハウスマーク及び本願商標に係る指定商品「茶」に使用し、同社の取扱いに係る緑茶ティーバッグ及び粉末緑茶については、一定の市場シェアを獲得していることがうかがえるものである。
また、「宇治の露製茶」は、業界紙をはじめとして、各種メディアで取り上げられていることがうかがえるものである。
上記を総合して判断するに、本願商標は、請求人のグループ会社である「宇治の露製茶」のハウスマークとして、本願商標に係る指定商品「茶」を中心とする商品の取引者、需要者の間に広く認識されているというのが相当である。
(3)上記(2)の事情に加えて、上記(1)のとおり、本願商標全体からは、「宇治の朝にみられる水滴」ほどの意味合いを想起させるものであり、必ずしも商品の品質を認識させるものでないことも併せ考慮すると、本願商標をその指定商品中「京都府宇治市産の茶」以外の「茶」について使用した場合に、「京都府宇治市産の茶」であるかのごとく、需要者をして、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲 本願商標


(この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。
審決日 2023-09-13 
出願番号 2021038062 
審決分類 T 1 8・ 272- WY (W2930)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 小林 裕子
浦崎 直之
商標の称呼 ウジノツユ、ツユ 
代理人 橋本 良樹 
代理人 幡 茂良 
代理人 小出 俊實 
代理人 蔵田 昌俊 

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