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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0928 |
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管理番号 | 1401971 |
総通号数 | 21 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2023-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-08-23 |
確定日 | 2023-08-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6576819号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6576819号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6576819号商標(以下「本件商標」という。)は、「PETRONIX DEFENDERS」の欧文字を横書きしてなり、令和3年12月10日に登録出願、第9類「コンピュータ記憶装置,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),ノートブック型コンピュータ,USBフラッシュドライブ,カウンター,計量用機器,電話機械器具,携帯電話機,テレビジョン受信機,DVDプレーヤー,携帯型メディアプレーヤー,録音済み又は録画済みの光ディスク,眼鏡,アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル,コンピュータ用ゲームプログラム,電池用充電器,バッテリーチャージャー,蓄電池,電池」及び第28類「ゲーム機,おもちゃ,こま(おもちゃ),おもちゃの乗物,ジグソーパズル,室内ゲーム用具,マイクロ・コンピュータを組み込んだインテリジェントロボットおもちゃ,トランプ,チェス用具,遊戯用ボール」を指定商品として、同4年6月7日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)国際登録第1357160号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の構成:DEFENDER 国際商標登録出願日:2017年(平成29年)2月6日 設定登録日:平成31年4月12日 指定商品及び指定役務:第9類、第28類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務 (2)登録第6618953号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の構成:DEFENDER(標準文字) 登録出願日:令和3年12月17日 設定登録日:令和4年9月26日 指定商品:第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 (ア)本件商標の外観 本件商標は欧文字「PETRONIX」と「DEFENDERS」の間に1文字程度のスペースを設けて併記した構成からなる。また、「PETRONIX」の「N」と「I」、「I」と「X」の間隔は、「PETRON」の各文字の間隔よりもやや広く設けられている。 (イ)本件商標の称呼 本件商標は「PETRONIX DEFENDERS」の構成文字に即して「ペトロニクスディフェンダーズ」と称呼され得る以外に、「PETRONIX」と「DEFENDERS」に分離された上で「DEFENDERS」部分を捉え、「ディフェンダーズ」とも称呼される。以下に、その理由を述べる。 a 分離観察の可否 分離観察の可否については、最高裁判決(昭和37年(オ)第953号 同38年12月5日第一小法廷、平成3年(行ツ)第103号 同5年9月10日第二小法廷、平成19年(行ヒ)第223号 同20年9月8日第二小法廷)に判示されているとおりである。 b 本件商標の称呼 本件商標は、上記(ア)で述べたとおり、欧文字「PETRONIX」と「DEFENDERS」の間に1文字程度のスペースを設けて併記した構成からなり、また、「PETRONIX」の「N」と「I」、「I」と「X」の間隔は、「PETRON」の各文字の間隔よりもやや広く設けられている。 したがって、本件商標は、構成文字の間隔に一貫性がなく、全体としてまとまりのない印象を与えるものであって、外観において強い一体性を備えているものではない。 また、「PETRONIX」は、以下に述べるとおり、特段の意味を看取させない造語である一方、「DEFENDERS」は馴染みのある成語である。さらに、「PETRONIX DEFENDERS」を全体として結合させたとしても、辞書等に掲載される成語ではなく、特定の意味合いを想起させるものではない。したがって、「PETRONIX」と「DEFENDERS」には、観念上のつながりはない。 加えて、「PETRONIX DEFENDERS」全体から生じ得る「ペトロニクスディフェンダーズ」の称呼の音数は、13音と比較的冗長である。 そうすると、本件商標は、外観、観念において強い一体性を備えず、称呼も比較的冗長であることから、本件商標の構成部分は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまではいえないものであり、本件商標から、馴染みのある成語「DEFENDERS」部分を捉え、これにより生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も、十分にあり得る。加えて、以下で述べるとおり、「DEFENDER」は、申立人が長きにわたって使用する商標として、広く知られている。 その結果、本件商標の指定商品の取引者又は需要者が、「DEFENDERS」部分に注意を向けることは、容易にうかがい知れるところである。 