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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0938
管理番号 1401994 
総通号数 21 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2023-02-24 
確定日 2023-08-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6653244号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6653244号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6653244号商標(以下「本件商標」という。)は、「HUAWEI Ubiquitous Gigabit」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年3月18日に登録出願、第9類及び第38類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月11日に登録査定され、同年12月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てにおいて引用する登録商標は、以下に掲げるとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4659489号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 Ubiquity(標準文字)
指定商品 第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成14年6月20日
設定登録日 平成15年4月4日
2 登録第6481871号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 ユビキティ(標準文字)
指定商品 第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 令和2年8月7日
設定登録日 令和3年12月7日
3 登録第6630619号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 UBIQUITI UNIFI(標準文字)
指定商品・役務 第9類及び第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
登録出願日 令和3年12月7日
設定登録日 令和4年10月21日
4 国際登録第1139411号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 UBIQUITI
指定商品 第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品
国際商標登録出願日 2014年(平成26年)6月17日(事後指定)
設定登録日 平成28年8月26日

以下、上記の引用商標1ないし4をまとめていうときは、単に「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標登録は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録が取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 本件商標について
本件商標は、「HUAWEI Ubiquitous Gigabit」の標準文字よりなるものであるが、途中で単語間にスペースがある構成から、外観上、「HUAWEI」「Ubiquitous」及び「Gigabit」の語の組み合わせとして認識されるものである。
まず、「HUAWEI」の部分は、一般に本件商標権者の社名の略称を表すものであり(甲6)、本件商標中の「HUAWEI」も、同社の略称として需要者らに理解される(甲7)。本件商標のように、その冒頭に「HUAWEI」と書いてあれば、商標全体の意味合いとしては、例えば「ファーウェイの○○」のように理解される。
次に、本件商標中の「Gigabit」の部分は、情報量の単位(甲8、甲9)を意味し、情報通信の技術や商品・サービスの分野においては、例えば、本件商標が使用されるギガビットの情報通信量を有する商品やサービスを説明するにすぎないため、自他商品・役務の識別力を有しないか、極めて弱いものである。
本件商標のうち、「HUAWEI」の部分は本件商標権者の略称を表し、「Gigabit」の部分は指定商品・役務の内容を説明するにすぎないから、結果として本件商標は、「HUAWEI」「Ubiquitous」「Gigabit」の各文字がばらばらに理解、認識されることとなり、説明的表示である「Gigabit」を除いた「HUAWEI」及び「Ubiquitous」がそれぞれ商標の要部となる。
また、本件商標はその全体で特定の意味合いを有する既成のフレーズを構成するものではないから、ここからひとまとまりの意味合いを見いだすことはできない。そして、意味合いを見いだすとしても、上に述べたところから、本件商標よりは「HUAWEI社のGigabitの情報通信量を有する商品・サービスであるところのUbiquitous」のような意味合いが見いだされることとなるから、いずれにせよ自他商品等の識別標識としては、「Ubiquitous」の部分が抽出されることとなる。
よって、本件商標は、「Ubiquitous」の部分が独立した自他商品等の識別標識としてとらえられ、この部分を要部に、あるいは少なくとも要部のひとつとして取引に資されるものということができる。
2 引用商標について
引用商標はそれぞれ、「Ubiquity」(引用商標1)、「ユビキティ」(引用商標2)、「UBIQUITI UNIFI」(引用商標3)、「UBIQUITI」(引用商標4)の文字よりなるものである。
このうち、「ユビキティ」(引用商標2)は、「Ubiquity」(引用商標1)及び「UBIQUITI」(引用商標4)の発音を片仮名文字で表したものと理解され、英文字で表すとすれば「ubiquity」あるいは「ubiquiti」というつづりと理解して不自然ではない。そして、これらはいずれも同一人(=申立人)が所有する商標であることを踏まえると、引用商標2は引用商標1及び4の英文字をも念頭に理解されるといえる。
また、「UBIQUITI UNIFI」(引用商標3)も「UBIQUITI」を含み、これも同一人が所有するものであることを踏まえると、商標全体とともに、「UBIQUITI」の部分も同様に注目され、この部分も商標の要部のひとつとなる。
