ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
---|---|
管理番号 | 1401978 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-09-30 |
確定日 | 2023-09-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6599593号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6599593号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6599593号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和4年1月26日に登録出願、第28類「ゴルフクラブ用シャフト,その他のゴルフ用具,運動用具」を指定商品として、同年7月15日に登録査定、同年8月10日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標及び標章 1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5383602号商標(以下「引用商標1」という。)は、「KING」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月19日登録出願、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品(別掲2)を指定商品として、平成23年1月14日に設定登録されたものである。 (2)国際登録第1494385号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、2019年7月31日国際商標登録出願、第18類、第25類及び第28類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品(別掲4)を指定商品として、令和4年2月25日に設定登録されたものである。 2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第15号に該当するとして引用する商標及び標章は、「KING」の欧文字からなる商標であって、申立人の子会社の業務に係る「ゴルフ用品」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていると主張するもの(以下「申立人等ゴルフ用品商標」という。)である。 なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていう場合は、以下「11号引用商標」といい、「11号引用商標」及び「申立人等ゴルフ用品商標」をまとめていう場合は、以下「申立人商標及び標章」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第73号証(枝番号を含む。)を提出した。 なお、甲各号証の表記にあたっては、甲第1号証を「甲1」のように省略して表示する場合があり、また、枝番号の全てを示すときは枝番号を省略する。 1 商標法第4条第1項第11号により取り消すべき理由 (1)本件商標 ア 本件商標は、外郭が一本の線で囲まれた「ATTAS」の欧文字を斜体のゴシック体で描き、各文字を2色(上を黄色、下を黒色)に塗り分けたものと、それと一部が重なるように、白と黒の縁線を伴って青色で大きめのローマン体により書された「KING」の欧文字を配し、「G」の文字部分に髭を生やし、王冠を被った男性の顔に見立てたデザインを施したものを横並びに配し、その下に「アッタスキング」の片仮名を極めて小さく表示した構成からなる(甲1、甲2)。 「ATTAS」の欧文字部分と「KING」の欧文字部分は、その外観・構成上の差異により、別々の英単語が並んで配置されたものと容易に認識され、当該「ATTAS」は辞書等に掲載された文字ではなく、造語と認識されることから、その構成文字に相応して、「アッタス」の読み方が生じ、特定の観念は生じない。 一方、「KING」の欧文字は、我が国の需要者及び取引者に極めて馴染みある基本的な英単語であり(甲7)、また、「G」の文字部分が王冠を被った男性の顔を模して描かれているため、当該文字部分からは、「キング」の読み方、「王。国王。君主。」の観念が容易に認識される。 「ATTAS KING」及び「アッタスキング」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく(甲7、甲8)、また、「ATTAS」と「KING」の各欧文字について観念上のつながりが認められず、全体としてまとまった意味合いも生じない。 イ 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、「UST Mamiya Japan 株式会社」(以下「USTマミヤ社」という。)の米国法人と思われるところ、同社のウェブサイトに掲載されたブランド別製品(ゴルフクラブ用シャフト)一覧には、「ATTAS」の名称が使われ、「UST Mamiyaは、『ATTAS』でゴルファーに希望と喜びを与えます。」(甲9)と紹介されている。 当該ウェブページには、本件商標以外に、「ATTAS」の前後に文字を配した製品が多数掲載されており、これらを含めて、USTマミヤ社は、「ATTAS」ブランド製品と捉えて販売している。 ゴルフ用品を取り扱う業界において、USTマミヤ社は、ゴルフシャフト4大メーカーの一社として認知されており、4大シャフトメーカーの製品を紹介するウェブサイトには、「ATTAS(アッタス)/UST Mamiya」(甲10)、「UST マミヤといえばATTAS」(甲11)と説明されている。 