以上を総合すると、本件商標は、構成文字に即して「ペトロニクスディフェンダーズ」と称呼される以外に、「DEFEDERS」の部分から「ディフェンダーズ」の称呼も生ずるとすることが相当である。 (ウ)本件商標の観念 「PETRONIX DEFENDERS」の全体は辞書等に掲載されている成語ではなく、特定の意味を看取させない造語である。したがって、本件商標は観念を備えていない。なお、「DEFENDERS」は「防御、擁護者」等の意味を有する、日本人にとって比較的馴染みのある英単語「DEFENDER」の複数形である。したがって、「DEFENDERS」は「防御、擁護者」の観念を有する。 イ 引用商標 (ア)引用商標の外観 引用商標は、欧文字「DEFENDER」を横書き一連に書してなる。 (イ)引用商標の称呼 引用商標は、構成文字に即して「ディフェンダー」と称呼される。 (ウ)引用商標の観念 引用商標は、「DEFENDER」が「防御、擁護者」の意味合いを有することから、「防御、擁護者」の意味合いが看取されるものである。 ウ 本件商標と引用商標の比較 本件商標の「DEFENDERS」部分を捉える場合、当該「DEFENDERS」と引用商標は、末尾の「S」を除き構成文字が一致するため、外観において非常に近似している。 また、本件商標の「DEFENDERS」の称呼「ディフェンダーズ」と、引用商標の称呼「ディフェンダー」は、末尾の「ズ」の音の有無を除き称呼が一致しているから、両商標は近似している。 さらに、本件商標の「DEFENDERS」と引用商標は、「防御、擁護者」の意味合いを看取されるものであり、観念において一致する。 したがって、本件商標の「DEFENDERS」部分を捉える場合、本件商標と引用商標は、外観、称呼において類似関係にあり、観念が一致するため、類似関係にあるといえる。 エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類似性 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、類似関係にある。 オ 小括 以上より、本件商標と引用商標は、商標において類似関係にあり、両商標の指定商品もまた類似関係にある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について ア「混同を生ずるおそれ」について 商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について、商標登録を受けることができないと規定している。 ここで、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号 同12年7月11日第三小法廷)において判示されている。 イ 本件商標中の「DEFENDERS」と引用商標の類似性の程度 上記(1)ウで述べたとおり、本件商標中の「DEFENDERS」と引用商標は類似関係にある。 ウ 「DEFENDER」の周知性の程度 「DEFENDER」は、以下で述べるとおり、申立人が長年にわたって使用してきた商標として、日本を含む世界中において周知性を獲得している。 (ア)「DEFENDER」は、申立人の前身であるローバー・モーター社が1948年に発表したオフロード向けの自動車「LAND ROVER」のモデルの名称である。「DEFENDER」は、長年にわたり、モデルチェンジすることなく根強い人気を博し続けていたが、2020年に初めてモデルチェンジを行ったことで、更に注目を集めており、新型「DEFENDER」は発売当初から非常に高い人気を誇っている。「DEFENDER」は、インターネット、動画においてしばしば紹介されているが、以下に、その事実を示す一例を紹介する。 (イ)ウェブサイト「OPENERS」では、「71年ぶりにフルモデルチェンジした新型ディフェンダーがジャパンプレミア」のタイトルで、新型「DEFENDER」が大きく取り上げられている(甲4)。記事の中には、「DEFENDER」をフロントに使用した新型「DEFENDER」と、背後に「DEFENDER」の文字が表示された写真が大きく掲載されている。また、アンバサダーである、プロゴルフプレーヤーの原英莉花選手、ラグビー日本代表の田村優選手とともに、新たにアンバサダーに就任したラグビー日本代表の稲垣啓太選手が、新型「DEFENDER」を囲んでいる様子も映し出されている。 新型「DEFENDER」のプレビューツアーは、大阪、名古屋、東京の3大都市を巡って行われ、このツアーを通じて、「DEFENDER」が数多の人々の目にとどまったことがうかがえる。 (ウ)ウェブサイト「webモーターマガジン」では、新型「DEFENDER」が、2021年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの部門賞「ワールド・デザイン・カー」を受賞したことが紹介されている(甲5)。「ワールド・デザイン・カー」は、もっとも優れたデザインのクルマに与えられる部門賞であり、7名の自動車デザインの専門家によるレビューを経て最終選考リストが選ばれ、93名の世界のジャーナリストで構成された審査委員によって最終投票が行われたと紹介されている。このように権威ある賞を受賞したことにより、「DEFENDER」が日本を含む世界中で広く知られていることは明らかである。 (エ)ウェブサイト「PRESIDENT Online」では、「「中古車価格が新車価格を超える」富裕層の心を鷲掴みにした“あるクルマ”」のタイトルで、新型「DEFENDER」が紹介されている(甲6)。記事では「新型ディフェンダーの人気が止まらない」の見出しの下、新型「DEFENDER」は多くの芸能人にも所有され、中古車価格が新車価格を上回るほど上昇していることが紹介されている。 (オ)新型「DEFENDER」は、2021年に公開された、映画007シリーズの「NO TIME TO DIE」にも起用されている(甲7)。