したがって、各引用商標はいずれも「Ubiquity」または「UBIQUITI」を要部あるいは要部のひとつとし、またこれらの英文字が念頭に置かれつつ理解される商標であるといえる。
3 本件商標と引用商標との類否
本件商標は「Ubiquitous」の部分を要部あるいは要部のひとつとするものであるため、これよりは対応する英単語から「ユビキタス」の称呼を生じ、「至る所にある、偏在する」との観念を生ずる(甲10)。
他方、引用商標は、「Ubiquity」「UBIQUITI」「ユビキティ」の要部より「ユビキティ」の称呼を生じ、既存の英単語の「Ubiquity」(引用商標1)よりは、「至る所にあること、偏在」の観念を生ずる(甲10)。また、同じ発音の「UBIQUITI」(引用商標3・4)は、厳密には既存の英単語ではないが、ほぼ同一の綴りや同じ発音より、「ubiquity」に由来すると理解して不自然ではないから、ここからは前記同様の観念あるいはこれに近しい観念を生ずる。「ユビキティ」(引用商標2)についても、この点は同様である。
ここで、本件商標及び引用商標の称呼を比較するに、前者は「ユビキタス」であるのに対し、後者は「ユビキティ」であるが、それぞれ冒頭から「ユビキ」の発音が共通し、相違するのは語尾の「タス」と「ティ」にすぎない。これらの語及び発音は、先にも示したように(甲10)、同じ語源を有するものと考えられ、それぞれ名詞と形容詞の派生語同士であるにすぎない。これらの語以外には見かけない「ユビキ」なる特徴的な発音が共通し、その語尾の発音が異なるとしても、これは派生語同士にしばしば見られるささいな相違にすぎないから、全体として称呼において紛らわしい。
また、同じ語源を有する派生語同士であり、前記のようにそれぞれ名詞か形容詞かの違いがあるにすぎないから、「至る所にある(こと)、偏在(する)」という観念において同一あるいはほぼ同一で紛らわしい。
したがって、本件商標及び引用商標は、その称呼及び観念において相紛らわしく、互いに類似する。そして、指定商品・役務もそれぞれ共通するものである。
さらに、派生語の関係にある商標については、その発音で共通する部分が多く、さらに意味合いも共通する部分が多いので、それぞれにおいて紛らわしい。その上、これらはばらばらに理解されるものではなく、人はことばを見れば意味を理解しようとするから、取引の際は両者が影響しあって理解、認識されることとなり、その分余計に紛らわしい。
本件にいう「ubiquity」と「ubiquitous」のような派生語の関係は、英単語にあっては珍しいものではなく、このような特殊とはいえない変化をするのみの派生語同士にあっては、そもそも語幹が共通するのであるから、意味合いを無視することはできず、発音も共通点が多いため、それぞれが相まって総合的に紛らわしい語となる。
本件商標と引用商標は、こうした派生語同士の関係にあり、単に発音が似ている、あるいは意味合いが似ているというものではなく、その両者が多く共通し、それぞれが影響しあって商標が理解、認識されるものであるから、全体的、総合的に見て互いに紛らわしく、類似する商標である。
ちなみに、申立人はアメリカ合衆国の企業であるが、現在は「Ubiquiti」や「UBIQUITI」の社名やブランドのもと、本件指定商品等の分野において我が国を含め各国で幅広く活動を行っている(甲11、甲12)。また、「UBIQUITI」やこれを含む数多くの商標を世界各国で登録、所有しており、これらは各国での幅広いビジネス展開の裏付けとなっている(甲13)。
このように、申立人は、引用商標に基づいてグローバルなビジネス展開を行っているものであり、「UBIQUITI」のブランドは本件指定商品等の分野において広く受け入れられていることが推測される。そこで本件商標のように紛らわしい商標が、同じ分野で使用されることとなると、その類似性ゆえに出所の混同を生じ、市場における影響も我が国をはじめ、大きなものとなる。
したがって、引用商標に類似する本件商標は、その登録による弊害が大きく、こうした広い視点からも登録が取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「HUAWEI Ubiquitous Gigabit」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、その構成中にスペースによる区切りがあることから、「HUAWEI」、「Ubiquitous」及び「Gigabit」の各文字からなるものと容易に認識させるものである。
そして、本件商標の構成中、「HUAWEI」の文字部分は、本件商標権者の社名の略称と認められるから、当該文字に相応して「ファーウェイ」の称呼及び「(社名の略称としての)ファーウェイ」の観念を生じるといえる。そして、「Ubiquitous」の文字部分は、「ユビキタスの(情報ネットワークにいつどこからでもアクセスできる環境)」の意味を、また、「Gigabit」の文字部分は、「ギガビット(データ容量の単位)」の意味を有する英単語(以上「ジーニアス英和辞典第6版」)であるから、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては、いずれも自他商品役務識別標識としての機能はないか極めて弱いものである。そうすると、「Ubiquitous」及び「Gigabit」の各文字部分からは、出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
してみれば、本件商標からは、その構成中の「HUAWEI」の文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較することも許される。
したがって、本件商標は、その要部である「HUAWEI」の文字部分から、「ファーウェイ」の称呼及び「(社名の略称としての)ファーウェイ」の観念が生じる。
(2)引用商標について
まず、引用商標1は、「Ubiquity」の欧文字を標準文字で表してなるところ、辞書には「偏在」を意味する英単語として掲載(ジーニアス英和辞典第6版)されているが、我が国においてなじみのない英単語であるから、これより出所識別標識としての観念が生じるとはいえない。そうすると、引用商標1からは、英語又はローマ字読みに倣い「ユビキティ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
次に、引用商標2は、「ユビキティ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、これより「ユビキティ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
そして、引用商標3は、「UBIQUITY UNIFI」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該文字全体で特定の意味合いをもって知られている事情も見いだせないことから、一種の造語を表したものと認識されるものである。そうすると、引用商標3からは、その構成文字に相応して、英語又はローマ字読みに倣い「ユビキティユニフィ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