このような、「ATTAS」の文字部分がUSTマミヤ社の出所表示と認識されている国内の取引の実情において、需要者及び取引者は、「ATTAS」とその前後の文字とを切り離し、当該文字部分は「ATTAS」シリーズのゴルフシャフトを表す名称と認識するに至っている。事実、「ATTAS」の文字がそれ自体、独自の出所標識であることから、USTマミヤ社は、当該文字について、商標登録している(甲13)。 そうすると、本件商標権者が意図する「ATTAS」の前後に配された文字部分は、「ATTAS」製品のサブブランド(シリーズ名)に他ならない。現に、需要者及び取引者は「ATTASは、現在までに11シリーズが発表されている。」、「アッタスシリーズの新製品登場 ATTAS 11(アッタスジャック)」と紹介しており(甲10)、USTマミヤ社が、「ATTAS」ブランドを付した自社製品のサブブランド(シリーズ名)として、「KING」を採択したことは明らかである。 本件商標権者は、「ATTAS KING」の欧文字部分が一連一体であることをアピールする意図で「アッタスキング」の片仮名を小さく併記したものと解されるが、これまでの「ATTAS」シリーズに係る商標登録において、全体の読み方を併記した態様の商標を一切出願しておらず(甲14〜甲21)、本件商標に限り併記したことは、申立人の引用商標を知った上で、商標出願の審査を欺く意図によるものといわざるを得ない。 申立人が調べたところ、本件商標が付されたUSTマミヤ社の商品(ゴルフクラブ用シャフト)本体には、「アッタスキング」の文字は使用されておらず(甲12)、また、「みんなのゴルフダイジェスト」のウェブサイトに掲載された同商品に関する記事には、「「アッタス」シリーズ13番目ということで、巷で「ジェイソンじゃないか?」「いやゴルゴだろ」と言われた期待のネーミングは「キング」」、「「KING」は重量、もしくは硬さ、1フレックス上を選ぶと軽いドローで爽快に振れる」と紹介されている(甲12)。 ウ したがって、ゴルフシャフトに係る取引の実情や需要者及び取引者の認識、並びに、本件商標権者の意図を勘案すると、本件商標からは「KING」の欧文字部分に相応した称呼及び観念が生じるものと判断されて然るべきである。 (2)11号引用商標 申立人の所有に係る引用商標1は、「KING」の文字を標準文字で書してなる(甲3、甲4)。 申立人の所有に係る引用商標2は、別掲2のとおり、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で「KING」の欧文字が書された態様からなる(甲5)。そして、引用商標2の図形部分は、それ自体、さほど、特徴のある図形ではなく、中に描かれた「KING」の欧文字の外郭線(フレーム)とも看取されることから、引用商標2を目にした本件商標の指定商品(以下「本件商品」という。)に係る需要者、取引者であれば、欧文字部分に着目して、引用商標2を認識する。 (3)申立人と「KING」商標 ア 申立人(以下「プーマ社」ということがある。)は、スポーツシューズ、スポーツウェア、被服、バッグ等を世界的に製造販売している多国籍企業である(甲22〜甲25)。 1920年にルドルフ・ダスラー及びアディ・ダスラーの兄弟が靴を販売する「ダスラー兄弟商会」を設立したのが始まりであり、その後、兄弟が1948年にそれぞれ独立し、兄ルドルフがプーマ社を設立した(甲25)。 我が国においては、1972年から、日本国内における代理店として「コサ・リーベルマン株式会社」が、申立人の業務に係る商品のうち、靴、バッグ、アクセサリーについて事業を展開し、2003年5月1日に、申立人の日本法人であるプーマジャパンが同事業を承継し、その後、いくつかの変遷を経て、2010年に、現在のプーマジャパン(以下「プーマジャパン社」という。)となった(甲22〜甲25)。 ネコ科の哺乳動物、ピューマから命名した「PUmA」の文字及びピューマのシルエット図形を付した申立人のブランド(ハウスマーク)は、我が国において長年にわたり人気を得ており、J−PlatPatの「日本国周知著名商標検索」に掲載されていることからも明らかなとおり、周知著名商標と認定されている。 申立人のサッカーシューズは、1958年にスウェーデンで開催されたサッカー・ワールドカップにおいて、唯一のドイツ製サッカーシューズであった(甲25)。1960年代以降、著名なサッカー選手、2000年以降には世界的に著名な陸上選手など、各国のサッカーや陸上のトップアスリートがプーマ社のスポーツシューズを着用し(甲25)、多くの需要者に支持されたことで、世界的なスポーツブランドとして不動の地位を確立した。 プーマジャパン社の業務に係るスポーツ用品について、「スポーツ産業白書(2004年版、2006年版、2013年版、2016年版〜2018年版)」(甲23)によると、日本国内での売上高及び企業別順位は、「スポーツ用品メーカー(スポーツ関連売上高10億円以上)」として、2018年は「プーマジャパン(株)」が9位にランキングされ、売上高は、約393億円(予測)であり、2017年は9位、2016年は8位の順位をキープしており、売上高は、2013年及び2016年において毎年ほぼ400億円を超えている。 また、プーマジャパン社の業務に係るスポーツシューズについて、「スポーツシューズビジネス(2003、2011、2016〜2018)」(甲22)によると、国内での出荷額、企業別順位、市場占有率は、2013年は179.6億円、6位、5.9%、2014年は177.8億円、6位、5.4%、2015年は184.4億円、6位、5.2%であり、出荷額は毎年170億円を超え、5%を超える市場占有率を有している。 さらに、「スポーツアパレル市場動向調査(2015年版〜2018年版)」(甲24)によると、スポーツアパレルのブランド別国内出荷金額ランキングでは、2012年は第4位、2013年から2017年は第5位であり、2018年は第8位と順位を若干落としているが、2018年出荷金額(予測)は、約231.6億円(市場占有率4.2%)と前年(2017年は約214億円)より増えている。 