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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09354142
管理番号 1400836 
総通号数 20 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-12-08 
確定日 2023-07-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第6621797号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6621797号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6621797号商標(以下「本件商標」という。)は、「Polyscape」の欧文字を標準文字で表してなり、令和4年3月24日に登録出願、第9類、第35類、第41類及び第42類に属する別掲のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月22日に登録査定され、同年9月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5260743号商標(以下「引用商標」という。)は、「POLYSPACE」の欧文字を標準文字で表してなり、2008年3月13日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成20年5月9日に登録出願、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年8月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 指定商品・役務の類否
指定商品・役務の類似についてみると、本件商標の第9類、第35類、第41類及び第42類の指定商品・役務と引用商標の第9類、第16類、第41類及び第42類の指定商品・役務が同一又は類似することは、両者が類似群コードを共通にすることなどから明らかである。
イ 商標の類否
(ア)外観について
本件商標と引用商標では、「POLYS○A○E」の部分が共通しており、相違するのは、「C」と「P」を入れ替えた違いのみであり、「C」と「P」は、いずれも「S」、「A」、「E」の間にあり、当該文字列に埋没し、外観上区別がつかない。
しかも、9文字から構成するアルファベットでみると、本件商標及び引用商標ともに、「P」、「O」、「L」、「Y」、「S」、「C」、「A」、「P」、「E」で構成されている点で同じである。違いは、「C」と「P」の配置が入れ違っているだけである。
よって、時と所を違えて離隔的に観察した場合、外観上相紛れるおそれのあることは明らかである。よって、本件商標は引用商標に類似する。
最高裁も「大森林」と「木林森」は類似すると判断しており(平成4年9月22日判決 平3(オ)1805号)、知財高裁も「AROUSE」と「AROUGE」を外観上類似すると判断している。
(イ)観念について
本件商標及び引用商標とも特定の観念はないから、観念上の違いはない。
(ウ)称呼について
本件商標から「ポリスケープ」の称呼が、引用商標からは「ポリスペース」の称呼が生ずる。
両称呼を比較すると、聴者に強い印象を与える語頭の「ポリス」の部分が共通し、「ケ」と「ぺ」の違いも母音「E」が共通し、「プ」と「ス」の違いも母音「U」が共通するため、全体として称呼した場合には、語調語韻が同じものになり、誤認混同の可能性が高く、両商標は称呼上も類似することは明らかである。
ウ 総合判断
以上述べたとおり、本件商標と引用商標は、外観、観念、称呼において類似し、取引者・需要者に与える印象、記憶、連想が同じものであり、両商標が指定商品・役務に使用された場合には、商品・役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、引用商標に類似し、指定商品・役務も類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 申立人の概要
申立人は、アメリカ合衆国に本社を置く、数学的計算ソフトウェアを開発するプライベートカンパニーである。主な製品は、POLYSPACE、MATLAB及びSimulinkである。世界の全従業員数が5,000人を超え、年間売上は、13.5億ドル(約1,822.7億円)である。
イ 引用商標の独創性
引用商標「POLYSPACE」は辞書に掲載されていない造語であり、独創性、唯一性が顕著である。
ウ 引用商標の周知・著名性、名声、顧客吸引力
引用商標「POLYSPACE」は、2007年8月1日より日本でコンピュータソフトウェアに使用され、周知・著名になっている(甲1〜甲18)。
引用商標に係る商品「コンピュータソフトウェア」は、東京、大阪、名古屋で販売されており、日本での年間売上は、約100万ドル(約1.4億円)である。
引用商標に係る商品「コンピュータソフトウェア」は、東京大学、京都大学、早稲田大学、明治大学など100以上の大学で使用されており、トヨタ、日産、デンソー、リコーなど100以上の企業で使用されている。
例えば、日産自動車のソフトウェア品質グループのリーダーが、「「Polyspace」製品によって、高レベルなソフトウェアの信頼性を確保することができます。これは、業界内の他のツールにはできないことです。」と述べている(甲10)。
エ 商標の類似性
本件商標が引用商標に類似することは、上記(1)で述べたとおりである。
オ 業務関連性
引用商標の使用商品・役務はコンピュータソフトウェアであり、本件商標の指定商品・役務もコンピュータソフトウェアであり、同一の営業主が製造又は販売するものであるから、引用商標の使用商品・役務と本件商標の指定商品・役務は同一又は類似の関係にあり、業務も関連することは明らかである。
カ 取引者又は需要者の共通性
上記オで述べたように、本件商標と引用商標の商品・役務は関連するので、取引者又は需要者が共通することも明らかである。
キ 取引の実情
ソフトウェアは、基本となる商標のスペルを少し変えて、商標をシリーズ化する取引の実情がある。
例えば、マイクロソフトの「Visual C#」「Visual FoxPro」「Visual J++Visual J#」「Visual Studio Code」「Photo Story」「Photosynth」といったシリーズ化した商標がある。
ク 本号の判断基準(最高裁判決)
レールデュタン事件判決(平成12年7月11日最高裁判決)において、最高裁は本号の趣旨、混同の意味、混同の判断手法について、詳細に検討している。
ケ 出所の混同
上記レールデュタン最高裁判決で示された規範を本件についてみると、上述のとおり、(ア)引用商標は、辞書には掲載されていない、生来的な出所識別力の強い独創的な語であり、(イ)引用商標は周知・著名であり、品質・性能のよさから名声を博し、強力な顧客吸引力を有しており、(ウ)引用商標と本件商標が類似し、(エ)業務も、申立人の業務と指定商品・役務とが共通し、(オ)取引者及び需要者も一致しており、(カ)ソフトウェアは、基本となる商標のスペルを少し変えて、商標をシリーズ化する取引の実情がある。
