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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W10 |
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管理番号 | 1401993 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-02-01 |
確定日 | 2023-08-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6644336号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6644336号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6644336号商標(以下「本件商標」という。)は、「Neural Galaxy」の文字を標準文字で表してなり、令和4年6月9日に登録出願、第10類「高周波治療器,磁気共鳴画像診断装置,医療用磁気共鳴画像診断装置,磁気性の医療用腕環,治療用又は医療用の生体磁気リング,整形外科用品,縫合用材料」、第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年10月19日に登録査定され、同年11月24日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4647192号の1の2商標(以下「引用商標」という。)は、「GALAXY」の文字を標準文字で表してなり、平成12年6月21日に登録出願、同15年2月21日に設定登録された登録第4647192号商標の分割に係るものであって、同17年4月1日及び同24年8月10日を受付日とする商標権の分割移転の登録がされた結果、第10類「整形外科用の創外固定器具」を指定商品として、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「Neural」の欧文字及び「Galaxy」の欧文字の2つの欧文字部分から構成される語である。本件商標は標準文字で書されたもので、全体的に共通する視覚的な特徴を備えてはおらず、2つの構成部分間にはスペースが存在しており、各構成部分が視覚的に分離して認識、把握される態様とされている。また、本件商標は各構成部分1文字目のみが大文字で書され、その余は小文字とされていることから、いっそう構成部分ごとに着目されやすい態様であり、本件商標に接する取引者及び需要者は、本件商標を構成部分ごとに認識、把握するものである。更に、「Neural」は「神経系の」、「Galaxy」は「銀河系,星雲」などの意味を有する英単語であるが、これらの語を組み合わせて使用することで何らかの特定の意味合いを生じさせるという事情もなく、「Neural」及び「Galaxy」の語に観念上のつながりはないことから、本件商標を一体的に把握すべき特段の事情はないことに加え、本件商標全体から生じる「ニューラルギャラクシー」の称呼も冗長であること、そして取引の場においては簡便さが求められ、冗長な称呼は馴染まないことから、本件商標からは、それぞれの構成部分から「ニューラル」及び「ギャラクシー」の称呼が生じるものと考えるのが相当である。 本件商標の指定商品について検討すると、そのうち、引用商標と類似する指定商品は「高周波治療器,磁気共嗚画像診断装置,医療用磁気共鳴画像診断装置,磁気性の医療用腕環,治療用又は医療用の生体磁気リング,整形外科用品」であるが、例えば「高周波治療器」は神経や筋肉に作用する治療器で、神経痛などの治療に用いられ、「磁気共鳴画像診断装置」や「医療用磁気共鳴画像診断装置」は脊髄神経などの内部組織の撮影に用いられる。また、「高周波治療器,磁気共鳴画像診断装置」などの本件商標の指定商品を用いる整形外科では、神経痛や中枢神経・末梢神経の治療なども行われることから、本件商標を構成し、英語で「神経」の意味を有する「Neural」の文字部分は指定商品との関係で識別力の弱い部分と考えるのが妥当である。上記したように、そもそも視覚上分離して認識される本件商標を一体的に把握すべき理由はなく、商標の構成全体について、他の商標と類否判断する合理的な理由はない。さらにいえば、2つの語で構成される商標について、本件商標のように2つの語に識別力の軽重がある場合には、なおのこと2つの語を一連一体で把握すべきではないことから、本件商標の構成全体から「ニューラルギャラクシー」の称呼が生じることはなく、本件商標からは「ギャラクシー」、又は「ニューラル」の称呼が生じる。 他方、引用商標は欧文字「GALAXY」から成る商標であるから、引用商標からは該文字に応じて「ギャラクシー」の称呼が生じるものである。 本件商標と引用商標を比較すると、本件商標の「Galaxy」部分から生じる称呼「ギャラクシー」と引用商標から生じる称呼「ギャラクシー」は、同一であるから、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛らわしく類似する商標であることは明らかである。 観念について検討すると、上記したように本件商標の「Galaxy」部分も引用商標の「GALAXY」も銀河系や星雲などの意味を有する英単語であるから、本件商標と引用商標の観念は同一である。 外観については、本件商標の「Galaxy」部分と引用商標とを比較すると、本件商標では一文字目のみを大文字で表し、その後に続く文字を小文字で表している一方、引用商標では全ての構成文字を大文字で表しているという点で違いがあるものの、単語の表記方法として、大文字、小文字、あるいはこれらの組み合わせ(特に語頭の一文字のみを大文字で表すこと)とすること、また、表記方法を変更することは一般的、日常的に行われていることに鑑みれば、これらの差異は微細な差異にすぎず、商標の類否判断に影響を与えるものではないから、本件商標と引用商標は外観において略同一である。 なお、仮に本件商標の構成全体から「ニューラルギャラクシー」の称呼が生じるとされるようなことがあったとしても、本件商標は「Neural」部分と「Galaxy」部分から構成されており、各構成部分に分断されやすい態様であることからすれば、本件商標が視覚的に分離して把握されるものである事実に何ら影響を与えるものではなく、上記検討したように本件商標から「ギャラクシー」の称呼が生じる以上、本件商標と引用商標とは相類似する商標である。 以上検討したとおり、本件商標と引用商標とは称呼、観念及び外観において相紛らわしい商標であり、同一または類似する指定商品を指定するものであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)審決例について 2つの部分から構成される商標で、後半部分に引用商標を包含する商標について、引用商標との類似性が争われた事案(拒絶2000−3278)では、2つの部分から成る商標について、引用商標を後半部分に含むことを理由に引用商標に類似すると判断された。 本件商標と引用商標について検討すると、本件商標を構成する前半の「Neural」と後半の「Galaxy」の各文字部分の間は視覚上分離して看取されるものであり、「Neural」及び「Galaxy」を常に一体のものとして把握しなければならないような意味上の関連性はなく、「Galaxy」の文字部分は独立して自他商品識別の機能を果たし得るものである。さらに、本件商標の全体から生ずる「ニューラルギャラクシー」の称呼は全部で9音と冗長であり、簡易迅速を旨とする取引の場においては、適宜、親しみやすく、称呼し易い部分を抽出し、他の部分を捨象して簡便に取引に資される場合も少なくないことを考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前半の「Neural」又は後半の「Galaxy」の文字部分に着目し、該文字(語)をもって取引に資するとみるのが取引の経験則に照らし相当である。