申立人は、1958年から60年以上にわたり、各種スポーツ用品・アパレル商品を世界各国で販売し、とりわけ、サッカーシューズにおいて、1966年より、プーマサッカースパイクのモデル名の一つとして「KING」の商標(以下「KING商標」という。)を長年にわたり使用しており(甲26、甲27)、プーマ「KING」サッカーシューズは、サッカー界のレジェンドサッカー選手をはじめ各国の数多の名サッカー選手に愛され続け、「ペレキング」、「マラドーナキング」といった特別モデルまで存在する、プレミアムなプーマサッカースパイクの名称として、サッカー界では非常に高い評価を得ている(甲28〜甲30)。 今日においては、サッカーシューズのみならず、プーマ社の各種スポーツ用品(ゴールキーパー用グローブ、スポーツバッグ、トレーニングウェア、サッカーボール)に「KING」商標は使用され(甲31〜甲35)、「KING」サッカー用品の国内売上げは、2020年が1.1億円(小売価格ベース)、2021年が2.4億円となっている。 このように、申立人は、同社のサッカー用品を指称するブランドの一つとして「KING商標」を長年にわたり使用し(甲25〜甲35)、また、2013年ないし2017年における申立人の売上高も堅調に推移しており、「スポーツシューズメーカー別国内出荷金額」及び「スポーツアパレルのブランド別国内出荷金額ランキング」においても常に上位に位置していることから(甲22〜甲24)、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「KING商標」は、申立人の業務に係るサッカー用品等を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されている。 イ さらに、申立人は、2010年3月10日、世界有数のゴルフクラブメーカーであった米国法人「コブラ ゴルフ インコーポレーテッド」(1973年創設。以下「コブラゴルフ社」という。)を買収し(甲36)、コブラゴルフ社の「KING」ブランドを残しつつ、ゴルフ事業に本格的に参入した。 コブラゴルフ社のゴルフ用品は、「ヴィクトリアゴルフ」、「スーパースポーツゼピオ」、「ゴルフパートナー」、「つるやゴルフ」及び「PGA ツアースーパーストア」といった大手ゴルフ用品店(甲37〜甲38)の店頭やオンラインショップにおいて販売されており、国内での取扱店数は、120店近くある。また、ゴルフ専門店での販売に限らず、アマゾンジャパン、楽天市場、Yahoo!ショッピングといった大手ネット通販サイトやゴルフ用品通販サイト(甲39〜甲42)においても多数販売されている。 コブラゴルフ社のゴルフ用品を代表するブランドの一つが「KING」であり、1990年代後半、有名プログルファーが使用していたことがゴルフ業界で話題となり、「パワーヒッター御用達」として知られるようになった(甲43)。 2016年のコブラゴルフ社ゴルフ用品カタログ「KING 2016 PRODUCT GUIDE」には、「KING」の文字が、ドライバーやアイアンのヘッドに目立つ態様で刻印されている(甲44)。また、現在のコブラゴルフ社の日本語ウェブサイトでも、同様に、「KING」の文字が大きく表示されている(甲45)。 コブラゴルフ社の「KING」ゴルフ用品がゴルフ通の間で人気を博していることから、新たな「KING」モデル商品が発売される度、ゴルフ雑誌等のメディアやプロゴルファーらが、新モデルの性能や特徴を紹介、評価する記事を掲載している(甲46〜甲48)。 また、「KING」モデルの販促にも積極的に取り組んでおり、YouTube広告(甲49)や日本最大級のゴルフポータルサイト「GDO」でのバナー広告(甲50)、ゴルフ雑誌「ALBA」への広告(甲51)等を行っている。コブラゴルフ社の人気モデル「KING F9」の国内でのプロモーション活動を紹介した資料(甲52)及び2021年1月〜2022年3月にかけて、ゴルフ雑誌等に掲載された「KING」に関する記事、掲載内容の一覧(甲53)を提出する。 これらの営業活動、宣伝広告活動等により、「KING」ゴルフ用品の国内売上は、2020年が8.6億円(小売価格ベース)、2021年が4.9億円となっている。 上記の国内売上自体は、国内のゴルフ用品市場規模からすると、やや小さい印象は否めないものの、長年の使用実績・評判により、海外の人気ゴルファーが愛用する「パワーヒッター御用達」ゴルフブランドとして、業界内において一定の認知度を獲得していることは、証拠資料(甲37〜甲53)から容易に推測される。 ウ 以上により、「KING」商標は、申立人のサッカー用品及び申立人の100%子会社であるコブラゴルフ社のゴルフ用品(以下「申立人等商品」という。)を表す出所標識として、特に、サッカー又はゴルフに興味・関心を示す需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得している。 (4)本件商標と引用商標1の対比 本件商標は、「ATTAS」の欧文字部分と「KING」の欧文字部分とが、明らかに異なる書体(フォント)、大きさ、色彩により書されていることから(甲1、甲2)、たとえ、これらの文字が横並びに配されているとしても、「KING」が我が国の需要者、取引者に馴染みある基本的な英単語である一方で、「ATTAS KING」及び「アッタスキング」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく(甲7、甲8)、「ATTAS」と「KING」の文字について観念上のつながりが認められず、全体としてまとまった意味合いが生じないこと、「ATTAS」又は「アッタス」の語がゴルフシャフトのブランドとして認識されていることも相まって、本件商品、とりわけ、ゴルフ用品に係る恒常的・一般的な取引の実情も勘案すると、本件商標中「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、「王。