「NO TIME TO DIE」は、全世界の興行収入が346億円を突破するほどに大ヒットした映画であり、当該映画中で使用された「DEFENDER」が、その名を更に世界的に広めたことは明らかである。 (カ)YouTubeのチャンネル「中尾明慶のきつねさーん」で配信された動画「限定200台の超高級車を買っちゃった」では、俳優の中尾明慶氏が「DEFENDER」の納車の様子を配信しており、動画の視聴回数は221万回にも上ることが示されている。また、動画の中では、画面上に「DEFENDER」の文字が大きく表示されている(甲8)。 (キ)YouTubeのチャンネル「LOVECARS!TV!」で配信された動画「【本命】新型ディフェンダーのディーゼル搭載モデル、D300の最上級グレードxをラブカーズTV河口まなぶが内外装チェック&試乗レビュー!」では、「DEFENDER」を詳細に紹介しており、動画の視聴回数は19万回にも上る(甲9)。 (ク)これらウェブサイト、YouTubeの動画から、「DEFENDER」は、申立人が、長年にわたって自動車に使用を続けてきた商標として、日本を含む世界中で広く知られており、周知性を獲得していることは明らかである。 エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の関連性の程度 上述のとおり、商標「DEFENDER」は、申立人の自動車の名称として周知性を獲得しているが、自動車には、本件商標の指定商品「電池、コンピュータ記憶装置、コンピュータソフトウェア(記憶されたもの)」等が搭載されることは一般的に知られるところである。したがって、自動車と、「電池、コンピュータ記憶装置、コンピュータソフトウェア(記憶されたもの)」には強い関連性があるといえる。 オ 小括 以上より、本件商標は、世界中で広く知られる商標「DEFENDER」と類似関係にあり、「DEFENDER」が使用される商品「自動車」と本件商標の指定商品には強い関連性があり、よって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。 なお、引用商標が著名であるという事情を考慮にいれて類否判断されることは、シンガー事件最高裁判決(昭和33(オ)第766号)において示されたところであり、無効2020−890039においても「SONY」の著名性が考慮され、「SONY」と「SONICODE」は混同を生じる可能性があると判断されている。これらの事例は、著名な商標においては類似範囲が拡張されて解釈され、その上で類否が判断されることを示すに他ならない。 そうすると、世界的な周知性を備えた「DEFENDER」を包含する本件商標を、指定商品に使用した場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。 (3)結語 以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号に該当し、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)申立人商標の周知性について ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張によれば、以下のとおりである。 「DEFENDER」は、申立人の前身であるローバー・モーター社が1948年に発表したオフロード向けの自動車(以下「使用商品」という。)である「LAND ROVER」のモデルの名称であって(以下「DEFENDER」の文字からなる商標を「申立人商標」という。)、71年ぶりにフルモデルチェンジした当該モデルの自動車(以下「申立人商品」という。)が2020年にオンラインで日本において初披露されたこと、申立人商品のフロント部分に申立人商標が付されていること、申立人商品が、2020年の7月に大阪、名古屋及び東京で巡回展示され、8月に全国の正規ディーラーネットワークにて展示されたことが認められる(甲4)。 また、申立人商品は、2021年ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの部門賞「ワールド・デザイン・カー」を受賞したこと(甲5)、富裕層に人気であるといった記事があること(甲6)、2021年に公開された007シリーズの映画に起用されたこと(甲7)、申立人商品に関連するYouTubeの動画(2本)について、それぞれ視聴回数が221万回(甲8)と19万回(甲9)であることなどが認められる。 なお、申立人商品の生産台数、販売台数、日本への輸入台数など販売実績や広告宣伝費等を示す主張はなく、その証左は見いだせない。 イ 判断 上記アにおいて認定した事実によれば、申立人商標は申立人の前身であるローバー・モーター社によって1948年(昭和23年)から使用商品に使用されており、71年ぶりにフルモデルチェンジされた申立人商品は、2020年(令和2年)7月及び8月に我が国において各地で展示され、また、申立人商品に関連するYouTubeの動画(2本)の視聴回数が221万回や19万回であるとしても、申立人商品の展示期間は僅か2か月であり、YouTubeの動画の本数はたった2本であるばかりか、その掲載時期や期間なども不明であって、その他、テレビ、新聞、雑誌等のメディアへの露出については、何らの証拠の提出もなく、さらに、申立人商品の我が国における販売実績及び広告宣伝費を示す証左も見いだせない。 そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る使用商品を表示するものとして、我が国における需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、上記1のとおり、「PETRONIX DEFENDERS」の欧文字を横書きしてなるところ、「PETRONIX」と「DEFENDERS」の文字の間に一文字分程度のスペースを有しているとしても、その構成文字は、同書、同大であり、視覚上一体的に看取されるものである。 