なお、本件商標についてより検討すると、「Neural」は大学院レベルで使用するほど難易度が高い英単語である一方、「Galaxy」は大学水準の英単語であり、同名のスマートフォンが我が国において普及しており広く使用されていることからも、「Galaxy」は一般に馴染みのある英単語である。そうすると、本件商標において親しみやすく称呼しやすい部分は「Galaxy」であるから、簡易迅速を尊ぶ取引の場においては、本件商標を構成する「Neural」部分は識別力が弱めなことも相まって捨象され、「Galaxy」部分を抽出して取引に資されるのは合理的であり、「Galaxy」部分には一番着目される部分である。 (3)判決例について 結合商標については、つつみのおひなっこや事件(最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決)等で、「商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである」と判示されている。 本件商標について検討すると、銀河系や星雲を意味する「Galaxy」の文字部分は本件商標の指定商品である「高周波治療器,磁気共鳴画像診断装置,医療用磁気共鳴画像診断装置,磁気性の医療用腕環,治療用又は医療用の生体磁気リング,整形外科用品」とは何ら関連性のない英単語であり、これらの商品の分野において「Galaxy」の文字が一般的に使用されているという実情もないことから、本件商標中「Galaxy」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであることは明らかである。一方、「Neural」の文字部分については、上記したように、神経、神経系などの意味を有する英単語であるから、本件商標の指定商品との関係において、独立して出所識別標識となることは考えにくい部分である。さらに、「neural」の語は、「神経性線維脂肪腫(neural fibrolipoma)」、「神経管閉鎖障害(neural tube defects)」など、神経に関する各種疾病の疾病名として広く使用されている。またこれと関連して、各種医療器具の名称にも「neural dust」など、「neural」の語が使用されていることからしても、本件商標の指定商品の分野において「neural」の語は一般的に使用されている語であるという取引上の実情も存在する。 上記判決に照らしても本件商標から「Galaxy」部分を抽出し、その部分だけを引用商標と比較して本件商標そのものの類否判断をすべきである。 (4)結び 上記したとおり、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「Neural Galaxy」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさで表されており、外観上まとまりよく一体的看取されるものである。 そして、本件商標の構成中、「Neural」の文字は「神経(系)の」の、「Galaxy」の文字は「銀河」等の意味を有する英語(いずれも「ジーニアス英和辞典 第5版」株式会社大修館)であるものの、これらを結合してなる「Neural Galaxy」の文字全体としては、辞書等に掲載のあるものではなく、特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。 また、本件商標の構成全体から生じる「ニューラルギャラクシー」の称呼も格別冗長なものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。 さらに、当審において職権で調査するも、本件商標の構成中「Neural」の文字部分が、取引者、需要者に対し、本件商標の指定商品及び指定役務との関係において、商品及び役務の出所識別標識としての機能を果たし得ないものと認めるに足りる事情、又は「Galaxy」の文字部分が、商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認めるに足りる事情も見いだせない。 してみれば、本件商標の上記構成及び称呼からすれば、これに接する取引者、需要者は、殊更に「Galaxy」の文字部分にのみ着目することなく、本件商標の構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものとして認識し、把握するというのが自然である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「ニューラルギャラクシー」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は、上記2のとおり、「GALAXY」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、上記アのとおり、「銀河」等の意味を有する英語(前掲書)であるから、引用商標はその構成文字に相応して、「ギャラクシー」の称呼を生じ、「銀河」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標を比較すると、外観においては、「Neural」の文字の有無という明らかな差異があることに加え、本件商標が欧文字の大文字と小文字から構成されるのに対し、引用商標は欧文字の大文字のみから構成されるという差異もあることから、両者は、外観上相紛れるおそれはない。 次に称呼においては、本件商標から生じる「ニューラルギャラクシー」の称呼と、引用商標から生じる「ギャラクシー」の称呼とは、前半部における「ニューラル」の音の有無という明らかな差異を有し、この差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が異なることから、両者は、称呼上相紛れるおそれはない。 さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「銀河」の観念を生じるものであるから、両者は、観念上相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものといえるから、両者は紛れるおそれのない非類似の商標である。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品及び指定役務と類似のものを含むとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)申立人の主張について 申立人は、過去における裁判例及び審決例を挙げて、本件商標も引用商標と類似と判断されるべき旨を主張しているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者・需要者の認識を基準に比較される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、当該裁判例及び審決例をもって上記判断が左右されるものではない。 したがって、申立人の主張は採用できない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、その登録が、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2023-08-01 |
出願番号 | 2022066136 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W10)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
旦 克昌 |
特許庁審判官 |
馬場 秀敏 須田 亮一 |
登録日 | 2022-11-24 |
登録番号 | 6644336 |
権利者 | 北京優脳銀河科技有限公司 |
商標の称呼 | ニューラルギャラクシー |
代理人 | TRY国際弁理士法人 |
代理人 | 弁理士法人太陽国際特許事務所 |