国王。君主。」の観念を生ずる。 現に、出所識別機能を発揮し得る文字を複数配した結合商標との類否が争われた審判・裁判において、外観上明瞭に区別して認識され、観念上及び称呼上の関連性も認められず、分離観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないとして、商標構成中の一部の文字部分をもって、商標の類否が判断されている(甲54〜甲66)。 それらの事例を踏まえ、本件に翻ってみるに、本件商標中「KING」の欧文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、「王。国王。君主。」の観念を生ずる。 さらに、本件商品(ゴルフ用具)に含まれるゴルフクラブについては、各種メーカーが、ゴルフクラブのヘッドだけでなく、ゴルフクラブ用シャフトにも、自社の出所標識を付して販売している取引の実情が存在する(甲67〜甲69。一例である。)。 当該取引の実情も踏まえ、本件商標の「KING」の欧文字部分と引用商標1を対比してみると、引用商標1から生ずる「キング」の称呼、「王。国王。君主。」の観念において同一であり、本件商品、とりわけ、ゴルフ用品に本件商標が使用された場合、需要者及び取引者に与える印象は似通っていることから、両商標は類似する。 また、「KING商標」は、申立人のサッカー用品、及び、申立人子会社コブラゴルフ社のゴルフ用品を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得しているところ、本件商標は、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合に該当する。そうすると、商標審査基準に照らし、本件商品について需要者の間に広く認識された申立人の引用商標1と他の文字又は図形等と結合した本件商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、申立人の引用商標1と類似する(甲6)。 したがって、本件商標は、申立人の引用商標1と類似する。 (5)本件商標と引用商標2との対比 引用商標2は、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で欧文字「KING」が書された態様からなる(甲5)。 上述したとおり、本件商標中「KING」の欧文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、「王。国王。君主。」の観念を生ずる。 本件商標の「KING」の欧文字部分と引用商標2を対比すると、引用商標2の文字部分から生ずる称呼「キング」、観念「王。国王。君主。」において同一であり、本件商標が本件商品、とりわけ、ゴルフ用品に使用された場合、需要者及び取引者に与える印象は似通っていることから、本件商標と引用商標2とは類似する。 (6)本件商品と11号引用商標に係る指定商品との類否 11号引用商標に係る第25類指定商品(甲3〜甲5)は、いずれも、本件商品と同一又は類似する。 (7)小括 本件商標と11号引用商標とは類似しており、また、本件商品と11号引用商標に係る指定商品とは同一又は類似している。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第10号により取消すべき理由 (1)申立人子会社が使用する商標「KING」の認知度 上述したとおり、申立人子会社であるコブラゴルフ社(以下、申立人とコブラゴルフ社とを合わせていうときには、「申立人等」という。)が、国内外において製造及び販売するゴルフ用品(以下「申立人等ゴルフ用品」という。)に使用する申立人等ゴルフ用品商標(「KING」商標)は、本件商標の出願前より、最終消費者の間とまではいい難いにせよ、とりわけ、国内外のゴルフ業界の関係者やゴルフファンの間で広く認識されている事情が認められる(甲36〜甲53)。 (2)本件商標と申立人等ゴルフ用品商標との類否 本件商標の「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、「王。国王。君主。」の観念を生ずる。 そこで、本件商標の「KING」の欧文字部分と、申立人等ゴルフ用品商標とを対比すると、申立人等ゴルフ用品商標から生ずる「キング」の称呼、「王。国王。君主。」の観念において同一であることから、両商標は、類似する。 また、申立人等ゴルフ用品商標は、コブラゴルフ社のゴルフ用品を表す出所標識として、本件商品に係る需要者、取引者の間で一定の認知度を獲得しているところ(甲37〜甲53)、本件商標は、需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合に該当する。そうすると、上記1(4)と同様に、本件商標は、申立人等ゴルフ用品商標と類似する。 なお、「ATTAS KING」の文字は、辞書等に掲載された語ではなく(甲7、甲8)、このため、申立人等ゴルフ用品商標「KING」は既成の語の一部には該当しない。 以上により、本件商標と申立人等ゴルフ用品商標の両商標は、外観において異なるものの、本件商標の「KING」の欧文字部分から生ずる称呼及び観念が一致しており、また、本件商標の文字部分は、本件商品に係る需要者の間に広く認識された申立人等ゴルフ用品商標に、「ATTAS」の文字を結合した商標に該当することから、これらの事情を総合的に勘案すると両商標は類似すると判断されて然るべきである。 (3)本件商品と申立人等ゴルフ用品との同一又は類似 本件商品のうち「ゴルフクラブ用シャフト,その他のゴルフ用品」は、申立人等ゴルフ用品と同一又はこれに含まれる商品であり、本件商品のうち「運動用具」は、これに類似する。 (4)小括 本件商標と申立人等ゴルフ用品商標とは類似しており、本件商品と申立人等ゴルフ用品とは同一又は類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 商標法第4条第1項第15号により取消すべき理由 (1)商標法第4条第1項第15号の適用においては、本件商標の登録出願時及び登録査定時を判断時期とし、本件商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、判断されるべきである(最高裁判所平成10年(行ヒ)第85号。東京高等裁判所平成2年(行ケ)第183号。東京高等裁判所平成16年(行ケ)第85号。)。 (2)本件商標と申立人商標及び標章との類似性の程度 上記のとおり、本件商標は、その商標中「KING」の文字部分は独立して自他商品の出所識別機能を果たし得るものと認められ、当該文字部分に相応して、「キング」の称呼を生じ、「王。国王。君主。」の観念を生ずる。 引用商標1は、標準文字で書された欧文字「KING」からなり(甲3、甲4)、引用商標2は、左右を切り欠いた横長の楕円の中に、ゴシック体で欧文字「KING」が書された態様からなる(甲5)。また、申立人等ゴルフ用品商標は、欧文字「KING」からなる(甲25〜甲53)。 本件商標の「KING」の欧文字部分と申立人商標及び標章を対比すると、外観において異なるものの、「キング」の称呼、「王。国王。君主。」の観念において一致しており、また、本件商標の文字部分は、本件商品、とりわけ、サッカー用品及びゴルフ用品に係る需要者の間に広く認識された申立人等ゴルフ用品商標に、「ATTAS」の文字を結合した商標に該当することから、これらの事情を総合的に勘案すると両商標の類似性の程度は比較的高いものといえる。 (3)申立人商標及び標章の周知著名性及び独創性の程度 「KING」の語は、「王。国王。君主。」を意味する基本的な英単語であるため(甲7)、申立人商標及び標章の独創性の程度は高いとはいい得ないものの、上述したとおり、申立人等ゴルフ用品商標は、とりわけ、国内外のサッカー業界及びゴルフ業界の関係者や熱狂的なファンの間で広く認識されている事情が認められる(甲25〜甲53)。 (4)本件商品と申立人等商品との関連性 本件商品は、申立人等商品である「サッカー用品、ゴルフ用品」と同一又は類似する。したがって、本件商品と申立人等商品との関連性は極めて高い。 (5)取引者及び需要者の共通性その他取引の実情 上記のとおり、本件商品と申立人等商品とは明らかに同一又は類似しており、また、両商品の主たる需要者は、スポーツの愛好家を始めとして、広く一般の消費者を含むものということができる。そして、このような一般の消費者には、必ずしも商標やブランドについて正確又は詳細な知識を持たない者も多数含まれているといえ、商品の購入に際し、メーカー名やハウスマークなどについて常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないと考えられることから、商品の選択・購入に際して払う注意力が高いとはいえない一般消費者を需要者とする点で共通する。 さらに、本件商品中「ゴルフ用具」に含まれるゴルフクラブについては、各種メーカーが、ゴルフクラブのヘッドだけでなく、ゴルフクラブ用シャフトにも、自社の出所標識を付して販売している取引の実情が存在する(甲67〜甲69。一例である。)。 そうすると、当該取引の実情において、本件商品中「ゴルフクラブ用シャフト」に本件商標が使用された場合、需要者及び取引者は、ゴルフクラブ用シャフトの出所標識としてではなく、「ゴルフクラブ」の出所標識として認識する可能性があるものといわざるを得ない。 (6)混同を生ずるおそれ 上記の事情を総合すると、両商標は外観構成に差異が存在するとしても、本件商標の「KING」の欧文字部分において申立人等ゴルフ用品商標の称呼及び観念と一致しており、そのため、本件商標が申立人等商品と同一又はこれと深く関連する本件商品に付して使用された場合、一般消費者の注意力などをも考慮すると、これに接する取引者、需要者は、本件商標構成中の「KING」の文字部分に着目し、サッカー業界及びゴルフ業界において広く認識された申立人等ゴルフ用品商標を連想、想起して、当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信するおそれがあるものというべきである。 (7)小括 したがって、仮に、本件商標と申立人商標及び標章とが非類似であるとしても、商標「KING」は、申立人等商品を表示するものとして、我が国のサッカー業界及びゴルフ業界の関係者や熱狂的な愛好家の間に広く認識されており、また、上述したとおり、「KING」の文字部分において、本件商標と申立人商標及び標章とは共通するものであるから、たとえ、外観全体の構成において差異が認められるとしても、本件商標が本件商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、本件商標の登録出願前から、申立人等の業務に係るサッカー用品、ゴルフ用品を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識された申立人等ゴルフ用品商標を連想、想起し、当該商品が申立人等又は申立人等と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 商標法第4条第1項第7号により取消すべき理由 本件商標権者は、USTマミヤ社の米国法人と思われるところ、上記1(1)イのとおりの実情(甲9〜甲21)からすると、ゴルフ業界関係者である本件商標権者が、世界有数のゴルフクラブメーカー、コブラゴルフ社、及び、そのゴルフクラブ「KING」を知らないはずはなく、申立人商標及び標章に化体した信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りする、あるいは、申立人商標及び標章の出所表示機能を希釈化するなどの目的で本件商標を採択・出願した可能性が否定できず、本件商標の採択、出願において、不正の目的がなかったと捉えることの方が、むしろ不自然といわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標及び標章の周知性について (1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。 