また、本件商標の構成文字全体から生じる「ペトロニクスディフェンダーズ」の称呼は、格別冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。 かかる構成及び称呼からすれば、本件商標は、構成文字全体を一連一体のものとして把握、認識されるとみるのが自然である。 また、本件商標の構成中「PETRONIX」の文字は、一般的な辞書等に掲載がなく造語と認められるものであるのに対し、「DEFENDERS」の文字は「ディフェンダー」の意味を有する「DEFENDER」の複数形(「ジーニアス英和辞典第5版」大修館書店)と認められる既成の語であって、上記(1)のとおり、「DEFENDER」の文字からなる申立人商標が申立人の業務に係る使用商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでもないから、本件商標に接する取引者、需要者が殊更「PETRONIX」の文字部分を捨象して、「DEFENDERS」又は「DEFENDER」の文字部分のみに着目するというべき事情は見いだせない。 そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものといわなければならない。 したがって、本件商標は、その構成文字に照応して「ペトロニクスディフェンダーズ」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないものである。 イ 引用商標 引用商標1は、「DEFENDER」の欧文字を横書きしてなり、また、引用商標2は、「DEFENDER」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これらはいずれもその構成文字に相応して「ディフェンダー」の称呼を生じ、「ディフェンダー」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標の類否を検討すると、外観においては、両商標は前半部における「PETRONIX」の文字の有無及び末尾における「S」の有無という明らかな差異を有するものであるから、両商標は、判然と区別できるものである。 また、称呼においては、本件商標から生じる「ペトロニクスディフェンダーズ」の称呼と、引用商標から生じる「ディフェンダー」の称呼とは、前半部における「ペトロニクス」の音の有無及び語尾における「ズ」の音の有無という明らかな差異を有するから、両商標は、明瞭に聴別し得るものである。 そして、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないのに対し、引用商標は「ディフェンダー」の観念を生じるものであるから、両商標は、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないから、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本件商標の指定商品には、引用商標1の指定商品・指定役務及び引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品が含まれているものである。 オ 小括 以上によれば、本件商標と引用商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品・指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と申立人商標の類似性の程度 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標と申立人商標とも同様に別異の商標というべきである。 したがって、本件商標と申立人商標との類似性の程度は低い。 イ 申立人商標の周知性について 上記(1)のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているとは認めることができない。 ウ 出所の混同のおそれについて 上記ア及びイのとおり、本件商標と申立人商標の類似性の程度が低く、また、申立人商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているとは認めることができないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る申立人商標を連想又は想起するものということはできない。 そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、申立人商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。 エ 小括 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2023-08-08 |
出願番号 | 2021154711 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W0928)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
小松 里美 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 青野 紀子 |
登録日 | 2022-06-23 |
登録番号 | 6576819 |
権利者 | アルファ グループ カンパニー リミテッド |
商標の称呼 | ペトロニックスディフェンダーズ、ペトロニクスディフェンダーズ、ペトロニックス、ペトロニクス、ディフェンダーズ |
復代理人 | 右馬埜 大地 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
復代理人 | 石田 昌彦 |
復代理人 | 両部 奈穂子 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 本間 裕美 |