よって、本件商標が指定商品・役務に使用された場合には、当該商品・役務が申立人の商品・役務に係るものであると誤信させるおそれ(狭義の混同)、又は、当該商品・役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品・役務であると誤信されるおそれ(広義の混同)があることは明らかであり、本件商標は、仮に商標法第4条第1項第11号に該当しなくても同項第15号に規定する「他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は米国マサチューセッツ州に本社を置く企業であり、1999年より、引用商標(「Polyspace」と表記されているものを含む。以下同じ。)を使用した、ソフトウェアの欠陥の検出・解析等を行うコンピュータソフトウェア「Polyspace」(以下「申立人商品」という。)を製品化したこと(甲1、甲4、甲5)、申立人商品は我が国において、遅くとも2011年頃には利用されていたこと(甲14)などがうかがえる。
しかしながら、引用商標に係る申立人商品についての、我が国における販売実績(売上高、業界シェア等)や広告実績(広告の時期、期間、回数、宣伝広告費等)などを客観的に把握できる証拠は確認することができず、引用商標の周知性を推し量ることができない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めるに足りる事実は見いだせない。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「Polyscape」の欧文字を標準文字で表してなるところ、この文字は、辞書類に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語でもないことから、特定の観念を生じない一種の造語として認識、把握されるものである。
そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ポリスケープ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり「POLYSPACE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、この文字は、辞書類に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語でもないことから、特定の観念を生じない一種の造語として認識、把握されるものである。
そして、欧文字からなる特定の観念を生じない造語にあっては、我が国において親しまれているローマ字又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「ポリスペース」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、外観については、本件商標「Polyscape」と引用商標「POLYSPACE」は、6文字目に「c」と「P」、8文字目に「p」と「C」の文字の差異を有するところ、この差異が両者の外観全体に与える影響は決して小さくないというべきであるから、両者は外観において相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本件商標から生じる「ポリスケープ」の称呼と引用商標から生じる「ポリスペース」の称呼は、共に6音からなるものであって、後半部に「ケープ」と「ペース」の音の差異を有するところ、さほど冗長とはいえない6音の音構成において、この差異が両称呼全体の語調、語感に及ぼす影響は大きく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、明確に聴別できるものであるから、両者は称呼においても相紛れるおそれはない。
さらに、観念については、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、両者は観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品及び指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、また、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、両者の類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(本件商標の指定商品及び指定役務)
第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,業務用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用プログラム,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,電子出版物」
第35類「マーケティング,広告業,広告場所の貸与,広告用具の貸与,経営の診断又は経営に関する助言,事業の管理,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,商取引の媒介・取次ぎ又は代理,商品・役務の買い手及び売り手のためのオンライン市場の提供,競売の運営,消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供,職業のあっせん,人材募集,求人情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集,コンピュータデータベース内のデータの更新及び保守,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第41類「娯楽の提供,娯楽分野における情報の提供,オンラインによるゲームの提供,インターネットを利用して行う映像の提供,インターネットを利用して行う音楽の提供,娯楽施設の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),エレクトロニックスポーツ競技会の企画・運営,スポーツの興行の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,興行におけるチケットの手配,音響用又は映像用のスタジオの提供,遊戯用器具の貸与,ゲーム用具の貸与,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」
第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),コンピュータソフトウェアの貸与,コンピュータの貸与,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの作成又は保守,コンピュータソフトウェアの設計,コンピュータソフトウェアの設計・作成・保守に関する助言,ビデオゲーム機・ビデオゲーム機用ソフトウェア及びコンピュータゲームソフトウェアの開発,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,情報技術(IT)に関する助言」

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異議決定日 2023-07-18 
出願番号 2022034082 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09354142)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 冨澤 武志
特許庁審判官 小林 裕子
馬場 秀敏
登録日 2022-09-30 
登録番号 6621797 
権利者 株式会社Polyscape
商標の称呼 ポリスケープ、ポリースケープ、ポリ、ポリー、スケープ 
代理人 青木 博通 
代理人 弁理士法人六本木通り特許事務所 
代理人 中田 和博 

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