ア 申立人は、1966年頃から「プーマキング」、「キングモデル」、「キングペレ」と称するサッカーシューズを販売していたこと(甲25、甲28)、2021年3月、2022年5月、2023年1月に「KING」の文字を使用したサッカーシューズ、Tシャツ、パンツ、サッカーボール、ジャケットを販売していたこと(甲30、甲32、甲34)が認められ、1968年頃から「KING」の欧文字をサッカーシューズの広告に使用し、遅くとも1990年代に「KING」の欧文字をサッカーシューズに付し、2008年頃まで継続して販売していたこと(甲26、甲27)がうかがえる。 イ 「KING」の文字を使用したゴルフクラブ(以下「申立人等使用クラブ」という。)は、少なくとも2021年3月に複数のウェブサイトで販売されていること(甲38〜甲42)が認められ、申立人等使用クラブは2016年7月ないし2022年3月に、各種雑誌、ウェブページ等で広告、紹介されていることが認められ又はうかがえる(甲43、甲45〜甲53)。 また、申立人は、1973年に設立されたコブラゴルフ社を、2010年に買収したこと(甲47、甲36)がうかがえる。 ウ しかしながら、商標「KING」が使用された商品「サッカー用品、ゴルフ用品(ゴルフクラブ)」(以下「申立人等使用商品」という。)の売上高、市場シェアなど販売実績を示す証左は見いだせない。 (2)上記(1)からすれば、商標「KING」が使用されたサッカー用品は1968年頃から、同じくゴルフ用品は2016年頃から販売され、いずれも現在まで継続して販売されていると推認することができるから、申立人等使用商品はサッカー用品及びゴルフ用品の取引者、需要者の間である程度知られているということができる。 しかしながら、申立人等使用商品の販売実績を示す証左は見いだせないから、申立人等使用商品及び同商品に使用されている商標「KING」(以下「申立人等使用商標」という。)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品として及び同商品を表示するものとして、いずれも需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 そうすると、申立人等使用商標と同一の文字からなる引用商標1及び同じく申立人等ゴルフ用品商標は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 また、引用商標2は、それが使用されていることがうかがえる証左が1件ある(甲31)のみで、ほかに使用されている事実を確認できないから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 したがって、申立人商標及び標章は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。 なお、申立人は、「KING商標」を使用したサッカー用品の国内売上は2020年が1.1億円、2021年が2.4億円、「KING商標」を使用したゴルフ用品の国内売上は2020年が8.6億円、2021年が4.9億円となっている旨主張しているが、それを裏付ける証左は見いだせないから、かかる主張は採用できない。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について ア 本件商標は、「ATTAS」及び「KING」の欧文字と「アッタスキング」の片仮名を2段に横書きした構成態様(別掲1)よりなり、その構成中の「アッタスキング」の片仮名は、「ATTAS KING」の欧文字の読みを特定したものと認められ、これらを一連に表した「ATTAS KING」の欧文字及び「アッタスキング」の片仮名は一般の辞書等に載録のないものであり、特定の語義を生じない一種の造語と認識されるというべきである。 したがって、本件商標は、その構成文字に相応して「アッタスキング」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 申立人は、本件商標は「ATTAS」の欧文字部分と「KING」の欧文字部分が、その外観・構成上の差異により別々の英単語が並んで配置されたものと容易に認識されること、「ATTAS KING」及び「アッタスキング」の文字は全体としてまとまった意味合いを生じないこと、「ATTAS」の欧文字部分がUSTマミヤ社の出所表示と認識されていること、USTマミヤ社が「ATTAS」ブランドを付した自社製品のサブブランド(シリーズ名)として「KING」を採択したことは明らかであること、「KING」の欧文字は申立人等の商品を表す出所標識として一定の認知度を獲得していることなどとして、本件商標からは「KING」の欧文字部分に相応した称呼及び観念が生じるものと判断されて然るべきである旨主張している。 