最後に、引用商標4は、「UBIQUITI」の欧文字を表してなるところ、同文字は、辞書等に載録されているものでもなく、特定の意味合いを持って知られているというような事情も見いだせないことから、特定の観念を生じないものである。そうすると、引用商標4からは、英語又はローマ字読みに倣い「ユビキティ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否について検討すると、外観においては、本件商標の要部が「HUAWEI」の文字であるのに対し、引用商標は「Ubiquity」、「ユビキティ」、「UBIQUITY UNIFI」及び「UBIQUITI」の各文字であるから、両者は外観上明らかな差異を有し、判然と区別できるものである。
次に、本件商標の要部から生じる「ファーウェイ」の称呼と引用商標から生じる「ユビキティ」及び「ユビキティユニフィ」の称呼とを比較すると、両者は称呼上明らかに異なっており、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念においては、本件商標の要部からは「(社名の略称としての)ファーウェイ」の観念が生じるのに対し、引用商標は特定の観念を生じないものであるから、両者は観念上相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 申立人の主張について
申立人は、本件商標構成中の「Ubiquitous」の文字部分も要部のひとつであり、これを分離、抽出して、引用商標と比較することも許される旨主張する。
しかしながら、上記1(1)で述べたとおり、「Ubiquitous」の文字部分は、「ユビキタスの(情報ネットワークにいつどこからでもアクセスできる環境)」の意味を有する英単語であるから、本件商標の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては、自他商品役務識別標識としての機能はないか極めて弱いものであって、これより出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
そうすると、本件商標から、「Ubiquitous」の文字部分を要部として抽出し、他の商標と比較することは許されない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
【別掲】
本件商標の指定商品及び指定役務
第9類「マイクロチップ(コンピュータハードウェア),集積回路,ICチップ,半導体集積回路チップ,集積回路モジュール,電子集積回路,集積回路製造用の電子チップ,スマートカード(ICカード),ICカード,コンピュータ用モニター,コンピュータハードウェア,コンピュータネットワーク用ハードウエア,コンピュータモニター用固定用ブラケット,コンピュータ用固定用ブラケット,コンピュータ周辺装置,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ダウンロード可能なコンピュータアプリケーションソフトウェア,記録された又はダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプラットフォーム,ダウンロード可能なモバイル機器用のアプリケーションソフトウェア,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータ用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),ネットワーク通信装置,データ処理装置,光通信機械器具,コンピュータチップ,IC内蔵カード,バイオチップ,半導体,コンピュータチップ,マルチプロセッサ用チップ,蛍光スクリーン,教育支援用の人工知能搭載のヒューマノイドロボット,科学実験用の人工知能搭載のヒューマノイドロボット,未記録のスマートカード,スマートカード読み取り装置,双方向タッチスクリーン端末機,セルフサービス端末機を制御するためのコンピュータソフトウェア,コンピュータ端末機,ビデオ表示装置,ディスプレイ用スクリーン,電子計算機用ディスプレイ装置,液晶ディスプレイ(LCD)用スクリーン,音声・映像受信機,ビデオ映像処理装置,電気式及び電子式のビデオ監視装置,コンピュータ用ジョイスティック(テレビゲーム用を除く。),映像・音響及びビデオの編集用のコンピュータプログラム,オーディオ装置及びビデオ装置の操作の制御用のコンピュータソフトウエア,インターネットサーバー,圧電センサー,乗物用駐車センサー,センサー,センサー(測定機器)(医療用のものを除く。),動作認識センサー,タッチスクリーンセンサー,振動センサー,バイオチップセンサー」
第38類「情報の通信,電話による通信,移動体電話による通信,コンピュータ端末による通信,電気通信に関する情報の提供,光ファイバーによる通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,テレビ会議用通信端末による通信,仕様の異なる通信ネットワーク間の接続の提供,電子計算機端末による通信ネットワークへの複数ユーザーによる接続の提供,データのストリーミング方式による通信,無線による電気通信,無線ブロードバンドネットワークによる通信,ビデオ会議用通信端末による通信,インターネットによるオーディオコンテンツ及びビデオコンテンツの通信,映像通信システムによる情報の送信,音響・映像及び情報の送信,インターネットへの接続用回線の提供」


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異議決定日 2023-08-10 
出願番号 2022031436 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0938)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 大橋 良成
特許庁審判官 冨澤 武志
小林 裕子
登録日 2022-12-16 
登録番号 6653244 
権利者 ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
商標の称呼 ファーウエイユビキタスギガビット、フアウエイユビキタスギガビット、ファーウエーユビキタスギガビット、フアウエーユビキタスギガビット、ファーウエー、フアウエー、ユビキタスギガビット 
代理人 木村 吉宏 
代理人 実広 信哉 
代理人 弁理士法人不二商標綜合事務所 
代理人 伊東 美穂 
代理人 行田 朋弘 
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