しかしながら、本件商標の構成中「ATTAS」及び「KING」の欧文字部分は「ATTAS」と「KING」の文字の書体、大きさ、色彩は異なるものの、両文字は外郭が一本の線で囲まれ両文字が接するようにまとまりよく描かれ、当該文字から生じる「アッタスキング」の称呼は無理なく一連に称呼し得るものであり、また、商標の類否は使用者の意思にかかわらず取引者、需要者の認識に基づいて判断すべきものであるし、上記1のとおり申立人等使用商標は申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであることからすれば、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、その構成文字全体が一体不可分のものとして認識、把握させるものと判断するのが相当である。 さらに、本件商標は、その構成中「KING」の欧文字部分を分離抽出し、他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。 したがって、申立人のかかる主張は採用できない。 (2)11号引用商標について 引用商標1は、上記第2の1(1)のとおり、「KING」の文字を標準文字で表してなり、当該文字に相応し「キング」の称呼を生じ、「王」の観念を生じるものである。 引用商標2は、別掲2のとおり、左右を切り欠いた横長の楕円(以下「引用2図形」という。)の中に「KING」の欧文字を表してなり、引用2図形と「KING」の欧文字は、これらが重なることなく配置されていることから、視覚上分離して観察されるものといえ、これらを分離して観察することが、取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものではない。 そして、引用2図形は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され親しまれているというべき事情は認められないため、特定の称呼及び観念は生じないものである。 そうすると、引用商標2は、引用2図形と「KING」の欧文字とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないものであるから、引用商標2の構成中の「KING」の欧文字を要部として抽出し、この部分のみを本件商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。 したがって、引用商標2は、「KING」の欧文字に相応して「キング」の称呼が生じ、「王」の観念を生じるものである。 (3)本件商標と11号引用商標の類否について 本件商標と11号引用商標の類否を検討すると、両者の外観は、上記のとおり、その構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。 次に、本件商標から生じる「アッタスキング」の称呼と11号引用商標から生じる「キング」の称呼を比較すると、両者は語頭における「アッタス」の音の有無という差異を有し、その差異が両称呼全体の構成音数、語調語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、かれこれ聞き誤るおそれのないものである。 さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、11号引用商標は「王」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と11号引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 その他、本件商標と11号引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 (4)小括 以上のとおり、本件商標と11号引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似する商品であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 申立人は、本件商標は申立人等ゴルフ用品商標との関係において商標法第4条第1項第10号に該当する旨主張しているので、以下検討する。 上記1のとおり申立人等ゴルフ用品商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。 また、申立人等ゴルフ用品商標は引用商標1と同一のつづりからなるものであるから、本件商標と申立人等ゴルフ用品商標は、上記2と同様に、非類似の商標であって別異の商標というべきものというべきである。 したがって、本件商標は、その指定商品と申立人等ゴルフ用品が同一又は類似するとしても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 上記1のとおり申立人商標及び標章は、いずれも申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記2及び3のとおり本件商標は、申立人商標及び標章と非類似の商標であって別異の商標というべきものであり、また、「KING」の語が我が国で親しまれた英単語であることをあわせ考慮すれば、本件商標の指定商品と申立人等使用商品との関連性の程度、需要者の共通性などを考慮しても、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人商標及び標章を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人商標及び標章は、上記1のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、本件商標は、上記2及び3のとおり、申立人商標及び標章と非類似の商標であって別異の商標というべきものであり、上記4のとおり本件商標は、申立人商標及び標章を連想又は想起させるものでもない。 そうとすれば、本件商標は、申立人商標及び標章に化体した信用などにただ乗りする、申立人商標及び標章の出所表示機能を希釈化するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。 さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 6 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標。色彩は原本参照。) 別掲2(引用商標1の指定商品) 第18類「がま口及び財布(貴金属製のものを除く。),キーケース,その他の袋物,キャリーバッグ,旅行かばん,スポーツバッグ,リュックサック,ナップザック,スクールバッグ,ウエストバッグ,トランク,その他のかばん類,傘」 第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,仮装用衣服」 第28類「すね当て,運動用ひざ・ひじ・足首保護パッド,運動用グローブ又は手袋,運動競技用ボール,運動用具の収納用特製バッグ,ローラースケート靴,アイススケート靴,インラインスケート靴,体操用具,その他の運動用具」 別掲3(引用商標2) 別掲4(引用商標2の指定商品) 第18類「Bags; pouches; carrying bags; travelling bags; all-purpose sports bags; sports pouches; attache cases; shopping bags; net bags for shopping; market bags; handbags; clutch bags; duffel bags; rucksacks; school bags; shoulder bags; belt bags; hip bags; trunks and travelling cases; luggage tags; wallets; purses; card cases; briefcases; credit card cases; business card cases; key cases; tie cases; umbrellas; umbrella covers; parasols; walking sticks.」 第25類「Clothing; footwear; boot uppers; footwear uppers; inner soles; non-slipping devices for boots and shoes; soles for footwear, studs for football boots; headgear.」 第28類「Gymnastic and sporting equipment, gymnastic and sporting articles (included in this class) except for darts and darts equipment; skiing and tennis equipment; skis, ski bindings, ski poles, edges for skis, climbing skins for skis; dumb-bells; shot puts; discus; javelins; clubs for gymnastics; sport hoops; shin guards, knee, elbow and ankle guards for sports purposes; sports gloves, included in this class; tennis rackets, cricket bats, golf clubs, hockey sticks, table tennis rackets, badminton and squash rackets and parts therefore, in particular grips, strings, grip and lead tapes; bags for sports equipment, specially designed for the objects to be carried therein; specially adapted bags and shaped covers for tennis rackets, table tennis rackets, badminton rackets, squash rackets, cricket bats, golf clubs and hockey sticks; roller skates and ice skates; inline skates; table tennis tables and nets; nets for sports, goal and ball nets; start and finish banners, tapes and awnings for sports events.」 (この書面において著作物の複製をしている場合の御注意) 本複製物は、著作権法の規定に基づき、特許庁が審査・審判等に係る手続に必要と認めた範囲で複製したものです。本複製物を他の目的で著作権者の許可なく複製等すると、著作権侵害となる可能性がありますので、取扱いには御注意ください。 |
異議決定日 | 2023-08-29 |
出願番号 | 2022008045 |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W25)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
矢澤 一幸 |
特許庁審判官 |
小田 昌子 杉本 克治 |
登録日 | 2022-08-10 |
登録番号 | 6599593 |
権利者 | ユーエスティー−マミヤ インコーポレィテッド |
商標の称呼 | アッタスキング、アッタス、キング |
代理人 | 三上 真毅 |
代理人 | 弁理士法人英知国際特許商標事務所 |